2014年11月10日月曜日

ネトロブコの「イル・トロヴァトーレ」

ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ(Il Trovatore)」を見て久しぶりに感激。

2014年ザルツブルク・フェスティバルで8月15日にライブでウェブ放送されたもののビデオ版のウェブキャーストで、アンナ・ネトロブコ(Anna Netrebko)がレオノーラ、プラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)がルーナ伯爵、フランセスコ・メリ(Francesco Meli)という多分イタリア人がマンリーコ。

サンフランシスコ・オペラで「愛の妙薬」のアディーナ役を演じてデビューしたネトロブコを見たのが最初。まだ若くてほっそりとして色白で、今ほど自信たっぷりではなく、ちょっと神経質そうな感じがあった彼女が少女風にワゴン(?)から降りてきて歌うシーンが私の中に今でも残ってます。「この人、ちょっといいじゃん」と思ったけど、ロシアを代表する、世界の押しも押されぬトップ・ソプラノに成長するとは、そのときは知りようもありませんでした... ボヘミアンでマゼッタをやった彼女のキャラクターは薄っぺらな感じがしてあまり好きになれなく、残念でした。「椿姫」でバイレッタをやったとき彼女の声がひどく変わって深くダークになってたときのおどろき、そしてそれが出産後だったことを知ってさらに驚いた事... 今、彼女の「恋はバラ色の翼にのって(D'amor sull'ali rosee)」を聞いてますがこの公演では最高のパフォーマンス!椿姫の時のダークさはなくなってました。こんな声と歌い方、演じ方を創ったアンナ、嬉しいです。

中央がネトロブコ、向かって左がドミンゴ、右がフランシスコ・メリ。

今回の素晴らしい発見はフランシスコ・メリ。まわりのベテランにひけをとらない。まだ若い、素晴らしいテナー。「ああ、美しい人(Ah si, ben mio)

ジプシー占い師のアズチェーナを演じたのはカナダ人のマリー・ニコール・レミュー(? Marie-Nicole Lemieux)。息のつぎ方とぶれるとこがちょっと気になるが声は悪くないので他の役をやったらいいと思うけど、ドロラ・ゼイジャック(Dolora Zajick)のアズチェーナを知ってる私にはちょっと不満。これからの人なんでしょう。

ネトロブコとダイアナ・ヘイラーのイネス

たとえウェブキャストでも、世界のオペラをこうして聞けるなんて感動!ああ、日本のオペラではちょっと寂しい。