東京文化会館の11月30日のに行ったんですけど、ウラジミール・シクリャーロフ君(Vladimir Shklyarov)が11月28日の「愛の伝説」で怪我をして休演、多分、アリーナ・ソーモワ(Alina Somova)も、そのさいの余波で不調になったのかもしれませんが、以降、ずっと休演。バークレー以来のお二人のダンスを、特にアリーナの成長が見られると思っていたので、すごく残念!
代役はジュリエットがマリーヤ・シュリンキナ(Maria Shirinkina)、ロメオがフィリップ・スチューピン(Philipp Stepin)。マリーヤ・シュリンキナのことは以前、これからの星として期待されてるような事、聞いた事がありますが、ロメオ役の人は今回が初めて。
マリーヤのジュリエットはまだ、一生懸命、役作りしてる最中という感じでした。もしアリーナがやっていたら、もっとのびのびと、そして多分違った衣装を着て出て来るのだろうと思いました。マリーヤのはあまりに目立たない衣装でした。全体に、主役としての華やかさというか、オーラが欠けてる感じ。しかし特に難もなく踊ってました。数年したら、マリンスキーで期待される一人になる人だろうと思います。
なんとなくぱっとしない配役陣中で全体をひっぱり、抜きん出て上手で、マリンスキーを救ったはマキューシオ役をやったアレクサンドル・セルゲーエフ(Alexander Sergeyev)。ひょうきんでウィットのあるマキューシオを、技術的にも素晴らしく、愉快そうにやってくれて、見てるのが楽しかったです。彼が白鳥の湖の王子役をしたのをみたことがありますが、こういう役の方がピッタリ。彼がジャンプしたとき、もしそのつま先が私のあごにでもぶつかったら、あごの骨は粉々になっちゃうんじゃないかと思うほどのバネ力でした。
配役としてぴったりと思ったのは、ティボルト役をやったユーリ・スメカロフ(Yuri Smekalov)。すごく個性的な雰囲気の人で、攻撃的でけんか好き、力にすぐ訴える役にぴったりでした。
マリンスキーの「ロメオとジュリエット」を通しで見るのは初めて。バレエとしてのロメオとジュリエットとしては、わりと原作に近いんじゃないのか、そういう意味では古典的と思いました。2人の情熱的な出会いと心の交流を緯糸に、生と死という永遠の大テーマを同じ比重でからませて縦糸にし、ストーリーを展開してるという感じでした。
私がよく見たサンフランシスコ・バレエの「ロミオとジュリエット」では、出会いの奇跡、2人だけの世界と愛の感動を描く「生きる」がメインテーマで、死という要素には話を展開するのに必要な以上は触れず、もっと現代的なストーリーの展開でした。古典的なマリンスキー版を見て、なぜ「ロメオとジュリエット」は、いろんな人が新たなバージョンを作りたくなるのか、納得しました。
ジュリエットの居城でのパーティ場面は、家父長(パトリアーク)とその一族男性が、ストラビンスキーの力強く運命的な音楽に合わせて、体の脇につけて真っすぐに延ばした手の掌を威嚇的に開いて出てくるサンフランシスコ・バレエの振付けの方が、いかにも家父長制権力を象徴してるようで、私は好きです。
ロメオが百合の花を教会の床に並べてジュリエットを迎えるバージンウォークのところは、なんとなく暗い場面が一瞬明るくなるようで、マリンスキーの方の演出がよかったです。
2015年12月11日金曜日
2012年10月2日火曜日
2012年サンフランシスコ,秋のオペラの「キャプレット家とモンタギュー家」
ベリーニの作品で、初めて見るオペラ。「ロミオとジュリエット」のオペラ版ですが、シェイクスピアの話とは違うところあり。でも全体では、やっぱり悲壮なロミオとジュリエットの話。
ロメオを演じたのは私の大好きなジョイス・ディドナト(Joyce DiDonato)。以前「セビリアの理髪師」でロジーナを、その後「バラの騎士」でオクタビアを演じたんですが(これは見た記憶がないんですけど)、なるべくはやくサンフランシスコに帰ってきて欲しかったんですが、今回まで待たなくてはなりませんでした。
