2011年9月12日月曜日

サンフランシスコ・オペラの「戦士の心」初演

昨夜は、新作オペラ、「戦士の心(Heart of a Soldier)」の初演でした。

イギリス、アメリカ、アフリカ、ベトナムと、イスラム文化が、傭兵・兵士の視線の中で出会い、9/11で、ピークを迎えるという、スケールの大きい異色ドラマ。サンフランシスコ・オペラが、作曲家、クリストファー・シーファニーダス(Christopher Theofanidis)に依頼して、ジェームス・スチュワート(James Stewart)の同題の実話をオペラ化したものです。

お話: イギリス人傭兵のリック・リスコーラ(Rick Rescorla)と、アメリカ人傭兵のダン・ヒル(Dan Hill)1962年のアフリカの戦場で出会います。気のあう2人は、リックのアメリカ人帰化後、米軍に入隊、1965年に2人とも、士官としてベトナムへ。そしてベトコンに囲まれて危うく命を落としそうになるダンをリックが、軍の指令を無視して救出、友情はさらに深まります。

1998年、リックはモーガン・スタンレーに安全部重役として入社、ニューヨークのワールド・トレード・センターのオフィスに勤務。スーザンと出会って再婚します。

ダンはイスラム教に惹かれて改宗、アメリカの市民生活に適合できずに、再び、兵士としてアフガニスタンへ出兵。リックに依頼されて、ワールド・トレード・センターの安全性を検討、双子ビルは、テロリストの地上と空中からの攻撃に弱いという結論に達します。それを基に、リックは、異常時が発生した際の避難訓練を企画し実施。非常時に、隣にいる人とパートナーを組み、歌を歌いながら、オフィスのトップ階(トップは107回でレストラン)の106階のオフィスから、地上へ、階段を使って避難するというもの。重役でも、この訓練をさぼることはできません。

あの9月11日、リックは、ビル管理側の命令を無視して、直ちに避難命令を出し、その結果、モーガン・スタンレーのほとんど全社員にあたる2700人が、ビル崩壊前に脱出に成功、命拾いをしますが、残りの人がいるかどうかを確かめるためにビル内に戻ったのが、リックの最期となります。

戦場での兵士同士の交流や、親友であることの確かめ方などのリベレットがわかりやすく、ユーモアたっぷりで、映画のような感じ。

スーザンもリックも50代で離婚の経験者。出会いの不安と心のときめきを歌うスーザンですが、気持ちが正直に描かれていて感動。リベレットを作る人の力はすごいものです。写真下:リックを演じるトーマス・ハンプソン(Thomas Hampson)と、スーザンを演じるメロディー・ムーア(Melody Moore)。トーマス・ハンプソンがSFでフィガロを演じた時から好きなバリトンです。

ダンを演じたのはウィリアム・バーデン(William Burden)は、ハンプソンを凌ぐ力強いパフォーマンス。また是非、サンフランシスコに来て欲しいです。写真下:イスラム教への改宗を決心するダン。

アドラー・フェロー一年目のネイディーン・シエラ(Nadine Sierra)がジュリエットを演じたのですが、役になりきる力、またアリアそのものもよかったです。戦場へ出す手紙に香水をしみ込ませるなんて、以前だったらばかばかしいくらいにしか思わなかったと思いますが、ネイディーンの歌で、命への願いとかが伝わってきました。悲しいことです。写真下:トムを演じるマイケル・サムエル(Michael Sumuel)とジュリエット。彼もよかったです。

今回は、いつもとはちょっと違う人たちが劇場内にたくさん。私のいたところには、アメリカ人軍人用一画が設けられていたので、制服を着た兵隊さんがどんな反応をするかと、ちょっと興味津々。多分、普段はオペラには縁がない人たちと思いますが、でもストーリーがうまく語られてたので十二分に受けてました。

スコアもよかったです。特に始まりの部分は、息を吸い込むと広がる胸のように、スコアが聴覚を解放するようで、これから違った世界へ連れていくんだなと、感じさせます。

2幕目の最期の部分は、演出等々、もうちょっと向上できる余地があると思いますが、第一幕はたいへんうまくまとめられてました。一幕目の最後にモスラムの歌とメロディー(Mohannad Mchallah)が入るのですが、それが欧米のスコアとの相性がたいへんよいのでびっくり、モスラムの旋律の美しさに目が覚める感じ、心をふわーっと背中の後ろの方の、地球上の未知の世界へ広がせる感じです。この部分は、イスラムには拒絶反応を示すアメリカの現状をしっかと意識した、勇気ある演出でした。

私はサンフランシスコオペラのディレクターのディビッド・ゴックリー(David Gockley)は好きじゃないんですが、このような、今までのオペラでは取り上げることがあり得なかった題材を、これまた完全に無視されてきた視点から、異文化に接近し、スノッブと言われる理由がなきにしもあらずのオペラというミディアムで、堂々上演させた力は、しぶしぶですけど、高く評価したいと思います。

Youtubeにビデオクリップがあるので、リンクしておきます。

追記:9/14/11: SF Gateに、オペラのレビューと写真が載ってるのでリンクしておきます。

追記 2: 10/2/11 9月30日最終公演、ハンプソン、世界トップ・プロの実力を十分に見せるパフォーマンス。ダンとの合唱は、2人の力量が見合って心が通い、素晴らしかったです。やはり、初日では、ハンプソンさんの大きな体は、まだウォームアップが十分でなかったのかも。彼が、まだまだ歌える事がわかって嬉しかったです。

2011年8月28日日曜日

17世紀オランダ傑作品展

リージョン・オブ・オナー(Legion of Honor)っていう美術館で、「オランダとフレミッシュの傑作展(Dutch and Flemish Masterworks)」というのをやってますが、ゆっくりと過去をふりかえるだけにでも、お薦め。心を落ち着かせる展覧会です。

ここで初めて、レンブラントというのが苗字じゃなくて名前なのを知ったんですが... やっぱり、レンブラントのような画家が出るということは、それ以前に、たくさんの画家が、道というか、踏み台となる土台を作ってるんだなーと思いました。

展覧会場、まず、海の絵から始まるんですが、中学だか高校でならった歴史が頭の空間にちょっとよみがえりました。そうか、オランダはスペイン以前に海を制覇、日本の出島あたりにやってきて、杉田玄白が「蘭学事始」を書くほどの、当時の大先進国だったんだなー。

写真以前の時代の絵は、詳細にすべてを描いて、舌を巻く!

下の絵は、実はこの展覧会のポスターの一部を撮った写真。高解像度なんでクリックして大きくして見ると分かりますが、犬の毛の一本、一本まで描かれててすごい! レンブラントの弟子のゲリット・ドウ(Gerrit Dou)が作者で、コピー用紙ぐらいの小さな作品なんですよ。

その時代の様子を残すという点では、あまりに写真的で愛情を持てない感じもしますが、よーく見ると面白いこともあります。例えば下の絵。
今でもアムステルダムにある教会(Westerkerk)ですが、当時はガード(兵隊)の宿舎でもありました。でも商売上手なオランダ人、出入りが簡単な一階は肉屋さんに賃貸。建物の一階をよく見ると、白いエプロンと帽子をかぶった肉屋さんが、肉を、入り口につるしてるのが見えます。ヤン・バン・デー・ヘイデン(Jan Van Der Heyden)という人の作品なんですが、この人、画家というだけでなくて、今の街灯のもとであるランプ・ポーストなどを発明した発明家でもあります。

私が面白いと思った絵は、床屋さんの絵。昔は外科医もかねていた床屋さん、怪我の手当をしてるところが描かれててるんですが、ドーセントに「なんで(干からびた)ワニが天井からつるされてるの」と聞くと、「よく効く薬だと信じられてたのよ。」へー。

