2011年7月30日土曜日

ハワード・スターン・ショウのレディ・ガガ・ライブ

レディ・ガガ(Lady Gaga)が、ニューヨークの「ハワード・スターン・ショウ(Howard Stern Show)」で、ライブで「エッジ・オブ・グローリー(Edge of Glory)」を歌ってるのを、どこかのリンクで見て、ワーオッ! 出演したのは2011年、7月17日のようです。

彼女の「ボーン・ディス・ウェイ(Born this way)」をYoutubeで見たとき、上手だし、歌もいいし、あちこちで聞く話もおもしろいので、彼女のこと好きになりました。それ、少なくとも、10ヶ月くらい前ですが、今回、ハワード・ショウのライブを見て、彼女、いちだんと、いちだんと、さらにいちだんと上手になってて、真の、大型の「エンターテイナー」になってるのに、正直、驚きました。

ハワード・ショウで、彼女が「エッジ・オブ・グローリー」を歌ってる部分をリンクしておきます。

歌う直前の、彼女とハワードの会話が「ちょっと」なので、日本語にしときます。
 写真:ハワードに「栄光(glory)」の説明をしてるところ。

ハワード:この歌は(亡くなった)おじいさんのことだそうだね。
ガガ:そう。でももう一つあるの。人は死ぬまで「栄光」という輝かしい瞬間に到達できないってことを、わかって生きるっていう事。だから今は栄光とは一番遠い端っこの、天国と地獄の間で、煉獄で踊ったりして生きるの。」

なるほど。ちょっとカソリック臭いけど、ショービジネスなどやってると、人間、嫌でも揉まれて、世の中をそれなりの角度から、分かり始めざるを得ないんでしょうかね。でも彼女、まだ25才なんですけど。(わたしはまだこんな認識には達してません。)

ガガの歌のコントロールの仕方、感動。彼女、お客さんをエンターテインするために、全力を尽くします。

この歌を歌う前にハワードとの会話があるんですが、それもグーです。ちょっと長いですけどリンクしておきます。機会があるときに訳しておきますが、いつになるのかわからないので、一生懸命、聞いてください。

彼女がファンを、「スイートハート」と呼んでるところもグー。彼女自身の経験から、「ドラッグは絶対にしないように。わたしはやったけど、ものすごく後悔してる。この番組を聞いてるわたしのファンのスイートハートちゃんたち、ドラッグにはさわらないで。本当の悪魔よ。」とか、「女だったら皆わかると思うけど、セックスなんで24、5にならなきゃいいかどうかなんてわからないのよ。17才の子には、いったいあそこがどういうふうになっててどうなるのかさえもわかんないんだから、初体験は、遅ければ遅いほどいいわよ。」

「エッジ」の後、ガガが「ヘア(Hair)」を歌うので、リンクしておきます。

7-30-2011:ハワードとガガの全インタビューが見つかったのでリンクしておきます。記事中の真ん中の地震計が作った地震記録のような帯がインタビューです。

これを聞くと、日本のWikipediaの彼女のついての記述、半分は書き直しが必要ですね。

2011年7月26日火曜日

ミッションと24番通り近辺のミューロー

以前、ミッションのミューローについて何度書いた事ありますが、ミッションには、たくさんのミューローがあります。一ヶ月ぐらいで再生されるのもあれば、数年は持つものもあります。新しくできるのもあります。

ミッションと24番通り(24th Street)のバート(BART)の駅を降りると、交差点にマクドナルドがあります。その裏にライラック通り(Lilac Street)という路地があるんですが、その路地をはさんだ駐車場の壁全面に、なかなか見事なミューローがあります。

ミューローにもいろいろ種類がありますが、この駐車場のは、政治的ミューロー。メキシコ系アメリカ人の団結を深めるためで、南アメリカやメキシコの現代史上の出来事を題材にしてます。そういう知識があると、描かれるてる人が誰だかわかるはずなんですが、残念ながら、わたしはその方面、知識ゼロなのでわかりません。ミューローの下のほうにある、草色の紙に黒白で書かれてるのは、チリのアジェンデ大統領じゃないかと思います。2007年に完成。

