2011年2月14日月曜日

アノ・ヌエボのゾウアザラシ

アノ・ヌエボ州立自然保護公園(Ano Nuevo State Reserve)は、ゾウアザラシが人間による捕獲のため、絶滅の危機にさらされたとき、州が保護に乗り出して作られた保護地。ハイウェイ1沿いの、ちょうど、サンフランシスコとサンタクルツの中間ぐらいの、本当に何も無いところに位置してます。

普通の州立公園と同じなんですが、12月中旬から3月末頃までのゾウアザラシが出産・繁殖期に入る期間、入園が予約制になり、グループごとにガイドがつきます。

私達が予約した日は、2月とは思えないほど暖かく、穏やか日となり、人間にとっては最高のハイキング日より。半袖Tシャツで十分の気候でしたが、海岸に近づくと、さすがに風が冷たく、ウィンドブレーカーを着用。

海岸からかなり離れた”内陸”で、最初に出会ったオスのゾウアザラシ。長い鼻で、オスだとわかります。アルファ・ブル級のブルに、ハーレムの近づかないようにと、追い払われたのかも。手びれをふってるのは、私達を歓迎するためではなくて、熱いので風とおしをよくして、体温を下げるためです。ゾウアザラシは人間と反対で、雨がボショボショ降って寒い日が、一番、元気よく活躍できる日なんだそうです。



ずーっと静かにしていたブルが突然、ものすごい勢いで15メートルくらい、右に”走り”だし、メスに近づくとピタっと止まりました。写真真ん中の二匹です。そしてこの写真の直後、メーティングを開始。その模様はYoutubeにアップロードしといたので、興味があったら、そちらで見てください。



海岸で静かに寝そべってる、まだ若いブル。カメラの方をちゃんと見てます。



このブルは多分年寄り。鼻が大きいわりには、くしゃとしているからです。500トンくらいあるかも。ゾウアザラシは、一回のジャンプで3メートルくらいは軽々移動できます。下敷きになったら、大けがするのは必須なので、近づくのは禁物。



ビデオカメラが海岸に設置されていてインターネットにつながっているので、ここに行くとゾウアザラシの様子が観察できます。

帰りはレッドウッド・シティのロブスター・シャックで、見事なロブスターとロブスター・ビスクを食べて帰りました。

2011年2月6日日曜日

ユーリの新作バレエ、「RAkU」とヤン・ヤン・タン

ボリショイのスターだったユーリ・ポゾホフ(Yuri Possokhov)は、サンフランシスコ・バレエのプリンシパル・ダンサーを経て、振付家。ダンサーを引退する前後頃から、振付けを発表しだしたんですが、才能あり!

今まで10作くらい発表してますが、斬新な作品が多いです。強い印象を受けたのが、3作くらいあり、できればまた見たいものです。一作ごとにフォームや動きに独特さがあるんです。いろいろなアプローチを試してるのかも。だから面白いんでしょうか。

そのユーリの最新作が「RAkU」。大きな冒険をした作品。ロシアのダンスには「スパルタクス」などの、男性のボディと力を中心に展開するダンスがありますが、アメリカでは珍しい、マスキュリン・ダンス。日本の剣道の動きを取り入れた部分もあります。ビジョアル的仕掛けもあり、お客さんの受けは大! 

武者の衣装が、秦の始皇帝のお墓から出てきた戦士の人形に似てて、はじめは中国の話かとおもったんですが、僧侶と、燃え上がった火が寺院が焼け跡にしてしまう背景を見て、「あ、これは金閣寺の話!」と、思い当たりました。

三島由紀夫の小説、「金閣寺」は読んだ事ないんですけど、「RAkU」によると、武者の妻に恋した僧侶が、夫が戦争にいったすきに、女をさらい、多分、強姦してしまいます。その直後、女は、夫が戦士した知らせを受け取ります。金閣寺は僧侶の放火で灰と化し、女は灰と化した夫の亡がらと剣を受け取って悲しみます。

武者の妻を演じたのはヤン・ヤン・タン、その夫はダニエル・スミス(Damian Smith)、気の狂った僧侶を演じたのは、パスカル・モレー(Pascal Molat)。


California Literary Reviewの写真から。このリンクをたどると、プロブラム2の、その他の写真とビデオクリップが見られます。

ヤン・ヤン・タンは、昨シーズンにマーメイドを演じて絶賛を受けたのですが、今回の「女」の演技は迫真に迫り、内的苦悩を伝えるのが、本当に、本当に上手になりました。彼女は、ついに、演じる人を舞台上で生きる、真の「アーティスト」なったんだなーと思いました。

パスカル・モレーは、気が狂った僧侶などの、ちょっとふつうじゃない役をこなすのが上手。彼ならではの僧侶でした。

RAkUの写真がもう一枚見られるリンクをつけておきます

なおヤン・ヤン・タンの「ジゼル」は、あまりよくありませんでした。「愛」とか「好き」とかの表現が彼女の大きな弱み。好きになるという自然の感情の自由な表現を奨励しない、中国文化の中で育ったというのが、彼女の表現を大きく制限してるんだと思います。日本のダンサーも同じと思います。

2012年3月6日:RAkUのビデオが見つかったんで、リンクします。

2012年4月1日:RAkUのDVDが、ジョージ・ルーカスのスカイ・ランチで制作されました。SFフォペラハウスのギフトショップで売ってます。ヤン・ヤン・タン紹介のビデオにもRAkUが入ってます。

サンフランシスコ・バレエの「ジゼル」

私が見たのでは、ロレナ・フェイホー(Lorena Feijoo)がジゼル、ビトール・ルイズ(Vitor Luiz)がアルブレヒト伯爵を演じてました。

ロレナはジゼルの役をやるのが上手。彼女は気が強そうなキューバ人なんですが、ジゼルをやる時は、線が細く、ちょっとしたことで、体も心も傷つけてしまう田舎娘をうまく演じます。

ロレナがサンフランシスコ・バレエでジゼルを踊っているビデオをyoutubeで見つけたので、リンクしておきます。気が狂って死んでしまう前の、踊るのが大好きなジゼルです。

2月7日追加: 初日は、ヤン・ヤン・タンと、昨年冬の「くるみ割り人形」で初めて登場した、アルテム・ヤチメニコフ(Artem Yachmennikov)のコンビでした。

新聞のレビューはたいへん良かったし、2人の写真が3枚見れるので、レビューにリンクしておきます。

私も、レビュー者と同意見、アルテム・ヤチメニコフ(Artem Yachmennikov)のサンフランシスコ・バレエ入団は大歓迎。昨年冬、彼がくるみ割り人形の王子様を演じたのを見たのですが、すごくよかったです。表現たっぷりの彼の手に、強い印象を受けました。

でも2〜3日前に怪我でもしたらしく、2月12日にヤン・ヤン・タンと、ジゼルをもう一回やることになってたのですが、キャンセルされてました。残念!