メルロ・オペラという、サンフランシスコ・オペラ歌手養成プログラムの出身。ドロラ・ゼイジックと同様、国際的に有名になってしまったので、今日まで無視されちゃったんだと思いますが、ああ、ずいぶん成長したなーと思いました。暗くて辛く、最後はジュリエットが死んだと誤解して毒薬を飲んでしまうロメオの役を見事に演じきりました。
この演出では、ジュリエットと手をつないで、舞台上の一線を超え人々から離れ、空中のどこかを見つめながら、舞台前方へ歩むところで終わります。生きてるときは葛藤ばかりの2人が、初めて同じ方向に進みながら終わるこの終わり方、「...」という感じが出てて、いいと思いました。
このオペラでは、ロミオとジュリエットの恋は、苦しく辛い恋。それを丁寧に感情をこめて表現するジョイスのロミオ、キャプレット家に平和を申し出る最初の歌、ジュリエットを説得しようと命をかけるロメオの歌に、涙がでました。
ジュリエットを演じたのはニコール・キャベル(Nicole Cabell)。サンフランシスコ初出演。新人と思いますが、才能ある声。とは言え、ジョイスの声の方が私好み。2人でデュエットをする場面がいくつかあるんですが、ジョイスがニコールに合わせてハモる声の美しい事、それを聞くだけで満足のゆくパフォーマンス、しっかとサンフランシスコを征服しました!
パフォーマンス中、ロミオはジュリエットを見つめるときは見つめて歌うのに、ジュリエットはほとんどロミオと目を合わせません。まだ役者じゃないんですね。 サンフランシスコ・オペラのウェブサイトからのスナップショット。ジョイスのロメオとニコールのジュリエット。まだ初日のビデオがアップロードされてないようなので残念!
ベリーニの「ロミオとジュリエット」では、社会の矛盾がジュリエットというボディ、一身に集中。「あなたを愛しているけど、家族は裏切れない、私の心はすでにあなたのもの、でも私達がこの世で結ばれる事はありえないの」と、愛を成就するには死しかないことを示唆、全体のプロットが、「死」に向かって進んで行きます。オペラ全体を通じて、ロミオの意に添えずに苦しみ、家族の強いる結婚式におののくジュリエットは、当然ですけど、病気っぽく演出されてます。例えば、トイレの手洗い台の上に飛び乗って歌ったり、下着での登場がほとんど等。でもこんな苦しみに遭遇したら、誰だって精神的に影響をうけるじゃないですか。
舞台のデザインはいかにも前衛好みのドイツ。例えば、馬のサドルをまるで剥製の動物の群のように天井からつるさげ、戦場の騎馬群を連想させます。ジュリエットとロミオが再会する場面では、空中に45度の角度で飛び上がるように吊るされていて、つるんでいるんだけど抱き合ってるわけではない真っ白い男女の像が、2人のこの世での関係と、あの世への旅立ちを示唆してるよう。
そんな中でカラフルなのは、ジュリエットの結婚式の場面。結婚式そのものは描かれませんが、着飾った女性たちのドレスで示唆、このドレス群が、2012年「VOUGUE」XX月号特集っていう感じの華やかさ。全女性が大きな花を口に加えて、顔の半分を隠してしまうところが妖しくグーでした。ロミオも女装で招待客として潜入、ベージュ調ドレスがよく似合ってて素敵でした(写真左中央あたり)。ジュリエットのウェディングドレスも今はやりの「ボーグ」的。下は結婚式を示唆する舞台の写真。
10/2/12:ビデオがパブリッシュされたのでリンクしておきます。
新聞のレビューと写真はこちらです。
10/5/12:アナ・ネトレブコのジュリエットとジョイスのロメオ。
ジョイスのロジーナがyoutubeにあったのでリンクしておきます。
ロメオを演じたのは私の大好きなジョイス・ディドナト(Joyce DiDonato)。以前「セビリアの理髪師」でロジーナを、その後「バラの騎士」でオクタビアを演じたんですが(これは見た記憶がないんですけど)、なるべくはやくサンフランシスコに帰ってきて欲しかったんですが、今回まで待たなくてはなりませんでした。
