2011年8月28日日曜日

17世紀オランダ傑作品展

リージョン・オブ・オナー(Legion of Honor)っていう美術館で、「オランダとフレミッシュの傑作展(Dutch and Flemish Masterworks)」というのをやってますが、ゆっくりと過去をふりかえるだけにでも、お薦め。心を落ち着かせる展覧会です。

ここで初めて、レンブラントというのが苗字じゃなくて名前なのを知ったんですが... やっぱり、レンブラントのような画家が出るということは、それ以前に、たくさんの画家が、道というか、踏み台となる土台を作ってるんだなーと思いました。

展覧会場、まず、海の絵から始まるんですが、中学だか高校でならった歴史が頭の空間にちょっとよみがえりました。そうか、オランダはスペイン以前に海を制覇、日本の出島あたりにやってきて、杉田玄白が「蘭学事始」を書くほどの、当時の大先進国だったんだなー。

写真以前の時代の絵は、詳細にすべてを描いて、舌を巻く!

下の絵は、実はこの展覧会のポスターの一部を撮った写真。高解像度なんでクリックして大きくして見ると分かりますが、犬の毛の一本、一本まで描かれててすごい! レンブラントの弟子のゲリット・ドウ(Gerrit Dou)が作者で、コピー用紙ぐらいの小さな作品なんですよ。

その時代の様子を残すという点では、あまりに写真的で愛情を持てない感じもしますが、よーく見ると面白いこともあります。例えば下の絵。
今でもアムステルダムにある教会(Westerkerk)ですが、当時はガード(兵隊)の宿舎でもありました。でも商売上手なオランダ人、出入りが簡単な一階は肉屋さんに賃貸。建物の一階をよく見ると、白いエプロンと帽子をかぶった肉屋さんが、肉を、入り口につるしてるのが見えます。ヤン・バン・デー・ヘイデン(Jan Van Der Heyden)という人の作品なんですが、この人、画家というだけでなくて、今の街灯のもとであるランプ・ポーストなどを発明した発明家でもあります。

私が面白いと思った絵は、床屋さんの絵。昔は外科医もかねていた床屋さん、怪我の手当をしてるところが描かれててるんですが、ドーセントに「なんで(干からびた)ワニが天井からつるされてるの」と聞くと、「よく効く薬だと信じられてたのよ。」へー。

天井からは、大小のこぎりやじょうぎのような「手術用具」の他に(ゾーッ)、空の鳥かごもつるさがってて、とびらが開いたまま。床屋さんの窓からは、向かいの家の煙突に、コウノトリが巣をつくってるのが見えるんですが、この「鳥かごが開いたまま」というのは、処女を失ったという意味があり、「コウノトリ」は子供。つまり、絵にちょっと描かれてる女の子は妊娠してるという意味もあることを、隣で見ていたおばさんから聞きました。

そういうこと知ってると、また違った深い楽しみ方ができるんですね。

レンブラントの絵も数枚ありました。

ところでフレミッシュというのは、オランダ人とは別民族なんですが、オランダ内に在住。「ドン・カルロ」は、確かフレミッシュの話をオペラにしたものです。

2011年8月23日火曜日

サンフランシスコ・オペラ at スターングローブ 2011

今年のスターングローブのサンフランシスコ・オペラの公園は、暑くもなく、寒くもなく、かんかんと日が照りつけるわけでもなく、フォグが入ってくるでも無く、去年と同様に、エンジョイしやすい野外パフォーマンスとなりました。

今年のメインは、嬉しいことに、ドロラ・ゼイジック(Dolora Zajick)、それに2011年のアドラー・フェロウ(Adler Fellow)の人たちが加わります。アドラー・フェロウはオペラ歌手を育てるプログラムで、ドロラ・ゼイジックもかつてはアドラー・フェロウの一員、終了後、あれよ、あれよと言う間に、世界のメゾソプラノになったわけです。
写真は、ヴァルディ作曲のマクベスから、ラグジュ ランディを歌うドロラ・ゼイジック。Youtubeに、以前彼女が歌ったビデオがあるのでリンクしておきます。

