2012年7月5日木曜日

パクストンゲートの縦型庭園、最近のようす

まえにパクストンゲートの縦型庭園について書きましたが、今はこんな具合という写真をアップロードしておきます。
2週間ぐらい前の写真。花が咲いてます。

2012年7月2日月曜日

サンフランシスコ・オペラの英語版「魔笛」

2012年、夏のサンフランシスコ・オペラの第三弾は、英語版「魔笛」。

英語版なんて大丈夫かなと思ったんですけど、聞きやすーい! せりふの全部が全部、わかるわけじゃないんですが、字幕を見なくていいのって楽。イタリア人やドイツ人は、こんな感じで聞いてるのか!

聞きやすい一方、モーツアルトっていうか、あの頃の貴族って女性蔑視というか、そうしたい欲望で満ちあふれてるというか、「女はこれこれこうだから、まともに聞いちゃいけない」風の歌詞が、あちこちに散りばめられてるのに気づかぜるを得ず、ちょっと不快。コンテクストが違うのでまともに今風に受け止めるべきではありませんが、子供が多かったんで影響悪いという感じ。お客さんもざわざわしたり、困った風、あきれ風の笑ったりでした。

ハイディ・ストーバ(Heidi Stober)がパミーナ、彼女、一息の声のボリュームをどんどん上げてゆくのが特に上手(アンジェラ・ゲオルギューにはかないませんけど)、テクニシャンなんですね。今までの彼女のパフォーマンスの中では一番上手にやってました。

夜の女王をやったのはアルビナ・シャギムラトーバ(Albina Shaginuratova)という人だったんですけど、数年前の夜の女王様よりはよかったです。

鳥猟師、パパジーナをやったのはいつもどおりネイサン・ガン(Nathan Gunn)。彼、英語で歌う方が上手。せりふには今風のジョークも入ってて、卵の世話もする「持続狩猟」師だなんて自己紹介し、お客さんの笑いを誘ってました。
鳥猟師のパパジーナ。

三人の侍女が良かったです。英語のせいなので言ってる事が分かりやすいせいなのかも。また「アッティラ」の時も思ったんですけど、舞台の前面は余裕があるんですが、絶対に歌い手が出てこない場所があります。下はオーケストラ・ピットがあって、もし舞台から落ちたら危険だからでしょうが、アッティラの時もニクソン・イン・チャイナでも、今シーズンは、出演者が今まで足を踏み入れなかった前面まで出てきて歌ってる事。ディレクターの指示に間違いありません。聞きやすい事は確かですが、ちょっと疑問印。

サラステロは私の好きなクリスティン・シグモンドソン(Kristinn Sigmundsson)。彼はスイス人なんですが、英語でも上手に歌ってました。

真ん中のカラフルな、歌舞伎役者のような衣装を来ているのがサラステロ。不思議な国のアリス風のブルーのドレスがパミーナ。一幕と三幕でこの衣装を着用。

パミーナの二幕目の衣装。一幕目ではロイヤルブルーに黒白横縞だったんですが、二幕目では黒白渦巻き縞。三段の段々スカートで、前の部分だけ、開いた扇形に渦巻きがついてます。
ドレスの全部が見られなくて残念! ハイディのパミーナとアレック・シャレイダー(Alek Shrader)のタミーノ。

真っ赤な夜の女王様の衣装、特に帽子はエレクトニクス時代にぴったり! すごく気に入りました。

今回の魔笛は子供の観客が多く、子供の笑い声があちこちで。動物が受けてて、特にパパジーノとパパゲーナが歌ってるときに出てくる鳥の子供が、みんなの喝采を浴びてました。
  7月10日追記:今回の魔笛のビデオクリップがあるのでリンクしておきます。 新聞のレビューと写真はこちら。写真は16枚もあります。  

2012年7月1日日曜日

サンフランシスコ・オペラのグランドオペラ、「アッティラ」

2012年、夏のサンフランシスコ・オペラの第二弾はヴェルディの「アッティラ」。

お話: フンの国王、アッティラが、ローマ遠征にのぞみますが、捕虜にしたアマゾンのような女性軍団隊長のオダベラの意気が気に入り、自由だけでなく、自分の剣まであたえます。オダベラは野蛮人であるはずのアッティラの見かけとは違う寛容さに心をひかれるんですが、婚礼の夜、父王のかたきであるアッティラを刺殺、仇をとるというお話。