メルロ・オペラという、サンフランシスコ・オペラ歌手養成プログラムの出身。ドロラ・ゼイジックと同様、国際的に有名になってしまったので、今日まで無視されちゃったんだと思いますが、ああ、ずいぶん成長したなーと思いました。暗くて辛く、最後はジュリエットが死んだと誤解して毒薬を飲んでしまうロメオの役を見事に演じきりました。
この演出では、ジュリエットと手をつないで、舞台上の一線を超え人々から離れ、空中のどこかを見つめながら、舞台前方へ歩むところで終わります。生きてるときは葛藤ばかりの2人が、初めて同じ方向に進みながら終わるこの終わり方、「...」という感じが出てて、いいと思いました。
このオペラでは、ロミオとジュリエットの恋は、苦しく辛い恋。それを丁寧に感情をこめて表現するジョイスのロミオ、キャプレット家に平和を申し出る最初の歌、ジュリエットを説得しようと命をかけるロメオの歌に、涙がでました。
ジュリエットを演じたのはニコール・キャベル(Nicole Cabell)。サンフランシスコ初出演。新人と思いますが、才能ある声。とは言え、ジョイスの声の方が私好み。2人でデュエットをする場面がいくつかあるんですが、ジョイスがニコールに合わせてハモる声の美しい事、それを聞くだけで満足のゆくパフォーマンス、しっかとサンフランシスコを征服しました!
パフォーマンス中、ロミオはジュリエットを見つめるときは見つめて歌うのに、ジュリエットはほとんどロミオと目を合わせません。まだ役者じゃないんですね。 サンフランシスコ・オペラのウェブサイトからのスナップショット。ジョイスのロメオとニコールのジュリエット。まだ初日のビデオがアップロードされてないようなので残念!
ベリーニの「ロミオとジュリエット」では、社会の矛盾がジュリエットというボディ、一身に集中。「あなたを愛しているけど、家族は裏切れない、私の心はすでにあなたのもの、でも私達がこの世で結ばれる事はありえないの」と、愛を成就するには死しかないことを示唆、全体のプロットが、「死」に向かって進んで行きます。オペラ全体を通じて、ロミオの意に添えずに苦しみ、家族の強いる結婚式におののくジュリエットは、当然ですけど、病気っぽく演出されてます。例えば、トイレの手洗い台の上に飛び乗って歌ったり、下着での登場がほとんど等。でもこんな苦しみに遭遇したら、誰だって精神的に影響をうけるじゃないですか。
舞台のデザインはいかにも前衛好みのドイツ。例えば、馬のサドルをまるで剥製の動物の群のように天井からつるさげ、戦場の騎馬群を連想させます。ジュリエットとロミオが再会する場面では、空中に45度の角度で飛び上がるように吊るされていて、つるんでいるんだけど抱き合ってるわけではない真っ白い男女の像が、2人のこの世での関係と、あの世への旅立ちを示唆してるよう。
そんな中でカラフルなのは、ジュリエットの結婚式の場面。結婚式そのものは描かれませんが、着飾った女性たちのドレスで示唆、このドレス群が、2012年「VOUGUE」XX月号特集っていう感じの華やかさ。全女性が大きな花を口に加えて、顔の半分を隠してしまうところが妖しくグーでした。ロミオも女装で招待客として潜入、ベージュ調ドレスがよく似合ってて素敵でした(写真左中央あたり)。ジュリエットのウェディングドレスも今はやりの「ボーグ」的。下は結婚式を示唆する舞台の写真。
10/2/12:ビデオがパブリッシュされたのでリンクしておきます。
新聞のレビューと写真はこちらです。
10/5/12:アナ・ネトレブコのジュリエットとジョイスのロメオ。
ジョイスのロジーナがyoutubeにあったのでリンクしておきます。
2012年3月11日日曜日
2012年、サンフランシスコ・バレエの「ロミオとジュリエット」
2012年サンフランシスコ・バレエの、マリア・コチェトコワ(Maria Kochetkova)とヨアン・ボアダ(Joan Boada)が演じるロミオとジュリエットは素晴らしかったです。
