2013年12月28日土曜日

中之条の「目の青い赤とい名の白猫」

中之条ビエンナーレについてのブログで、

「膝丈ズボンをはいた、子グマのプーさん的な伯爵綽々(はくしゃく しゃくしゃく)さんという人を滞在中2度も別々の場所で見かけ、何者なのかなーと思ってたら歌人でした。伯爵さんの短歌をいくつか書き留めておいたんですけど、紙をなくしちゃったみたい。」

と書いたら、それを伯爵綽々(はくしゃく しゃくしゃく)さんが見て、中之条で発表した歌をコメントに書き込んでくれました。伯爵さん、どうもありがとう。なお、伯爵さんの本当の歌人名は「北夙川不可止(きたしゅくがわ ふかし) 」さんだそうです。クールな名前!

北夙川不可止さんの歌をコメントのなかに入れたままにしておくのはあまりにももったいないので、ペーストします。

”北夙川不可止 さんのコメント...

ぷーさんですw  僕の短歌ですが、中之条で発表したのは以下の通りです。

風が吹くひうひうと吹く夜の獄の孤獨を猫の聲が撫でゆく

轟々と水音高き四萬川の碧く澄みつつ風を呼びけり

山深き出湯の里は靜かにて夏もあい冷たきせせらぎを聽く

枯れ葉積む街道の果て茅葺の舊家の庭に絶えぬ水音

桑を食む蚕の音のざわざわと靜かな里の午後を震はす

赤といふ名の白猫の目の青く六合(くに)村の名は去年消えたり

散りかけし櫻に小雪吹きつくる四萬の眞晝間空は晴れつつ

浴場は洋舘にして蒸風呂に籠れば翁の笛に驚く”

中之条でなくて、都下御嶽渓谷の写真。

猫の歌はモンドリアン風にカラフル。モンドリアン風の壁なんて村にあるはずないんですけど、そんな壁に向かって白猫が猫らしくゆるゆると歩いて行き、猫が振り返ったとき、青い目をしてるのがわかったというのが私のイメージ。六合村は中之条に吸収されて本当に無くなったんですけど、昔はかいこで栄えていたらしい地域なので、シャム猫が当時、村に紹介されたのかもしれません。それとも「青い目」は伯爵さんの想像なのかな。

蒸し風呂の歌は、和風の旅館に泊まったら洋風の蒸し風呂、「へぇー」と思ってたら笛の音が空間を切るという、ちぐはぐなアンバランスが面白いなというのが私の感想ですけど、もしかしてぜんぜん違う事なのかもしれません。

「ひうひうの夜の獄」は凄いっていう感じ。「待つ」ことが無いのは良いことでもあるのね。

伯爵こと北夙川不可止さん、歌を書き込んでくれて、そして「歌」と「句」の違いを教えてくださり、たいへん、どうもありがとうございました。2014年が北夙川さんにとって素晴らしい年になるように!

2013年12月7日土曜日

新国立劇場の「ホフマン物語」

サンフランシスコでは見逃した「ホフマン物語(Les contes d'Hoffmann)」を見に行きました。新国立劇場は初めて。観客席内部の年季の入った木の床の温かみ、背もたれが長くてリラックスしやすい座席などグー。サンフランシスコ・オペラハウスは客席数が約3200、バークレーの(カジュアルな)ゼラバック・ホールは2100席くらいですから、それより小さいんですけど、ゼラバックよりはえらく大きく感じるし、座席よし、品格ありで好きになりました。

そんな新国立劇場サイズのオペラって、想像してたよりもっとエンジョイできました。合唱団(新国立劇場合唱団)はエネルギッシュだし、ホフマンの第三の恋人、ジュリエッタを演じた横山恵子さんの厚みも深さもある声とアンドレをやった高橋淳さんの声もよかったでした。こういう経験ある声の人を聞けるとは思ってませんでした。また第二の恋人、アントニアを演じた浜田理恵さん、歌の最後がちょっとぶれちゃった感じ、野心よりか不安を強調した日本的女が彼女の解釈だったんですけど、日本では成立しやすいストーリーかも。彼女もよかったです。

アルトゥーロ・チャコン=クルス(Arturo Chacón-Cruz)のホフマンはあまりピンときませんでした。スカラを含めて同役こなしたというには、なんだかよくわかんないんですけど、役者としてはちょっとスロッピーで脇役化しちゃったという感じ。サンフランシスコ・オペラで2012年に彼がリゴレットでマントヴァ伯爵役をやった事あるんですけど、その時は声のプロジェクションがあまり良くなくてがっかり。新国立ではもっとボリュームが出るんじゃないかと思ったんですけど...

アンジェラ・ブラウワー(Angela Brower)は、私が見逃したサンフランシスコ・オペラのホフマンでも同じニクラウス役を演じたようなので楽しみにしてたんですけど、まず衣装が気に入りませんでした。ちょっと素直すぎる感じ。

オーケストラは驚くほど素晴らしかったです。

というふうに、個々、いろいろいい点があったんですけど、一つ一つが独立しちゃってて、全体が結びついた一体感がないかんじ。例えばオーケストラは舞台の上とは切り離されて単独演奏をしてるみたい。ホフマンはホフマン、ダンサーは除いた人たちの踊りは踊りと、各部分が舞台という仮想空間上で絡み合わない、各吹き出し内部の出来事のようなんです。こういうことからだと思うんですけど、エンジョイしましたがなんか不消化感が残り、家に帰っても?という感じでした。マーク・S・ドス(Mark S. Doss)さんがバラバラな部分をつなげてたっていう感じ。彼は真のプロって言う感じで、各役目をしっかり演じて歌も安定しててよかったです。

ミューズの歌を聞いてるとなぜかやたらとお酒が飲みたくなります。飲んでるシーンが多いせいからじゃありません。「死の都」の夢のような歌を思い出させます。

2013年11月7日木曜日

NSAスパイ事件その後ー1)米ハイテク産業に悪影響?

エドワード・スノーデンさんがNSAのスパイ活動を告発したのが今年の6月中旬。その直後、この事件がアメリカのコンピュータ産業に対する国際的信用を傷つけ、米国製品(特にクラウド技術)離れを引き起こすなどの「米ハイテク産業に悪い影響を及ぼす」という趣旨の記事(Edward Harrison)を見たんですが、サンフランシスコの企業家/起業家/作家のウォルフ・リッチャー(Wolf Richter)氏の10月17日発表の記事によると、その予言の一部は当たりつつあるよう。

まず10月14日に、ビッグデータを扱うためのソフトウェアを販売しているアメリカのテラデータ社(Teradeta)が、四半期の事業結果を発表。それによると、これから売り上げがさらに伸びると期待されていたアジアでの販売が21パーセント、中東とアフリカでは19パーセント、それぞれ減少。

10月16日発表のIBM事業報告では、中国での販売が大下降。IBMのさまざまなビジネス部門のうち、バードウェア部門のシステム・技術部の収益が17パーセント減少、特にユニックス・リナックス・パワー・システム・サーバーの売り上げが38パーセント激減。

IBMのローリッジ最高財務責任者(CFO)は、「去年はハードウェアの販売が牽引力になり、全体で売り上げが19パーセント上昇したのに、今年40〜50パーセント激減したのは、中国の経済改善計画がまだはっきりしてないため」と説明。

しかし8月中旬の「上海有価債券ニュース(Shanghai Securities News)」の報道によると、エドワード・スノーデン氏が暴露したNSAスパイ事件で、「中国公安部(Ministry of Public Security)と中国閣僚レベルのリサーチセンターがアメリカのIBM,オラクル、EMC社をマーク」したと報道。IBMの苦戦はこの影響というほうが筋が通る。(*こちらの記事を見てくれれば理由の一つはわかるはず。「裏口=バックドア」に注目してください。)

IBMの株価の動き。2013年1月から11月5日まで。

NSAスパイ事件についてはあっちこっちで触れてきましたが、現在までにさらに深刻な情報が、英国紙やニューヨークタイムズで、いろいろ暴露されてます。日本人は人事と思ってるのか、日本の新聞社が「特定秘密保護法案」を通したい政府の顔色を伺っててわざと知らんぷりしてるのか、それとも日本の産業に与える影響が大きすぎるのを恐れてなのかわかりませんが、ほとんど一般紙で報道されていません。不思議です。

なぜアメリカのコンピュータやコミュニケーション産業が打撃をうけるかのはかなり深刻な事情があり、普通の日本人も知っておいた方がいいと思うので、その2)でわかる限り説明するつもりです。

2013年11月2日土曜日

「ニートの歩き方」と「貧乏人の逆襲:増補版」とTOEIC

日本に帰ってきてすごく良い事は、いろいろな日本語の本が読めること。最近読んだ本で面白かったのはphaさんの「ニートの歩き方」。

「ニート」ってアメリカにいた頃からよく聞く言葉だったので、何だろうと思って読んだんですけど、phaさんは、一日8時間労働(実は10時間以上)で無意味に拘束される必要性を感じないとか、それを実行するために増えたり、その他のばかばかしい消費には興味がないっていう点は、日本的資本主義と阿部政権の敵。共感です。

phaさんよりか「軽症」のニート志望の方には、フランス語の勉強をお勧めします。フランス人エンジニアとたまたま電車で乗り合わせ、いろいろ話したら(英語でですけど)、一日7時間労働とか言ってました。あそこはバケーションも長いし(夏は一月)、日本語プラス何かプログラミング等のエンジニアリング関係ができれば就職できると思います。ただしフランスは、普通の日本人だと違和感を強く感じるほど、アメリカ以上に個人主義が徹底してるので、フランス映画をよく見る等の社会勉強をしてから、実地検分した方が良いです。



pha氏の冒頭の分析に寄ると、今、多くの人が日本で生きる事に閉塞感を感じるのは「日本の経済がまだ成長してない頃に作られたルールや価値観が生き残っていて、それがみんなを縛っているせいじゃないか(p8)」。これ、当たってると思います。阿部さんのやり方なんか、昔の高度成長経済を復活させようとしてるようで、もうちょっと違うビジョンがないのかと思います。日本の大企業(トヨタとか電気機器)は、トップがインターネットの意味を理解してないとしかいいようがありません。

ハウツー物の本って、通常、一冊(260ページ)に一つぐらいしかいいこと言ってないけど、「ニートの歩き方」には「アリの話」を含めて5つぐらいあったので、まだ読んでない人、お薦めです。