彼女の新しいお相手は、今年から入団した、イタリア人の新人、ビトー・マゼオ(Vito Mazzeo)。どんなアルブレヒトを演じるのか、楽しみです。

2011年1月30日日曜日

新しいハウスメートとピザ

今年始めから、新しいハウスメートが加わりました。名前はトミー。目が大きくて眉毛が凛々しくて、全体的に可愛い印象の子。いつもニコニコしてます。

6フィート1インチという、背が高くてほっそりとしたトミーと私は、最初から気があうかも... と思って三日目。会話のなかで「ぼくゲイなの」とサラリと言ってくれて、私もほっ。始めからわかってました。

トミーはお料理が大好き。私も、会社から帰って作ることおおいんですが、最近はトミーと週に二日ぐらいキッチンで一緒になるのが楽しくなってきてるところ。

私は今、NHKのサイトの「今日の料理」と「みんなの今日の料理」にはまっていて、メンバー登録までしてしまいました。お料理って、気分転換に、本当にいいんです。

彼の十二番は手製のピザ。

お店で買ってきたピザのドウ(Dough)を、ビニール袋から出して、しばらく放置し、膨らむのを待ちます。それに小麦粉をふって、ドウをローラー(写真下)を使って、テーブル等の、キッチンの空いたスペースでのばします。

どこのお店でドウを買うかというのがこだわり。トミーによると、ルカ(Locca=バレンシア通りにある、サンフランシスコでは、有名なイタリア食材のお店)のより、トレーダー・ジョーの方が好みにあってるそうです。



写真中の円形のものは、出来上がったドウをのせる、素焼きのピザ台。この上にオリーブ油をちょっと落としのばしてから、ドウを広げ、その上にソースを塗ったあと、具をのせます。その後、オープンへ20分くらい入れるとできあがり。

金属製のピザ台は、他のハウスメートも持ってるのですが、素焼きの台は初めてみました。温度が均等に分散されるので、いいんだそうです。



先日は、マッシュルームと特別のチーズのピザ。それに自然食品のグリーンとアボガドのサラダを組み合わせます。なお上の写真の手は私の手で、下はトミーのです。

毎週、一回は作るんだそうです。

2010年12月25日土曜日

今年最後のブログ: ダンジョネス蟹と映画、「黒鳥」

日本への渡りの日が近づいてきたんで、今年はこれが最後のサンフランシスコ発。

年末の締めくくりとして、サンフランシスコ名物のダンジョネス蟹(Dungeness Crab)を食べる事にしました。
近所の魚屋さんへ行って、元気良さそうなのを2匹購入。今年は蟹がこぶりですが、エラく安価。後ろの蟹の方が元気で、写真を撮ろうとすると立ち上がって写真のようなポーズ。



いつもは沸騰するお湯の中でゆでるんですが、今年は、蒸すことにしました。

生き物を殺生することになるので、無駄な食べ方はしませんという誓いと、感謝の気持ちで心を100パーセントいっぱいにして、おなべに、背中を下にして入れます。

中国人は、ゆでるとき、ヒネショウガの荒せんぎりをおなかの上にのせてから紹興酒を振りかけてますが、私は、きれいに洗ってから、ただの素蒸し。15分ちょっと蒸します。美しい、真っ赤な色になります。


ソースは使いません。ほのかに甘い、ダンジョネスの肉を楽しみます。

映画「黒鳥(Black Swan)」

ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)が主役のダンサーを演じます。「白鳥の湖」のオデッタ/オディールに抜擢された彼女が、黒鳥を踊るにふさわしくなるまでの成長を描いたサイコ(精神)ドラマ。主役に抜擢された人には、敵あり、迷いあり、いやがらせを受けたり、自分が小さく見えたり、まわりに迷惑かけながら、黒鳥を踊れる自分を創っていくという話。

こういうこと、会社でもしょっちゅう+頻繁にあるので、そういうパースペクティブで見れば、新入社員にはオリエンテーションにはなるかも。でも解決策は提示されません。



映画の宣伝用トレイラーをリンクしておきます。

映画が始まるとすぐにリンカーンセンターが出てくるのでニューヨーク・シティ・バレエが舞台でしょう。ディレクターを演じる人が、マーク・モリス(Mark Morris)にそっくりなので、可笑しくなりました。

サスペンスと思ってゆくとがっかりすると思いますが、確かにヒッチコック的クラッシックなところあり。ところで一番最後なんですが、もう終りかと思って注意を払わなかったら、わけのわからない結末になってました。一緒にいった友達に聞いたんですが、私と一緒に立ち上がり、見てなかったんでわからないから教えてくれって、アメリカ人のくせに言うんです。知ってる人、教えてください。

追加: ナタリー・ポートマンは子どもの頃、バレエを習ってたそうです。この映画の撮影に入る一年前からバレエの練習を始めたそうです。

2010年12月21日火曜日

サンフランシスコ・バレエの「くるみ割り人形」

サンフランシスコ・バレエのくるみ割り人形は、縫いぐるみの熊さんが登場したり、アラビアン・ナイトぽくなったり、手品ありで、大人も子供も楽しめる楽しいバレエ。

数年前に比べると、30分くらい短くなってるようですが、子供にはちょうど良い長さかも。

第一幕の見所は、ビクトリア調時代(フロイドが活躍した頃)の、豊かな家の、家族とゲストで祝う、クリスマス風景。

雪がしんしんとふるなかで、雪の女王様と王様、そして雪の精が踊る場面も、チャイコフスキーの美しい音楽とともに、心に残る場面です。

第二幕では、ロシアの木こりのダンスが、いつもやんやの喝采を受けます。

見所は終わり近くのグラン・パ・ド・トゥでしょう。

去年、ソフィアン・シルビ(Sofiane Sylve)がコンペイ糖の国の妖精となって出てくる「くるみ割り人形」は、見たくないと書きましたが、ご本人、今年は去年に比べて、ずいぶん、明るくなった感じ。サンフランシスコ・バレエに入団して一年たったんで、落ち着いてきたんでしょうか、以前、彼女を取り巻いていたグレーのイメージは消えてて、チュチュも似合ってたし、グラン・パ・ド・トゥをていねいに踊ってました。