同じ駐車場の壁のミューローの続き。

ライラック通りを入って行くと、もっとマンガチックなミューローが路地の両側に描かれてます。
上のミューローの主人公の両側に、アルファベットを装飾、記号化したようなのが見えますが、これはニューヨーク・サブウェイ・スタイル式の絵文字で、最近、ミッションで、再人気が出てるらしく、よく見かけます。ニューヨークで、電車の外側にいたずら書きをしたのが始まり。
「Frisco」といのは、サンフランシスコのことですが、「サンフランシスコの人たちってクレージー!」というように馬鹿にしたり、軽蔑する気持ちを伝えたいときに使われます。ここでは、それを逆手にとって、わざと「フリスコ」という言葉を使ってます。

ミッションには多分、数百のミューローがありますが、それをまとめた写真集があるのを、今回、はじめて知りました(写真下)。表紙は、私がここで紹介したミューロー

ハリソン通り(Harrison)とアラバマ通り(Alabama)にはさまれた24番通りに、ミューロー・アートのお店があるんですが、そこで上記の写真集と、ミューローの絵はがきを売ってます。お店の住所は、2981 24th Streetです。

なお、ライラック通りなどの路地はもちろん、ミッションから東側の24番通りは決して安全とは言えないので、暗くなってからは絶対に行かないでください。

2011年7月18日月曜日

デ・ヤングの「金曜の夜シリーズ」: ゴンザラス・バーガラ

ゴールデンゲート・パーク内のデ・ヤング美術館で、金曜日の夜シリーズ(Fiesta Friday Nights)というのをやってるんですが、けっこう本格的な演奏が楽しめる企画があります。

先週は、アルゼンチンのゴンザラス・バーガラ(Gonzalo Bergara)というギタリストとそのグループがゲスト。ジプシー・ジャズ(Gypsy Jazz)というのを、初めて聞きました。

ジプシー・ジャズってどういうのかというと、ポピュラーミュージックに詳しくない私が言うのは難しいんですが、普通のギター二台と、セロの三人演奏。派手というよりか「日常」に近い音楽、ギリシャのような「嗚咽」のメロディーとは違い、「生活」の一コマを、新らしい目で見つめて、音楽で日記するという感じです。

いやあ、ど素人の私にでも、ゴンザラスさんは大変なテクニックを持ってるギタリストというのはわかります。それを、曲をかえるごとに次から次へと披露するんですから。上の写真で右端、紫のシャツを来てるのが、ゴンザラスさん。

セロとベースのギター奏者は、「デ・ヤング美術館で演奏するんだから、」と気張って、普段は来てない背広姿で舞台にあがったに違いありません。

ゴンザラスさんが、お母さんを思ってお母さんのために作ったという曲は、作風ががらっと違ってるだけでなく、温かみややさしさが感じられ、すごくよかったです。

聴衆は演奏に大満足、演奏後はスタンディング・オベーションでした。

ビデオをとったんですが、ただいまiMovieと苦戦中なので、解決しだいリンクします。それまでは、youtubeで見つけたビデオをリンク

9/5/11 デ・ヤングは美術館なんで、音響効果がちょっと、というところが残念ですが、ビデオクリップをYoutubeにアップロードしたので、リンクしておきます。聞き物です。

2011年7月10日日曜日

ファイナンシャル・ディストリクト探索散歩: 三角ビル辺りから

サンフランシスコ市(50マイル四方)は小さな市なんですけど、ファイナンシャル・ディストリクトには、結構、たくさんの「オープンスペース」があります。理由は市の条例。

ダウンタウンに高層ビルを立てるとき、ビルの規模に応じて、敷地・建物の一部を市民のために「オープンスペース」として解放しなければならない規則になっているからです。

モンゴメリー通り(Montgomery Street)とパイン通り(Pine Street)にある、三角ビルで有名な、トランズ・アメリカ・ビルに隣接しているオープンスペース。

市所有ではないので「公園」とは言いませんが、機能は「公園」と同じ。お昼休みには、ランチを食べたり、散歩するオフィス・ワーカーの姿が見られます。

このオープン・スペースにはマスコットが二つ、上の写真の右下に見える「子供たち」(と勝手に呼ばせてもらいます)がその一つ。

もう一つはスイレンの葉とカエルの噴水。

私は「カエル」のほうが好き。童話の世界を思い出させるからです。「子供たち」は、いきいきしてて、躍動的で、彫刻としては好きなんですが、ちょっと悲しい気がします。だってファイナンシャル・ディストリクトで、姿形を見かける事があり得ないのは、子供たちですから。