本の中でphaさんが推薦してる本のリストがあるんですが、そのうちの松本哉さんの「貧乏人の逆襲:増補版」を読んでみました。これ、かなり傑作、久しぶりにギャーギャー笑って読んでしまいました。おなかの筋肉ひきしめには効果大、また現代の日本には考え方にバラエティがあり、許容性もあるようなので安心しました。高円寺の方にはあまり行く事ありませんが、機会があったら「素人の乱」っていうお店、是非覗いてみたいです。

ところで最近、英会話を教えようと思ってます。ビギナーでも社会人やり直し英語でも、脳活発化等の理由で英会話やってみたいとかご興味のある方、メールください。日本人の皆さんの間で評判が高いTOEICを受けてみたところ、970でした。

2013年10月19日土曜日

Kカンパニーの「白鳥の湖」

日本では初めてのバレー、Kカンパニーの初日の「白鳥の湖」を東京文化会館で見てきました。

しょっぱなのオーケストラで管楽器の音が「ギャー」と響いてえらく度肝を抜かれました。大きめの管楽器は難しいのかなー。でもいつ聞いても美しく、若々しいところのある曲です。

Kカンパニーの熊川哲也さん、パフォーマンスは全体的に爽やかで、ジャンプも軽快、第一幕では王子様の青年らしい悩みなどがよく表現されててよかったです。お妃候補たちの踊りの後、お妃選びのために一人一人のお姫様を王子様が見るところがあるんですが、その目差しが、ダンサーに対して「今の、よかったよ」って言ってる感じで、この人、自分のカンパニーの人達の踊るのが本当に好きなんだなって思いました。また舞台が住処か、住処が舞台かというぐらい舞台になじんちゃってて、パフォーマンスの最中、無意識にちょっと足を組んでタバコでも吸うんじゃないかと思うほど。第二幕で着ている王子様の衣装なんかまるでTシャツを着てるみたい(もしかしてコスト節約の一環かも)。こういう感じが出てくるのはベテランだからなのかもしれません。マリンスキーのダニラ・コルスンツェフ(Danila Korsuntsev)のベテラン性にもそんな感じがしました。

コールドバレエも4人とか8人のグループの踊りも良かったです。でも時々グループの踊りでは、体の動きが全員小さくまとまりすぎてるかなって思うところがありました。踊りはそろってるんですけど。もしかしてこれは日本という文化に規定されてしまってる「女」という「体」が踊るせいなのかもしれません。日本の文化は体の大きな動きを「品がない」として嫌うということもありますが、場所が物理的に狭いので、日常から自然に体を小さく動かす訓練が日常的にされちゃってると思います。

「黒鳥/白鳥」は「キャラクターが作れてないな」って感じました。2羽の白鳥や四羽の白鳥は悪くないのに、キャラクターを作ってストーリーを語るというのは一段上へ飛ぶリープが必要なのかも。

魔法使いロットバルトの後からの黒鳥の登場とか、オディール・バリエーションは、実際で見たのは初めて。また王子がロッドバルトに2度にわたって「神にかけて愛を誓え」と迫られ、ためらいをふりきってオディールに愛を誓うというストーリー展開を見たのは初めてでした。こっちの方が、王子を大人とみなすと、プロットとして納得がいくし共感がわきます。

舞台は2幕目の宮殿の上からつりさがってる金色の飾りみたいなのがよかったです。白鳥達の衣装はオデッタと差別化するためでしょうか、でも何かもたもたぎみの感じがしました。

ロッドバルトを演じた人、何となくマシュー・ボーンのバレエ・カンパニーを思い出させる体でした。

ベンノを演じた井澤諒さんもすがすがしく、また二羽の白鳥や四羽の白鳥もよかったです。

久しぶりのバレエなのでエンジョイしました。

2013年10月6日日曜日

中之条ビエンナーレと四万温泉

群馬県の中之条で現在進行中の「中之条ビエンナーレ」へ。私の英語のスキルをボランティアで提供したかったので主催者側にコンタクトして行ったんですけど、よかったぁ。

ビエンナーレ本部事務所を兼ねた中之条町の展示場「SATORI」でおずおずと見習い案内人から始め、次の日ははやくも一人立ちして、中之条町内の旧六合村(くにむら)で案内人兼番人をやりました。これは主催者と地元のボランティアさんの配慮のおかげで、中之条町エリアと六合エリアの作品はボランティアをしてる間に一応全部見る事ができました。四万温泉エリアはボランティアを終えた翌日に行きました。

美術館をとびだし、人々の生活領域に入ってきて展示されると、作品がのびのび、見る方ものびのびで、こういうやり方は思いのほかよかったです。緩く曲がった道路伝いに古い民家がひょいひょいと見えてくる道を歩きながら、場所を提供してる民家に上がって見てくというのが意外にいい。始めは靴を脱ぐのが面倒くさかったんですけど、そのうち、家を訪れる感覚になり、次に来るときは、はいたり脱いだりしやすくて歩きやすい靴で来ようなんて、いつのまにか思ってました。

稲刈りが到着の翌日から始まりました。地域の人が共同作業してるのを目にして、人々の助け合いが必要条件の村の生活のただなかで、自己や自我を表現するために孤独も物ともせず的な作品を見てるとなんか始めはそぐわない感を抱きましたが、黄金の稲の垂れ穂がそんな違いは小さい、小さいと言わんばかりの圧倒的な量感であちこちを覆ってます。これが農家の作品ですね。

元呉服屋さんだった建物、SATORIの二階に女の子の大きな顔の絵。通常は私の好みじゃないんですけどよかった。この良さの50パーセントは、元呉服屋さんの低い天井と畳、今まで見た事無い装飾の鴨居で仕切られた静かな空間に、作品がはまってることから来てるのは確か。古い民家のつくりが貢献してるって強ーく感じました。作者はそんなこと聞いたら嫌がるって思うけど、これだけの力は画廊に置いただけでは得られないですね...

SATORIのそばの旧廣盛酒造に、ゴールデーンゲート・ブリッジのようなガラスとメタル製の大きな吊り橋の作品。それだけだったら心に残らないと思うんですけど、キューンという金属的な音が吊り橋の起伏に合わせて走ったとき、「あーっ!」ってイメージが湧きました。作者は小さめの窓からの外光を希望に見立てるイメージのようでしたが、私のはその逆で、明るい外から細くて不確かな橋を伝いながら暗闇に下降してゆくストーリー。古墳内を下って行くような感じです。音が暗闇の中で遠近感を出すのに成功。酒造の空間をうまーく使った作品、もともとの壁の色も過ぎ去った長い年月を感じさせます。

残念ながらカメラ持ってくの忘れたんで、中之条ビエンナーレのサイトからのスナップを拝借。藤原京子さんの「ビフレストー橋」の完成前の写真。酒造はこんなに明るくないです。音が作品に生命を与えてるって感じ。

六合村では高野長英の隠れ家が展示場の一つ。隠まった村の医者が残した押し花が圧巻・感動でした。今も色が残る200年前の押し花、医師作家の草木とむかう静かな時間が感じられます。この押し花がいつまでも残る事を祈ります。(国立博物館、なんとかせよ!)

四万温泉エリアでは、裸の男の人が3人、プールで泳いでるビデオが意に反して面白かったです。なんつーか、ランダムに泳いで画面に入ってきたり出たりするのがめだかのようでもあり精子のようでもあるのが。ビデオの質はよくないんですけど、そこが懐メロチックな雰囲気を出してました。

膝丈ズボンをはいた、子グマのプーさん的な伯爵綽々(はくしゃく しゃくしゃく)さんという人を滞在中2度も別々の場所で見かけ、何者なのかなーと思ってたら歌人でした。伯爵さんの短歌をいくつか書き留めておいたんですけど、紙をなくしちゃったみたい。六合村が中之条町に吸収されたことや、かいこの桑の葉を食べる音が響く静かな午後のことなどでした。

この滞在をすごくよいものにした最後のとどめは、美しいの四万川と川沿いの豊富な湯量の四万温泉。たっぷり浸かっていい気持ち。積善館のそばのおそばは腰があって美味しかったです。

2013年9月20日金曜日

ドイツ政府、機密保全のため政府機関にウィンドウズ8を使用しないよう通達

ドイツ連邦安全保障省(Federal Office for Security)が主要政府機関にウィンドウズ8を使用しないよう通達した文書が漏洩(リーク)したようです。オリジナルの記事はこちら

ウィンドウズ8で使われているトラスティッド・コンピューティング(TS: Trusted Computing)を通して、マイクロソフト社が遠隔操作で個々のコンピュータに秘密裏に介入、コントロールすることが可能なことを、ドイツのIT専門家が発見したためだそうです。漏洩を伝えたオリジナルのドイツ語記事はこちら

今年6月にエドワード・スノーデン氏がNSA(アメリカ国家安全保障局)の情報収集をすっぱぬいた事実を考えると、マイクロソフト社を通してにアメリカ側に情報が筒抜けになる恐れが大。

NSAと、マイクロソフト、グーグル、ツィッター、フェースブック、アップル等の関係についてはこちらを参考にしてください。米大手テク会社とNSAの関係についてはブログに書くひまがありませんでしたが、上記各社が自社のサーバーがNSAのサーバーに直結してること、それにかかる諸経費をNSAから受け取ってる事をを8月中旬から下旬にかけて認めだし、米国内で論議が拡大してます。

ウィンドウズ8とは、タブレット用にマイクロソフトが市場に紹介した最新のオペレーション・システムで、使用されてるトラスティッド・コンピューティングは、シスコやヒューレッドパッカード、マイクロソフトやインテルが共同で10年前に開発したシステム。TMP(Trusted Platform Module)と呼ばれる半導体チップとそれを動かすウィンドウズ8のようなオペレーション・システムで構成されてます。

もともとトラスティッド・コンピューティングが開発された理由は、海賊版ソフトウェアや不正規入手されたソフトウェアやビールスをコンピュータ上で走らせないようにするため。

ところがTPMがアップデートされてTPM 2.0が登場してから問題が深刻に。両バージョンとも、コンピュータ上に搭載されてるソフトウェアを識別して、走らせたり不活性化するソフトなんですが、古いバージョンではユーザーがその機能をオン・オフすることができました。しかしTPM 2.0では、コンピュータを初期起動するとディフォールトでTPM 2.0が自動的にオンになり、ユーザーに気づかれる事無く、マイクロソフトが遠隔操作で介入できるように設計されているそうです。同漏洩文書によると、ウィンドウズ7は2020年までは安全に使えるとのことなので、古いのを使ってる人は、将来どのオペレーションシステムを使うか考える時間が十分あるようです。

写真:サンフランシスコに今も残っている大日本帝国時代の領事館跡。パールハーバー奇襲の前日、すべての重要書類を消却処分したそうな。垣根のバラがきれいです。

マイクロソフトが密かに介入できるのは秘密のキーの存在。もともとチップとキーは別々に作られ、最終的にチップ上で合体させられるんですが、その間にキーのコピーを取るのが可能。そしてこのようなTPM 2.0に対してNSAが「賛意を表した」ということも同漏洩文書に記録されており、ベルリン所在のベウス技術大学(Beuth University of Technology)のロジャー・ウェイス教授(Rüdiger Weis)によると、「NSAにとっては夢のような」チップ。

それだけでなく、このチップは「NSAの手の届かない中国で生産されてる」ので、中国側に情報が筒抜けになる可能性も現実的に大きいそうです。むむむ... 確かに...