彼女のパートナー(くるみ割り人形)は、今シーズン入団した、新顔のアルテム・ヤチメニコフ(Artem Yachmennikov)。初めて見る人なんですが、手のひらや指の動き(腕じゃなくて)に表情があること、相手をちゃんと見つめてニコニコしたりなどの感情の表現が上手で、プロという感じ。体の動かし方が優雅で、サンフランシスコ・バレエにとっては、たいへんなプラス、思わぬ才能を確保したと思います。

男のダンサーで、表情のある人って以外と少ないんですね。感情を見せるのは男らしくない思ってるんじゃないかと思います。サンフランシスコ・バレエでは、ヨアン・ボアダ(Joan Boada)が、感情表現を目一杯やります。悲しいときは悲しい表情、嬉しいときは満面の笑み、そしらぬ顔をするときはポイと横を向いたりと、上手だと思いますが、新顔アルテムは、どんな悲しみの表現を見せるのか楽しみです。ヨアンより背が高く、多分若いので、これから先が楽しみです。

サンフランシスコ・バレエのくるみ割り人形のビデオをリンクしておきます。


写真は、マリア・カチェコーバ(Maria Kochetokova)とディビッド・カタパリアンのグラン・パ・ド・トゥ。彼女も去年より、優雅になったようです。ディビッドも上手。

追記(2011年4月):マリア・カチェコーバとディビッド・カタパリアンのグラン・パ・ド・トゥのビデオが見つかったので、リンクしておきます。二つあります。二つで、全部見られます。

ヨアン、アルテム、ディビッドが、男性のトップ3でしょう。

女性は、ヤン・ヤン・タン(Yuan Yuan Tan)、マリア・カチェコーバ、ソフィアン・シルビがトップ・スリーだと思います。

2010年12月6日月曜日

久しぶり、ロサンジェルスの休日


写真はロサンジェルス植物園で見たバナナの花。直径約30センチ。ガクを含めた花の長さは75センチくらいかな。

感謝祭休日(Thanksgiving Holiday 11月25日から28日)を利用して、ロサンジェルスへ。

ハイウェイ880から、580経由でハイウェイ5に入り、ロサンジェルス入りという、通常のルートです。

一番気をつけなくちゃいけないのは、ベーカーズフィールド(Bakersfield)を過ぎて、ロサンジェルスに入る直前にある、通称、グレープバイン(The Grape Vine)。道路がまるで地面を這い上がる、ブドウの蔓のようだというのが名前の起源だそうです。

結構、急でスケールの大きい上りが続くだけならいいんですが、おっきなトラックがばんばん通ることと、晩秋から早春にかけて、道路が凍る事があるので、出発の前々日から気象情報には注意しておかなければなりません。地球温暖化のため廃業したのか、スキー場のリフトがなくなっていたような感じでした。

突風も危険事項の一つ。私は経験した事ないんですが、ベンツに乗ってる友達が突風にあおられてハイウェイの中央分離体に衝突、レッカー車が来たそうですが、再び突風に襲われ、今度はレッカーにぶつかってしまい、その日はローカルホテルに泊まり、翌日、車は修理屋においたまま、飛行機で帰ってきたそうです。その話を聞いて始めて、何にもない変なところの道路の両側に、ブレーキ修理工場や、ホテルがけっこうある意味がわかった次第です。

そういうことを除けば、呆然とするほどの美しい景色がダイナミックに続くのがグレープバイン、それを見たくて、今回、ドライブすることにしました。

帰路のグレープバイン沿いの休憩場(Rest Area)からとった写真。前日に雪が降った雪がパウダーシュガーのよう。


友達の家で七面鳥を食べた翌日、午前中はロスの植物園へ。友達が熱帯植物ファンなんです。くじゃくが放し飼いされているのが気が利いてていい感じ。バナナとか、カカオなんかが植わってました。入場料8ドル。


午後はパサディナの、ノートン・サイモン美術館(Norton Simon Museum)へ。ここ、美術館ファンにはお薦めです。ゴーギャンの作品が多くありましたが、目玉は、モネのスイレンの池を連想させる池のある彫刻ガーデン。

屋内の展示を見た後、コーヒーかなんか飲みたくて、大きなガラスのドアを押して庭に出るんですが、あやめのようなのが生えている池がキラキラを光って目に飛び込んできます。するとコーヒーなんかどうでもよくなり、池沿いに巡らしてある小道を散歩したくなります。



人間の知覚を十分に考慮して設計された、優れたデザインの彫刻ガーデン。池のまわりの小道沿いには、嬉しくなるほど、ほどよい間隔で、ムーアやマイヨールの作品が置いてあります。池のまわりの小道からは、違った角度から、違った雰囲気の池の様子が見られ、風で揺れる水際の植物やまわりの木々を、心から楽しめます。なお、入場料は8ドル。



翌日は、サンタモニカ・マウンテンへ約6時間のハイキング。ロスを離れて北方へ2時間くらいドライブ。ロスへパプリカやアーティチョークを提供してる農業地帯を過ぎて海岸沿いから山に入ります。

サークルXランチでおトイレを済ませてからハイクを開始。サンフランシスコ・ペイ・エリアとは違う山の雰囲気を十分楽しみました。


もう少し写真を見たい人はこちらへどうぞ。

2010年11月22日月曜日

カリタ・マッテイラの「マクロプロス事件」

レオシュ・ヤナーチェク(Leos Janacek)の「マクロプロス事件(Makropulos Case)」というのが順等なんでしょうが、カリタ・マッテイラ(karita Mattila)に敬意を表して、上記のタイトルにしました。

ノルウェー人ソプラノのカリタ・マッテイラは、昨今わりと頻繁にサンフランシスコ・オペラに来るんですが、評判負けというのが、私の感想でした。

ところが、今回の「マクロプロス事件(Makropulos Case)」で演じたエミリア・マーティはダイナマイト・パフォーマンスで、今までの印象は帳消し。演技力抜群の、別格オペラ・シンガーへと認識を新たにしました。今回も、一応見ておこう程度で、見たんですが、すでに有名な歌手でも、突然、飛躍して、自分を乗り越えるってこと、あるんですね。それも感動しました。

オペラの筋はというと、世界的なオペラ歌手、エミリアは、実は御年337才。ハプスブルグ家の錬金術士だった父が調合した「不老」の薬を無理矢理飲まされたため、長生きしてるんですが、再び、薬を飲まなければならない時期がやってきました。