私が始めて彼女の歌うのを聞いたのは、サンフランシスコ・オペラが「イル・トロバトーレ」を上演したとき。不気味なジプシー老婆を演じたのですが、すごい声と、迫真の演技で怖くなったくらい。これはお芝居よ、と言い聞かせてバランスをとった次第です。Youtubeに、ビデオがあるのでリンクしておきます。偶然ですが、私が、ドロラの老婆を2回目に見た時(2002年)のと同じシアトル・オペラ制作

アドラー・フェローは、トレーニング中と言っても、半分はプロフェッショナル。自国へ帰れば、皆、第一線で活躍すると思いますが、特にリア・クロセトー(Leah Crocetto)、そしてブライアン・ジャグデ(Brian Jagde)は、将来、ドロラのように、国際的に有名になるかも。リアはかなりやせた感じ。まわりのアドラー・フェローがほっそりしてるので、ダイエットしてるのかも。その影響が声にも出てるように感じました。痩せると、声の響き方がちがくなるんじゃないかと思います。前の、大胆でリッチな声がもどるよう、発声法を考案して欲しいと思います。
写真(高解像度なのでクリックすると大きくなります):向かって右から、アドラー・フェローの、リア・クロセトー。いつもちょっと不安そうで、口をキッと結んだ、彼女らしい一瞬。そのとなりがスザンナ・ビラー(Susannah Billar)、マヤ・ラヒアーニ(Maya Lahyani)、ナイディーン・シエラ(Nadine Sierra)、サラ・ガートランド(Sara Gartland)、ブライアン・ジャグデ、アオ・リ(Ao Li)、そしてライアン・クスター(Ryan Kuster)。

今秋のサンフランシスコ・オペラシーズンで、リアは「トューランドット」のリュー、ライアンは同オペラでマンダリン、ナイディーンは「マジック・フルート」でパパジーナ、ブライアンは「ルクレチア・ボルジア」でヴィテロッツォ、アオは同オペラでペトルッチ、サラは9/11をオペラ化した新作オペラ、「戦士の心」でパットとアン、スザンナは同オペラでロリータとブライズメイドを演じる予定。

9/12/11: ナイディーン・シエラ(Nadine Sierra)が、「戦士の心」でジュリケットを演じました。スターングローブとは違ったナイディーンで、同じ人物とは気づきませんでした。新顔のプロと思ったくらいです。「戦士の心」のビデオクリップに彼女が歌う部分が入っているので、「戦士の心」をリンクしておきます。

2011年8月14日日曜日

バーナル・ハイツのガレージセール・デイ: がらくた論

坂で有名なサンフランシスコには、丘が七つか八つくらいありますが、バーナル・ハイツ(Bernal Heights)はその一つ。丘のてっぺんにはバーナル・ハイツ公園があります。ここから見るサンフランシスコの眺望は、サンフランシスコ一の絶景。

観光バスがツィンピーク(Twin Peaks)に行くのは、多分、大型バスでてっぺんまで行けるから。バーナル・ハイツ公園から見るサンフランシスコは、ツインピークの「はるかーな展望」とは違って、足元にダウンタウンが超リアルに迫る3D。

ふもとから公園まで住宅がひしぎあうこのバーナル・ハイツでは、年に一回、地域全体でまとめて行うガレージセールが開かれます。参加する、しないは各家庭、個人の自由。

参加する人は当日、自宅の前の歩道にデスクを持ち出し、一年間ためておいた不要品を思い思いに陳列。趣味の悪いのもいれば、センスのいいのもあります。着なくなった服や子供のおもちゃ、読んでしまった本、机、棚、旅行用ラッゲージなどの粗大ゴミ、その他もろもろを捨て値で売って片付けるには良いチャンス。麦わら帽をかぶり、椅子に座って、本を読んだり、音楽を聞きながら店番。

昼近くにファーマーズ・マーケットへ行く途中で、コミュニティー・ガレージセールが今日なのに気づいた私、帰路までにはめぼしいものはすでに売られてしまったようですが、写真を数枚、アップロードしておきます。