第一幕:ロミオがジュリエットの家の庭に忍び込んで始まるバルコニーの場面。愛を告白し合う2人は青春のまっただ中。見つめ合ったり、だきあったり、ふざけたりして、溢れるばかりの情熱と喜びで舞台上を駆け巡ります。お互いの感情だけが世界ーーそんな2人を見てて、思わず、あ〜、私にもこんな時代があったなーと、一瞬、フワァーと、タイムマシンに乗って、自分の過去に飛んでしまいました。
写真:リンクしたサイトから。これは2011年公演の時の写真です。
第二幕:ティボルト一派と、ロメオ一派の立ち回り:さすがハリウッドの第一人者がコーチした立ち回り、演出もいいし、皆さん、剣さばきが上達。ダンサーなんで、感がいいんですね。ティボルトがマキューシオを刺殺、ロメオが逆上してティボルトに復讐しますが、事態の重大さに愕然としたロメオ、許しを乞おうとします。
第三幕:一晩を共にしたロミオとジュリエットの別れの場面。パーフェクトな踊りとかなんとかかんとか以上のなにかで観客の心と目をしっかり2人につなぎとめ、観客も2人の動きを追います。美しいプロコフィエフのテーマにのって、ロメオとジュリエットは、澄んだ瀬せらぎの水のように、舞台上を走り、流れ、縺れ、絡み合い、輝き、滑ります。
写真:ロサンジェルスタイムズから。2011年の写真とレビュー。記事の真ん中あたりに、青いハイパーリンクがありますが、それをクリックすると写真が見られます。
ロミオとジュリエットが秘密で結婚してしまったのを知らないキャプレット大公夫婦、ジュリエットをパリスと結婚させようとしますが、ジュリエットは拒否。父親に自分の気持ちをわかってもらおうとするジュリエット、怒る父と母。ジュリエットに同情して、私は涙を流してしまいました。
ジュリエットが一時的に死んでいるだけなのを知らないロメオが、悲しみのうちにジュリエットの亡がらを抱き上げて踊ります。
ロメオが毒薬を飲もうとするとき、私は「ロメオ、早合点しないで!」と言いたくなってしまいますが、しょうがありません。
ロメオが自殺したあと、ジュリエットが目を覚まします。ロメオの死骸を見て愕然とし号泣。私も、さらに涙を流してしまいました。
ただの男の子から恋する青年へと変身、その喜びあふれる気持ちと情熱を、体全体で、ためらいもなく大胆に表現できるヨアン、この点では男性ダンサーの中では希有で、ロミオ役がぴったり。片手でマリアを高々とかかげて踊れるのは、今のところ、彼だけ。ちょっと背が低いのがダンサーとして難点と言えば難点ですが、ロミオ役をやってるときは、まるで気になりません。
目差しや体の動きでジュリエットの気持ちを伝えるマリアは、サンフランシスコ・バレエを代表するに相応しいプリマドンナに成長、ヤン・ヤン・タンがトップの時代に終止符を打ってしまいました。感情表現と技術がマッチするマリアーーこれからどのように成長するかは想像もつきませんが、成長し続けるのは確か。
マリアの場合、大胆に表現するんですが、彼女のパーソナリティなんでしょうか、それとも先のあるダンサーが持ってる共通のものなんでしょうか、それがたずなをかけ、言葉にならない部分、つまり「...」の部分を、体の筋肉一筋、一筋の動きにして表現してしまうんですね。
ヨアンも「...」ができたんですが、今シーズンまで長い間、ちょい役ばかりやらされてたせいか、あまりそれが見られない感じ。ヘルゲイ(ディレクター)にヨアンの踊る機会をもっと作ってもらいたいし、ヨアンのもう一つの特徴である、腕と手の動きのまれな美しさをぐーんと伸ばして、もっと見せて欲しいものです。
カーテンコールの時、ヨアンは最近、必ずマリアの手にキス。プログラム3の「リミニのフランセスカ」の時もそうでした(これも本当に素晴らしかったです)。「マリア、君は最高だ、お陰で素晴らしいパフォーマンスができたよ、ありがとう!」という気持ちを伝えてるんだ思います。ペアが技術的にマッチし、100パーセントの信頼があってこそ。ヨアンだから、マリアも十分に大胆に、繊細に、好きなだけ気持ちを込めて、今、踊れるんだなと思います。
