2014年4月27日日曜日

新国立劇場の「ファスター」と「カルミナ・ブラーナ」

ディビット・ビントレー(David Bentley)の振付けを見に新国立劇場へ。

「ファースター」は、ロンドン・オリンピックがどうのこうのとか書いてあったので、どんなのだろって思ってたんですけど、振付けを創る気になれなかった振付けという感じ。ダンサーもしなやかにも優雅にもなりきれず、かといってアスレチックでもなく、私はと言えば、舞台とは切り離されたままで、居所無しでした。北島八郎の「祭り」のバックで踊りの振付けやダンサーの方が面白いというのが本音。

「カルミナ・バラーナ」については歌唱付きという事だけ知ってて、それに興味を持ったので、楽しみにしていました。

合唱から始まるんですけど、イントロの運命の女神のパフォーマンスの後、白くて長いドレスを着た3人の女性が登場。お腹あたりの線が変だな、ドレスのせいかなっと思わず座席で座り直して見ると、3人とも妊娠5ヶ月ぐらい?! それが、舞台いっぱいにはられた洗濯物の前を、細い体にお腹をゆるり、ゆるりと、ドレスのすそをふりながら入場してくるのが意表をついてて、また白い素敵なコスチュームのおかげ大で面白く、楽しく見え(この部分を演じたダンサーの皆さんに拍手!)、このとき初めて、リベレットの日本語訳がないのに気づき、残念に思いました。

新国立劇場のホームページからのスナップショット

すごく印象に残ったのは2幕目から歌いだした、萩原潤さんのカウンターテノールのクリアーではっきりとした声。アメリカでも何人かカウンターテナーを聞いた事がありますが、今まで聞いた中ではピカ一。新国立劇場はサンフランシスコ・オペラ・ハウスのサイズの約半分強なので、彼がサンフランシスコで歌った場合、どのくらい声が届くかはわかりませんが、是非、アメリカでオーディションに出て、世界のドアをノックして見て欲しいと思いました。

合唱に関しては、以前、ホフマン物語を聞いたときも思ったんですけど、声が若くてエネルギッシュでストレートでいいんですが、しばらく聞いてると、ただそれだけで、声のバラエティーがなく、単調。 サンフランシスコ・オペラ合唱団の場合、いろいろな年齢の人がいるので、声にもっとバラエティがあり、合唱全体の声に深さと幅があります。アメリカでは、年齢差別は憲法違反なので、もっと幅広い年齢層が合唱団にも入っているせいじゃないかと思います。それが喜びとか悲しみとかを表現する際、大きなプラスになってると思いました。

日本の仕事に対する年齢制限が、こんなとこまで響いているとういうことがあるとしたら悲しい事です。合唱団、せめて特殊事情を理由に、合唱団員の幅を広げてみるのはありなんではないでしょうか。

パフォーマンス後に、ディビット・ベントレーさんの作品のビデオがあり、彼が「パゴダの王子」というのを日本で、多分、新国立劇場バレエ団のために、制作したのを知りました。なんとなく、ケイス・マクシミリアンの作品に似たところがあるので、是非見たいと思ってます。