2013年10月6日日曜日

中之条ビエンナーレと四万温泉

群馬県の中之条で現在進行中の「中之条ビエンナーレ」へ。私の英語のスキルをボランティアで提供したかったので主催者側にコンタクトして行ったんですけど、よかったぁ。

ビエンナーレ本部事務所を兼ねた中之条町の展示場「SATORI」でおずおずと見習い案内人から始め、次の日ははやくも一人立ちして、中之条町内の旧六合村(くにむら)で案内人兼番人をやりました。これは主催者と地元のボランティアさんの配慮のおかげで、中之条町エリアと六合エリアの作品はボランティアをしてる間に一応全部見る事ができました。四万温泉エリアはボランティアを終えた翌日に行きました。

美術館をとびだし、人々の生活領域に入ってきて展示されると、作品がのびのび、見る方ものびのびで、こういうやり方は思いのほかよかったです。緩く曲がった道路伝いに古い民家がひょいひょいと見えてくる道を歩きながら、場所を提供してる民家に上がって見てくというのが意外にいい。始めは靴を脱ぐのが面倒くさかったんですけど、そのうち、家を訪れる感覚になり、次に来るときは、はいたり脱いだりしやすくて歩きやすい靴で来ようなんて、いつのまにか思ってました。

稲刈りが到着の翌日から始まりました。地域の人が共同作業してるのを目にして、人々の助け合いが必要条件の村の生活のただなかで、自己や自我を表現するために孤独も物ともせず的な作品を見てるとなんか始めはそぐわない感を抱きましたが、黄金の稲の垂れ穂がそんな違いは小さい、小さいと言わんばかりの圧倒的な量感であちこちを覆ってます。これが農家の作品ですね。

元呉服屋さんだった建物、SATORIの二階に女の子の大きな顔の絵。通常は私の好みじゃないんですけどよかった。この良さの50パーセントは、元呉服屋さんの低い天井と畳、今まで見た事無い装飾の鴨居で仕切られた静かな空間に、作品がはまってることから来てるのは確か。古い民家のつくりが貢献してるって強ーく感じました。作者はそんなこと聞いたら嫌がるって思うけど、これだけの力は画廊に置いただけでは得られないですね...

SATORIのそばの旧廣盛酒造に、ゴールデーンゲート・ブリッジのようなガラスとメタル製の大きな吊り橋の作品。それだけだったら心に残らないと思うんですけど、キューンという金属的な音が吊り橋の起伏に合わせて走ったとき、「あーっ!」ってイメージが湧きました。作者は小さめの窓からの外光を希望に見立てるイメージのようでしたが、私のはその逆で、明るい外から細くて不確かな橋を伝いながら暗闇に下降してゆくストーリー。古墳内を下って行くような感じです。音が暗闇の中で遠近感を出すのに成功。酒造の空間をうまーく使った作品、もともとの壁の色も過ぎ去った長い年月を感じさせます。

残念ながらカメラ持ってくの忘れたんで、中之条ビエンナーレのサイトからのスナップを拝借。藤原京子さんの「ビフレストー橋」の完成前の写真。酒造はこんなに明るくないです。音が作品に生命を与えてるって感じ。

六合村では高野長英の隠れ家が展示場の一つ。隠まった村の医者が残した押し花が圧巻・感動でした。今も色が残る200年前の押し花、医師作家の草木とむかう静かな時間が感じられます。この押し花がいつまでも残る事を祈ります。(国立博物館、なんとかせよ!)

四万温泉エリアでは、裸の男の人が3人、プールで泳いでるビデオが意に反して面白かったです。なんつーか、ランダムに泳いで画面に入ってきたり出たりするのがめだかのようでもあり精子のようでもあるのが。ビデオの質はよくないんですけど、そこが懐メロチックな雰囲気を出してました。

膝丈ズボンをはいた、子グマのプーさん的な伯爵綽々(はくしゃく しゃくしゃく)さんという人を滞在中2度も別々の場所で見かけ、何者なのかなーと思ってたら歌人でした。伯爵さんの短歌をいくつか書き留めておいたんですけど、紙をなくしちゃったみたい。六合村が中之条町に吸収されたことや、かいこの桑の葉を食べる音が響く静かな午後のことなどでした。

この滞在をすごくよいものにした最後のとどめは、美しいの四万川と川沿いの豊富な湯量の四万温泉。たっぷり浸かっていい気持ち。積善館のそばのおそばは腰があって美味しかったです。

3 件のコメント:

北夙川不可止 さんのコメント...

ぷーさんですw 
僕の短歌ですが、中之条で発表したのは以下の通りです。


風が吹くひうひうと吹く夜の獄の孤獨を猫の聲が撫でゆく

轟々と水音高き四萬川の碧く澄みつつ風を呼びけり

山深き出湯の里は靜かにて夏も冷たきせせらぎを聽く

枯れ葉積む街道の果て茅葺の舊家の庭に絶えぬ水音

桑を食む蚕の音のざわざわと靜かな里の午後を震はす

赤といふ名の白猫の目の青く六合(くに)村の名は去年消えたり

散りかけし櫻に小雪吹きつくる四萬の眞晝間空は晴れつつ

浴場は洋舘にして蒸風呂に籠れば翁の笛に驚く

ピリット さんのコメント...

北夙川不可止さんがブログを読んでいただき、さらに中之条で詠んだ短歌を書き込んでくださってどうもありがとうございます。六合村の句はモンドリアン風のナゾのよう、蒸し風呂の句は驚きがあって面白いです。この句のこと、ブログで書いてもいいですか? 
母は2つ目の句を読んで「冷たそうね」って言ってました。読む時期でも感想がことなるのかも。

北夙川不可止 さんのコメント...

返信ありがとうございます。どうぞ、ブログでご紹介下さい。ただ、僕は歌人であって俳人ではありません。作品は短歌で合って、俳句ではありません。ですから「句」ではなく「歌」でございます。その点だけご注意ください。掲載されたらお知らせ下さいね~。