噴水のそばから外に出ると通りを隔てて、バンク・オブ・イタリーだと思いますが、白くてクラッシクな歴史的建造物に指定されてる元銀行があります。入り口はモンゴメリー通り側。一般に無料公開してるので、中へ入ると、イタリア産大理石をふんだんに使ったゴージャスな内装と金庫が見られます。

モンゴメリー通りをはさんで向かい側の路地をチャイナタウンの方へちょっと入って行くと、右側に外側がレンガでできた、金を貯蔵していた歴史的建造物があるんですが、その隣に小さい美術館に入る入り口があります。名前は忘れましたが、金の貯蔵場の他に、ときどき展示内容が変わる美術品を展示をしてるので、ちょっと寄って行くのお薦めです。無料です。

その後、モンゴメリー通りに戻り、2ブロックぐらいマーケット通りのほうへ歩くと、ウェルス・ファーゴー銀行博物館があります。西部開拓時代に、ポーニー・エクスプレス(Pony Express)という郵便やお金の配達をしたことから始まったこの銀行、馬車はもちろん、昔の小切手とか元帳とかが展示されてます。二階へ行くと、馬車に乗って雰囲気が楽しめるので、ライドはお薦めです。無料です。

食事やお茶の時間を除くと、2時間くらいあれば、全部、徒歩で見られます。

2011年7月8日金曜日

海岸の白い泡、これって何?

このあいだ、ダンバートン・ブリッジ(Dumbarton Bridge)の下に広がっている、「保護区」へ行ってきました。ここもアンティオック・デューンズ・ナショナル・ワイルドライフ・レフュージと同じで、係員の付き添いなしには入場できません。

せっかく米国野生生物庁(US Fish and Wildlife Services)の人が来てくれてるんだし、質問の一つや二つはしなくちゃと、さーて、何を聞こうかな...

時期のせいか、時間のせいか、鳥の姿はゼロ。でも白い泡のようなものが波打ち際にずーっと続いてるのがだんだん気になってきます。風に飛ばされてトレールの横の草にも絡みついたまま、泡のまま固まって灰色になってるのもあります。

この白い泡は昔から気になってたなー。公害のせいかしらね...

「ハイ、ジェニファー(誰かがそう呼んでるのが聞こえたんです)、前から気になってたんだけど、あの白い泡は何なの?」

「海の水にはいろんなタンパク質が混じってるの。それが波打ち際の波の回転運動のおかげで固まってあんな泡ができるの。公害のせいじゃないのよ。」

何でも知ってるんですね。おかげで謎が解けました。すっかり気をよくした私は、「じゃあ、あの赤いのは何?」

「あれは寄生植物。ホストの植物は『ピックル・プラント(Pickle Plant)』で、赤いのはそれに寄生する『ドッダー』。」なるへそ。第二のなぞが解けました。

どんどんトレイルを歩き続けます。

途中でトレイルが、サンフランシスコ湾の干潟にまっすぐに伸びてる電線タワーの下の板の道と交差します。

「ジェニファー、この木のトレイルを歩いて行くほうが面白そうじゃない?」

「それは、電線のメインテナンスの人しか歩けないからだめよ。」

残念!

2011年7月5日火曜日

サンフランシスコ・オペラの「ジークフリート」

リング、第3部の「ジークフリート」、第一幕での、三つのナゾナゾの歌もすごくよかったし、舞台デザインと脇役陣がよかったし、第三幕のジークフリートとニナ・シュテメ(ブルンヒルデ)、さらにボタンとのかけあいが、よくできたので、全体で満足、満足のパフォーマンスでした。

よくサンフランシスコ・オペラ公演の脇役で出てる、ディビッド・カンジェロシ(David Cangelosi)がミーメ。ジークフリートより声が伸びるだけじゃなく、注意深く我慢強い、小心者のミーメをうまーく演じる演技力。大きなジャンプで後ろにさがってボタンの様子をみたり、毛糸の帽子を押さえながらダダっと突進する尋常じゃない機敏さ、バスの屋根にするする登って横から降りてくるなど身軽なだけでなく、けっこう危ない動きも平気でやっちゃうんですよ。

