2011年10月31日月曜日

2011年、ハロウィーンの飾り付け

サンフランシスコ市内で見かけたハロウィーンの飾りつけ。

普通の家なんですが、現在工事中なのをうまく使ってます。大きなクモが4匹!

子供のいる家のスタンダードな飾り付け。子供たちは、飾り付けある家にだけ、「トリック・オワ・トリート」に行きます。つまり、ハローウィーンの飾り付けのある家は、子供たちに、「来ていいよ」という合図を出してるんです。

入り口から玄関まで、階段を上るだけでなく、かなり距離があるので、小さい子供には無理かも。キッズ・フレンドリーな飾り付けではないので、ただのデコレーションなのかもしれません。

こちらは子供を呼んでる飾り付け。

窓の飾り付け。

ここまでゆくとアート。

2011年10月27日木曜日

テレビ番組、「チェルノブイリの被爆狼」

先週、KQED(公共放送)の「自然」という番組で、「チェルノブイリの被爆狼(「Radioactive Wolf」が原題)」という50分ものを放送。

1986年の4月26日のチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故で、広島の原爆の約400倍もの放射能が放出されました。その後、発電所のまわりの約2,850平方キロメートルにわたる地域が、人間が住むには不適切と判断され、住民40万人が他の地域へ移民、「無人地帯」として今日に至っています。
ベルロースとウクライナにまたがっている閉鎖地域 (番組からのスナップ)

ひとたび人間が去ると、もともと森と湿地で覆われていたチェルノブイリの自然が、予想以上の早さで戻ってきて、今はムースやビーバー、さらに絶滅危惧種の動物が住み着き始めました。

特に狼は、天敵の人間に射殺される事がなくなったため、被爆しているとはいえ、数的には回復し、現在、約120匹が、無人地帯に住んでいると推定されてます。この狼”口”密度は、狼の通常の生息地と同じ密度だそうです。
被爆狼に麻酔をかけて調査。狼の毛を吸って内部被爆を起こすのを防ぐためマスクを着用。

でもチェルノブイリの自然は、放射能で汚染された自然。そんな環境で、目に見えない危険に、生き物がどのように反応し、存続するのか、また、被爆がどのような影響を与えるかを調べるため、食物チェーンのトップである狼やハヤブサのようすなど、今までの研究の成果をまとめたのが、この番組。
狼が食べたムースの骨。骨から通常の50倍の放射能が。

人のいなくなったアパートに巣をはるハヤブサ。ハヤブサも食料チェーンのトップなので、放射能がどのように影響するかの調査の対象になっている。

福島原発事故では、2011年10月25日付けのサイエンティフィック・アメリカン誌(Scientific American)で、チェルノブイリを上回る、大量の放射能が放出されたという、最も新しい結果が報告されてます。

人間がいなくなったために復帰したチェルノブイリの被爆自然、これはいずれ福島も起こることだと思います。そういう意味で、興味深い事実なので、何かの参考になると思い、この番組をリンクしておきます。番組は英語、ある程度、時間が経つと、リンクは消滅すると思います。

時間があったら、さわりの部分を日本語に訳しておきますが、がんばってトライしてください。

2013年3月17日注: 日本でアメリカのPBSの番組がウェブで見られないようになってるせいか、それとも期限が切れたのかわかりませんが、ハイバーテキストが番組にリンクされてないのがわかりました。しかたないので、番組紹介の方にリンクしておきました。アメリカ内の人にはちゃんと番組にリンクされてるのかもしれません。

2011年10月24日月曜日

文部科学省が「放射線量等分布マップ」をウェブで公開

日本の文部科学省が、福島原発事故以来、今までに測定・計算した、放射線量等分布マップを公開

東京、神奈川を始め、茨城県、山形県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、秋田県、そして福島県西部のデータを発表してます。これは皆、2011年8月31日以降に測定、計算したもの。

2011年8月30日に、セシウムの土壌濃度を計算により算出し、放射線量マップに追加するという変更があったようです。栃木県と宮城県のモニタは、それ以前に行われたので、セシウムの土壌濃度が入っていないようです。


元素が半分に減る期間を半減期といいますが、セシウム137の半減期は30年強。自然界には存在しない元素で、地面の表面に「溜まる」とでもいうんでしょうか。水に解けやすく、野菜とかきのこに吸収されて、人間の体内に入るそうです。ここにウィキペデアの情報をリンクしておきます。

国民のみんなが関心を持っている情報を公開してくれた文部省に「ありがとう」です。

2011年10月18日火曜日

サンフランシスコ・オペラの「ドン・ジョバンニ」

新しいプロダクション(制作)の初日だったんですが、皆さん、ウォームアップできてないのか、一幕目は声が小さくてパンチ無し。ルーカス・ミーケム(Lucas Meachem)のドン・ジョバンニ、一幕目は、サングラスをかけたただのおじさん、二幕目で、遅まきながら、女たらしの悪貴族風になりました。