  アップルもTSを使っていた時期があるそうですが2009年に停止。リノックスは始めからこのようなスタンダードを使用しない選択をして今日に至ってるそうです。またリノックスには非利益団体なのでNSAが自分たちのやり方を強要できないのが上記会社等とにはない長所。

なおマイクロソフトによると、各コンピュータハードウェアメーカーは、上記のような機能(もしくはチップ)を不活性化するという選択ができるので、コンピュータを購入する人はしっかり事前にチェックしてみた方が安心でしょう。

追記 2013年9月22日: 9月18日付けでインターネット出版された記事によると、リノックス開発者、リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)がニューオリンズで開かれてたリナックス会議で、「NSAからオペレーション・システムに『裏口(を作ってNSAと直結させるという意味)=バックドア』を作るよう要請があったか」という質問に対し、言葉では「いいえ(No)」と否定しながら、頭を縦に振るボディ・ランゲージでyesを表明。なおエドワード・スノーデン氏はリノックスにも裏口があると書いたツィートを2013年9月21日午後8時56分付けで流してます。

2013年8月26日月曜日

ビックサイトで鉄道模型コンベンション

高校時代のクラスメートから東京ビックサイトでの助っ人頼まれ、鉄道模型コンベンションに一日参上。

そのちょっと前テレビのニュースを見てたら、どこかの路線を走っていた車両が最後のお目見え、そのイベントに鉄道ファンが押しかけて云々という報道に、このクラスメートが首からカメラをぶらさげて、にやにや笑い顔で全身写っているではないですか。本格的鉄道ファンだったんだなー。

ゆりかもめの「国際展示場正面」駅で下車、ビッグサイトのシンボルみたいな赤い立体マークがカリフォルニアチックで気に入りました。

コンベンション会場に一般人の入場が始まると、思ってたよりか賑やかで盛大。

写真:写真を背景に走る電車

大小さまざまな電車の模型が、模型の山や川や町中や写真の風景を背景にして、ところ狭しとばかりウィーン、ウィーンとうなり音を立てながら走り回ってるのはけっこう圧巻。会場のあっちこっちで上がったり下がったりしながらぐるぐる回ってる。こういう真に迫ったミニチュアの世界に夢中になる人たちの気持ちがなんとなく分かり始めます。

写真:よーく作ってある箱庭を走る鉄道模型。

コンベンションを訪れる鉄道模型ファンは、Tシャツに袖付きシャツをはおる、ちょっとお腹のでかかった30代から40代の男性が主流。女性は少ないんですけど、それでも最近は増えてきたそうな。話した感じではエンジニア女子のような人が多かったです。子ずれのおとうさんのような親子ファンもけっこういて、(女性でなくて)子供達がコンベンションに(元気な)花を添えてました。中国人やドイツ人も来てました。



「三番ホームに電車が来ます。... 2番ホームに列車が通過します。... 危険ですので白線の内側に下がってお待ちください」等の女性の声のアナウンスには聞き飽きててうんざりという感じが一般人にはするじゃないですか。しかし鉄道ファンには究極の愛の対象なのか、模型列車が模型駅を通過するたびに甘い声のアナウンスを(頻繁に)流してるブースがありました。何度見ても心騒ぐ模型電車、何度聞いても愛しいアナウンス、ああ、心揺さぶる声だけの存在、そんな松本零士的親密な感情を誰にも遠慮せずに表現できるオタク的ファンの安心感を感じました。

写真:鉄道模型より箱庭的風景すごい。河合隼雄氏がみたらすごーく喜ぶに違いない。



上の写真は私が一番気に入ったブースの展示物の一つ。下のハンドルをまわすと半球の部分がぐるぐる回り、半球底の新幹線の風景が360度かわるしくみ。りんごやさんまや貝などの各地の名産が見られる。

作者曰く「私は実は鉄道ファンじゃないんですよ。でもこういうの作るのが大好きで出品してるんですよ。」



同じ人の作品。背景の青がきれい。「うにを入れて『あまちゃん』にしてNHKに連絡したらきっと官九郎さんが気に入ってくれますよ。」これ、本気発言です。

8月26日追記:もしかしてこの人たち(ご夫婦のようでした)、「あまちゃん」の中の商工会議所にある模型を作ってる人たちなんじゃないかと思い始めました。

2013年8月9日金曜日

アンディ・ウォーホールの誕生日記念のウェブコム

8月6日はアンディ・ウォーホール(Andy Warhol)のお誕生日。それを記念してペンシルバニア州のピッツバークにあるアンディのお墓が24時間ウェブコムで実況中継されてます。

それで見ると、アンディのお墓ってすごくジンプル。アメリカのお墓の形式で一番一般的なもので、名前の下に生年月日とこの世を去った日が彫られているだけ、書体も墓石用としては一番一般的なもの。キャンペルスープのコピーで有名になったアンディですから、最後までその線で貫いたんですね。



本人はまっさらな墓石にして欲しかったらしいですが、「figmentでもいいかな」のようなことを言ったそうです。この言葉、「虚構」とか「作り事」から「創造、発明」とか「想像力、発明力」まで意味しますけど、どれ、もしくはどのあたりをアンディが意図したのかわからないので訳さないでおきます。

見てると昼夜かかわらず人が来ていて、お参り人同士が話してるのが見えます。「やっぱりアメリカ」シリーズに入れたいんですけど、そうするとタイトルが長くなりすぎるのでやめときました。

アンディ・ウォーホール美術館が主催のこのイベントは「フィグメント・プロジェクト(Figment Project)」と名づけられてます。

2013年8月5日月曜日

仕事の探し方の違い: アメリカと日本

日本に帰ってきてやっと最近、日本とアメリカ(と言ってもカリフォルニアですが)の仕事構造の違いが少しずつわかってきました。

仕事探し: 私の住んでたカリフォルニアの話ですけど、サンフランシスコのような都市には職業斡旋業屋さん(Employment Agency)がいるので、それを使って仕事探しをしましたが、2005年以降は職探しも応募も全部インターネット。そのため職業斡旋業もインターネットに出てきてます。斡旋業を通して就職すると、雇い主が年俸の三分の一くらいの斡旋費を業者に払います。これが一般的だけど、個人が斡旋業者に払うシステムもあるので、最初にチェックしといたほうがいいです。

シリコンバレーの会社は自社のホームページで直接募集。まずお目当ての会社のホームページに行きます。するとメニューに「Career(職業)」とか「Hiring(雇用)」っていう項目があるのでクリックすると「職業」のトップページへ到着、そこから「キーワード」や「職種」や「場所」とか、もしくは「何も指定しない(All jobs)」で仕事検索します。そこで自分のアカウントを作り、レジュメ(職歴書)をポースト(提出)しておくこともできます。

「この仕事やりたい!」とか「これならできる!」っていうのがあったら、まず職歴書(レジュメ)を作成。学生だったら専門に勉強・研究したこととか、アルバイトやボランティアの経験を書きます。仕事をしてる人はもち、今までの職歴。

「カバーレター」は日本で「添え状」とよんでるやつですけど、非常に重要。私は通常3パラグラフ、仕方ないときは4パラグラフで作りますが、まる一日かかります。カバーレターでは褒められたことがありますが、AとBとCができる私を雇い主側が雇わなくてはならない理由を書くのです。空想ではだめですが、実際できることは最上級の言葉を使って恥ずかしげもなく書く度胸がなくてはなりません。私の経験では、自分が本当にできなければ度胸のあることは書けないので、また例え書いたとしても面接ではわかってしまうので、「こんなにできる!」とどうどうと書いていいのです。特に女性は自分の能力を過小評価する傾向がある(男性は過大評価の傾向がある)からです。とはいっても、ここが私が私の中の日本人に決別して書くところです。英語力が試されてると思うべきです。

アメリカには日本の「履歴書」にあたるものがありません。だから写真を提出する必要はないし、年齢も誕生日も記入しません。誕生日は就職が決まった後、健康保険や生命保険、年金や雇用保険証等作成のために初めて必要になります。

「既婚か未婚か」のようなことも聞かれません。仕事に関係ない個人的なことを聞くのは「雇用の機会均等法」という連邦法と州法の両方の違反になり、会社はかなりシリアスな罰金を払わされるだけでなく、連邦政府や州政府からの補助金(grant)がキャンセルされます。



アメリカでも50年くらい前は年齢や既婚・未婚は聞かれたらしいですが、そういう理由で雇用・不雇用を決めるのは「差別」とされ、連邦政府主導で意識改革に乗り出し、今では仕事をする能力とは無関係というのが定着してます。ですから私もこういうたぐいの事は聞かれた事がなかったので、日本で職歴書の他に「履歴書」が必要な事を聞いたときはびっくり、「写真」が必要と言われたときは、「えーっ、なんでですか」って聞いてしまいました。そしたら本人かどうかをチェックするために必要とのこと。でも写真でわかるのかなー。証明書用写真ボックスでとった写真って、本人とは似ても似つかないって思うんですけど。アメリカではすべての人が「社会保障番号(social security number)」を持っててこれがI.D。でもこの番号も、雇用が決まってから初めて聞かれます。

アメリカと日本のもう一つの大きな違いは、雇い主側はかなり詳細な「職務明細書(Job description)」を用意してること。それに比べると日本のは簡単で短いので、日本の人事担当の方がアメリカより楽してると思います。職務明細書はその仕事に応募するかどうか判断するのに必要だし、カバーレターを書く際、参照にして繰り返し読むので大事です。