ジェームス・ガルシア・カスティラ(James Garcia Castilla):ロミオの友達役。いつも足が後ろに高く良く伸びる美しいジャンプ。「にんじん」という孤児の話がありますが、そのにんじん的雰囲気と、チンピラ風の顔のおかげで随分、損してる感じ。SFゲートに写真が出てるのでリンクしておきます。
クィン・ワートン(Quinn Wharton)とルーク・ウィリス(Luke Willis):2人ともコールドバレエの一員なんですけど、体格がよく、パリスや、ティボルトの友達役をやってます。ジェレミー・ラッカー(Jeremy Rucker)もティボルト派の一員。
サラ・バン・パタン(Sarah van Patten): ロメオを見つめるさい、クビがガクッとさがっていて上目使いになり、ちょっと変。なんでだかわかりません。でも踊りや表現はぐーんと上手になってます。演劇のクラスでもとったのかも。
サラはピエールーフランコイズ・ビラノバ(Pierre-Francois Vilanoba)と組んで踊ったんですが、2人の踊りは、マリアとヨアンが持ってるほどのお客をつかむ力はありません。踊りはあっち、観客はこっちという区分が乗り越えられないんでしょうね。ビラノバは踊ってる最中の感情表現はいいんですが、踊ってないときにただの人に戻ってしまうのに気づいて欲しいんですけど。
表情とダンスがマッチできるというのは、そうはたくさんあることではないのかも。例えばバネッサ・ゾッホリンの場合、きれいな人なんですが、顔に張りつけたような笑顔。自然に表情が出てないんで、踊りそのものも、自由の域に達してない感じがします。
SFgateの写真とレビューのリンク。2012年です。
こちらはビデオクリップ。
ビデオクリップじゃないんですが、パーティの開始場面と第二幕の一部がよく見られます。話をしてる人はアニタ・パチアッチで、ジュリエッとの乳母役でもあり、バレエマスターでもあります。
第一幕:ロミオがジュリエットの家の庭に忍び込んで始まるバルコニーの場面。愛を告白し合う2人は青春のまっただ中。見つめ合ったり、だきあったり、ふざけたりして、溢れるばかりの情熱と喜びで舞台上を駆け巡ります。お互いの感情だけが世界ーーそんな2人を見てて、思わず、あ〜、私にもこんな時代があったなーと、一瞬、フワァーと、タイムマシンに乗って、自分の過去に飛んでしまいました。
写真:リンクしたサイトから。これは2011年公演の時の写真です。
第二幕:ティボルト一派と、ロメオ一派の立ち回り:さすがハリウッドの第一人者がコーチした立ち回り、演出もいいし、皆さん、剣さばきが上達。ダンサーなんで、感がいいんですね。ティボルトがマキューシオを刺殺、ロメオが逆上してティボルトに復讐しますが、事態の重大さに愕然としたロメオ、許しを乞おうとします。
第三幕:一晩を共にしたロミオとジュリエットの別れの場面。パーフェクトな踊りとかなんとかかんとか以上のなにかで観客の心と目をしっかり2人につなぎとめ、観客も2人の動きを追います。美しいプロコフィエフのテーマにのって、ロメオとジュリエットは、澄んだ瀬せらぎの水のように、舞台上を走り、流れ、縺れ、絡み合い、輝き、滑ります。
写真:ロサンジェルスタイムズから。2011年の写真とレビュー。記事の真ん中あたりに、青いハイパーリンクがありますが、それをクリックすると写真が見られます。
ロミオとジュリエットが秘密で結婚してしまったのを知らないキャプレット大公夫婦、ジュリエットをパリスと結婚させようとしますが、ジュリエットは拒否。父親に自分の気持ちをわかってもらおうとするジュリエット、怒る父と母。ジュリエットに同情して、私は涙を流してしまいました。
ジュリエットが一時的に死んでいるだけなのを知らないロメオが、悲しみのうちにジュリエットの亡がらを抱き上げて踊ります。
ロメオが毒薬を飲もうとするとき、私は「ロメオ、早合点しないで!」と言いたくなってしまいますが、しょうがありません。
ロメオが自殺したあと、ジュリエットが目を覚まします。ロメオの死骸を見て愕然とし号泣。私も、さらに涙を流してしまいました。