薬の処方箋は、昔々(100年前頃)、彼女の生んだ子供を相続人に指定した遺言状と一緒に、タンスの引き出しにしまってあるんですが、そのタンスは、自分の孫にあたるアルバートが相続争いをしている家の中、そして家の現住人は、敵方のプルス男爵。

エミリアはアルバートを助ける気はさらさらないんですが、処方箋を得たいがために、遺言状のありかを教えようと、アルバートとその弁護士に近づきます。そこからこのドラマは始まります。


写真:美しく魅力的なエミリアと、向かって左から、エミリアが自分のおばあさんとは知りようもなく、彼女に恋するアルバートと、やはり彼女に惹かれるプルス男爵。その隣は弁護士のアシスタント、弁護士、プルス男爵の息子の恋人のクリステナ。息子はエミリアに一目惚れ、父親の男爵がエミリアと関係を持つのにショックを受け、自殺してしまいます。

舞台は、白い壁に、黒のペン書きのイメージが基調。エミリアのドレスも白で、全体的にフレッシュな感じで、ファッション誌、ボーグ的な味のある、舞台となりました。
 写真:ウィスキーを飲みながら、エミリアは自分の秘密を明かします。

カリタ・マッテイラは、マノン・レスコーのように、すでに設定されてるような役をやるより、自分でもっと創れ、演じられる部分のある役のほうが、彼女の持ってる力が引き出されれ、向いてると思います。

彼女のアクターとしての才能が光り輝いたパフォーマンス、さらにプルス男爵を始め、まわりのパフォーマンスが標準を上回り、またコミカルな部分もたくさんあって、思わず笑ってしまうオペラなので、お薦めです。
写真:弁護士事務所で出会うエミリアと男爵

初日のパフォーマンスのビデオクリップをリンクしておきます。

写真を見たい人は、こちらへどうぞ

ただし、英語の字幕を読みつけてない人は、見に行く前に、ネットで筋ぐらいは読んでから言ったほうが、楽しめると思います。

2010年11月8日月曜日

プッチーニの傑作「蝶々さん」と「芸者」のイメージ

今シーズンから新しいプロダクション(制作: 新しい舞台デザイン)になったんですが、こんなに違うかというほど、見られる舞台になりました。

日本人である私には、19世紀後半のヨーロッパが見た日本を、現代アメリカで再構すると、中華風日本民家になるという奇妙さがなじめないんですが、今回初めて、それはさておいといて、プッチーニのマダム・バタフライ(蝶々さん)に、ちょっとだけ心が開いたという感じです。

プッチーニが、同名のお芝居をパリで見たとき、蝶々さんがピンカートンを一晩待ち明かすのを、当時の最新照明技術を駆使して表現したのに感動。夕方が深夜になり、朝焼けがくるのを音楽で表現してみせると言って書かれたこのオペラ。

今回、光っていたのはピンカートン。演じたのは、ステファノ・セッコ(Stefano Secco)。ファースト役を演じたときは失望したんですが、今回のピンカートンは、いままでみた蝶々さんのなかで一番の出来! セッコ、汚名挽回。

今回のパーフォマンスのビデオクリップをここにリンクしておきます。

蝶々さんとピンカートンの新婚の夜。写真はSFgate.com and by Cory Weaver

芸者に売られた(多分武家か公家出身の)蝶々さんは15才でピンカートンと「結婚」、もちろん人身売買を正当化するための結婚ですが、蝶々さんは本気の結婚と思い込み、キリスト教に改心。このため家族から縁を切られたその3ヶ月後、ピンカートンはアメリカに帰国。

3年後、アメリカ人妻をたずさえて、ピンカートンが佐世保に戻ってくるのが、2幕目。

ピンカートンは自分を迎えに戻ってくると憑かれたように信じる蝶々さん。お金も底をつき、少しおかしくなってきてるんですが、それが子供っぽさと混じり合ってかなり不気味。それが絶頂に達するのが、プッチーニの美しい音楽が流れるなか、ピンカートンを窓辺で待ち明かす一晩。聴衆は、ここに怨念執念のおどろおどろしたものを感じるんでしょうが、アメリカに住む、現代日本人の私には、理解をチョウ超え。この場面は、以前の制作のほうが異常性を示唆する点で優れてたかも。

ギリシャ悲劇の「メディア」は、夫の血をひいている子供、三人を殺して夫へ復習しますが、蝶々さんの場合は、生き甲斐である子供の将来が確かなものになると、自分の生きる事には意味がなくなり、死を覚悟。

以前、アメリカ人の「芸者」に持ってる「おどろおどろしい」イメージについて、書いた事ありますが、今も執拗に変わらぬこのイメージ、プッチーニの「マダム・バタフライ」にも責任はあるんじゃないかと思い始めました。

ラ・ボヘメ、トスカと大ヒットを飛ばし、そのすぐ後に創作したのが、「蝶々さん」。今でも、世界で一番良く上演されるオペラのトップ10に入っているし、サンフランシスコ・オペラでは、トップ3に入ると聞いた事があります。蝶々さんを上演してれば、お客さんが入ってくるので、資金調達のため、2〜3年に一回、上演。こんな事情で、いわゆる西欧諸国で、「不気味な芸者」のイメージが定期的に、再生産されてるんじゃないでしょうか。

今回の蝶々さん、最初からあっと言わせる舞台のお披露目法、また蝶々さんを演じたスベトラ・バシレバ(Svetla Vassileva))も、2幕目では劇的な演技を展開するので、オペラファンにはお薦めです。

もっと写真を見たい人のため、新聞のレビューをリンクしておきます。

2010年11月1日月曜日

ドミンゴの「シラノ・ド・ベルジュラック」

さすがプラシド・ドミンゴ、券が売れて、久しぶりにサンフランシスコ・オペラハウスが満杯、観客の体温で、場内がいつもよりむっと温かい。

70才近いドミンゴ、主役のシラノ・ド・ベルジュラックをどこまで演じ、歌えきれるか、皆、興味津々だったと思いますが、さすが大物プロ、ここぞというところにエネルギーを集中させ、歌い演じきる事をちゃんと心得ているのに感心。


そして集エネの二場面に、私のソウルは感動したんですが、その前に、ちょっと説明。

シラノは剣豪で詩人、哲学者でもあるという、大変、優れた実在の人物なんですが、醜い鼻のため、いとこである、美しいロクサナに愛を告白する事ができません。

そんな気持ちはつゆ知らず、ロクサナは、シラノの部下の兵士で、ハンサムなクリスチャンに恋してることをシラノに打ち明け、危険な前線で、クリスチャンの命を守ってくれるよう頼みます。