天井からは、大小のこぎりやじょうぎのような「手術用具」の他に(ゾーッ)、空の鳥かごもつるさがってて、とびらが開いたまま。床屋さんの窓からは、向かいの家の煙突に、コウノトリが巣をつくってるのが見えるんですが、この「鳥かごが開いたまま」というのは、処女を失ったという意味があり、「コウノトリ」は子供。つまり、絵にちょっと描かれてる女の子は妊娠してるという意味もあることを、隣で見ていたおばさんから聞きました。

そういうこと知ってると、また違った深い楽しみ方ができるんですね。

レンブラントの絵も数枚ありました。

ところでフレミッシュというのは、オランダ人とは別民族なんですが、オランダ内に在住。「ドン・カルロ」は、確かフレミッシュの話をオペラにしたものです。

2011年8月23日火曜日

サンフランシスコ・オペラ at スターングローブ 2011

今年のスターングローブのサンフランシスコ・オペラの公園は、暑くもなく、寒くもなく、かんかんと日が照りつけるわけでもなく、フォグが入ってくるでも無く、去年と同様に、エンジョイしやすい野外パフォーマンスとなりました。

今年のメインは、嬉しいことに、ドロラ・ゼイジック(Dolora Zajick)、それに2011年のアドラー・フェロウ(Adler Fellow)の人たちが加わります。アドラー・フェロウはオペラ歌手を育てるプログラムで、ドロラ・ゼイジックもかつてはアドラー・フェロウの一員、終了後、あれよ、あれよと言う間に、世界のメゾソプラノになったわけです。
写真は、ヴァルディ作曲のマクベスから、ラグジュ ランディを歌うドロラ・ゼイジック。Youtubeに、以前彼女が歌ったビデオがあるのでリンクしておきます。

私が始めて彼女の歌うのを聞いたのは、サンフランシスコ・オペラが「イル・トロバトーレ」を上演したとき。不気味なジプシー老婆を演じたのですが、すごい声と、迫真の演技で怖くなったくらい。これはお芝居よ、と言い聞かせてバランスをとった次第です。Youtubeに、ビデオがあるのでリンクしておきます。偶然ですが、私が、ドロラの老婆を2回目に見た時(2002年)のと同じシアトル・オペラ制作。

アドラー・フェローは、トレーニング中と言っても、半分はプロフェッショナル。自国へ帰れば、皆、第一線で活躍すると思いますが、特にリア・クロセトー(Leah Crocetto)、そしてブライアン・ジャグデ(Brian Jagde)は、将来、ドロラのように、国際的に有名になるかも。リアはかなりやせた感じ。まわりのアドラー・フェローがほっそりしてるので、ダイエットしてるのかも。その影響が声にも出てるように感じました。痩せると、声の響き方がちがくなるんじゃないかと思います。前の、大胆でリッチな声がもどるよう、発声法を考案して欲しいと思います。
写真(高解像度なのでクリックすると大きくなります):向かって右から、アドラー・フェローの、リア・クロセトー。いつもちょっと不安そうで、口をキッと結んだ、彼女らしい一瞬。そのとなりがスザンナ・ビラー(Susannah Billar)、マヤ・ラヒアーニ(Maya Lahyani)、ナイディーン・シエラ(Nadine Sierra)、サラ・ガートランド(Sara Gartland)、ブライアン・ジャグデ、アオ・リ(Ao Li)、そしてライアン・クスター(Ryan Kuster)。

今秋のサンフランシスコ・オペラシーズンで、リアは「トューランドット」のリュー、ライアンは同オペラでマンダリン、ナイディーンは「マジック・フルート」でパパジーナ、ブライアンは「ルクレチア・ボルジア」でヴィテロッツォ、アオは同オペラでペトルッチ、サラは9/11をオペラ化した新作オペラ、「戦士の心」でパットとアン、スザンナは同オペラでロリータとブライズメイドを演じる予定。

9/12/11: ナイディーン・シエラ(Nadine Sierra)が、「戦士の心」でジュリケットを演じました。スターングローブとは違ったナイディーンで、同じ人物とは気づきませんでした。新顔のプロと思ったくらいです。「戦士の心」のビデオクリップに彼女が歌う部分が入っているので、「戦士の心」をリンクしておきます。

2011年8月14日日曜日

バーナル・ハイツのガレージセール・デイ: がらくた論

坂で有名なサンフランシスコには、丘が七つか八つくらいありますが、バーナル・ハイツ(Bernal Heights)はその一つ。丘のてっぺんにはバーナル・ハイツ公園があります。ここから見るサンフランシスコの眺望は、サンフランシスコ一の絶景。

観光バスがツィンピーク(Twin Peaks)に行くのは、多分、大型バスでてっぺんまで行けるから。バーナル・ハイツ公園から見るサンフランシスコは、ツインピークの「はるかーな展望」とは違って、足元にダウンタウンが超リアルに迫る3D。

ふもとから公園まで住宅がひしぎあうこのバーナル・ハイツでは、年に一回、地域全体でまとめて行うガレージセールが開かれます。参加する、しないは各家庭、個人の自由。

参加する人は当日、自宅の前の歩道にデスクを持ち出し、一年間ためておいた不要品を思い思いに陳列。趣味の悪いのもいれば、センスのいいのもあります。着なくなった服や子供のおもちゃ、読んでしまった本、机、棚、旅行用ラッゲージなどの粗大ゴミ、その他もろもろを捨て値で売って片付けるには良いチャンス。麦わら帽をかぶり、椅子に座って、本を読んだり、音楽を聞きながら店番。

昼近くにファーマーズ・マーケットへ行く途中で、コミュニティー・ガレージセールが今日なのに気づいた私、帰路までにはめぼしいものはすでに売られてしまったようですが、写真を数枚、アップロードしておきます。

人の売り出すものを見るのも面白いもの。こんな光景があちこちに。
すてきな女性用トップ。
よくまあ、がらくたをそろえたもの。自分の事はさておき、私のがらくた論を展開すると、:1)お金がちょっとでも余ると、ジャンク(junk がらくた)を買っちゃうんだねー。皆、お金が無い、無いって言うけど、発展途上国に比べるとありすぎるんじゃないの? 要するに、地球レベルの無駄が発生してる。2)それとも、貧乏人は生活に追われ、お金を貯めて大きな買いもをするというのが不可能。で、ちょっとでもお金が余れば、気晴らしにこういうジャンクに使っちゃう。う〜ん、両方とも正解でしょう。


バナナの鉢も、ゲイメン向けポースターも、ブラジルの国旗も売り物。塀のなかは本や食器やアクセサリーでいっぱいでした。ステレオがんがんで、ガレージセール兼ダンスパーティが進行中。
バーナル・ハイツのガレージセールは、地域総出のリサイクル・パーティ。近所の人たちと久しぶりにおしゃべりしたり、通りがかりの人たちと顔見知りになる機会でもあります。






2011年8月1日月曜日

サンフランシスコ・バレエ at スターングローブ・2011

聴衆にとっては、寒くもなく、暑くもなく、サンスクリーンもいらず、去年みたいにしぐれになるわけでも無く、鑑賞しやすい一日となりました。

今回、うんと興味があったのは、去年入団したばかりで、コールドバレエにいるマイルズ・サッチャー(Myles Thatcher)君が振付けしたバレエ。題は「タイムピース(Timepiece)」。変化もあり、複雑なペアのフォームもあり、まとまってて、新人の振付けとしてはよかったです。
タイムピースが終わったあとのお辞儀をするサンフランシスコ・バレースクールの人たち。

インターミッションのあと、ヘルギ・トマソン(Helgi Tomasson)振付けの「7・フォオ・エイト(7 for Eight)」。これだけ単独で見ると、悪くはないです。それともマリア・カチェコーバの踊りがよかったせいでしょうか。