ただの男の子から恋する青年へと変身、その喜びあふれる気持ちと情熱を、体全体で、ためらいもなく大胆に表現できるヨアン、この点では男性ダンサーの中では希有で、ロミオ役がぴったり。片手でマリアを高々とかかげて踊れるのは、今のところ、彼だけ。ちょっと背が低いのがダンサーとして難点と言えば難点ですが、ロミオ役をやってるときは、まるで気になりません。
目差しや体の動きでジュリエットの気持ちを伝えるマリアは、サンフランシスコ・バレエを代表するに相応しいプリマドンナに成長、ヤン・ヤン・タンがトップの時代に終止符を打ってしまいました。感情表現と技術がマッチするマリアーーこれからどのように成長するかは想像もつきませんが、成長し続けるのは確か。
マリアの場合、大胆に表現するんですが、彼女のパーソナリティなんでしょうか、それとも先のあるダンサーが持ってる共通のものなんでしょうか、それがたずなをかけ、言葉にならない部分、つまり「...」の部分を、体の筋肉一筋、一筋の動きにして表現してしまうんですね。
ヨアンも「...」ができたんですが、今シーズンまで長い間、ちょい役ばかりやらされてたせいか、あまりそれが見られない感じ。ヘルゲイ(ディレクター)にヨアンの踊る機会をもっと作ってもらいたいし、ヨアンのもう一つの特徴である、腕と手の動きのまれな美しさをぐーんと伸ばして、もっと見せて欲しいものです。
カーテンコールの時、ヨアンは最近、必ずマリアの手にキス。プログラム3の「リミニのフランセスカ」の時もそうでした(これも本当に素晴らしかったです)。「マリア、君は最高だ、お陰で素晴らしいパフォーマンスができたよ、ありがとう!」という気持ちを伝えてるんだ思います。ペアが技術的にマッチし、100パーセントの信頼があってこそ。ヨアンだから、マリアも十分に大胆に、繊細に、好きなだけ気持ちを込めて、今、踊れるんだなと思います。
ジェームス・ガルシア・カスティラ(James Garcia Castilla):ロミオの友達役。いつも足が後ろに高く良く伸びる美しいジャンプ。「にんじん」という孤児の話がありますが、そのにんじん的雰囲気と、チンピラ風の顔のおかげで随分、損してる感じ。SFゲートに写真が出てるのでリンクしておきます。
クィン・ワートン(Quinn Wharton)とルーク・ウィリス(Luke Willis):2人ともコールドバレエの一員なんですけど、体格がよく、パリスや、ティボルトの友達役をやってます。ジェレミー・ラッカー(Jeremy Rucker)もティボルト派の一員。
サラ・バン・パタン(Sarah van Patten): ロメオを見つめるさい、クビがガクッとさがっていて上目使いになり、ちょっと変。なんでだかわかりません。でも踊りや表現はぐーんと上手になってます。演劇のクラスでもとったのかも。
サラはピエールーフランコイズ・ビラノバ(Pierre-Francois Vilanoba)と組んで踊ったんですが、2人の踊りは、マリアとヨアンが持ってるほどのお客をつかむ力はありません。踊りはあっち、観客はこっちという区分が乗り越えられないんでしょうね。ビラノバは踊ってる最中の感情表現はいいんですが、踊ってないときにただの人に戻ってしまうのに気づいて欲しいんですけど。
表情とダンスがマッチできるというのは、そうはたくさんあることではないのかも。例えばバネッサ・ゾッホリンの場合、きれいな人なんですが、顔に張りつけたような笑顔。自然に表情が出てないんで、踊りそのものも、自由の域に達してない感じがします。
SFgateの写真とレビューのリンク。2012年です。
こちらはビデオクリップ。
ビデオクリップじゃないんですが、パーティの開始場面と第二幕の一部がよく見られます。話をしてる人はアニタ・パチアッチで、ジュリエッとの乳母役でもあり、バレエマスターでもあります。
2010年5月3日月曜日
ロミオとジュリエット
昨日はサンフランシスコ・バレエの今シーズン最後のプログラム、「ロミオとジュリエット」の初日でした。