クリスチャンもロクサナを好きなんですが、なんせ野暮なんで、気持ちをうまく表現できず、ロクサナの「精神」を満足させることができません。

クリスチャン:ロクサナ、ボクはあなたが好きです。
ロクサナ:  (うっとりとして)どのように好きなのか言って...
クリスチャン:どうって言われても... ムムッ... あなたを好きなんです。
ロクサナ:  だからどのように...? (ちょっとイライラ)

これに困ったクリスチャンは、シラノに相談。するとシラノは、「面白い事を考えついた。君は身体の『存在』をつらぬけ。ボクが言葉を考えよう。」つまり2人で分業して、一人の人間を演じるという提案をします。

(影に見えるのがクリスチャン)

ここで第一の感動の「ベランダ」の場面が始まります。夕闇のなか、シラノは影からクリスチャンに、二階のベランダに出てきたロクサナに語りかける愛の言葉を、伝えます。暗くなって誰が誰だかわからなくなると、シラノは前面に出てきて、ロクサナを愛する気持ちを、とくとくと伝えます。感動したロクサナが、ベランダから降りてくるすきに、シラノとクリスチャンは場所を交換。クリスチャンとロクサナは熱烈な愛のキスをかわします。



結局2人は結婚するのですが、軍人のシラノとクリスチャンは前線に送り出されます。そして前線から、シラノは一日、二通、クリスチャンの名で、愛の手紙をロクサナに送り続けます。

手紙を読んで感動したロクサナは、「この手紙には、私が愛してやまないソウルが、久しぶりに感じられる...」と、危険を犯して前線を訪問。驚いたクリスチャンはシラノに、「ロクサナが本当に愛しているのは、ボクではなく、この手紙の書き主であるあなただ!」と悲しみながら告げ、シラノに真実を告白するようにせまります。

ところが、運命のいたずらで、その日シラノの書いた愛の手紙をふところにいれたまま、クリスチャンは敵の銃弾に倒れます。

夫の死をいたんだロクサナは修道院に入居。シラノは、決まった時間にロクサナを訪問する毎日を送ります。

クリスチャンの死の数十年後、シラノがいつもより遅い時間にロクサナを訪問。自分の死を予感しての最後の訪問なんですが、ここで、2つ目の感動の場面が繰りひろげられます。



ロクサナがふところからクリスチャンの血で汚れた最後の手紙を出して、シラノに差し出すと、シラノは手紙を声をあげて読み始めます。

ロクサナ:「もう暗くなって手紙が読めないはず、それなのに、なぜまるで手紙の内容を知ってるかのように読めるの?」
シラノは手紙を読み続けます。
ロクサナ:「もしかして、手紙を書いたのは、あなたなんじゃないかと思う事があるんだけど、あなたなの?」
シラノ: 「いいや、断じて私じゃない!」

否定を続けているうちに、椅子から転げ落ち、息をひきとります。最後まで、手紙を書いた事を強く否定して...

この場面には、私のソウルもタッチされ、思わず、涙がほほを伝いました。

私:「なぜ、死に際に本当の事を伝えないの?」

シラノの「醜い鼻」は、ほとんどの人が持っている、「劣等感」の代名詞だと思います。私たち、醜い鼻は持ってなくとも、さまざまな劣等感を持ってる事ってあります。

クリスチャンは「体」だけの存在だとしても「美しいマスク」を持った身体、「醜い」が「頭の良く教養のある」シラノと同じように、ロクサナを愛していたのだし、その美しい存在にロクサナは恋をしたのですから、2人に優劣はつけがたいところがあります。

ただ愛した対象が、「洗練された」階級のロクサナだったので、ロクサナの精神は、「洗練された」シラノの精神に感動し、愛したのだと思います。とすると、問題は、「劣等感」ということになります。劣等感のため、愛を告白できないけれども、自分の感情を表現したかったシラノは、クリスチャンの身体を使うという、「戦術」に出たことになります。

ロクサナに告白したとしても、シラノの思った通り、拒絶されるかもしれません。だけど、少なくとも、ロクサナは、「美しいマスク」か、それとも「洗練された心」かというチョイスがあったんではないでしょうか。そして、数十年という時間を、納得して生きる事ができたと思います。

とにもかくにも、私のソウルは、この二つの場面を、熱く、気高く演じたシラノに感動。心を動かせる歌の不思議をまたまた体験したのです。

ビデオクリップをリンクしておきます。

普通の日はまだ券が残ってるんじゃないでしょうか。券が買えれば、お薦めのオペラです。

サンフランシスコの新聞のレビューと写真はこちらで見られます。

2010年9月30日木曜日

サンフランシスコ・オペラ制作の「フィガロの結婚」

サンフランシスコ・オペラの、今回のフィガロは、イタリア人のバスバリトン、ルカ・ピサローニ(Luca Pisaroni)、婚約者のスザンナは、アメリカ人ソプラノのダニエレ・デ・ニース(Danielle De Niese)(写真下)。

このフィガロ、パフォーマンスがまだらで、良いときがあったかと思うと、冴えないときがあったりなんですが、フィガロの役のベテランという感じで、演技は、今まで見たフィガロの中で、一番上手。とにかく愉快で、客席、笑いがあふれてました。サンフランシスコ・オペラ喜劇主演俳優賞というようなのがあったら、私は彼を第一位にノミネートしたいと思います。



スザンナは、始めの方は「大丈夫?」というくらい、声が伸びなかったんですが、緊張が解けてきたのか、だんだんよくなり、2幕目では、フィガロと一緒にのってきました。

歌の方の最大の収穫は、伯爵夫人を演じたエリー・ディーン(Ellie Dehn)。サンフランシスコ・オペラ初出演なんですが、ルース・アン・スワンソンと同じぐらい声が伸びるので、ちょっと驚き。(写真下)


サンフランシスコ・オペラの「フィガロの結婚」は、いつも同じ制作、つまり、舞台デザインも衣装も皆、同じ。どこかの倉庫に保存しておいた舞台装置を引っ張りだして使ってるんだと思いますが、なかなかうまくできてます。