ジェイミ・ガルシア・カステラ(Jaime Garcia Castilla)は、いつも安定して動きがきれいで、踊りが上手だと前から思ってますが、なぜ、いつもソロリストのような役しかしないのか不思議です。舞台映えしないといえばしない人なんですが... 
写真は「7・フォオ・エイト」を前にウオームアップ中のマリア・カチェコーバ(Maria Kochetkova)とルーベン・マーチン(Ruben Martin)。ルーベンがくるみ割り人形の王子様をやると、本当に王子様のような気がしますが、あまりお化粧っけのないときに見ると、おじさんぽいところあるようになっちゃったんですね。ちょっと太ったみたい。

最後は、ビゼーの音楽を使った、バレンシンの「シンフォニー・イン・C(Symphony in C)」。
写真上:解像度の高い写真を入れといたので、写真をクリックすると、大きくなります。

前列真ん中の男の子がイザック・ヘルナンデス(Isaac Hernandez)、向かって一番右端の男の子がローニー・ウィークス(Lonnie Weeks)。ヘルギに気に入られているんでしょうか、最近しょっちゅう起用される、去年入団したばかりのコールドバレエの一人。ローニーの左腕後ろに顔がちょっと見える男の子が、タイムピースを振付けしたマイルズ君。
写真上:高解像度写真。前列右から3人目の男の子が2010冬に入団したビットー・マッツエオ(Vito Mazeo)。私が楽しみにしていたアルテム・ヤチメニコフは、どうも即座に退団したもよう。そのかわり、ビットーがプリンシパルへ昇格。ビットーのアルブレヒト(ヤン・ヤン・タンがジゼル)を見たことがあるんですが、ちょっと後悔したあと、すぐに18才のあ陽気な若者にもどっちゃうんで、大しらけ。なんでプリンシパルに抜擢されたのかは、わたしには不思議。ビットーのお相手が、プリンシパルのソフィアン・シルビ(Sofiane Sylve)。ローニーのお相手をしてる女の子は、コールドバレエの一員のニコール・シャッポーニ(Nicole Ciapponi)。彼女もローニーとペアでよく起用されてます。

楽しく元気がでるピース。聴衆の喝采を受けてました。

2/20/2012: ビデオクリップが見つかったのでリンクしておきます。

2011年7月30日土曜日

ハワード・スターン・ショウのレディ・ガガ・ライブ

レディ・ガガ(Lady Gaga)が、ニューヨークの「ハワード・スターン・ショウ(Howard Stern Show)」で、ライブで「エッジ・オブ・グローリー(Edge of Glory)」を歌ってるのを、どこかのリンクで見て、ワーオッ! 出演したのは2011年、7月17日のようです。

彼女の「ボーン・ディス・ウェイ(Born this way)」をYoutubeで見たとき、上手だし、歌もいいし、あちこちで聞く話もおもしろいので、彼女のこと好きになりました。それ、少なくとも、10ヶ月くらい前ですが、今回、ハワード・ショウのライブを見て、彼女、いちだんと、いちだんと、さらにいちだんと上手になってて、真の、大型の「エンターテイナー」になってるのに、正直、驚きました。

ハワード・ショウで、彼女が「エッジ・オブ・グローリー」を歌ってる部分をリンクしておきます。

歌う直前の、彼女とハワードの会話が「ちょっと」なので、日本語にしときます。
 写真:ハワードに「栄光(glory)」の説明をしてるところ。

ハワード:この歌は(亡くなった)おじいさんのことだそうだね。
ガガ:そう。でももう一つあるの。人は死ぬまで「栄光」という輝かしい瞬間に到達できないってことを、わかって生きるっていう事。だから今は栄光とは一番遠い端っこの、天国と地獄の間で、煉獄で踊ったりして生きるの。」

なるほど。ちょっとカソリック臭いけど、ショービジネスなどやってると、人間、嫌でも揉まれて、世の中をそれなりの角度から、分かり始めざるを得ないんでしょうかね。でも彼女、まだ25才なんですけど。(わたしはまだこんな認識には達してません。)

ガガの歌のコントロールの仕方、感動。彼女、お客さんをエンターテインするために、全力を尽くします。

この歌を歌う前にハワードとの会話があるんですが、それもグーです。ちょっと長いですけどリンクしておきます。機会があるときに訳しておきますが、いつになるのかわからないので、一生懸命、聞いてください。

彼女がファンを、「スイートハート」と呼んでるところもグー。彼女自身の経験から、「ドラッグは絶対にしないように。わたしはやったけど、ものすごく後悔してる。この番組を聞いてるわたしのファンのスイートハートちゃんたち、ドラッグにはさわらないで。本当の悪魔よ。」とか、「女だったら皆わかると思うけど、セックスなんで24、5にならなきゃいいかどうかなんてわからないのよ。17才の子には、いったいあそこがどういうふうになっててどうなるのかさえもわかんないんだから、初体験は、遅ければ遅いほどいいわよ。」

「エッジ」の後、ガガが「ヘア(Hair)」を歌うので、リンクしておきます。

7-30-2011:ハワードとガガの全インタビューが見つかったのでリンクしておきます。記事中の真ん中の地震計が作った地震記録のような帯がインタビューです。

これを聞くと、日本のWikipediaの彼女のついての記述、半分は書き直しが必要ですね。

2011年7月26日火曜日

ミッションと24番通り近辺のミューロー

以前、ミッションのミューローについて何度か書いた事ありますが、ミッションには、たくさんのミューローがあります。一ヶ月ぐらいで再生されるのもあれば、数年は持つものもあります。新しくできるのもあります。

ミッションと24番通り(24th Street)のバート(BART)の駅を降りると、交差点にマクドナルドがあります。その裏にライラック通り(Lilac Street)という路地があるんですが、その路地をはさんだ駐車場の壁全面に、なかなか見事なミューローがあります。

ミューローにもいろいろ種類がありますが、この駐車場のは、政治的ミューロー。メキシコ系アメリカ人の団結を深めるためで、南アメリカやメキシコの現代史上の出来事を題材にしてます。そういう知識があると、描かれるてる人が誰だかわかるはずなんですが、残念ながら、わたしはその方面、知識ゼロなのでわかりません。ミューローの下のほうにある、草色の紙に黒白で書かれてるのは、チリのアジェンデ大統領じゃないかと思います。2007年に完成。

同じ駐車場の壁のミューローの続き。

ライラック通りを入って行くと、もっとマンガチックなミューローが路地の両側に描かれてます。
上のミューローの主人公の両側に、アルファベットを装飾、記号化したようなのが見えますが、これはニューヨーク・サブウェイ・スタイル式の絵文字で、最近、ミッションで、再人気が出てるらしく、よく見かけます。ニューヨークで、電車の外側にいたずら書きをしたのが始まり。
「Frisco」といのは、サンフランシスコのことですが、「サンフランシスコの人たちってクレージー!」というように馬鹿にしたり、軽蔑する気持ちを伝えたいときに使われます。ここでは、それを逆手にとって、わざと「フリスコ」という言葉を使ってます。

ミッションには多分、数百のミューローがありますが、それをまとめた写真集があるのを、今回、はじめて知りました(写真下)。表紙は、私がここで紹介したミューロー。

ハリソン通り(Harrison)とアラバマ通り(Alabama)にはさまれた24番通りに、ミューロー・アートのお店があるんですが、そこで上記の写真集と、ミューローの絵はがきを売ってます。お店の住所は、2981 24th Streetです。

なお、ライラック通りなどの路地はもちろん、ミッションから東側の24番通りは決して安全とは言えないので、暗くなってからは絶対に行かないでください。

2011年7月18日月曜日

デ・ヤングの「金曜の夜シリーズ」: ゴンザラス・バーガラ

ゴールデンゲート・パーク内のデ・ヤング美術館で、金曜日の夜シリーズ(Fiesta Friday Nights)というのをやってるんですが、けっこう本格的な演奏が楽しめる企画があります。