人の売り出すものを見るのも面白いもの。こんな光景があちこちに。
すてきな女性用トップ。
よくまあ、がらくたをそろえたもの。自分の事はさておき、私のがらくた論を展開すると、:1)お金がちょっとでも余ると、ジャンク(junk がらくた)を買っちゃうんだねー。皆、お金が無い、無いって言うけど、発展途上国に比べるとありすぎるんじゃないの? 要するに、地球レベルの無駄が発生してる。2)それとも、貧乏人は生活に追われ、お金を貯めて大きな買いもをするというのが不可能。で、ちょっとでもお金が余れば、気晴らしにこういうジャンクに使っちゃう。う〜ん、両方とも正解でしょう。


バナナの鉢も、ゲイメン向けポースターも、ブラジルの国旗も売り物。塀のなかは本や食器やアクセサリーでいっぱいでした。ステレオがんがんで、ガレージセール兼ダンスパーティが進行中。
バーナル・ハイツのガレージセールは、地域総出のリサイクル・パーティ。近所の人たちと久しぶりにおしゃべりしたり、通りがかりの人たちと顔見知りになる機会でもあります。






2011年8月1日月曜日

サンフランシスコ・バレエ at スターングローブ・2011

聴衆にとっては、寒くもなく、暑くもなく、サンスクリーンもいらず、去年みたいにしぐれになるわけでも無く、鑑賞しやすい一日となりました。

今回、うんと興味があったのは、去年入団したばかりで、コールドバレエにいるマイルズ・サッチャー(Myles Thatcher)君が振付けしたバレエ。題は「タイムピース(Timepiece)」。変化もあり、複雑なペアのフォームもあり、まとまってて、新人の振付けとしてはよかったです。
タイムピースが終わったあとのお辞儀をするサンフランシスコ・バレースクールの人たち。

インターミッションのあと、ヘルギ・トマソン(Helgi Tomasson)振付けの「7・フォオ・エイト(7 for Eight)」。これだけ単独で見ると、悪くはないです。それともマリア・カチェコーバの踊りがよかったせいでしょうか。

ジェイミ・ガルシア・カステラ(Jaime Garcia Castilla)は、いつも安定して動きがきれいで、踊りが上手だと前から思ってますが、なぜ、いつもソロリストのような役しかしないのか不思議です。舞台映えしないといえばしない人なんですが... 
写真は「7・フォオ・エイト」を前にウオームアップ中のマリア・カチェコーバ(Maria Kochetkova)とルーベン・マーチン(Ruben Martin)。ルーベンがくるみ割り人形の王子様をやると、本当に王子様のような気がしますが、あまりお化粧っけのないときに見ると、おじさんぽいところあるようになっちゃったんですね。ちょっと太ったみたい。

最後は、ビゼーの音楽を使った、バレンシンの「シンフォニー・イン・C(Symphony in C)」。
写真上:解像度の高い写真を入れといたので、写真をクリックすると、大きくなります。

前列真ん中の男の子がイザック・ヘルナンデス(Isaac Hernandez)、向かって一番右端の男の子がローニー・ウィークス(Lonnie Weeks)。ヘルギに気に入られているんでしょうか、最近しょっちゅう起用される、去年入団したばかりのコールドバレエの一人。ローニーの左腕後ろに顔がちょっと見える男の子が、タイムピースを振付けしたマイルズ君。
写真上:高解像度写真。前列右から3人目の男の子が2010冬に入団したビットー・マッツエオ(Vito Mazeo)。私が楽しみにしていたアルテム・ヤチメニコフは、どうも即座に退団したもよう。そのかわり、ビットーがプリンシパルへ昇格。ビットーのアルブレヒト(ヤン・ヤン・タンがジゼル)を見たことがあるんですが、ちょっと後悔したあと、すぐに18才のあ陽気な若者にもどっちゃうんで、大しらけ。なんでプリンシパルに抜擢されたのかは、わたしには不思議。ビットーのお相手が、プリンシパルのソフィアン・シルビ(Sofiane Sylve)。ローニーのお相手をしてる女の子は、コールドバレエの一員のニコール・シャッポーニ(Nicole Ciapponi)。彼女もローニーとペアでよく起用されてます。

楽しく元気がでるピース。聴衆の喝采を受けてました。

2/20/2012: ビデオクリップが見つかったのでリンクしておきます。