そういえば、伯爵夫人のガウンの色がラベンダーから、ゴールドに変わってました。

サンフランシスコ・オペラの「トスカ」も、いつも同じ制作なんですが、ストーリーをたいへん上手にサポートする舞台デザイン。他のオペラカンパニーのトスカもテレビで見ましたが、サンフランシスコの方が、荘厳。変えてほしくないと思ってます。

話がずれましたが、フィガロはお薦めです。舞台のビデオクリップをリンクしておきます。

新聞の批評をここにリンクしておきます。写真がよく撮れてます。

2010年9月27日月曜日

シーズン開始を祝う、カル・パフォーマンス・デイ

秋の訪れとともに、アメリカ中で演奏会シーズンが始まるんですが、今年初めて、カル・パフォーマンス・デイ(Cal Performance Day)が設けられたので、日曜日(25日)に、バークレーへ。

不景気で客層が減るのを心配したカル・パフォーマンス(注参照)が、先手を打って、オムニバス式一日無料コンサートを開催。客層を広げようという試みと読みました。

午前中の目玉は、クロノス・カルテット(Kronos Quartet)。バークレーで、時々、コンサートを開くのですが、いつも売り切れ、今回初めて聞きました。



バイオリニストとか、セロ演奏者という感じじゃなくて、楽器を奏でる職人さんという感じ。英語で、アルティザン(artisan)というんですが、ぴったり。技と音に感動。

オープニングは、多分、フィリップ・グラスの曲。よかったです。この曲じゃないかと思いますが、もっと音質がよく(生なのであたりまえかな)、劇的。

この曲も演奏したと思います。このビデオは2008年となってますが、クロノスの面影を忠実に伝えてます。

無料コンサートなのでプログラムはなく、何を演奏したのか思い出せないのが残念ですが、クロノスのCDをうんと聞いてみるつもり。

注:「カル・パフォーマンス」とは、カリフォルニア大学バークレー校の、ゼルバック・ホール(Zellerbach Hall)を中心に行われる演奏会の総称で、有料と無料のがあるんですが、一般公開されてます。

2010年9月20日月曜日

絶賛、ジュール・マスネの「ウェルテル」

サンフランシスコ・オペラ、2010年、秋の公演が始まったんですが、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」をもとにした、「ウェルテル(Werther)」は、すっごくよい出来!!

まず第一に、出演者のほとんど全員が、最高のパフォーマンス!

シャーロッテを演じたアリス・クーテ(Alice Coote)。今回が3度目のサンフランシスコ・オペラ出演なんですが、歌手として、今が最も円熟している時ではないかと思います。深ーい響きのある歌い方で、耳経由でなく、直接、体の中に入ってきて、心の壁をノックしてやまない感じ。滝になったり、せせらぎになったり、しぶきをあげたり、鏡のようにまわりの景色を映したりする、流れのよう。

「ウェルテル」はかなり近代的なオペラで、シャーロッテは、愛を打ち明けられてあせったり(「私のこと何も知らないのに、どうしてそんなに愛せるの?」)自分の気持ちを否定したり(「私にはフィアンセがいる!」)、ウェルテルの心配に捕われて取り乱し、夫をしらけさせたりという、心の動きの表現が求められるんですが、アリスは、声と演技でやってのける、大変な演技派。

シャーロッテの妹、ソフィイを演じたハイディ・ストーバは、サンフランシスコ・オペラは初出演なんですが、嬉しい事に、アリスに、十分に太刀打ちできる声の持ち主。

写真はシャーロッテとウェルテル。サンノゼ・マーキュリー・ニュースから。

前回、グノーの「ファウスト」で、バレンティンの役をやったブライアン・ムリガン(Brian Mulligan)が、シャーロッテのフィアンセ/後に夫役で、揺るぎないパフォーマンス。

ウェルテルを演じたメキシコ人テナー、ラモン・バーガス(Ramon Vargas)は、絶賛を受けてました。一幕目、アリア数曲のしめくくりが、ちょっとずれるような気がしたんですが、2幕目が進行するにつれ、迫真の演技。

リブレットもよかったです。「君の瞳はボクの地平線」とか、恋をしてる人にしか言えないような台詞が一杯。

ウェルテルは初めて聞くんですが、オーケストラも凄く良かったです。曲の流れや、楽器の使い方が(どこにどの楽器を使う)大変面白いだけでなく、個性のある音色の楽器を使って舞台を進行させるので、上の4人に加えて、5人目の登場人物であるかのような感じ。

ゲーテのオリジナルは読んだ事はないんですが、このオペラを見ると、結構おもしろそうなので、学生のころ、読んどけばよかったと、ちょっと後悔。

ビデオクリップをリンクしておきます。最初の二つがラモン・バーガス、次がアリス・クーテで、オーケストラの面白さがちょっと味わえます。赤いドレスを来たのがハイディ・ストーバ、次が夫役を演じる、ブライアン・ムリガン。

心と外界を舞台化したような、地下と地上のある舞台。地下でウェルテルの心の動き、地上はシャーロッテとの関係や、2人をとりまくまわりの環境が表現され、うまく作ってあると思いました。ただ、根元が銀で、葉っぱがスクリーン・ディスプレイの木、もうちょっとなんとかならないかな。例えば、スクリーンをもっとおっきくし、緑の美しさを強調するとか...

私はアリスに最大の拍手、オーケストラと指揮者のエマニュエル・ビローメ(Emmanuel Villaume)にも、次の最大の拍手を送りたいと思います。

2010年9月14日火曜日

ポイント・レイズのエルク

ゴールデンゲート橋を渡って、一時間くらいドライブすると、ポイント・レイズ連邦海浜公園(Point Reyes National Seashore)という国立公園があるんですが、そこへ一日ハイキング。

この日は霧がひどく、集合場所のマクリュアズ・ビーチ駐車場(McClures Beach)へ向かうにつれ霧が濃くなり、車の先端しか見えなくなった時はさすがに道路上停車、引き返そうかとも思いましたが、対向車が来るのさえ見えないので、そろそろ前進。

駐車場へ着いたら、けっこうたくさん車が停まってたので一安心。さっそくタマルズ・ブラッフ(Tamels Bluff)へ向かいます。

霧の中、はるか向こうに小さくエルクの群れを見たときは、「お久しぶり!」

2度目はけっこう近場で、その場にいあわせた、ハイカー全員の足を釘付けしてしまう自然のドラマに遭遇! 

写真:道ばたに残されたエルクの糞。おおきなソラ豆ぐらいの大きさなんですが、もっと厚いです。

エルクの親分1が、5〜6匹のメスを先導して、右手に登場、池に水を飲みにやってきました。

親分1が、のどかに水を飲んでるメスの群れを突然、威嚇、押し戻します。いったいどうしたの? 

