2010年1月25日月曜日

サンフランシスコ バレエの「白鳥の湖」

今回の「白鳥の湖」は新しいプロダクションと言っても、去年が初演なので、今年で2回目。もっとも踊り方がちょっと変更されてるような印象を受けました...

このプロダクションの面白い点は、白鳥の顔のメーク。通常のとぜんぜん違います。

オデッタ(白鳥)/オディール(黒鳥)は、「良女」と「悪女」を表してると言われてます。王子を信じるオデッタは「純粋」で「純潔」、王子を誘惑し、騙すオディールは「悪女」なので、オデッタとは対称的に、メークも踊りも、派手で大胆です。

そういうダイカトミィに揺さぶりをかけるのが、今回のプロダクションのメーク。写真はオデッタ。衣装もヘッドドレスも純白なんですが、目のまわりに分厚くに隈を入れるので顔が「悪っぽい」イメージ。「純粋の象徴のように思われてるけど、ちょっと後ろめたいところもある私よ」と、メークが言ってる感じです。

一方、オディールは、純粋なオデッタよりも、顔のメークが白っぽい。目のまわりの隈がオデッタのように誇張されてません。「100パーセント『悪』と思われてる私にも、純真なところがあるの」とでも言ってるかのようです。

しかし顔の表情は、しっかり、王子の気持ちを手玉にとるオディール。

今回、私が見たのは、サンフランシスコ・バレエ入団2年目の、若年(20才未満)マリア・コチャコーバ(Maria Kochetokova 両写真)のオデッタ/オディールなんですが、昨年、バレエ団の押しも押されぬトッププリマドンナである、ヤン・ヤン・タン(Yuan Yuan Tan)が初演で演じた、オデッタ/オディールの、メーク上での役割の逆転はもっと顕著。黒鳥には、白鳥のような隈は避けられてます。ここにゆくとヤン・ヤン・タンの黒鳥が見られます。黒鳥のメークに注目してください。ビデオ終部には2010年と書かれてますが、パートナーがテート・ヘリメッツなので、2009年の白鳥の湖です。

頭全体を覆うヘッドドレスはと言えば、やはり、通常とは段違い、ジェネレーションXの白鳥という感じです。

このプロダクションのメーク、頭飾りとも、マシュー・ボーンの白鳥の湖のを思い起こさせるのに十分。とくに黒鳥の頭飾りは、マシューの白鳥の額に描かれた、黒々と太いくさびの刻印を思い出させます。

この公演は、1月31日が最終日です。

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