先週は、アルゼンチンのゴンザラス・バーガラ(Gonzalo Bergara)というギタリストとそのグループがゲスト。ジプシー・ジャズ(Gypsy Jazz)というのを、初めて聞きました。

ジプシー・ジャズってどういうのかというと、ポピュラーミュージックに詳しくない私が言うのは難しいんですが、普通のギター二台と、セロの三人演奏。派手というよりか「日常」に近い音楽、ギリシャのような「嗚咽」のメロディーとは違い、「生活」の一コマを、新らしい目で見つめて、音楽で日記するという感じです。

いやあ、ど素人の私にでも、ゴンザラスさんは大変なテクニックを持ってるギタリストというのはわかります。それを、曲をかえるごとに次から次へと披露するんですから。上の写真で右端、紫のシャツを来てるのが、ゴンザラスさん。

セロとベースのギター奏者は、「デ・ヤング美術館で演奏するんだから、」と気張って、普段は来てない背広姿で舞台にあがったに違いありません。

ゴンザラスさんが、お母さんを思ってお母さんのために作ったという曲は、作風ががらっと違ってるだけでなく、温かみややさしさが感じられ、すごくよかったです。

聴衆は演奏に大満足、演奏後はスタンディング・オベーションでした。

ビデオをとったんですが、ただいまiMovieと苦戦中なので、解決しだいリンクします。それまでは、youtubeで見つけたビデオをリンク。

9/5/11 デ・ヤングは美術館なんで、音響効果がちょっと、というところが残念ですが、ビデオクリップをYoutubeにアップロードしたので、リンクしておきます。聞き物です。

2011年7月10日日曜日

ファイナンシャル・ディストリクト探索散歩: 三角ビル辺りから

サンフランシスコ市(50マイル四方)は小さな市なんですけど、ファイナンシャル・ディストリクトには、結構、たくさんの「オープンスペース」があります。理由は市の条例。

ダウンタウンに高層ビルを立てるとき、ビルの規模に応じて、敷地・建物の一部を市民のために「オープンスペース」として解放しなければならない規則になっているからです。

モンゴメリー通り(Montgomery Street)とパイン通り(Pine Street)にある、三角ビルで有名な、トランズ・アメリカ・ビルに隣接しているオープンスペース。

市所有ではないので「公園」とは言いませんが、機能は「公園」と同じ。お昼休みには、ランチを食べたり、散歩するオフィス・ワーカーの姿が見られます。

このオープン・スペースにはマスコットが二つ、上の写真の右下に見える「子供たち」(と勝手に呼ばせてもらいます)がその一つ。

もう一つはスイレンの葉とカエルの噴水。

私は「カエル」のほうが好き。童話の世界を思い出させるからです。「子供たち」は、いきいきしてて、躍動的で、彫刻としては好きなんですが、ちょっと悲しい気がします。だってファイナンシャル・ディストリクトで、姿形を見かける事があり得ないのは、子供たちですから。

噴水のそばから外に出ると通りを隔てて、バンク・オブ・イタリーだと思いますが、白くてクラッシクな歴史的建造物に指定されてる元銀行があります。入り口はモンゴメリー通り側。一般に無料公開してるので、中へ入ると、イタリア産大理石をふんだんに使ったゴージャスな内装と金庫が見られます。

モンゴメリー通りをはさんで向かい側の路地をチャイナタウンの方へちょっと入って行くと、右側に外側がレンガでできた、金を貯蔵していた歴史的建造物があるんですが、その隣に小さい美術館に入る入り口があります。名前は忘れましたが、金の貯蔵場の他に、ときどき展示内容が変わる美術品を展示をしてるので、ちょっと寄って行くのお薦めです。無料です。

その後、モンゴメリー通りに戻り、2ブロックぐらいマーケット通りのほうへ歩くと、ウェルス・ファーゴー銀行博物館があります。西部開拓時代に、ポーニー・エクスプレス(Pony Express)という郵便やお金の配達をしたことから始まったこの銀行、馬車はもちろん、昔の小切手とか元帳とかが展示されてます。二階へ行くと、馬車に乗って雰囲気が楽しめるので、ライドはお薦めです。無料です。

食事やお茶の時間を除くと、2時間くらいあれば、全部、徒歩で見られます。

2011年7月8日金曜日

海岸の白い泡、これって何?

このあいだ、ダンバートン・ブリッジ(Dumbarton Bridge)の下に広がっている、「保護区」へ行ってきました。ここもアンティオック・デューンズ・ナショナル・ワイルドライフ・レフュージと同じで、係員の付き添いなしには入場できません。

せっかく米国野生生物庁(US Fish and Wildlife Services)の人が来てくれてるんだし、質問の一つや二つはしなくちゃと、さーて、何を聞こうかな...

時期のせいか、時間のせいか、鳥の姿はゼロ。でも白い泡のようなものが波打ち際にずーっと続いてるのがだんだん気になってきます。風に飛ばされてトレールの横の草にも絡みついたまま、泡のまま固まって灰色になってるのもあります。

この白い泡は昔から気になってたなー。公害のせいかしらね...

「ハイ、ジェニファー(誰かがそう呼んでるのが聞こえたんです)、前から気になってたんだけど、あの白い泡は何なの?」

「海の水にはいろんなタンパク質が混じってるの。それが波打ち際の波の回転運動のおかげで固まってあんな泡ができるの。公害のせいじゃないのよ。」

何でも知ってるんですね。おかげで謎が解けました。すっかり気をよくした私は、「じゃあ、あの赤いのは何?」

「あれは寄生植物。ホストの植物は『ピックル・プラント(Pickle Plant)』で、赤いのはそれに寄生する『ドッダー』。」なるへそ。第二のなぞが解けました。

どんどんトレイルを歩き続けます。

途中でトレイルが、サンフランシスコ湾の干潟にまっすぐに伸びてる電線タワーの下の板の道と交差します。

「ジェニファー、この木のトレイルを歩いて行くほうが面白そうじゃない?」

「それは、電線のメインテナンスの人しか歩けないからだめよ。」

残念!

2011年7月5日火曜日

サンフランシスコ・オペラの「ジークフリート」

リング、第3部の「ジークフリート」、第一幕での、三つのナゾナゾの歌もすごくよかったし、舞台デザインと脇役陣がよかったし、第三幕のジークフリートとニナ・シュテメ(ブルンヒルデ)、さらにボタンとのかけあいが、よくできたので、全体で満足、満足のパフォーマンスでした。

よくサンフランシスコ・オペラ公演の脇役で出てる、ディビッド・カンジェロシ(David Cangelosi)がミーメ。ジークフリートより声が伸びるだけじゃなく、注意深く我慢強い、小心者のミーメをうまーく演じる演技力。大きなジャンプで後ろにさがってボタンの様子をみたり、毛糸の帽子を押さえながらダダっと突進する尋常じゃない機敏さ、バスの屋根にするする登って横から降りてくるなど身軽なだけでなく、けっこう危ない動きも平気でやっちゃうんですよ。

上にリンクしてあるディビッドのホームページに行ったら「Out of Closet」というタイトルのブログがありました。この人もゲイかと思って読んだら、以前、サーカスでアクロバットをやってたんですって! 納得! 「どこへ行っても必ず誰かに聞かれるんで、この際、そういう過去をサンフランシスコで告白(Out of Closet)」というわけです! オペラ歌手も、いろいろな「過去の経験」が役に立つんですね。

カーテンコールでも、ニナ・シュテメ、ジークフリートを演じたジェイ・ハンター・モリス(Jay Hunter Morris)の次に大きな拍手をもらってました。


「神々の黄昏」でノルンを演じたロニータ・ミラー(Ronnita Miller)は、「ジークフリート」では、世界の歴史を毎日をつむぐために一日中眠っているエルダ役(歴史は、エルダの夢の中で作られるんだそうです。だから彼女を起こしちゃうと、歴史が止まってしまうわけ)。威厳のある姿勢と声で、ノルンとは違った面を見せてくれました。今でこそ、人間が歴史を作る主役と考えられてますが、ちょっと前までは、神様が歴史を紡ぐと、あちらでは信じられていたんですね。(なお、彼女の歌はビデオクリップに入ってます。)ロニータがダイエットして、ディビッドみたいな動きができるようになったら、重宝がられ、あっちこっちのオペラハウスからおよびがかかるんじゃないかと思いますが。