上にリンクしてあるディビッドのホームページに行ったら「Out of Closet」というタイトルのブログがありました。この人もゲイかと思って読んだら、以前、サーカスでアクロバットをやってたんですって! 納得! 「どこへ行っても必ず誰かに聞かれるんで、この際、そういう過去をサンフランシスコで告白(Out of Closet)」というわけです! オペラ歌手も、いろいろな「過去の経験」が役に立つんですね。

カーテンコールでも、ニナ・シュテメ、ジークフリートを演じたジェイ・ハンター・モリス(Jay Hunter Morris)の次に大きな拍手をもらってました。


「神々の黄昏」でノルンを演じたロニータ・ミラー(Ronnita Miller)は、「ジークフリート」では、世界の歴史を毎日をつむぐために一日中眠っているエルダ役(歴史は、エルダの夢の中で作られるんだそうです。だから彼女を起こしちゃうと、歴史が止まってしまうわけ)。威厳のある姿勢と声で、ノルンとは違った面を見せてくれました。今でこそ、人間が歴史を作る主役と考えられてますが、ちょっと前までは、神様が歴史を紡ぐと、あちらでは信じられていたんですね。(なお、彼女の歌はビデオクリップに入ってます。)ロニータがダイエットして、ディビッドみたいな動きができるようになったら、重宝がられ、あっちこっちのオペラハウスからおよびがかかるんじゃないかと思いますが。

アルベリヒを演じたゴードン・ホーキンズ(Gordon Hawkins)、去年、「ライン河の黄金」で同じ役を演じたときはパッとしなかったんですが、今年はべリーグー。

ボタンを演じたマーク・デラバン(Mark Delavan)も同様、今年のほうが発音がもっとクリヤーで、伸びて、元気があり、去年より、断然良かったです。

ジークフリートを演じたジェイ・ハンター・モリスは、「神々の黄昏」でジークフリートを演じる、イアン・ストーレイ(Ian Storey)よりよかったです。本当は、モリスは「神々の黄昏」でもジークフリートを演じる予定でした。しかし今年は初日から故障がおこり、医者のすすめで、代役のイアン・ストーレイが「黄昏」のジークフリート役をやってるそうです。

第三幕、ブルンヒルデとジークフリートが出会い、ボタンの約束が実行されるまでを描くんですけど、感情が理性を乗り越えるまでの2人の会話が、ワーグナーの時代のインテリの男女の行動を反映してるようでおもしろいです。

戦士と勘違いしたのが「男じゃない!(この台詞に場内に笑い!)」とわかると、ジークフリートはすやすやと寝ているブルンヒルデ感動し、愛情が芽生えるんですが、100年ぶりに目が覚めたブルンヒルデは「お日さま、こんにちは、光よ、おひさしぶり!」と、もっとマクロなムード。

「ところで、私を起こした英雄はどこ?」と、ボタンの約束を思い出しますが、「今で十分、仲がいいんだから、この関係をこわすような事、する必要ないんじゃない?」とジークフリートに言います。

ジークフリートの欲望はだんだん大きくなって、じりじりと迫るムードになってゆきます。そういうジークフリートをみてるうちに、3テンポぐらい遅れて、ブルンヒルデも興奮してきて、その気になるところで幕を閉じます。

「恐れ」を知らなかった英雄、ジークフリートが、好きな人にまむかって初めて、拒絶されるかもしれないという「恐れ」を抱くというシナリオ、男性優秀社会で、劣である女性を、優である男性と対にするためのコンセプチュアルな仕掛け、「ベーターハーフ」の概念の登場です。まだ新しかったに違いない「ベターハーフ」って考え方をオペラの前面に持ってくるワーグナーって、勇気あるドイツ版「近代人」だったんですね。

概念にもはやりすたりがありますが、「ベターハーフ」は1950年代のアメリカで、また日本でもまじめに語られ、信じられました。だって誰が自分より「劣」なものと関係をもちたいと思うかなー。ちょっとは立場を上げとかないとやる気にならないじゃないですか。

今は女性をベターハーフなんて位置づける必要もありません。女性史的に言うと、まさに「ベイビー、You've come a long way! やっとここまで来たね!」です。

舞台のビデオクリップがタイトルにエンクロージャしてあるので、ビデオを見たい人はタイトルをクリックしてくださいね。

なお来年は、シアトルとメッツで「リング」が行われるようです。