アメリカと日本の大きな違いは年齢。年齢はアメリカでもプラスにはなりませんが、雇われると翌日からすぐ仕事ができる即戦力になるので必ずしも不利とはなりません。(会社によってはオリエンテーションが1日から二日あるのでその後ですけど)。2012年までアメリカで働いていた私の場合、年齢が問題になった事は一度もありませんでした。第一、職歴書では年齢はわからないし、この職歴は求人の要求事項にあってると判断されると面接に呼ばれます。そこで「この人、オッケー」となれば仕事をオファーされます。面接中、質問にちゃんと答えられなかったり、なんか危なそーと判断されれば仕事はオファーされませんが、年齢は雇用後までわからないので、年齢より実力の方が物を言います。

日本と違ってアメリカではさまざまな年齢の人がコンパチの仕事をしてたり、同種の仕事をしてたりします。また同じ時期に採用されたからといって年齢が同じなんてことはありません。年代の違いも「異文化」の一つ。ですからいろいろな年齢の人たちと働けるのは、いろいろな文化的背景を持った人たちと働けるのと同様に基本条件です。そこが同年代とばかりつるんでる日本と違います。

日本とアメリカ(もしくはカリフォルニア)の就活の違いは、仕事に対する考え方、個人の能力の評価の仕方、生き方考え方の違いを表象。しかし仕事の仕方もその時々の都合で人間が作った人為的なもの(文化)ですから、変えようと思えばいくらでも、いとも簡単に変えられるもの。奥さんがいて食事や洗濯をしてくれるという前提のもとで長時間労働している日本人の仕事の仕方、実情は異なってるのですから変えるべき。今まで長い間変わらなかったのが不思議です。

2013年7月26日金曜日

やっぱりアメリカ、スマホの位置を明かさないアクセサリーが登場!

米盗聴事件でスマホが昼であろうが夜であろうが位置情報を発信してることが広く知られるようになりましたが、やっぱりアメリカ、その位置情報を盗聴させない新製品、「オフポケット(Off Pocket)」が7月中に発売開始になる見込み。



スマホをオフポケットに入れておくと、位置情報が袋の外部に漏れないだけでなく、外から入ってくる無線信号も遮断。

スマホはアンテナから携帯電話の基地局やGPSシステムに常時2.4ギガハルツの無線を発信してるんですけど、合金製布袋がこの波長の無線をブロックするしかけ。「ファラデーケージ(Farady box)」という有名な原理を利用してるそうです。

スマホの電源を切れば位置情報を発信しなくなるんですけど、一度切ると立ち上げるのに結構時間がかかるので、ほとんどの人は電源を切りません。そのため、位置情報は一日中発信されてるわけです。

デザイナーのジョアンナ・ブルームフィールド(Johanna Bloomfield)さんとアダム・ハービー(Adam Harvey)の製作。この袋そのものは実用的って感じですけど、アダム・ハービーさんのやってるいろいろなプロジェクトをまとめたサイトはなかなかアーツィー。

オリジナルの記事はこちら

2013年7月12日金曜日

人気急上昇の「ダックダックゴー」: NSAがデータ要請しない理由

「DuckDuckGo (いけいけ、あひる)」っていう検索エンジンの名前を聞いたのは、無料オンライン講座の「ユーダーシティ」で、「検索エンジンの作り方」というクラスをとってた時

「コンピュータのクラスをとった事もないあなたにも作れます」っていうキャッチフレーズをみて、本当?やってみるかと始めたんですが、三回目ぐらいのオンライン講義で「初めての人にもこんな検索エンジンが作れる」と紹介されたのがDuckDuckGo



DuckDuckGoの作者のガブリエル・ウェインバーグ(Gabriel Weinberg)さんも紹介されて、「ぼくも初めてサーチエンジン作ったんです。」検索速度がズ抜いて速いとグーグルが紹介するほど(っていうのはユーダーシティはグーグルが人的にぴっしり後についてるから)。

私もダックダックゴーへ行って使ってみましたが、グーグルがメニューバーのトップに位置してるんで、いつのまにかグーグルへ戻ってしまいました。

ところがスノーデン氏の米国NSA盗聴事件告発があり、PRISMの存在が明らかになった6月6日以来、グーンと使用者が急増。理由はグーグル等の他の検索エンジンと違い、ダックダックゴーでは過去の検索記録を保存しないため。



ダックダックゴーを立ち上げたときから、クッキーの不使用、ユーザーのIPアドレスの無保存を選択。さらに暗号化接続をディフォールトにしました。このためNSAからデータを要求されても、提出するものがありません。

ウェインバーグさんの選択は政治的なもんじゃなかったそうです。ただ「検索エンジンの検索記録は、検索した人がどんな人なのかをあまりにも如実に示してしまう、あまりの個人的データ」というのが気になったのが最初、そのうち政府機関がデータを要求してくる日がいずれは来る、増加すると推測、確信するようになったそうです。実際、NSA盗聴事件が告発されたとき、ぜんぜん驚かなかったそうです。

グーグルでは検索に宣伝を載せることで収益を得ていますが、それ以外(以前は)収入ゼロ。その収入を上げるために考案されたのがユーザー記録の蓄積。ですから政府からの要請があったとき、政府が大口客なのでその要請をはねのけられないそうです。

元になったオリジナルのガーディアン紙の記事はここ

7/16日追記: ダックダックゴーがグーグルより速い理由は、次のような問題を「解決」したため。アルゴリズム分野のエキスパートが、グーグルのアルゴリズムにいろいろ手を加えて検索結果にどうでもよいようなサイトをリストアップするように仕組んだため。こういう問題を迂回するため、ダックダックゴーの検索エンジンがクロールする場所を変えたそうです。最近ツールバーに入れて使ってますが、検索結果がいいんでベリーグー。

検索エンジンについてユーダーシティで学びましたが、どのサイトを検索するかが検索スピードの決め手(もしくは決め手の一つ)になるとは知りませんでした。ダックダックゴーの場合はyelpやWikipediaをクロールさせるようですが、上記引用のガーディアンの記事によると、検索するサイトにお金を払ってるようです。これも知りませんでした。Wikipediaが多少でも収入源があるのはよかった。

2013年7月4日木曜日

スノーデン氏告発の意外な展開 2:NSAが盗聴で集めている秘密データとは? ー 重要!

スノーデンさん告発の予想外の発展で書いたように、現在、フロリダ州で殺人罪で訴えられている被告はアリバイを立証するため、NSAが秘密裏に保持している「被告に起する2つの番号からかけられた電話に関係するメタデータ」を法に基づいて提出するよう、連邦検察に要求しました。

この意味、ぜんぜんわかんなかったんですけど、これを解明してくれてるブログ記事があったんです。電子コミュニケーション盗聴で「NSAがどんなデータを収集してるのか、皆、知っておいたほうがいい」と言うマーシー・ウィーラー(Marcy Wheeler)さんのインタビュー記事で、アメリカでは有名なブロガーの一人だそうです。

マーシーによると、NSAとその他の政府機関(多分CIAのことだと思うんですけど)は二つのプラットフォームを使って三つのデータを収集してるそうです。

一つ目は「シグナル」。電子メールを送信するとき、メールは小さな「パケット(packet)』という単位に分解され、光ファイバー等を通って相手先に着きます。パケットに分解されるときに付加されたデータを基にして元の順番に組み立てられ、皆さんのコンピュータや携帯で見られるようになります。ただし、NSAが収集してるのはパケットなので、コンピュータにしか理解できない純粋なシグナル。

二つ目は「メタデータ」。電話の世界のメタデータは、相手先の電話番号、電話をかけている場所、電話をかけてる時間の長さ等で、アメリカでは電話会社から毎月、電話契約者に明細書が送られてきますが、その明細に載っているすべての情報プラス電話会社が電話を送る道順情報を加えたのがメタデータ。日本では毎月電話会社の送ってくるのは合計金額だけみたいですね。アメリカのは「メタデータ」が印刷されているので、誰に何時電話したかわかるようになってます。

インターネットのメタデータは電話のとはちょっと違ってます。皆さん既にご存知のように、各コンピュータにはIPアドレスというのがありますが、それが電話で言えば電話番号のようなもの。だからメールを送信した相手のIPアドレスと、メールはどのような道順を通って相手先に届いたかがメタデータに含まれます。

三つ目は「コンテント」もしくは「内容」。皆が送信・受信してる電子メールや、チャットルームでチャットしてる中身。このブログで言えば、ここに書かれてる内容。

アメリカ政府が、例えばアメリカで密かに開かれた秘密会議に出席したXX国のyy代表は、いつ、どこで、誰と、何分話したかを知りたければ、メタデータを見れるわけです。そして内容に興味を持った場合、データマイニングでコンテントを見る事ができます。だから私は米のこの盗聴事件、米国内だけではすまなくなると思います。

アメリカは世界レベルですべてのデジタル・コミュニケーション・データを秘密収集してるわけです。これってすごいじゃないですか。

例えば日本ですごいテクノロジー開発間近だとします。アメリカとしては今までの開発費を考えれば,日本で先にパテントを取られたら困るとします。そういう場合、PRISMシステムを使って特別にこの技術関係者や、関係者の自宅や、関係施設のコンピュータをマークし、日本の科学者がやろうとしてることをアメリカの科学者に監視させ、一足先にパテント出願するということが可能です。

PRISMは世界でどんな研究がされてるか情報収集ができますし、これはと思った技術だったら、どんな発想でテクノロジーを開発しようとしてるのか釣ってくることもできます。全部釣る必要はありません。専門家に見せれば、何をどうしようとしてるのか推察できますから。これって起こる可能性あるし、すでに起こってるのかもしれません。

もしスノーデン氏が告発をしなかったら、こういう可能性があるのを理解するのが遅れたに間違いありません。こう考えてくると、なぜアメリカ政府が必スノーデン氏を国際的に孤立化させ、ひどい「おしおき」をしようとしてるかわかります。米政府側からしてみれば、あともうちょっとですごいスパイ網を確立できたはずの矢先に、計画がぶちこわされたからです。

日本の新聞やテレビ(政府機関ではすでに問題視されてると思いますが)はまだ問題にしてないようですが、PRISMの持ってる意味は深刻、各専門分野できびしくチェックされるべきです。こう考える国々がそのうち出てくると思われます。そしてスノーデン氏に亡命先を提供するのもそんな遠い事ではないかも。

2013年7月1日月曜日

やっぱりアメリカ、スノーデンさん告発事件の予想外な発展

スノーデン氏のNSA電子コミュニケーション盗聴告発事件はフロリダ州で意外な展開に。

2010年の警備自動車運転手殺害事件の容疑者として告訴されてるテランス・ブラウン氏(Terrance Brown)は無実を主張。事件のとき現場にいなかった事を立証するため、携帯電話会社メトロPCS社に自分の携帯電話記録を提供するよう要求。ところが電話会社はすでに電話記録を消去してしまったので提出不能と回答。そんなときに起こったのがスノーデン氏のNSA告発事件。

ガーディアン紙でNSAが数千万という電話記録を所持してるという記事を見たブラウン氏の弁護士のマーシャル・ルイス氏、良い考えが浮かびました。携帯電話会社メトロPCS社が電話の記録を提出できないなら、NSAに記録を提出してもらえばいいじゃないか!