数年前に見たのと同じプロダクションですが、モンタギュー家とキャピュレット家の立ち会いシーンは、前より短い感じ。アクションにコミカルなアドリブがつき、変化があってずっと面白くなっているような気がしました。
でも最大の見せ場は、栄華の頂点にたっているモンタギュー家が、その威信をかけて開く、仮面パーティだと思います。
とくにその中でも、モンタギュー家当主のリードで、舞踏会の開催を告げる、パーティ参加者全員で行うダンス。プロコフィエフの、自信と権威に満ちた音楽が、当主(パトリアーク)の自信と誇りを伝えます。
政治的宿敵のパーティにいたずらで入り込んだロメオが、初めてジュリエットに出会い、二人が恋におちいるパーティでもあります。
ロメオにひかれたジュリエットが、ロメオの仮面をはたき落とし、素顔のロメオに真向かい、恋に落ちます。向かって左側前列が、ロメオとジュリエット。踊ってるのは、サラ・バン・パテン(Sarah Van Patten)と、ピエールフランソワ・ビラノバ(Pierre-Francois Vilanoba)。

サラは、特に好きなダンサーじゃないんですが、ちょっとは上達していて、多少、優雅さが増しました。でも、ロミオと初めて目を合わせるマジカルなモーメントの感動が伝わってきません。また、彼女の悲しみの表現は雑というか、表面的というか、内部からの悲しみが伝わってきません。サラ本人が、感情的というより、冷静な性格の人なのかも。
二人が初めて出会う、マジカルな瞬間の写真。ソースはこちらです。
ピエールは、いつもあまり表情がない人なんですが、今回はわりと表情豊か。本当は、マリア・カチェトコーバと、ヨアン・ボアダのが見たかったのですが、マリアの首の筋肉に故障をおこしたとこと、残念!
でも最後は、涙が一粒でてしまいました。
どちらかというと、マスキュリン(男性)なこのバレエ、5月9日までやってます。音楽はドラマチックで素晴らしく、コスチュームは豪華で、お薦めです。
数年前に見たのと同じプロダクションですが、モンタギュー家とキャピュレット家の立ち会いシーンは、前より短い感じ。アクションにコミカルなアドリブがつき、変化があってずっと面白くなっているような気がしました。
でも最大の見せ場は、栄華の頂点にたっているモンタギュー家が、その威信をかけて開く、仮面パーティだと思います。
とくにその中でも、モンタギュー家当主のリードで、舞踏会の開催を告げる、パーティ参加者全員で行うダンス。プロコフィエフの、自信と権威に満ちた音楽が、当主(パトリアーク)の自信と誇りを伝えます。
政治的宿敵のパーティにいたずらで入り込んだロメオが、初めてジュリエットに出会い、二人が恋におちいるパーティでもあります。
ロメオにひかれたジュリエットが、ロメオの仮面をはたき落とし、素顔のロメオに真向かい、恋に落ちます。向かって左側前列が、ロメオとジュリエット。踊ってるのは、サラ・バン・パテン(Sarah Van Patten)と、ピエールフランソワ・ビラノバ(Pierre-Francois Vilanoba)。

サラは、特に好きなダンサーじゃないんですが、ちょっとは上達していて、多少、優雅さが増しました。でも、ロミオと初めて目を合わせるマジカルなモーメントの感動が伝わってきません。また、彼女の悲しみの表現は雑というか、表面的というか、内部からの悲しみが伝わってきません。サラ本人が、感情的というより、冷静な性格の人なのかも。
二人が初めて出会う、マジカルな瞬間の写真。ソースはこちらです。ピエールは、いつもあまり表情がない人なんですが、今回はわりと表情豊か。本当は、マリア・カチェトコーバと、ヨアン・ボアダのが見たかったのですが、マリアの首の筋肉に故障をおこしたとこと、残念!
でも最後は、涙が一粒でてしまいました。
どちらかというと、マスキュリン(男性)なこのバレエ、5月9日までやってます。音楽はドラマチックで素晴らしく、コスチュームは豪華で、お薦めです。
登録:
投稿 (Atom)