ドンナ・アンナを演じたのは、去年、フィガロで伯爵夫人を演じたエリー・ディーン(Ellie Dehn)。声は好きなんですが、良くなったと思ってると、ウォームアップ状態に戻ったりの繰り返しをしてるうちに、オペラが終わってしまいました。見せ場の高音がちょっとはずれたりして、本人も当惑したような感じ。

ゼリーナの場合は、オペラ・ハウスで歌うには、歌手として、まだ未熟なのかも。サンフランシスコ・オペラ・ハウスは奥行きがメッツよりも深いので、かなりの発声量がないと声が通りません。このため、故パビロッティも、サンフランシスコに来るのを嫌ったと言われてます。(下にリンクしたビデオで最初のメヌエットを歌ってます。)

ドナ・エルビーラを演じたセリーナ・ファノッチア(Serena Farnocchia)は、最初から最後まで、安心して見てられました。声もいいし、張りがあるし、感情も注げるプロ。

一幕のしょっぱなで、ドンナ・アンナのお父さんの騎士団団長は、ドン・ジョバンニに殺されてしまいます。お墓には、生前の装束をまとって椅子に座っている大理石の彫刻(下の写真参照)。

真夜中、ドン・ジョバンニと従者のレポレッロがそのお墓の前を通りかかると、彫刻がちょっと動くような気がしたレポレッロ、「ギャアー!」。ドン・ジョバンニは、幽霊なんか怖くないとばかり、「今夜、是非、私の家へディナーに来てくれたまえ」と、彫刻を招待。すると大理石の頭が頭を上下にふって、承諾の意を示します。

騎士団団長の幽霊がディナーにやってくるんですが、ここは舞台制作上、いつも困る場面だと思います。例えば、ディナー・テーブル上に、突然、ブラックホールが出現した風だったり、爆弾炸裂風だったりで、それまでの話しの内容と比べると、あまりの深刻さ。私はいつも大しらけなんですが、今回の幽霊とのディナーシーンは、今まで見た中でベスト。

顔も手も、頭のてっぺんからつま先まで灰色一色の団長の幽霊。それが怨念をはらすために、墓場の墓石から降りてきて、ドン・ジョバンニの家に来るという、「怖さ」と「真実味」のあるストーリー展開。

残念ながら、この幽霊とのディナー・シーン以外は、あまりにありきたりで、チープで、退屈な舞台デザイン。モーツアルトをやればお客が入ってくると思って、制作費を節約したんじゃないでしょうか。

初日だったので、そのうち、本調子が出てくるとは思いますが、この初日、最後の30分が良かったです。

新聞のレビューと写真をリンクしておきます。

初日のビデオ・クリップをリンクしておきます。三人目のブルーのトップを着ているのがセリーナ・ファノッチア。次がエリー・ディーン。

2011年10月11日火曜日

サンフランシスコの新オアシス、パークレット

この夏ごろから、サンフランシスコのあちこちで、パークレット(Parklet)というのが目につくようになりました。

道路上のメーター付き駐車場スペースの一部や、無駄にほっとかれてるスペースを「箱庭式ガーデン」に変えて、街に緑を多くしようという試み。

下の写真はバレンシア通りのアイスクリーム屋さんの前に出現したパークレット。台形の高さ、1メートルくらいの、ブックエンド式箱庭にはユッカや多肉植物が植わってます。内側はベンチのように張り出していて、座わってアイスクリームを食べたり、おしゃべりできるようになってます。

ブックエンド式箱庭の一方はこんな感じ。

同じくバレンシア通りの自転車さんの前に出現したパークレット。

バレンシアのクレープやさんの前のパークレット。現在拡張中で、プランターがぐるりと舗道上のテーブル席を囲う予定のよう。「Public Parklet」という表示が見えてます。

パークレットは、サンフランシスコが生み出した不況対策だと思います。去年の冬頃まで、レストランや独立系フィルム専門の映画館のあるバレンシアは駐車が大変難しかったところ。週末だと、道路の両側の駐車スペースはすぐいっぱいになり、道路の真ん中にある中央分離域に違法駐車をするしかありませんでした。お巡りさんは100パーセント無視するわけにはいかないので、たまにはやってきて、違法駐車にのこそぎティケット発行、すぐに動かさないと、レッカー車で持ってかれてしまうこともあったんです。しかし最近、道路三列駐車は姿を消しました。ということは、車の量が、少なくとも4分の一は減少したことになります。不況の影響に間違いありません。

歩行者の数を増やし、街を元気にするにはどうしたらいいかというということから始まったと思われるパークレット、グッド・アイデア。緑が増えれば街も美しくなるし、歩行者にとっては歩くのが楽しくなるので、自然と人も増える、そしてお店にも人が入るという、一石三鳥のアイデア。 ぞろぞろ並んだ車を見るより、パークレットの緑を見てるほうが、それこそ、心が癒され、空気も新鮮な感じで楽しく、この試み、サクセス!