  こうしてロビン・ローゼンバーン(Robin Rosenbaum)地方裁判所判事は、「2013年6月5日のガーディアン紙の報道から、2010年7月に被告に起する2つの番号からかけられた電話に関係するメタデータを政府が事実上所有していると被告は主張している」ので、6月10日までに回答するよう連邦政府に要請。アメリカ証拠法により、容疑者の無罪を証明するのに役立つ記録を持ってる場合、検察側はそれを提出する義務があるからです。

6月10日連邦検察は、ブラウン氏が請求している「携帯サイト位置情報(cell site location information, CSLI)」を所持してないので、要求には応じられないという動議を裁判所に提出。

さらに連邦検察は極秘情報処置法(Classified Information Procedures Act)に基づいて「連邦政府がどのデータを所持してるか、してないかについては、判事に非公開という条件で説明できること(判事以外には秘密という事)、さらに同法に基づいて:1)電話の記録が極秘情報であること、2)政府がそのような情報を持ってるか、持ってないかという情報も同様に極秘情報と主張し、今回の要請に応じないのは合法的としました。

しかし専門家によると、今回はこのような「結末」を迎えたけど、メタデータに限らず、誰も持ってない電話記録を政府が持っているということがわかってしまったので、これから弁護士からの証拠請求が増加するのは必然。今後は刑事だけに留まらず、民事ケース、例えば離婚争いなどにも拡大してゆくにちがいないということです。

個人情報を所有してるがゆえの展開だそうです。

スノードン氏のケースがこういう風に発展してゆくなんて、やっぱりアメリカ。

なお、この情報の出所はこちら

2013年6月29日土曜日

「八重の桜」と明治維新

本当に久しぶりに、お上りさん、NHKの大河ドラマ「八重の桜」を始めからだいたい見てます。

どうして東北地方の入り口にのどかに構えていた会津藩が、明治政府を敵とした戊辰戦争(ぼしんせんそう)に突入していったかという話で、アメリカにいたので明治の歴史に触れる事がなかった東京生まれの私にはまったく忘れられたエピソード、しかも成り行きもかなり複雑。一回見ただけではよくわかんないときがあります。この戦争が「戊辰戦争」と呼ばれるに至った理由は、まだ説明されてません。

一方、このドラマのおかげで、前から不思議に思ってた事が、多少ぼーっと見えてきた感じ。

「八重の桜」によると、会津藩はその縁故の近さから徳川幕府に利用されて京都守護職のような利益少ない役を負わされ、大政奉還の際には、徳川家存続と明治政府の威信を示すために、数千という犠牲者を出すわけです。ショック度で言えば、経済的見地から見ても文化的見地から見ても、今回の「東北大地震」級の出来事だったんじゃないかと思います。



東北は殺風景で暗く、話らしい話もないというのが小学校ぐらいからの印象でした。高校生になると、荘厳できらびやかで洗練された文化を感じさせる中尊寺とかお城とか山形の伝統工芸とかが視野に入りだし、取り柄もないはずの東北に光る場所が点々とあるのって変なのって、思ってきました。

それとは別に、今の政府でも、昔の長州に地理的にも血縁的にも関係のある人が多いのには、ずっと前から気づかざるを得ません。饒舌な元長州地域と、沈黙の東北、なんかわけありのような感じでした。

「八重の桜」の視点から見ると、華々しい明治維新の最大の汚点が会津、そしてそれと連帯した東北諸藩。明治以降、政府は避ければ避ける事もできたし、犠牲を少なくすることもできたこの汚点を、以来無視することで葬むり去りました。人脈的にも政府の中には東北諸藩の出身者が含まれる事もなく、切れてしまい、歴史に素通りされてしまったわけです。だから私のような東北観はそういう当初の方針、後には忘れられてしまった結果を反映して「つくられた」印象だったわけです。

会津の多大な犠牲を考えると、なぜ明治の英雄、そして今でも愛されてる西郷隆盛(おじいちゃんも西郷のファンでした。九州に住んでいたとき、二軒下に西郷さんの弟さん家族が住んでいて、子供達は一緒に遊んだりしてたらしいです)が、なぜ九州の山奥で追いつめられ、死ぬ道を選んだのか、納得がいくような気がしてきました。会津の不条理の責任者の一人として、自分だけ助かるわけにはいかなかったんだなー、明治政府の代わりに自分の命であがなおうとしたんじゃないかと思えてきました。しかしもし生きていて政治にかかわったなら、元奥州からの人材不足を正す方向で動いていたかもしれません。

私が子供の頃は、板垣退助が明治維新を代表する人でしたが、会津攻めの参謀だったからなんじゃないでしょうか。今は昔ほど知名度があるような感じはしません。どちらかというと岩倉具視とか勝海舟とか山県有明などが取ってかわってきたような感じがします。こんどは、このあたりの人たちのドラマをNHKがやって整理してくれるといいんですけど。

「八重の桜」は大地震で大被害を受けた東北を応援するために企画されてたもの。もしあれだけの被害を起こさなかったら、このドラマは企画されることはなかったのかもしれません。そして明治維新のさいに大きな犠牲者を出した東北、そしてそれゆえに忘れさられた東北、忘れられることがキャラクターそのものだった東北が、「どうしてそうなったのか」知られる機会がなかったんじゃないかと思うと、複雑な気持ちです。

PS:「八重の桜」の八重をやってる綾瀬はるかさんという人、おおらかな人で好きです。会津君主や山川大蔵を演じてる人を含めて、多くの人が演技が上手なんで関心してます。

2013年6月23日日曜日

チャードが根こそぎむしられちゃって、ああ、がっかり!

チャード(chard)はスイスの野菜。赤と白のしんのものが一般的で、サンフランシスコ湾岸地域のスーパーには必ず置いてあります。このブログの上のタイトル写真の真ん中右下の赤い筋の見えてるのが赤いチャードで、写真写りのよい、美しい野菜。最近は黄色いしんのも出回ってます。(下の写真のリンクはこちら



オークランドに住んでたある夏の日、イタリア料理の本に、チャードと熟れたトマトを使ったスパゲッティが出てました。ハウスメートがさまざまなトマト(赤と黄色のペアトマト、アーリーガール(湾岸地域にぴったり)やビーフイーターとかという種類のトマトと黄色と赤の縞が大理石のようなマーブルトマト等)を育てていて、私は自家製トマトをもいですぐ食べる超美味しさと香りの良さを知り、取り付かれたわけなんですが、チャードが片隅にまるで孤児のように生えてるのをふと思い出しました。トマトがあまりにおいしく、雑草のような茎白チャードは忘れられていたのです。

チャードは二株、白菜のようにぶっとくなって、まるでそこだけジャングルのよう。毎年、誰にも気に留められる事もなく芽を出し、雑草のように巨大株に成長し、冬には枯れてたんです。

さっそく大きな葉っぱを5〜6枚とってきて、にんにくと黒こしょうをたっぷり使っていため、スパゲッティにトッピング。チャードをかけずに残した中心部には熟れたトマトの5ミリ角ぎりをトッピングし、その上からパルメジョンチーズをたっぷりかけて食べてから、私はこの色彩的にも美しい、「チャードとトマトのスパゲッティ」にはまりました。以来毎年、トマトの完熟期に食べるのを楽しみにしてたんです。

アメリカを離れるとき、チャードの種は必需品のリスト内、購入後日本へ郵送。ところが家の人が勘違いして私の帰国以前に全部まいてしまい、冬にほとんど枯れてしまいました。

今年3月頃、寒さに残ったチャードを数本発見、さっそく植え替えし、大きくなったところで先週、葉っぱを試験的にいためて食べてみました。やっぱり摘んだ直後のチャードは透明な味がして美味しい!

そこでトマトを買ってきて「お昼のスパゲッティにしよう」とチャードのところにいってみると、なんと驚きなことに2株ともきれいに引っこ抜かれてて跡形もなし! ゴミ箱を除いてみましたが、そこにもない!

「あの雑草みたいなのは何?」と、あまりいい印象を持っていない口調で母から数度、聞かれた事があるので、母のところへ行き、「お母さん、あの野菜、引っこ抜いちゃったの?」



母:「そんなことないわよ。どれどれ... あら、あんな大きいのがすっかりなくなってる! 私は知らないわよ。」

先日、水道屋さんが仕事の仕上げに来ていて、そのあたりで仕事をしてました。便利屋さんに頼んだら一万余はとられる仕事で、今回の水道の仕事とは関係ない修理の仕事をついでにやってくれたりという、気持ちの大きい、気の利いた水道屋さんだったので、多分、「こんなところにでっかい雑草があぐらをかいて生えてるわ、仕事ついてに引っこ抜いておいてあげよう」と、気を利かして引っこ抜いたにちがいないー。

がっかり。アメリカの友達が来るとき種を持ってきてもらうしかないね。

2013年6月16日日曜日

米の電子コミュニケーション盗聴事件、これ世界レベルの大事件!?