アルベリヒを演じたゴードン・ホーキンズ(Gordon Hawkins)、去年、「ライン河の黄金」で同じ役を演じたときはパッとしなかったんですが、今年はべリーグー。

ボタンを演じたマーク・デラバン(Mark Delavan)も同様、今年のほうが発音がもっとクリヤーで、伸びて、元気があり、去年より、断然良かったです。

ジークフリートを演じたジェイ・ハンター・モリスは、「神々の黄昏」でジークフリートを演じる、イアン・ストーレイ(Ian Storey)よりよかったです。本当は、モリスは「神々の黄昏」でもジークフリートを演じる予定でした。しかし今年は初日から故障がおこり、医者のすすめで、代役のイアン・ストーレイが「黄昏」のジークフリート役をやってるそうです。

第三幕、ブルンヒルデとジークフリートが出会い、ボタンの約束が実行されるまでを描くんですけど、感情が理性を乗り越えるまでの2人の会話が、ワーグナーの時代のインテリの男女の行動を反映してるようでおもしろいです。

戦士と勘違いしたのが「男じゃない!(この台詞に場内に笑い!)」とわかると、ジークフリートはすやすやと寝ているブルンヒルデ感動し、愛情が芽生えるんですが、100年ぶりに目が覚めたブルンヒルデは「お日さま、こんにちは、光よ、おひさしぶり!」と、もっとマクロなムード。

「ところで、私を起こした英雄はどこ?」と、ボタンの約束を思い出しますが、「今で十分、仲がいいんだから、この関係をこわすような事、する必要ないんじゃない?」とジークフリートに言います。

ジークフリートの欲望はだんだん大きくなって、じりじりと迫るムードになってゆきます。そういうジークフリートをみてるうちに、3テンポぐらい遅れて、ブルンヒルデも興奮してきて、その気になるところで幕を閉じます。

「恐れ」を知らなかった英雄、ジークフリートが、好きな人にまむかって初めて、拒絶されるかもしれないという「恐れ」を抱くというシナリオ、男性優秀社会で、劣である女性を、優である男性と対にするためのコンセプチュアルな仕掛け、「ベーターハーフ」の概念の登場です。まだ新しかったに違いない「ベターハーフ」って考え方をオペラの前面に持ってくるワーグナーって、勇気あるドイツ版「近代人」だったんですね。

概念にもはやりすたりがありますが、「ベターハーフ」は1950年代のアメリカで、また日本でもまじめに語られ、信じられました。だって誰が自分より「劣」なものと関係をもちたいと思うかなー。ちょっとは立場を上げとかないとやる気にならないじゃないですか。

今は女性をベターハーフなんて位置づける必要もありません。女性史的に言うと、まさに「ベイビー、You've come a long way! やっとここまで来たね!」です。

舞台のビデオクリップがタイトルにエンクロージャしてあるので、ビデオを見たい人はタイトルをクリックしてくださいね。

なお来年は、シアトルとメッツで「リング」が行われるようです。

2011年6月30日木曜日

成田空港のクリームパン

日本を離れる前に、ちょっと寄ってみるのが、成田空港内、出発ロビーの左に続いてるビルにある、お世辞にもきれいとは言えないモール。

理由はいろいろあります。例えば、搭乗する飛行機の種類によって、個人ディスプレイが各座席についてなくて、機内映画が自由に選んで見られなかったり、面白くない映画や見ちゃった映画しかチョイスがなくて、困らないよう、本屋に寄って、ちょっと気になってた本の文庫本版を買っておくため。

ユニクロはさすがに賢い! オープンして一年にならないと思いますが、値段も置いてる物も、まったく外部と一緒なので、日本を離陸する寸前に調達できるので便利。

ここで、どうしても特筆しておきたいのが、「クリームパン」。

エスカレータで空港モールの二階に行き、搭乗チェックインの反対方向へどんどん歩いて行くと、ビルの一番端にある「LAWSON」が見えてきます。主に空港内で働いている人のためのお店なんでしょうが、ここで売ってるのが、とっくに絶滅したと思っていた「クリームパン」。

他にも「あんぱん」とか「メロンパン」とかもしぶとく生き抜いてるようですが、図抜けて美味しいのが、「クリームパン」。メチャ甘でなく、クリームがすごくクリーミーで、パンがソフト。(もち、おにぎり類もあります。)

サンフランシスコの家に到着するのが、午前11時頃、ちょうどおなかのすく時間。そこでおもむろにクリームパンを取り出し、パクッとやると、クリーミーなクリームがゆっくり、トローリと噛み口から流れてくる... 

子供の時はクリームが不味くて目も向けない食べ物の一つだったんですが、他の簡単に食べられる食品との競争に打ち勝つために、驚くべき進化を遂げたのが、この、一個105円のクリームパン、クリームの質もパンの質も、今は昔とダンチです。

よく知ってる日本人友達のお土産にすると、以外に喜ばれます。

2011年6月20日月曜日

江古田駅とパクストンゲートの縦型庭園

今、東京に来てるんですけど、西武線江古田駅、駅外観と周辺が、去年の三倍以上、良くなってました。駅の構外の外壁に、約50センチ四方のプラスチックのメッシュが、数十枚、縦横に取り付けてあるんです。

このメッシュ、ただのメッシュではなくて、さまざまな植物を各メッシュに植えこむと、根をはって成長できるようになってます。

つまり構外外壁に縦型庭園が出現。グリーンが一杯、加えて人の通行スペースが広くなって、狭い江古田駅のイメージを一新。

縦型空中庭園はサンフランシスコのバレンシア通りのパクストンゲート(Paxton Gate)にもあります。パクストンゲートのは、枠が木製で、屋外の外壁に取り付けられた空中本箱のよう。ノスタルジーをさそう空中庭園ですが、江古田駅のは、モダンでメインテナンスがやりやすそう。
写真:パクストンゲートの奥庭ビルの外壁上に設けられた縦型庭園

写真は両方とも高解像度なので、クリックして大きくすると細部までよく見られます。

2011年6月13日月曜日

ピカソとステイン・コレクション = シリコンバレー論

「どうしてピカソは、あんなような絵を描くようになったの?」と、前から不思議に思ってたんですが、サンフランシスコ近代美術館でオープン中のステイン・コレクション展(Steins Collect)で、この謎が解けた!