ややっ!、左手、山の向こうに、成熟したオス2が登場! まるで、親分に挑戦するかのように、いななきながら、しっかとした足取りで、山を下ってくるではないですか! そのうち、中央の山からも、ハーレムを率いた、オス3が出現!

YouTubeにこの模様を、アップロード
しておきましたが、エルクの「いななき」と言うんでしょうか、それを聞いたの、初めて。聞きたい方は、是非、YouTubeへ行ってみてください。2本目リンクはこちらです。



水を飲み終わった、親分1と、そのハーレム(写真上)。ここには見えてませんが、少し離れた左側に、3〜4匹の、若いオスの群れが、休んでました。同じグループのようです。

この立ち会いのお陰で、特別ハイクとなりました。

帰り道で、またもやエルクに、極近出会いをしましたが、なぜかカメラが休憩モードで、写真を撮れず、残念!
写真:ポイント・レイズの最北端の断崖、タマルズ・ブラッフ。

2010年9月6日月曜日

失望、 ジョージ・クルーニーの「アメリカ人」

働く人の日記念日をはさんでの三日間連休が始まりました。

で、9月3日(金)は、ジョージ・クルーニー主演の「アメリカ人(The American)」を見に行ったんですが、プレビューの印象とはぜんぜん異なる、地味な映画。

「特殊銃作成を依頼され、イタリアの田舎町で、ひっそり手作り銃を作る、雇われ殺し屋の、つまらない日常」を描いた作品といった方が正解。

2つ席向こうのおじいさんなんか、途中で高いびき、奥さんに注意されたりしちゃって。

ま、ともかく、そんな田舎の狭い路地で、車とオートバイの華々しい追っかけ殺人がおこるんですが、そういう筋が信じ憎いです。騒ぎで、年寄りが心臓マヒを起こす場面なんかあったら、もちっと信じやすいかも。

ジョージ・クルーニーはこの映画の出資者の一人。自分で出資して、「孤独と恐怖に一人で耐えるボクは、まさに『The American』、この映画で、ボクの俳優生活XX年の記念にしたい」というナルシズムがじゃらじゃら見られる映画。その証拠に、ベスト・アングルで撮影した、ハンサムなジョージ・クルーニーが、たっぷり見られる、クルーニー・ファンには、ばっちり楽しめる映画。

「The American」は、アメリカの暗い将来を反映したような映画とも言えます。心理学に興味ある人には、多分、原作の方が面白いかも。

2010年8月30日月曜日

高満足度の、ロブスター・シャック!

サンフランシスコからパロアルトにいく途中に、レッドウッド・シティ(Redwood City)っていう町があるんですが、そこがロブスター・シャック(Lobster Shack)のホームタウン。

ハイウェイ101をサンホゼ方面に南下、Wipple Blvd でハイウェイを出てそのまま、ストレートにダウンダウンに行く、道路の左側、「イン・アンド・アウト・バーガー(昨日オープンしたばかり)」の直前にあるんですが、外見の印象では、高級食材を扱うレストランのイメージがゼロ。大丈夫かな...

中に入ると、レジでオーダーしてお金を払い、それから開いてるテーブルにつくという、カフェテリア式。スタンフォード大学のカフェテリアの方が、よっぽどフォーマルな感じ。

ここまで来たら、観念して、とにかく食べてみよーっと。おなかも空いてるし...

ここによく来るといういう友達のオーダーに右ならいし、「ロブスター・ビスク」をオーダー(7ドル75セント)。(写真下)

コーヒーマグに盛ったこのビスク、えらいカジュアル、ロブスターを高級化しないところが、気に入ってきて、「こうじゃなくちゃ、ロブスターなんで気楽に楽しめない」と、お店の経営方針の正しさを直感!

金曜日のディナーにしては早めについた私たちはテーブルをとるのに、なんの苦労もなかったんですが、急にがたがたしてきたなと思って振り向くと、大きな窓越しの向こう側には、長い列ができてるじゃないですか。

マグが空になった頃、殻からとりだしてマヨネーズで合えた風の、「ネイクド・ロブスター・ロール(Naked Lobster Roll (18ドル50セント)」が。これが、歯ごたえも、香りも、色も新鮮で、だからこそ美味のロブスター! (写真下)

今まで、ロブスターを特においしいと思った事はなかった私ですが、生きたロブスターのゆで方を心得てる人がゆでたロブスターを、これほどカジュアルに、食べた事がなかったからに違い無し。

ネイクド・ロブスター・ロール、本当は、フレンチフライがついてくるんですが、カロリーをやたら取りたくないので、コールスローに変更してもらいました。干しぶどうが入っている、ちょっと甘い、私好み風コールスロー。


ご主人のラッセルさんは、ボストンで、ロブスターの輸出業に従事。友達の紹介で、サンフランシスコ・ベイ・エリアの女性と知り合い、数ヶ月後に結婚、生まれ故郷のボストンを引き払って、2006年に、レッドウッド・シティに引っ越してきたそうな。

そこで思いついたのが、自分の知識と経験を生かせる、メインロブスターのお店。ロブスターの専門店のないサンフランシスコ・ベイ・エリアで、これが、ヒットしたというわけです。

東海岸から空輸されるロブスターを、サンフランシスコ空港へ取りに行くのはラッセルさんの役目。

家族のメンバーで営業している店では、お客さんのオーダーが入ってから、タンクに入ったロブスターを捕まえて調理するとのこと。

私の友達は、本当に常連らしく、車の窓越しから、外に出てるラッセルさんと、帰り際にひとしきりおしゃべり。開店祝い中の「イン・アンド・アウト・バーガー」のお客さんが、ロブスター・シャックの駐車場を占領してしまわないよう、駐車場の見張りと、車の整理をしてる、ああそうか、大変だね等々、話してました。

ロブスターを高級料理にせず、カジュアルに、食べさせるこのお店、気に入りました。

ロブスターが好きな人、ロブスターに興味はないけど、試してもいいという人は、ハイウェイ101を、南に下る価値、おおあり。

2010年8月16日月曜日

初期印象主義絵画展 at デ・ヤング美術館

サンフランシスコのデ・ヤング美術館で、オルセー美術館所蔵の、「初期印象主義絵画展」を開催中。そろそろ見ておいた方がよいと思っていったところ...