アメリカで蜂の子をつついたような騒ぎになってるオバマ政権のトップシークレット、電子コミュニケーション盗聴事件。皆さんご存知のように、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)という人が告発。



彼はアメリカ政府から逮捕されないようハワイ(旧居)を5月20日に離れ香港へ。その後、市内に住居を構えたもようです。香港を選んだ理由は、今のところ、アメリカから引き渡し要求されても実行しにくい法的条件があること、香港だとアメリカ政府との裁判闘争が可能なこと、だから、香港にきたのは逃げるためじゃなくて戦うために来たそうです。

スノーデン氏は香港で記者会見し、米NSA(国家安全保障局)が香港の中国大学(Chinese University)のサーバーをハッキングしている事実を示し、香港が彼を守る理由をさらに強固にしたようです。以上情報出所はこちら

まあ、ここまでは騒ぎとしては普通程度かななんて思ったんですけど、これ、アメリカだけの問題にとどまらなくなるんじゃないかと思いだしました。規模がすごいからです。

電子コミュニケーションスパイ事件が明らかになった翌日(6/6/13)、英国新聞社のガーディアン(Gardian)と米国新聞社のワシントンポースト(Washington Post)は、スノーデン氏から渡された41ページにわたるプリゼンテーションのうち、最初2枚、その後5枚の計7枚を公表。(下のスナップショットがそのうちの一枚のトップページで、「プリズム(PRISM)の概要」と、電子情報盗聴を実行するプログラムの名前が書いてあります。)



スノーデン氏は全ページ公表を要求したのだそうですが、ガーディアンとワシントンポーストは、機密の重要性を考慮、後は公表しないことに決定。下のページは始めは公表しなかったのですが、記事の信ぴょう性を問われたため、追加公表したそうです。



NSAが電子メールのコピーを要請したのは全米第一の携帯電話会社,ベリゾンと報道されました。ところがその後に追加発表されたプリゼンで(上のスナップショット参照、プリズムの情報収集法を図解したもので、英語の読める人は下半分の英文をみてください。)、グーグル、フェイスブック、ツィッター、ヤフー、ユーチューブ、ホットメール、アメリカオンライン(AOL)、アップル、スカイプと、ほとんど全てのメールとSNS会社に要請したのが判明しました。

情報は各会社のサーバーから吸い上げ、NSAのサーバーへ流す直接収集。さらに要請期間は、各社が保存しているすべてのコピーであるのが判明しました。現代はビックデータ時代、つまりフェースブックやツィッター等、会社は皆データ蓄積にこそ価値があるのがわかってるので、事業開始以来、すべての情報をストーレッジ(蓄積)に保存、つまりNSAは、このすべてを入手している可能性が非常に高いのです。

ここでハッとすると思いますが、そのとおり、上記メールやSNSは、世界中の人たちに使われてます。かくいう私も、グーグルメールと他のSNSサイトを使用、このブログだってグーグル所有のサイト。つまり私がここで書いてる内容は、全てNSAに所有されてる可能性大と考えたほうがよさそうです。

次に上の部分を見てください。この部分を最初に指摘したのは、アメリカで一番著名な市民の権利保護団体、ACLUの技術関係者、クリス・ソギョイアン氏(Chris Soghoian)で、「光ケーブルとインフラを通過するコミュニケーションを収集する場所」として「フェアビュー(Fairview, サウスアフリカ)と、この情報のオリジナル、イギリスのWired(オンライン版)によると「東アフリカとインディアナ海」で、地理的に、NSAが情報収集している場所とあらかた符号するそうです。インディアナ海は電話線の地下ケーブルの位置です。

さらにこのブログを書いたアメリカではちょっと有名な人によると、スマホにはGPSアプリが入ってるので、自分の地理的位置が追跡可能になり、気持ち悪いので外出用にGPSの入ってない携帯を購入、さらにiPADを持ってる人はどう対処するの?と問いかけてます。iPAD2以降は音もイメージも入るので、電話している人のまわりにいる人までわかってしまうからです。

上記で述べた情報源、Wired.co.ukでは、それだけの指摘に留まってますが、私が思うに、上記地点を通過した情報を盗聴するということは、ここを通過する全ての情報、つまり世界中の情報を盗聴しているということじゃないですか。皆さんもご存知のように、メールもブログもインターネット上のすべての情報は、パケットという極小単位に分割されてから送信されます。東京から送っても、アメリカ経由とか、カナダ経由で、東京の友達のところへたどりつくということもあり、パケットに付加された情報から、元の順番に戻して表示されます。つまり、アメリカは、世界中の電子情報を盗聴しているということになるんじゃないですか。

もしスマホで送信した情報にリンクがついてたりすると、それを辿って、さまざまな情報源へ行き着けます。例えばどっかの政府の重要人物でなくとも、ちょっと大事な地位にいる人のまわりにわさわさといる人が「xxさんが明日からyyへ行ったよ」と通信するだけで、xxさんの地理的位置を同定でき、そこでzzさんと接触した可能性がある等、かなりあるとあらゆる事がみんなわかってしますからです。これって立派なスパイ活動。この問題、これから騒然を大きくなるか、握りつぶされるかどちらか。

アメリカ市民、世界中の人の人権とプライバシーを守るためにがんばれ!

2013年6月10日月曜日

檜の舞台と松の緑と晴れの空間

初めて「謡(うたい)」ジャンルを「どうかな...」って思いながら行ったんですけど。

渋谷でおりて「109」っていうビルの出口で地上へ浮上、そしたら「くじら屋」がありました。なつかしい! ゆるい坂あがってゆくと古いコンクリート3階立てのようなビル横に「観世能楽堂」の看板。「こりゃ、しまった」という感と、ちゃんと行き先についたホット感が交差したのでした。



シアター部分の扉をあけると... 昔の屋内の一部のような舞台と舞台の左に続く廊下が照明できらきらと浮かび上がります。全体で「L字型」の舞台、客席がゆったりとその周りに配置されて舞台を取り囲んでます。

前にせり出した柔らかくつやつやと光る檜の舞台。「『晴れ』の舞台」とか「『晴れ』の日」と使う「晴れ」の言葉の意味がわかるよう。正面舞台のバックの松の絵の青みがかった緑の色の美しさ、左側面の太竹の若い緑の美しさ。(下は観世能楽堂のサイトからのスナップショット)


舞台は突然始まります。

舞台の右端角から身をちょっとかがめて舞台左に4人、右に5人プラス一人が登場。どんなものかも知らない「舞囃子(まいばやし)」が始まります。左の4人が太鼓(たいこ)と大鼓(おおづつみ)と小鼓(こづつみ)と笛の担当というのがわかります。左側に、プログラムで「地謡」と書かれてる男性5人が、舞いと謡を行う和服の女性を頂点にして三角形に座ります。

「地謡」の人たちのよく通る声が最初の驚き。その声を切るように響き渡る大鼓と小鼓の音。合間に「オー」とか「エー」という体のどこからでてるの?と思わずにいられない、大きくて意外性のあるかけ声が入るんですけど、その組み合わせがきりりとしてリズム感があって素晴らしい。笛の音は笛の音で独自の物語を語るよう。

私の友達が舞いながら「右近」という謡もやったんですけど、あのか細い声の人にどうしてあんな大きな声が出るの?とこれもびっくり。すごい発声法。



「景清」とか「鸚鵡小町」とかまったくわけのわからないものの中に「井筒」とか「羽衣」とか、昔なんか聞いた事あるようなのとか、踊りのきりとして美しいのもありました。

舞いが好きだった織田信長とか、名も知れぬ武士たちのことが心をよぎります。

舞台は突然終わります。そして次の舞台が始まります。

「謡曲」をやる人たちがなんでそういう世界に惹かれるか納得。あのきらきらとしたピュアな晴れの空間、かけ声を重ね合う面白さ、空を切る楽器の音、どこからとも知れぬ深さからわき上がる声、真っ白な足袋がすべる檜の床、舞台左側廊下沿いの松と白い石、そして演じる人と見る人の距離の近さ。

今度来るときは、お話の筋を少し勉強してきます。

P.S.: 観世能楽堂の敷地内すぐ横にお稲荷さんがあるんです。一体どういう関係なのかわかんないんですけど。



英語版のリンクはこちら

2013年6月2日日曜日

2013年、マリンスキーのオクサナとダイアナ

マリンスキー・バレエの第一ソロリストのオクサナ・スコーリク(Oksana Skoryk)の事を以前書きましたが、彼女が出てるドキュメンタリーを見つけました。「バレーと汗と涙(Ballet, Sweat and Tears)という25分くらいのビデオで、オクサナの他にダイアナ・ビシェネバ(Diana Vishneva)とマリンスキーバレエを目指してる子供達が登場。

ビデオが始まって4分25秒経つと、「くるみ割り人形」の「コンペイ糖の精の踊り」を練習してるオクサナ、そしてその直後、「ドン・キホーテ」の夢の中に出てくる妖精の踊りを踊ってるオクサナが出てきます。

オクサナ:「パートを本番で踊ったりリハーサルをした後はくたくた。私が死にそうにくたびれてるってことは皆知ってるの。羨ましいなんて思われてないわよ...。コールドバレエの一員から出ると寂しいこともあるわ。今まで友達だった人たちが離れてってしまうことがあるの。」

オクサナのボーイフレンドの第一ソロリスト、ティモール・アスケロブ(Timur Askerov):「オクサナは自分が突然ゴシップの的になってるのに気づいたんだ。今までコールドバレエの一員だったのがソロのパートを踊りだしたからだよ。オクサナが羨ましくてしょうがない人たちがゴシップをたててるんだ。これはしかたがないことなんだよ。男の方でも同じだけど、誤解が解ければそれで終り。もっとシンプルだ。」

30分経過すると「カルメン・スーツ」を踊るダイアナ・ビシェネバが出てきます。

ダイアナ:「ここ(マリンスキー劇場)で踊るのが一番疲れるの。どうしてかしら。歴史や伝統の重みとか観客の目の厳しさかしら。

第二部でオクサナが寮生活等を語ります。

オクサナ:バレエ学校入学しようとパーム(Perm)に来たの。80人の受験者のうち3人が入学できたんだけど、学校を卒業したのは私だけ。

ダイアナのリハーサル・シーンの後、オクサナが再び登場。

オクサナ:「足を痛めてても役を頼まれると我慢して引き受ける。断ると2度と役をくれなくなるから。...一度健を切ったとき『白鳥の湖』の役を断ったんだけど、すぐ気持ちを変えた。『できる、できる、大丈夫よ!』って言ったの。」

「ドンキホーテ」から

ティモール:オクサナは突然、ステップに何の共通点も無い7つのダンスの準備を短期間にするよう言われ、毎日4〜5時間リハーサルをやった。ある日目が覚めるとひざが膨れ上がってる。

オクサナ:痛み止めを飲んで踊ったわよ。...でも私はラッキー。マリンスキーには才能あるダンサーが一杯いる。でもトレーニングの途中でやめてしまったり、チャンスを与えられずに終わってしまったり...」