ゲルトルート・ステインは、オークランドで少女時代を過ごした作家。サンフランシスコ市電事業で成功したステイン家の長女だった彼女は、大学卒業後、仲の良かったお兄さんのレオとヨーロッパへ行き、パリに住み着きます。

1904年から、絵好きの二人は絵を購入しはじめます。マチスが展覧会に出品して大ヒンシュクを買った「帽子をかぶった女」を、「素晴らしい!」と購入。
写真: 帽子をかぶった女

以降、今こそ「印象派」と呼ばれ、人気を呼んでいますが、当時はあまり評価されてなかった、マチス、ルノアール、ボナード、セザンヌなどの絵を次々と購入。ピカソと知り合った後は、特にゲルトルートが、ピカソの絵購入の比重を増していきます。

レオとゲルトルートのコレクションは静かな評判を呼ぶようになり、世界中からの問い合わせが相次いだため、毎週土曜日に、アパートを一般公開するようになります。レオとゲルトルートは別居を構えてからも作品を収集しつづけ、このように集められたスタイン家の絵をサンフランシスコに再集合させたのが、今回のステイン・コレクション展。

この展覧会、見応え有りますが、ピカソの絵が年月を経てどのように変化してゆくのかを見せてるのも面白いところ。

ピカソはゲルトルートのところで初めてマチスの「帽子をかぶった女(Woman with a hat)」を見て、激しいショックを受けます。そして「ボクの方がマチスより絵は上手。マチスとは反対のことをやる」と、茶系統の色ばかりを使った絵を描きはじめます。画家名がついてなかったら、すぐにはピカソの作品とは思えないものばかり。

ピカソは歌麿や北斎の絵にも影響を受け、着物ならず、ドレスを引きずる猫背の女性を「スープ」という作品で描いたりします。

1907年にマチスが描いた「青い裸婦(Blue Nude)」は、ピカソに(帽子の女が驚きが右パンチなら)左パンチをかませます。伝統的なヌードとはぜんぜんちがう、「乱暴」な体のフォームにショックを受けたのかもしれません。

ある日、ゲルトルートのアパートへ向かう途中、マチスは古道具屋さんのウィンドウのアフリカ民芸品に目を留めます。「面白い形だなー」とさっそく購入し、アパートへ着くと、そこにはピカソが。二人は人形の奇妙な形についてディスカッションを始めます。

その後に描かれたのがピカソの「眠る女」。ピカソ的なこの絵、明らかに、アフリカ民芸品像特有のデフォルメの影響が見られるじゃありませんか。
写真: 眠る女 (1907)

ピカソは、きっと、学生の頃から「新しい何か」を模索していたのだと思います。そしてマチスや日本の版画師やアフリカの民族美術に出会ううちに、伝統的ヨーロッパのフォームが絶対的な、唯一の美のフォームでないことに目覚めたんだと思います。それが彼を「こうじゃなくちゃいけない」という内的抑制から解き放し、「自分の好きなフォームならそれでいい」という方向へ歩ませたんだと思います。

余談ですが、そういう意味じゃ、シリコンバレーも同じ。シリコンバレーには世界中の人が集まっています。アメリカ人やインド人や中国人と一緒に働いているうちに、「ああ、そういう見方もあるのか。」そして自分の発想が日本というローカルな場で育まれ、形成された「反応回路」というか、「道順」を経て生まれてきたものであることに、それこそ「ある日突然」、わりとあっけらかんに気づきます。

考え方の「道順」も人間の作った文化の一つ、ですからいつでも変えられるもの。こんな当たり前のことにどうして今まで気づかなかったの?!

日本で育くまれた発想は、良きも悪くも自分の考え方の原点。そこに何かを自由に結びつけたり、「道順」を変えられる可能性に目覚めさせるのが他文化。他文化は、自分の中に(必然的に学習で)形成された考え方の「回路」を変えて、自由に組立てる「契機」を与えます。

それはインド人も中国人も同様、彼ら独特の「文化」があるということは、その中で形成された独特の「反応回路」があるということでしょう。シリコンバレーは、いろいろな考え方の回路がぶつかるところ。そしてまた壊れるところでもあります。だから新しい発想が生まれやすいんだと思います。

この展覧会、9月の半ばまでオープンの予定です。なお、ここでリンクしてる絵は、この展覧会で全部見られます。

2011年6月7日火曜日

サンフランシスコ・オペラの「神々の黄昏」

休憩を入れて全部で5時間15分、リング・シリーズ中の最長のオペラなんですが、いつのまにか経ってしまう時間でした。

ニナ・シュテンメ(Nina Stemme)のブルンヒルデを聞いてすごいと思ったのが、去年の6月。今回は、長いオペラのせいか、もしくは他の出演者に合わせるためかはわかりませんが、第一幕では、力をセーブしている感じ。しかし第三幕は実力で臨み、他のキャストの追従を許しません。

悪役、アルドリッヒの息子、ハーゲンを演じたアンドリア・シルベストレリ(Andrea Silvestrelli)。誰よりも大きな声なんですが、声の質があまりにのどかで牧歌的。悪者をあやつろうとする、最大の悪玉という感じがしません。こういうキャースティングはなんとなく釈然としません。

始めざわざわしていた観客席も、第二幕ではストーリーに熱中して、座席が静まり返ります。

最初に登場して、今までのあらすじを語るノルンを演じた、ちょっと太りすぎのロニータ・ミラー(Ronnita Miller)とダベダ・カラナス(Daveda Karanas)がよかったです。舞台の前面で歌ってたので、声が聞きやすいせいかも。

今回のリング・シリーズでは、環境破壊をものともせず、自分たちの利益を追求し、戦争にも介入するビッグ・コーポレーションが悪役という設定(それをあやつるのがハーゲン)。神々ばっかりが山の頂にでてくるよりも、こういう設定の方がわかりやすくて、面白いと思います。でも半分以上の聴衆は、こんな現代的解釈に抵抗を感じてると思います。ま、ともかく席の塞がり具合から判断すると、券の売れ行きは良さそう。

一番わかりやすくて身近な舞台設定は、3人の水のニンフが住むライン河。車のタイヤ等の粗大ゴミが散在する河畔、川底や岸には、空のペットボトルの山が。そこへプラスチックの袋を持った三人のニンフがゴミ拾いにやってきます。金(ラインゴールド)を守っていた頃の美しい河を思い出し、嘆きながら歌います。

オーケストラは素晴らしかったです。サンフランシスコ・オペラ交響楽団の元アート・ディレクターのラナクルが指揮。サンフランシスコではすごい人気の彼、私も大好きです。なぜオペラ座を離れたのかはちょっと疑問。

なんとなく不安を呼び起こし、終りも初めも無く繰り返し浜に打ち上がる波のようなこの曲、ワーグナーの作曲家としてのすごさというか、現代性を感じさせます。

なおリンクを付けておいたので、タイトルをクリックすると、ビデオクリップが見られます。

2011年6月2日木曜日

ロイヤル・バレエの「不思議の国のアリス」

イギリスのロイヤル・バレエが「不思議の国のアリス」を今春、発表しました。

お話の中に「チェシャ猫」というのが出てくるんですが、この猫、ニタッって笑うので有名。

このチェシャ猫が、ロイヤル・バレエ版のアリスにもでてきます。チェシャ猫を舞台用に工夫し、舞台に出すまでを描いた面白いビデオがあるので、リンクしておきます。

また実際の舞台でのチェシャ猫とアリスの場面のビデオもリンクしておきます。音楽もぴったり!

両方見ると、魅力的で、不思議で、ワクワクするような、ロイヤル・バレエ版の「不思議の国のアリス」を見たくなってしまいます。

2011年5月31日火曜日

ロシアン・リバー沿いのワイナリーへ

サンフランシスコから車で1時間くらい北に行くとサンタ・ローザ(Santa Rosa)っていう町があるんですが、この町の西部から、さらに北方に流れてるロシアン・リバー(Russian River)をはさんで、比較的、新しいワインの産地が広がります。

このあたりはソノマ郡(Sonoma County)でも北西部なので、育ててるブドウの種類が、ソノマやナパとはちょっと違うよう。

最初に訪れたのはデローシュ・ワイナリー(De Roach Winery)。バイオダイバーシティ法を取り入れて、ワインを作ってるようです。いろいろな野菜を育てたり、ヤギやニワトリを飼ってるような話ですが、テイスティング・ルームのそばには、見当たりませんでした。フクロウ用のような手製の巣が、ブドウ畑の真ん中の棒のてっぺんにとりつけられてましたけど。
写真:テイスティング・ルームの外観。

テイスティング・ルームの反対側のピクニック用のテーブルで、お友達が作ってきてくれたポテトサラダとクロワッサンの昼食。写真を撮りたかったんですが、お許しがでませんでした。最初のワイナリーなので、テイスティングなしで、次のワイナリーへ向けて出発。