オダベラの他、ローマ王の使者である将軍、エジオと、アッティラの信頼の深い奴隷(昔は征服すると負けた側を奴隷にしたんです。労働者不足だったんですね。)のウルディオと、オダベラの婚約者、フォレスト、がメインキャラクター。2人とも道理あるアッティラにひかれ尊敬しますが、それそれ個人の思惑でアッティラを裏切ります。

エジオの場合: 「ローマ王といってもたかが子供、そんな子供がアッティラと和平交渉を結んだからすぐにローマへ帰れとはなんだ。ローマ王が一番恐れているのはアッティラでなく、武勇で名高いこの私。私はアッティラを討つ!」 というわけで、アッティラが主催する和平協定記念のディナーパーティーで、ウルディオを巻き込んで、アッティラを毒殺する計画を立てます。
写真はイタリア人バスのフェルシオ・ファラネット(Ferruccio Furlanetto)が演じるアッティラと、バリトンのクゥイン・ケルシー(Quinn Kelsey)が演じるエジオで二重唱。

オダベラの場合: 父の仇をとらねばと思いながら、「あのお酒を飲んだらアッティラは死んでしまう!」と、アッティラの手から毒入りの杯を叩き落とします。アッティラは彼女にご褒美として、自分のワイフ、王妃にしようとします。しかし父の仇をとらねば裏切り者になってしまうと、婚礼の夜にアッティラを刺殺。

フォレスト:オダベラを愛するフォレストは、オダベラがアッティラと話してるのを見て猛烈にジェラシー。「愛」という名のもと、オダベラに、「敵方の王と親しく話をするなんて、お前は裏切り者だ!」と決めつけ、最後までプレッシャー。攻めに出る直前に「こんなときに嫉妬してる場合じゃない」とエジオにたしなめられるほど。

アッティラは、「お前達3人は、ローマとの和平交渉が成立しても、まだ裏でこそこそと策略をねってるのか!」を最後の言葉に、オダベラの刃に倒れます。

久々のグランド・オペラ。コーラスの人たち全員とエキストラで舞台はいっぱい。コーラスが入るとオペラに厚みが出て本当に豪華。キリスト教臭いオペラはあまりにプロパガンダすぎて好きじゃないですが、のりとブリーチが効いてそうな白い法衣がライトを浴びてパーッと浮かび上がりサンサンと映えるとスペクタクル! キリスト教徒だと神々しく感じて、思わず十字をきるなんてことがあるんじゃないかと思います。もっともアッティラが支配してたのは5世紀、こんな真っ白な衣装はあり得なかったでしょう。

上のスナップショットで右端の法皇役を演じてるのはサミュエル・ラメイ(Samuel Ramey)。1991年、サンフランシスコ・オペラが同じアッティラを上演したとき、アッティラ役をやったのは彼でした。それを含めてサミュエル・ラメイを何度が聞いたことありますが、ワールドクラスのバスバリトン。現在70才ですが、さすが声は昔のまま。

オダベラを演じたのはベネズエラ人ソプラノのルクレシア・ガルシア(Lucrecia Garcia)。アニタ・ラチベリシビリに似てる、私の好きなタイプの声で、会場を圧倒。目がくりくりと大きく、ポケモンの可愛いキャラクターみたい、それが「胸にさらしをまいて戦う」と、大きな剣を空に振り上げてキッとにらむとなんか可笑しくて、会場に笑い声。もちっと痩せると前か後ろかがよくわかるようになると思うんですけど。2012年夏シーズンで最大のゴージャスな声をしたソプラノでした。

フォレストを演じたのはメキシコ人テナーのディエゴ・トルレ(Diego Torre)。よかったですけど、歌の最後、もうちょっと声をのばして聴衆を詠嘆させて欲しいというその手前で終わっちゃうんで、残念。

たまにはグランド・オペラもいいもんです。ここに初日の公演のビデオをつけておきます。 新聞の写真とレビューを見たい人はこちらへ