ロシア語に英語の吹き替えと字幕つきのビデオ。バレーダンサーの道は厳しい。バレエが好きなだけでなく自分の才能を信じなければやってけない世界。

2013年5月21日火曜日

「ジョージはどこだ?」- 1ドル札の動きを追跡できるコラボ・サイト登場

しばらくすると夏休み。海外旅行でアメリカに行くチャンスが増えるときに、面白いサイトが登場。

「"Where is George?" ジョージはどこ?」がサイトの名前。「ジョージ」とは「ジョージ・ワシントン」のこと。「グリーンバック」と呼ばれる米1ドル札の顔だ。



ジョージはどこだ?」のサイトに登録し、自分の持ってる1ドル札の番号を、右側の入力欄に入力。そのお札を見た人はどこでそのお札を見たかを入力。インターネットがあって初めて可能になったお札のトラベルを追跡可能のするコラボ・サイト。私の財布に入ってるお札、これからどこへ行くんだろうって思った事ありませんか。そんな「ふと」心を実現する。



誰か、「聖徳太子はどこ?」のサイトを作ってみませんか。

2013年5月10日金曜日

ついに出た、「窓」をソーラー充電装置にする「ウィンドウ・ソケット」

始めにお断りしておきます。残念ながら今のところ、ヨーロッパ用のしか開発されてません。

ゲゲゲの鬼太郎の目玉親父みたいなのが「ウィンドウ・ソケット」。



吸盤を太陽光を受ける窓にくっつけると、ただちに発電開始。日の光が当たってる窓ならどんな窓でもオッケー。太陽エネルギーが吸盤につながれているコンバーターで電気に変えられる仕組み。コンバーターの先に、直接、携帯などのデバイスをつなげて充電します。

作ったのはキューホ・ソン(Kyuho Song)とボア・オー(Boa Oh)という2人の韓国人。「電気の無い場所で、無料で発電して電気を使用できるようにするのが目的」だそうです。例えば、飛行機や車の中とか屋外で、必要と思ったときに充電できるのが便利。

発電量は1000ミリ・アンペア・アワーで、今はスマホの充電ができるくらだそうです。でも災害時なんかにあったら便利そう。近い将来にはもっと発電力が増えるんじゃないでしょうか、いやそうして欲しい。

オリジナルの記事はこちら

2013年5月1日水曜日

武蔵五日市の「のらぼう菜」とチャイナタウンの野菜

武蔵五日市の五日市ファーマーズセンターは秋川渓谷の橋を渡ったところにあるんですが、そこで「のらぼう菜」という野菜を発見。「地野菜」という言葉を初めて知りました。

家に帰ってゆでて、かつお節と醤油で食べてみました。やや、この味、サンフランシスコのチャイナタウンでよく買った中国野菜、「芥藍(ガイラン)」にちらっと似てるところがある!


上の写真はサンフランシスコのチャイナタウンで見かけたガイラン。葉は厚みがあり、茹でると美しい深緑色になる。コリコリした茎がほろ苦くて美味しい。

のらぼう菜の写真をリンクしときます。生えてるときはこんな感じ。菜の花科ですね。

チャイナタウンには日本(「東京」の方が正確かも)で見た事もないような野菜がけっこうあるんで面白い。中国人って観葉植物みたいのまで食べちゃうんですね(これ、中国人に調理の仕方聞いてトライしました)。中国野菜はしっかとした野菜の味あり、季節感あり、種類ありで大好き。武蔵五日市の地野菜に出会って、チャイナタウンの野菜は、中国移民が本国からもってきた「地野菜」なのかもしれないと思いはじめました。

みそ汁にしてよく食べたのは「芥菜」。高菜に似てます。ことによると高菜なのかも知れません。ほろ苦く、大好きです。中国人は油でさっとあげて(あざやかな真緑色にして)からいためて食べてるか、甘酢づけ(チャイニーズピクルス)してるんじゃないかと思います。チャイニーズ・レストランでそんなのを見た事あります。

神道の「まさき」みたいなのは垣根の木を食べるようだし冒涜のような気もして、トライするまでの躊躇期間が長かったですが、葉をむしりとって食べてみると意外に美味。短い期間しか店頭にでていません。名前知らず。

チャイナタウンに出てる野菜って、日本のどっかでも入手できるのかもしれません。要するに、日本やアメリカのスーパーマーケットに出てるのは、長持ちする野菜だけで、今までそれだけを野菜と思い込んでいたんだなぁ。

上はサンフランシスコのチャイナタウンで撮った「油菜」。菜の花のことかもしれません。この野菜、大きさで名前がいろいろ変化する。小さいサイズのほうが高め。もしかしたらぜんぜん別の野菜なのかも。真っ青にゆでてトマトと混ぜ、バルサミコ酢をかけて食べるサラダは色も美しく、野菜がうんと食べられます。チャイニーズの地野菜は野菜自体に味があるので、オリーブ油とお酢(またはレモンかバルサミコ)を上から適当に振りかけるだけで十分。塩も必要ありません。

2013年4月17日水曜日

お上りさん、ちょっと勉強: 日本島国鎖国論と「BS」

ちょっと前、「現代日本鎖国論」をちょろっと述べたんですけど、先日、「BS歴史館」っていう番組見てたら、「鎖国」って概念が初めて出てきたのは、ロシアが攻めて来た1806年の「露寇事件」だったそうです。ペリー来日より50年くらい前の事。

日本人が初めて軍艦を見、攻撃を受け、幕府は初めて日本を脅かす「外国」という脅威に目覚め、「鎖国」という言葉を使いだしたそうです。なるほど。「他者」の存在が、「国」としての「日本」を初めて幕府に意識させ、今まで行ってきた「藩」向け国内策に国外策も含ませて「鎖国」と呼ぶようになったようです。

って事は、「国」という意識のもとに「鎖国」を行ったのは260年中、最後の50年だけ。それ以前は、日本人は「国」なんて意識のない人々の集まりだったわけですから「現代日本鎖国論」っていうより、「日本島国鎖国論」のほうがぴったりだなって思いました。

荒海に囲まれてるっていう立地条件のおかげで、江戸末期まで他国から侵略を受けにくく、そのお陰で他者としての他国を意識せずにすみましたが、今はアジアや中東やアフリカ等の経済的発展により、視野に入ってくる「他国」の数が望まなくとも増加。そういうのを意識的に無視する「鎖国的チョイス」を個人レベルでも国レベルでもできるのが現代。というわけで「日本島国鎖国論」のほうがいいと思います。ぴたっとした言葉が出ないと、考えが前に進まないので悪しからず。

ところで「BS歴史館」の「BS」ですが、これ英語で「ブルシット(bull shit)」という、アメリカ俗語のイディオムの略語。

使い方: 誰かの演説を聞いて「What a bull shit!」と言うとすると、「なんてめちゃくちゃなこと言うんだ!」という意味。誰かに何か気に食わない事を言われて「What a bull shit!」と切り返し、その場をすたすたと去るなんてこともあります。「ブルシット」とはっきり言う人もいるし、こんな下品な言葉を口にするのもいやだとか、場所柄避けたい場合(例えば教会の中とか、結婚式のパーティ等)、「What a BS!(ファッタ ビーエス)!」となります。もっと短くなると、ただ「ビーエス!」。下品な言葉なので、よーく知らない場では使わない方がいいです。

最初は「BS」と聞くたびに可笑しくて笑ってましたが、今は「チャンネル名をつける前に調べなかったのかな」なんて思ってます。

サンフランシスコの街路樹としてよくつかわれる木、「ボトルブラッシュ」。ビン洗い用のたわしの「ボトルブラッシュ」によく似てるのでそう呼ばれてます。よく目にするのは花が赤いですが、ゴールデンゲートパーク内の植物園にはピンクのがあります。

2013年4月8日月曜日

「TPP」って何?って思う人と、ネットの自由を守りたい人、これ大事です

日本で話題になってるTPP(トランズパシフィック・パートナーシップ)について、よく知らなかったんですけど、日本でも結構反対があるので、気になってました。日本の生産ベースを守るのも大事だけど、海外諸国とも関係を作ってかないと日本は孤立、多文化時代について行けずに鎖国状態に拍車がかかるんじゃないかと思ってたんです。生産ベース守りながらアジアや中東にも開いて行くってこと、できると思うんですけど。

そしたら偶然、時々見てるサイトでTPPについてやってたので、参考としてリンクしておきます。リアルニュース・ネットワーク(Real News Network)っていう、どちらかというと進歩派系サイト。私もまだよく聞いてないので、今からちょっと聞くんですけど。

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会話がちょっと速いので聞きにくいかも。でも字幕付きなんでがんばってください。後向きの人がリアルニュースネットワークのホストのポール・ジェイ(Paul Jay)

ポールがゲストのマーガレット・フラワー(Margaret Flower)とケビン・ジーズ(Kevin Zeese)を紹介したあと、ケビンがTPPのイントロとして、「過去3年間、16回のネゴ会議があったんですが、内容を秘密にしてるのでどんな風に話しが進行してるのかわかりません。ただ600企業の代表が、オバマ主催の会議に参加してるのはわかってます」というのを聞いて、やっと、「ややっ、あれか!」って思い当たりました。

ネットの自由を大事だと思ってる皆さん、TPPにどこまでインターネット規制が盛り込まれるかどうか、成り行きに注意する必要あり!(5月3日追記:日本ではこのことについての言及ゼロですが、ことによると、今までの交渉のうちで外された可能性もあり)

インターネットでの情報の共有と、携帯さえあれば誰でも参加できるネット型デモクラシーに手を焼いているアメリカが(例えばオキュパイ・ウォールストリート=ネットを使った自然発生的集団の意思表示)、企業の協力を得て、ネットに規制を設けようするのが目的の一つである国際会議があるのは、アメリカで聞いてました(私は去年10月末に帰国)。でもそれがTPPのことだったのは、今の今まで知りませんでした。もち、私はインタネット・フリーダムを熱烈に守る側。英語圏インターネットでの情報アクセスは日本よりか、かなり厖大で、I love it! ツィッター万歳!(最近使ってないけど)

ポールはTPPを「国の権利を縮小し、企業の権利を増大」と特徴づけてます。例えば、リーマンショックの大原因証を作ったウォール街会社の賭け、しかし自分たちは一銭も出さずに、損失は米国民の税金でまかない、史上最高のボーナスで祝う、さらに利益をケイマン・アイランド等のオフショアに送って税務署から隠す、等、今までアメリカで国内で進めてきた企業の権利増大化、これをグローバル化するの反対。

この番組の中で日本の事を述べてる所がちょっこっとあり。そこで表明されてる認識が正しいかどうかはわかりませんが、米市民がそんなことを聞いてるってことを伝えるためです。

ポール:(TPPが中国を村八分するなか)ボクが歓迎するのは日本の態度です。日本にとっては、韓国と中国とネゴができる関係、そのトライアングルのほうが、TPPよりもっと大事なこと」と表明したことです。(裏の声:こんなこと日本側は本当に言ったの?)