地図を見ると近場にマーティン・レイ・ワイナリー(Martin Ray Winery)というのがあったんで、立ち寄りました。なんとなく休暇中の小学校のような感じ。で、写真はとらずに、ロシアン・リバー沿いのワイナリーへ行くことにしました。

ポーター・クリーク・ファミリー・ワイナリー(Porter Creek Family Winery)のバラの花の色の美しさ!
ブドウ棚が上り龍(リュウ)ぎみで、趣きあり。下の写真(と上のバラ)は解像度が高いのをアップロードしてあるので、写真をクリックしてみると、若葉の美しさがよくわかります。
ピノ・ノアを味見したんですが、それほど美味しいとは思いませんでした。エステートの方は、悪くありませんでしたが、私はピノ・ノアタイプではないのかも。小さなひなびた風のワイナリーで、アットホーム。

ちょっとしか飲んでないんですが、道が曲がりくねってるので、気をつけながら、次に立ち寄ったのが、トーマス・ジョージ・エステート(Thomas George Estate)。最近オープンしたような雰囲気で、クベ(洞窟)の中での試飲が売り物。車に乗ったり降りたりするのが疲れてきたので、さっと見るだけですませます。
白いバラと紫の花がきれい。テースティング・ルームの手前。

最後に訪れたのが、以前はビールの味付けに使うホップ生産工場だったのを、ワイナリーに変えた、ホップ・キルム・ワイナリー(Hop Kiln Winery)。

アンティークな木製の建物は、カリフォルニア州歴史的建築記念物に指定されてるので、サイクリング用の運動靴をはいたままでは入れません。中に入ると、木製の床や壁や厚い戸や手すりが、年季物特有の、大きくて柔らかくて温かい光りかたをしてます。

建物の前面下部に、下の写真のようなキルムが並んでます。まだホップ工場だったころ、この中にホップを入れて乾燥させてたようです。

オシャレな美しい町、ヘルズバーグ(Healdsburg)で一休みした後、帰路へ。道路が空いてて、一時間ぐらいでサンフランシスコに着きました。

2013年4月5日追記: ロシアンリバー領域にワイナリーが広がってくるようなったのは、地球温暖化の影響もあるようです。ナパの温度が上がり、ナパにあったぶどうの生産に少しづつ影響を及ぼしてる模様。そのため、より適切なブドウ生産値をもとめてロシアンリバー地域に入って来たようです。

2011年5月16日月曜日

清楚で美しいイブニング・プリムローズ

サンフランシスコから約一時間、東北にドライブして、アンティオック・デューンズ・ナショナル・ワイルドライフ・レフュジー(Antioch Dunes National Wildlife Refuge)へ。

目的は、絶滅寸前の正式名、アンティオック・デューンズ・イブニング・プリムローズ(Antioch Dunes Evening Primrose)。初めて見たのですが、ほのかな香りのある、清楚で大きい花。気候にもよるんですが、5月から6月にかけてが盛りだそうです。

一株(二年目)で一平方メートルぐらいは占める、ダイナミックな多年草。花が100以上ついていて、それが海からの風をうけてかわしてなびきます。

楊貴妃を「梨花一枝」の美しさと例えた詩がありましたが、このプリムローズ、「梨花一枝」という句そのものを思い出させます。

花の直径、大きいのだと約9センチで薄い花びら。「イブニング」と花の名前についているように、前は夜に花が咲いて夜行性昆虫が受粉活動をしていたと思われますが、今は花が環境に適用し、昼でも数日咲き続けるのだそうです。咲き始めは真っ白なんですが、受粉すると端からだんだんピンクの色に染まりだし、萎む寸前は、全体がピンク。


最近は、ヨーロッパミツバチの数が減り、その代わりに、黄色い頭をしたクマンバチや土着のハチが花の受粉を引き受けてるんだそうです。

この保護区、毎月第二土曜日に一般に公開されますが、案内人と一緒でないと、中へ入れません。アンティオック・デューンズ・イブニング・プリムローズの他に絶滅の危機に瀕してる蝶と、コントラ・コスタ・ウォール・フラワーを保護。

保護地のすぐ横にはサン・ワキン・リバーが流れてますが、水がきれいになってきて以来、ビーバーやカワウソが住み始めたそうです。

2011年5月2日月曜日

再び、サンフランシスコ・バレエの「リトルマーメイド」

2011年のリトルマーメイドは、だんぜんお薦めです! ヤン・ヤン・タン(Yan Yan Tan)がリトルマーメイド(人魚姫)、ティルト・ヘリメッツ(Tilt Helimets)が王子、パスカル・モレー(Pascal molat)が詩人を演じるという、2010年とまったく同じキャストで初日を迎えました。

去年より、ダンスがキュと絞られてて、見やすくなってるような気がします。またヤン・ヤン・タン、パスカル・モレー、ティルト・ヘリメッツをはじめ、踊ってる人が皆、ストーリーに入って演じてる感じ。踊る方も、見る方も二回目なので、落ち着いてみられる(演じられる)のかも。

一幕目の水中の場面は、紺が基調色。巨大な水族館でゆらゆらと揺れる美しい水中の世界を見てるような感じ。

パスカル・モレーの詩人、特に手の動きがもっとはっきり大きくなってて、ずーっとインパクトが深くなり、彼自身のストーリーを語ります。

ところで詩人は「人魚姫」の作者、アンデルセン自身だそうです。彼には心を寄せる男性がいたのですが、むげ無く拒否され、失意のどん底にいたときに書かれたのが「人魚姫」とのこと。

ヤン・ヤン・タンのマーメイドもとてもよかったです。顔を白く塗ってると、思い切った演技ができるような感じ。喜びの表情が去年に比べると、ずっとよくなってました。
Odette's Odealから。

「波」は男性の役なんですが、その衣装、印象的で、海中のミステリーを深める効果が。プリーツの入ったような、柔らかい布でできた、たっぷりとした袴風ロングドレスというか。すそには北斎が富獄三十六景で描いたような波しぶきが描かれ、ダンサーの動きにつれて揺れます。海中にたつ波しぶきのようにも見え、泡のようにも見え、ミスティリアスな水中の世界の神秘を伝えます。

けっこうたくさん写真がネットに出てるので、最も最近の写真が見られるブログをリンクしておきます。ここのブログで見られのは、去年の写真だと思います。

舞踏会のビデオクリップをリンクしておきます。

去年のリトルマーメイドのブログを読むと、ストーリーがもっとよくわかると思うので、リンクしておきます。

5月3日追記:2011年のリトルマーメイドは、上記のチームと、サラ・バン・パタン(Sara Van Pattan)がマーメイド、ピエール・フランシス・ビラノバ(Pierre-Franqois Vilanoba)が王子、ガルシア・カスティーラ(Garcia Casttila)が海の魔法使いという二つのチームで全公演を踊ります。新聞のレビューは第二のチームの公演についてですが、その写真も出てるので、リンクしておきます。

なお、初日の公演はPBSが録画したので、いずれKQEDで放送すると思います。

5月7日追記: サラ・バン・パタンのマーメイドを見ましたが、ベテランのヤン・ヤン・タンの解釈、表現力にはかないません。サラのは、水際で溺れそうになってるマーメイド。10年のキャリアの違いなんでしょうか。海の魔法使いは、2008年にソロリストに昇格したガレン・スクライバー(Garen Scribner)。キリッとした踊りで、魔法使いとしては若々しすぎる感じですが、動きが印象に残ります。

今年、イザック・ヘルナンデス(Issac Hernandez)という男の子がソロリストに昇格したんですが、この子、手も足もきれいに伸びるし、動きが優雅なところがあって、先が楽しみな一人です。

2011年4月22日金曜日

ムッシュウ・ポーク

ムッシュウ・ポークは、私がアメリカで、初めてチャイニーズ・レストランに行ったときに、誰かがオーダーした、正真正銘の中国料理。中国語では「木栖豚肉」か「木須豚肉」と書くんだとおもいます。