2011年10月6日木曜日

ありがとう、スティーブ・ジョブス

スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)が今日の午後に亡くなりました。

もうわかっていたことでしたが、あと一年くらいはとゆっくりと生きるのだろうと思ってました。

アップルのサンタ・クララ・バレー・キャンパスはクーパティーノにあります。(クーパティーノの皆さんは、今頃、光が一つ消えた悲しみに、何となく気持ちが沈んでと思います。私も同じです。)キャンパスが広域に渡っているので、どのビルだか思い出せないんですが、一階の壁に、スティーブのと思われる言葉が、壁一杯に書かれてるビルがありました。それを何気なく読んで、度肝を抜かれた事があります。

「自分のアイディアが正しいと思ったら、上司が無視しようとしたり、つぶそうとしたら、戦おう」、「僕たちがしたいのは革命だ」みたいな、マニュフェストが、上から下まで、どうどう書かれてるんですよ。

当時、アップルがそんなスティーブのスピリットを会社の信条にしてるとは思いませんでしたが、こういうこと、壁に提示してる会社、日本にはあり得ないなーと舌を巻き、こんなとこなら(もうすでに大会社だったんで)働いてもいいなとか思ったと思います。どちらかというと、驚きを顔に出さないよう、苦労した次第です。

最近っていても数年前ですが、スティーブのスタンフォード大学の卒業式でのスピーチを聞き、あの壁に書かれていた事が触れられてるのに気づきました。よいスピーチなので、一度くらいは無理して聞いて欲しいと思うので、ここにリンクしておきます。

前に私が働いていた会社の道路を挟んで向かい側のサンフランシスコ湾沿いに、なかなか素敵な、ガラス窓の多い、2階建てのビルの建設が始まりました。そのビルの前のグラウンドで若い子がサッカーしたりするのが見えて初めて、新しい会社が入ったのに気づきました。ある日、普段はわざわざ歩いて行く事も無いその敷地の前を通る機会があったので、ついでに門をひょいと見ると、小さくネックスト・コンピュータって書いてあったので、「ああ、これが」なんて思ったものです。

黒いポルシェがスティーブの車なのは、言われずとも気がつきました。車の前に飛び込んで、「ハロー」って言って自己紹介したらどうかしら、なんて冗談を言ったもんです。会社に隣接しているサンドイッチ屋さんにスティーブが時々来ていて、合った人が「なんていやな奴なんだ」とか言ってました。私は、あんな有名人が、サンドイッチ屋で合う人ごとに、親切にしてられる訳も時間もあるはずないじゃんと思ってました。

私の会社の受付から、ネックスト・コンピュータの門を過ぎてもっと向こうのビルのガラス越しに受付が小さく見え、その受付の子とスティーブがつき合っているといううわさがありました。

私は会社ではPCを使いますが、私が初めて使ったコンピュータも、自分用に購入するコンピュータも全部、アップル。馬鹿チョンカメラ級に簡単: ソフトも自分で入れられるし、メインテナンスもほとんど必要ないので、私のようなコンピュータ音痴(無知)でも、簡単に使えるからです。

幸運なことに、日本だって、他のアメリカの会社にだって考えられないような人たちが働いているアップルに少しの間、働く事ができました。そしてそのマネージメントの考え方とその実践にふれたことは、たいへん意義のある経験でした。今でもきちっと記憶に残っています。今だにアップル以上の会社に出会った事がないのは、残念なことです。

アップルのヘッドクオーターに行った事のある人なら気がつくかもしれませんが、インフィニット・ループ1のビルを取り巻くデザインそのものが、スティーブの考え方を反映してると思います。ビルを見て、スティーブはサイクル理論を信じてるなとピーンと来ました。

アップルが、スティーブの革命的言葉が壁にどうどうと書かれているあのビルを、スティーブの記念として、ずっと残して欲しいと願うばかりです。アップルのカフェテリアには、ちょっと危険を犯して行ったものです。距離的には近いんですが、大きな道路をJ−ウォークしなければなりません。J−ウォークというのは、横断歩道でないところで道路を横切ることで、一応、道路交通法違反。虫の居所の悪いお巡りさんに見られると、チケットを切られたりすることがあります。でも車で行くと大回りなので、このJウォークが入っている「獣道」を伝ってカフェテリアへ行きます。カフェテリアの真ん中には、赤いリンゴが入っている大きなバスケットが置いてあり、誰でもピックアップできるようになってます。気の利いた習慣なんで、今まで通り、続けていくんだろう思います。ごく普通のリンゴなんですが、自分のオフィスに持って帰って、おなかのすいたときに、かじったものでした。

うさぎの糞的な、ポツポツ文章になりましたが、アップルのサイトをリンクしておきます。スティーブのイメージをクリックすると、お悔やみとか、自分の気持ちを書けるようになってます。

私達の生活や、コミュニケーションや、仕事の仕方を変えたスティーブ。パッションを持って毎日生き、新しいものを作り、生きる事に一生懸命だった彼が地球を去ってしまうのは悲しいですが、これからは果てしなく美しい銀河系宇宙を、彗星のように、ずーっと、ずーっと飛んで行くんだなーと考えるのがいいかなと、いつになくしんみりと思ってます。

家族に囲まれて、ピースフルに、眠るように逝ったということです。

追記:10月7日 CBSニュースをリンクしておきます。