製薬会社が薬のパテントを20年間に延長して、安価なジェネリック医薬品がこれ以上、世界に広がるのを阻止しようとしてるというディスカッションで:

ポール:それで困るのは(インドなどの)貧しい国だけではありません。世界保険協会(WHA)によると、世界で三番目に優れた健康保険制度を持ってる豊かな日本でも、もし製薬会社が(特許期間を20年に延長し)そこで得られた時間を使って薬の末梢的改造を続け、特許が決して切れないようにするのを許してしまうと、薬の値段があがり、健康保険制度全体のコストがあがってしまう。日本のお医者さん達は、今の健康保険制度の崩壊を心配してます。(患者一人一人異なった医療保険をもってるアメリカのように)患者さんにまず、あなたの保険は何って聞くのから始めなければならなくなるのも嫌ってます。が、一番は薬の値段の上昇が(国際的に)保険制度を圧迫する事です。

グローバル化の悪い面はアメリカにいたとき感じてました。社会全体の利益を無視して、いわゆる、株主の利益を第一として追求するやりかた、利益は私物化、損害は社会化して「金融金持ちと、貧乏な労働者」という格差を拡大、国内のこんなしょっぱい関係を国境を飛び越して、「リッチな先進国と、貧しい後進国」を構造化して作り上げるのを、過去10数年間以上、見てきたからです。残念ながらこれが今までの米国的グローバル化。(もっとも歴史を振り返ると、その前にあこぎなやり方で利益を追求したのはヨーロッパですけどね。)

福島原発事故で目をさまされた私(たち)、利益をがむしゃらに追い続けるだけの経済発展は見直すべき。少子化だって問題になってるけど、狭い所に多すぎる人口が減るのを「普通」化として歓迎するという選択もあります。神田川の桜を、舗道と川の小さなスペースからでなくて、もっと広々としたスペースからゆっくり楽しんでみたいと、感じ方を変えてみるのも悪くないです。また日本は年齢差別が横行してますが、アメリカのよいとこは、年齢差別は随分前に憲法で禁止にしたこと。今はすっかり定着して、私個人の経験では、アメリカで仕事を探すときに年齢が問題になった事は一度もないし、第一、年齢なんて聞かれません。

ところで、番組の最初のほうの、マルチナショナル企業が、自国、他国にかかわらず、国家を訴えてでも自己の計画利益を確保しようとする方向に動いてる傾向は、聞く価値あり。どの程度正確な情報かはわかりませんが、真実をついてます。中国が伸してきてアメリカの影響力が相対的に縮小するなか、「TOO BIG TO FAIL、大きすぎてつぶせない」アメリカのマルチナショナル大企業=アメリカの利益を守るために、オバマのお墨付きで、ネゴされてる可能性あります。時間があれば要約をつけますけど、それはいつになるやら。

2013年4月16日 追記: 道路上ではデモっていうのがありますが、ネット上で新しい抗議意志表示が自然発生的に起こってます。例えば...

イギリスでは根強いサッチャー強硬路線反対派が今でも健在で、マーガレット・サーッチャーさんが亡くなったあと、「オズの魔法使い」の歌,「鐘をならせ、悪い魔女が死んだ!(Ding Dong! The Witch is Dead!」)の人気が急上昇、iTuneで一位、BBCのトップ5に入ったそうです。この記事では「オンライン・リベンジ」と言ってます。こういう自然発生的大衆行動がさる権力筋には気に食わないんだと思いますが、一票の力しかない庶民にとって、ネット上で意志表示できるコミュニケーション力はテクノロジーが可能にした素晴らしい力、守るに値します。

2013年3月26日火曜日

神田川、桜が満開

「明日の25日だ!」と気象庁が言ったので、お上りさん、数十年ぶりにというか、生まれてはじめて自分の意志でお花見に。行った記憶がない神田川へ午前11時頃、向かいました。

これは超すごい!皆がお花見、お花見と言うわけはこれ!と納得。 



川の両側に散歩道、途中に大滝橋とか駒塚橋があるんで、あっちわたり、こっちわたりしてぐるりとまわるのにちょうどいい。



昔ながらのお花見ピクニックをやってる人たちが結構いました。でも上野みたいに(と言っても昔の記憶ですけど)お酒はあんまり入ってないよう。散歩道を歩いてる方が多いようでした。



下の写真はちょうど椿山荘の裏門をすぎたあたり。

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椿山荘を過ぎると芭蕉庵がありますが、その横の坂の階段を上がると"永青文庫"。数年前、サンフランシスコのアジア美術館で細川家の鎧とか刀が展示された展覧会 がありました。永青文庫から来たもので、面白かったんでよく覚えてます。「永青文庫」ってこんなところにあったのか。寄ってみたんですけど、今は工事で休館でした。



神田川の桜は染井吉野。花がボール状に咲きます。



けっこう流れの速い神田川に大きな鯉がいっぱい。亀も甲羅干し。誰かが捨てたペットが繁殖したのかも。川の両岸のところどころに水を分散させる穴みたいのがあります。近年、神田川が氾濫しない理由は、余分な水を逃がして地下に貯めておくこのシステムのお陰なんですね。



超すごい満開の桜。これが数日しか見られないなんて無情。超満ち足り感の影でちょっと感じるはかなさと自然の鉄則... 日本人の心の形成に大きく影響してると思います。

2013年3月17日日曜日

2013年、サンフランシスコ・バレエのプログラム3

2013年サンフランシスコ・バレエのプログラム3で、最初の二つ、「不思議な場所への案内書(Guide to Strange Places)」と「かっこいい男(Beaux)」は去年発表された作品。

マーク・モリス(Mark Morris)の「かっこいい男」はよくなってました。ちょこちょこした動きを取り除いてシンプルにしたのかもしれません。のびのびとした印象を受けます。踊り手は全部男でオレンジやピンクが基調のボディスーツを着てるんですけど、各ダンサーがカラフルなコスチュームに馴染んできた感じ。踊りもリラックスしてて可愛く、今回は、プログラム中で一番良かったです。



不思議な場所への案内書」はニューヨークの夜のハイウェイとか、「ウェストサイド・ストーリー」を思い起こさせる、アスレティックなピース。アッシュレー・ページ(Ashly Page)という人の作品。最近、「シンデレラ」というストーリー・バレエを創作したそうなんで、機会があったら見たいです。



最後はユーリ(Yuri Possokhov)の作品。今年がストラビンスキーの「春の祭典」初演100周年記念にあたり、それを記念してユーリが「春の祭典」の振付けに挑戦。

人身御供を捧げる部族の祭を描いたのが「春の祭典」だっていうのを、今回始めて知りました。

白地に若草色の模様がついてるコスチュームが、動きにあわせてゆらゆらゆれる感じが命の芽生える春らしく、さわやかで気に入りました。

ただ、部族のなかから人身御供を選ぶ年寄りを悪役としてしまうユーリの解釈が好きじゃありません。悪意からではなく、部族のために年寄りは人身御供するんですから、「にもかかわらず」今と違ってもっと生き生きとした古代人がいたというような、違った描き方があったんじゃないかなぁ。

2013年3月9日土曜日

真珠の耳飾りの少女は今、サンフランシスコ

サンフランシスコのデ・ヤング美術館で、今、「レンブラントの世紀(Rembrant's Century)」という展覧会をやってます。

レンブラントのエッチングを、他の作者のと並行して見せてるんですが、あまりゆっくり見すぎたせいで、閉館時間になり、最後の方の油絵はさーっとしか見られなくて残念でした。

その最後の方に、「真珠の耳飾りの少女」がいるじゃないですか。12月頃まで東京にいたと思いますが、その後、サンフランシスコに来てたんですね。



2007年のリーマン・ショックで、ギリシャを始め、欧州連合が財政危機に陥り、財政には手堅いオランダも深刻なとばっちりをうけてるようですが、フェルメールやレンブラント等の名画を持ってる限り、なんとかなるんでしょうね。

「真珠の耳飾りの少女」がどうして描かれたかという映画ができたのは10年くらい前ですが、以来、彼女の人気が急上昇、おかげで彼女に外国巡りをしてもらって、オランダはしっかり外貨を稼いでいるようです。

なお上の写真は、ポスターを私が写真に撮ったものです。

2013年3月7日木曜日

始皇帝墓の戦士がアジア美術館に

秦の始皇帝のお墓からの出土品が、サンフランシスコのアジア美術館で現在、展示中。

最初の部屋に展示してあるのは実物大の青銅製の鶴と白鳥とあひる。古代中国の職人が日展に応募したら、ほとんど全員上位入選まちがいなしの質感と温かみと気品のある、時空間を超えて心に届く作品。今、目の前に飛んで来て羽を休め、食を探しだした風情で、立ち去りがたくなります。



お墓の前面のから出土したそうで、さまざまな姿の鶴6羽を中心に、左右に白鳥、そしてあひるが確か全部で24羽、一直線に並んでいたそうです。

木製のミニチュアあひるを、昔々にサンフランシスコのチャイナタウンで購入。全部で12羽だったと思いますが、一羽、一羽、種類も趣きも違い、多分手で彩色してあってすごいと思ったもんです。ただ、あひるを置物にしてめでるという気持ちはよくわからなかったんですけど(きじの尾羽とかオシドリの剥製ってのはおじいちゃんちにあって理解出来たんですけど)、今回、秦の始皇帝のお墓から出土した鳥達を見てて水鳥を鑑賞する伝統があるのがわかり、納得がいきました。BC200年以来の伝統なんですね。

テラコッタ製に兵士の像は本当に素晴らしいできでした。

ふと何かを思い出してるような風情の兵士。詩の一節かもしれません。振り返る体の線が美しい作品。


緊張感のあふれる精気ある大柄な兵士。


今のサラブレッドとはちょっと違う感じの馬。ティベット原産の馬なのかも。


秦の始皇帝のお墓は現在でも進行形で発掘中。始皇帝自身のお墓はまだ発掘されてないそうです。盗難を避けるため、いろいろな仕掛けがしてあって、不注意にさわったりすると、命の危険もあるそうです。

いずれはぜひ、行ってみたい西京と秦の始皇帝の墓。5月27日まで。お薦めです。