中国料理にもはやりすたりがあり、最近は、美味しいチャイニーズというと香港系なので、この料理、よっぽ古くからやってる中国料理屋さんにいかないと、メニューに載ってないじゃないかと思います。

でも、ティエンメンジャン(甜麺醤)とラップする皮(両方とも下の写真参照)さえあれば、いつでも家で簡単に作れる中国料理。たくさんの人がきても、ラップしながらわいわいがやがやと楽しく食べられるので、パーティにも向いてます。
皮は、数時間前に冷凍庫から出して、解凍。大変薄いので、むげに扱うと破れてしまいます。

皮に包む中身はただの野菜炒め。私は、キャベツ、ニンジン、干し椎茸、もやし、豚肉を、千切りにして、いため、こしょうと少量のお醤油であじつけしてます。

万能ネギは千切りにして、水にはなっておき、水をよくきっておきます。(トップの写真でバラの花の下)

皮は一人一人、一枚をお皿に広げて、電子レンジで10秒くらいチン。お皿を暖める程度です。

そのうえに甜麺醤を一番上の写真のようにスプーンでのばし、その上に切ったネギをぱらぱら。

そこに炒めた野菜をのせて、くるくると巻いて食べます。

豚肉のかわりにチキンを使えば、ムッシュウ・チキン、ビーフを使うと、ムッシュウ・ビーフになります。

2011年4月19日火曜日

ビデオ・ドキュ「シンドラーズ・リスト」 at SFMOMA

スピルバークの映画、「シンドラーズ・リスト(Schindler's List)」がアカデミー賞をとったのは今から17年前のことですが、サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)の5階で、それ関連の面白いビデオ作品を展示して(見せて)ます。
写真右はじの黒く写ってる場所がこのビデオを見せる部屋。

「シンドラーズ・リスト」をクラクワ(Krakow)で撮影するとき、町の人が大量にエキストラとして雇われたんですが、クラクワは、アウシュビッツと同様、実際にユダヤ人収容所と死体焼却処理場のあったところ。映画のエキストラをした体験が、その後、彼らにどんな影響を及ぼしたかを追求したのが、このビデオ・ドキュ。

エキストラの中には、実際にクラクワの収容所に収容された経験のある人たちもいて、エキストラとしての2度目の収容所「経験」をビデオで述べてる人もいました。初めて「収容所体験」をして、「(映画で使ってるリストが)実際のリストのコピーなのがわかったとき、急に恐ろしくなった」と述べてる人もいます。

雇われたエキストラは、長い列に並んだ末、「ユダヤ人」を演じるのか、「ドイツ人」を演じるのかに振り分けられるんですが、このあわただしい「振り分け」場面、ドキュメントに引用されてる映画中の、ナチスがガス室に送るか、強制労働として生かすかの振り分け場面に重なり、ちょっと凄い感じ。

「『見かけ』で、ユダヤ人か、ドイツ人かに振り分けられたと思います。係の人が座ってるデスクの前で、2〜3分もかかりませんでした。」
「(肌の)色で決められたんだと思います。」
「ユダヤ人のように見えるのかも。自分ではわからないけど。」
「どちらかというと、ドイツ人をやりたかった。」

今時は、こんなインセンシティブなエキストラの扱い方はしないと思います。でも逆に、今だったらわざとやるかも。場面にふさわしい心理的効果を得るために。

映画がアカデミー賞をとったため、その後、町を訪れる人が増え、町の人たちもよく知らない質問をする(「ユダヤ人収容所跡はどこ?等)ので、その人たちを案内する観光ビジネスができたそうです。

展示作品の一つ。光を浴びてきれい。

2011年4月10日日曜日

東北関東大震災:アメリカ地震学者の分析

今年3月に起きた東北関東大震災の最初の分析が、「NOVA」というサイエンス系番組で、先々週、放映されました。「日本の強烈殺人地震(Japan's Killer Quake)」というタイトルです。私は科学者ではないので、すべてが正しいかどうかということはわかりませんが、「NOVA」は、信用ある息の長い科学番組です。

この地震で生じたひずみで、東京湾沖の断層にストレスがかかっており、東京が大地震に襲われる可能性が高くなったということです。ビデオで、42分目以降に述べられています。

放射能や、地震津波の傷跡のまっただ中にいる日本の人たちへは酷なインフォだとは思いますが、地震と津波の状況がまとめられてること、またアメリカの地震学者の見解を知りたいという方のために、英語の番組ですけど、リンクしておきます。ただし、永久リンクではないので、ある程度時間がたつと、なくなってしまいます。

2011年4月7日木曜日

三度目のピザ

最近、半分手作りのピザにちょっとのってます。「三度目の正直」とか、えっ?そんなのありましたっけ? まあともかく、自分一人で作った三枚目のピザなので、それを記念することに。

トレーダー・ジョー
には三種類のドウがあるんですが、今回は、胚芽を含んだ、脱色してない玄小麦で作ったドウを使用。でも、ローラーで形を整えるのが、白いドウより難しい感じ。慣れてないだけなのかも。

ソースを塗ったあと、エビ、トマト、ピーマン、タマネギ、しいたけ、それに、カラマリという小さなイカの足をのせて、華氏350度にしたオーブンの中へ約20分。
オーブンから出してみると、加熱で水分を失ったカラマリの足が、ピーンと立ってて、メキシコで見た、サボテンを連想。メキシコ(北西部)は、低木が地平線までずーっと続いてる所があるんですが(こちらでは「森林」に相当する部分と考えてくれれば正解です)、そこに、空からばらまいたつまようじが、地面に突きささったような雰囲気で、サボテンが生えてるんです。清少納言が見たら、その様子、「いとおかし」と言うと思います。そばによれば、多分、高さ3メートルぐらいはあるんでしょうけど。

焼き加減は、今までのうちで最高のでき。

食後の反省: 無脱色のホールウィートのドウは味が素朴で、トミーの言うように、海鮮物より、野菜の方が、相性がいいのかもしれません。

2011年4月4日月曜日

マリア・コチェトコワの「くるみ割り人形」グラン・パ・ド・ドゥ

サンフランシスコ・バレエの「くるみ割り人形」というタイトルで、マリア・コチェトコワ(Maria Kochetokova)とディビッド・カラペティアン(David Karapetyan)の踊るグラン・パ・ド・ドゥについて触れましたが、そのビデオをYouTubeで見つけたので、リンクしておきます。タイトルにエンクロージャしてあるので、最初にそちらをクリックしてください。次に、こちらをクリックすると、ビデオの後半が見られます。

このビデオは、今から2年前の2009年の冬に、サンフランシスコ公演中に撮られたものだと思いますが、マリア・コチェトコワがディビッド・カタパリアンとで見せた、その年、彼女の最高のできの踊りだと思います。

ビデオの最初で、子供のクララにティアラをつけて、あづまやのような所へ送り込むのは、バネッサ・ゾッホリアンの演じる、コンペイ糖の精。

女の子が大人になって出てくるのが、マリア・コチェトコワ。

昔は寿命が短かったので、生物学的「適齢期」は、心理的に「結婚オッケー」になるのを意味してましたが、今は寿命が伸びて、男女とも、生物学的適齢が、心理的、社会的に適例になるとは限らなくなりましたが、それでも、女の子が適齢期になるのを祝う、美しいグラン・パ・ド・ドゥです。

ゴシップになりますが、このディビッド・カタパリアンが、2010年に、「ロメオとジュリエット」のロメオを演じた後のカーテンコールで、ジュリエットを演じたバネッサ・ゾッホリアンに、ロメオ式結婚の申し込み。差し出した指先で、キラキラ輝くダイヤモンド。観客席は、ドーォッというざわめきに包まれました。ゾッホリアンは、始め何がなんだか良くわからず、飲み込めた後もかなり驚いてた模様。結婚なんて、考えた事がないような感じでした。今、2人は、デート中のようです。