展覧会場へ入るといきなり、正面に、ブグローの大作、「ビーナスの誕生」でが〜ん、右に、ルフェーブルの傑作、「真実」」でが〜ん! この二枚を見てたじたじとするだけでも、行く価値あり!

マネの作品は7品くらい来てました。「笛を吹く少年」は、以前、見た事ありますが、照明のせいか、ぐっと良い感じ。



展示されてる作品をリストしておくと...

ホイッスラー 「母の肖像」:けっこう大きな絵。
カイユボット 「床を削る人」: すがすがしく、美しい、労働者の絵。
ドガ 「バレエのレッスン」: 子供の頃、カレンダーの絵でみたのを覚えてます。その他5品くらい来てました。
セザンヌ 「首つりの家」。この他、数点、来てました。
ピサロ 「赤い屋根の家、冬の効果」。ピサロのも数点来てました。
シスラー 「洪水と小舟」 その他数点。
モリゾ 「ゆりかご」
モンテッセリ 「白い水差しのある静物画」
バジール 「家族の集まり」

この他、ルノアールやバジールや、名前は思い出せませんが、写真などで見た事のある絵が、たくさん来てました。

有名な絵をど〜んとたくさん持ってきてみせる、アメリカ式展覧会は、見ごたえあり。

バジールは、マネやルノアールと親しかったらしく、バジールが青サギの死骸の静物を描いているところを、ルノアールが描いたり(この作品はモネが購入、今はオルセー美術館蔵)、そのとき一緒に、青サギを描いた他の画家の静物画(モンテッスリ?)が、展示されてましたが、こういう、画家たちの交流が、絵でうかがえて、面白です。

2010年8月11日水曜日

サンフランシスコ・バレエ at スターン・グローブ

先週末のスターン・グローブ、夏のコンサートシリーズは、サンフランシスコ・バレエの出番でした。

朝からフォグが覆う寒い日で、あまり人は来てないんじゃないかと思ったら、大間違い。一時間前についたのに、良いスペースは、ほとんど残ってなかったのでがっかり。やっと舞台左前にもぐりこみました。

開演ちょっと前から、バレエ団のメンバーが、舞台上で思い思いにウォーム・アップを始めたところが下の写真。おんぶされてる女の子が可愛くて撮ったのですが、左後方に、団員でソロリストをしている、山本帆助(はんすけ)という、日本人ダンサーが写ってます。入団して、かれこれ、5〜6年。その後ろの茶色のジャケットを着ているのがジェイミ・ガルシア・カステラ、彼はプリンシパルで、上手。


マリア・コチェトーバ(団員)は、今回は非番で、観客席から公演を見ていたようです。彼女がアップロードしたスターン・グローブの写真をリンクしておきます。一時、霧がひどくなって霧雨っぽくなったとき、公演が一時中止になったんですが、そのときの写真です。

最後に踊ったのは、マーク・モリス(Mark Morris)の、サンドペイパーバレエ(Sandpaper Ballet)。軽快で楽しい作品で、大好きです。

2010年7月30日金曜日

87才と97才の新婚さんがロンドンで誕生

(写真:BBCのニュースサイトから)

BBCのインタビューのビデオは短いんですけど、かなり面白いんで、お薦めです。内容は、次のとおりです。

97才とはとても思えぬヘンリーさんと、87才のバレリーさんが出会ったのは、ロンドンの老人ホーム。

今から4年以上も前に、ヘンリーさんはバレリーさんに惹かれている自分を発見。

「自分みたいな年寄りに、こんな『若い女性』が興味をもつわけがない」と思ったのだそうですが、ある日、冗談まじりに、「もしぼくが結婚してと言ったらなんていう?」と聞いたところ、「バレリーが、突然ギャーギャー笑いしだし、テーブルに顔をつっぷして、涙を流しながら笑い続けたんだよ。」

毎日、「ぼくと結婚しない?」と、聞き続けた、4年後のある日。

「『これを最後にもう二度と聞かないけど、ぼくと結婚してくれない』と言われたとき、いいわよと言ったのよ」とバレリーさん。

80人のゲストを老人ホームへ迎えて挙式、そのあと、ハイ・ティーで結婚を祝ったそうです。

新婚旅行は、老人ホームのお庭。

年をとっても、一人じゃ寂しいんですね。お幸せに!

2010年7月27日火曜日

サンフランシスコ交響楽団 at ドロレス・パーク

先週の日曜の、ドロレス・パーク(Doroles Park)でのサンフランシスコ・シンフォニーのコンサート(無料)は、最高でした。

今年は、「祝メキシコ独立200年」という、特別タイトルつきで、前半はメキシコの作曲家の作品を4曲やったんですが、これが意外に面白かったです。欧米のメロディーや、楽器の組み合わせ方・使い方とはちょっと違う、そこが新鮮!

ゲストの指揮者が、アロンドラ・デ・ラ・パラ(Alondra de la Parra)という、ニューヨークベースのメキシコ人女性というのも、さらにグー。

ながーい波に乗って、波乗りをしてるような指揮ぶり、美しい指揮棒の手さばきは、堂々プロフェッショナル。スペイン語と英語を交えての曲の合間の説明にメキシコ人の誇りが感じられます。それが観客に伝わるだけでなく、ちょっとハスキーな声でにこやかに語りかけるフレンドリーなのが受けて、やんやの喝采。


「メキシコ系の人、手を挙げて!」というアランドラのリクエストしたのに応じてあげられた手は、結構な数。

指揮者は、男性の仕事という感じでしたが、このドロレスパークでのコンサートが、その観念を、見事に「くずかごのくず」にしてしまいました。

メキシコ系の子供たちもたくさん来てましたが、ポニーテールをしっぽのように振り回して、指揮するアロンドラを見て、「私も、自分のなりたいものになれる!」と思った女の子が、必ずいたと思います。


「Sobre las Olas」という曲の演奏のビデオをYoutubeにアップロードしました。

誰でもが聞いた事のあるこの曲は、メキシコ人作曲家、Rosasの作品と解説すると、聴衆は大喜び。テーマの部分が繰り返されるとおこる拍手に、皆さんの喜びはよくわかるわよと、アロンドラが半分聴衆に向き直って、笑顔を見せて答えます。

サンフランシスコの風が彼女のジャケットを揺らします。

Marquez作の Danzon No.2というのも、なかなかよかったです。こちらにさわりをアップロード

第二部は、ドボルザークの「新世界」。彼女らしい、チョイスでした。久しぶりに全曲聞いたんですが、こういうイベントにぴったりのマスターピース。