2009年10月19日月曜日

サンフランシスコ オペラ: サロメ

オスカー・ワイルドの劇、「サロメ」をベースにしたシュトラウスの同名のオペラ、観客を最後まで引き込む力満点のパフォーマンスでした。

成功の理由その1)三つの巨大な円をモチーフにした舞台装置をあげたいと思います。写真左の大きなマンホールが下手で、メインのキャラクター(サロメ、ヘロデ王と王妃)はみなここから登場します。

二つ目は、舞台上の光の円、月光。ほとんどのアクションはこの円内で起こります。

三つ目は写真では見えませんが、舞台正面の巨大な錠付き円蓋で、予言者ヨハネが閉じ込められている地下牢への入口です。

舞台そのものは広々としてるんですが、三つの円のために、潜水艦の中にいるような圧迫感を感じさせます。

(写真:ヨハネの首を見つめるサロメと、それを見つめる母親の王妃。)

その2)サロメを演じる Nadja Michael(ナジャ・マイケル)の声は、暗闇に満月の光を浴びてぎらりと輝く、長い剣のよう!  闇夜に響き渡る最初の一声で、オペラ、「サロメ」のサクセスは約束されたと思うほどです。

技術的にどうのこうのというより、「あのほっそりした体で?!」と、聞く方がうろたえるほど、迫力のある声です。(写真:サロメのローカットのドレス。後ろにぼんやりと牢獄へ続く円蓋が見えます。)

その3)兵隊が常時舞台にいるんですが、その黒いレザーの衣装が、サドマゾチック。さらに舞台に圧力を加えます。

対称的に無防備な肌を見せるのは、サロメ姫と、彼女が一目惚れする若き予言者ヨハネ。このコスチュームの対称性もドラマを盛り上げます。

その4)踊りを披露すれば願い事をかなえてやると約束したヘロデ王の懇請により、サロメが「7つのベールの踊り」を踊りますが、驚きなのは、ナジャ・マイケルは踊れる! 最後のベールを取るさいには、ワイルドの「サロメ」の伝統通り、一瞬ですが、しっかり裸になりました。

(ヨハネの生首を手に入れたサロメ、混乱しつつも状況を理解しようとするんですが...)

16才のサロメが、聖者ヨハネに「あなたの体にさわらせて...(ヨハネは ためだ!) あなたの髪に触らせて...(だめだ) あなたの唇にキスさせて...(だめだ)」と、自分のデザイアを打ち明けます。

この唄、アールヌーボー風というか、グスタフ・クリムトの妖しくも美しい絵が、頭の中にポゥーと浮かびあがりました。

自分の欲望に目覚め、その欲望を達成したいと望んだ女の子は、はじめて個としての自立への道に第一歩を踏み入れるのですが、そのために... 定番通り、死ぬ事になります... (つい最近まで、自分の欲望に目覚る女の子は危険視されてたんです。眠りの森の美女のように、男の子に目覚めさせてもらわなければならなかったんですね。)

このオペラ、あと4回ほどサンフランシスコ(ビデオクリップ)でやるんですが、オペラファンには、お薦めです。

2009年10月18日日曜日

続編、台風18号

日本で、死者を含めて大きな災害をもたらした台風18号が、10月13日(火)、サンフランシスコ・ベイ・エリアに早朝接近、カリフォルニアを一日がかりで横断しました。 

それだけなら、「わっ−、凄い風! 凄い雨!」でおわったんですが...

お昼頃、いつもは蓮花の上の仏陀のように静かで落ち着いている IT のジョーが私のオフィスに息をきらしながら現れ、「僕、ちょうど運転してて、危ないと思ったから、携帯電話で車を動かすようにと言おうと思ってたんだけど、遅かった。ピリットの車の上に木が倒れた!」

社員専用出入口のガラス越しに見ると、やややっ、本当だ。
途方にくれてると、ジムが「エドウィン(施設運営管理部のマネージャー)にすぐ連絡したほうがいい!」

エドウィンが運営管理部の人たちをつれて意外に速く現れる:

「(会社の建っている)敷地の管理人(Property Managerといいます)に連絡するから、ピリットは車の保険会社にすぐに連絡して。その後に管理人にチェインソーで木を切ってもらうよ。じゃないと車を動かせない。」

なんだか、あっちこっちで被害が出てるらしく、なかなか電話が通じない。

この頃までには、私の車が見える、ありとあらゆるガラス張りの所には社員が鈴なり! 事件は私を取り残して、一人歩きしだしたという感じをちょっと、味わいました。

結局、修理は保険会社持ち、天災なので、私の保険料は、来年も変わらないとのことなので一息つく。アメリカでは、事故を起こすと、誰が悪いに関係なく、翌年の保険料が上がるという、変なシステムなのです。

英語で台風は「Typhoon」って言うんですが、日本で大暴れしたTyphoonが、サンフランシスコ・ベイ・エリアまでやってくるなんて、はじめての事です。

2009年10月10日土曜日

がんばれ!ミッション・ストリート・フード

最近、サンフランシスコで静かな評判を呼んでるのが、ミッション・ストリート・フード。といっても看板なんかありません。

私も、開店前に並び始める人たちの列で、「ここって何?」と、興味を持った次第です。

ミッション・ストリート・フード(Mission Street Food)の特色第一は、木曜日と、土曜日の夜しかオープンしないこと。

第二は、売り上げから経費を引いた残りは全部、慈善団体へ寄付。「フードバンク(Food Bank)」や「オープンハンド」のような、食うのに困っている人たちに食物を提供する団体を中心に寄付という、すごーく賛同できる趣旨です。

第三は、メニューは晩ごとに変化、ウェブサイトで発表します

第四は、シェフはアンソニー・ミント君ですが、ゲストシェフが頻繁に登場するらしく、ウェブサイトをチェックすると、わかるようになってます。

さらに、ウェブには、当日のメニューのテーマが書いてあるんですが、その文章の書き方も内容も、「レストラン」という枠を十分にはみだしていて、エネルギーを感じるだけでなく、思わずニタリとさせられたり、好奇心をかき立てられます。

私が行ったのは10月3日。

テーマは、「小さなチャイナの大きな問題」。映画のタイトルからとったようで、寄付金先は、チャイナタウンのホームレスに食事を出す団体。一緒に行った友達に聞いたら、子供の頃そんな名前の映画を見たと行ってました(えっ、そんな昔のこと?)。

すごくおいしかったのは、あげる温度も時間もぴたっしというのがわかる、ジューシーな、けっこう厚いタラのフライ。付け合わせがフュージョンもいいとこで、アボガドからつくる「ワカモリ」(写真右下)。ケージョン風に黒くやいたお豆腐もいけすじだったんですが、ちょっと薄すぎる気がしました(写真右上)。ビーフは、お塩が濃いめにかかっている部分があったので残念。付け合わせのプチトマトのローストがおいしかったです(写真中央)。

左手のワインの瓶には水が入ってます。忙しくなると、水を注ぎ足している暇がないためか、始めからテーブルにおいてあります。暗くなる前だと、これがレストラン内でぼーっと浮き上がるような感じになり、以外ときれい。

食材が開店中になくなるという事態が発生してから、来店予定のお客さんは、すべてメールによる予約制になりました。

なお、このお店は、Mission Streetの18番通りと19番通りの間という、安全度の低い場所にあるので、日が短くなるこれからは特に要注意。大都会の怖さを心得ているアメリカ人と一緒に行く事を強くお薦めします。ドレスダウンは必須です。