2011年2月6日日曜日

ユーリの新作バレエ、「RAkU」とヤン・ヤン・タン

ボリショイのスターだったユーリ・ポゾホフ(Yuri Possokhov)は、サンフランシスコ・バレエのプリンシパル・ダンサーを経て、振付家。ダンサーを引退する前後頃から、振付けを発表しだしたんですが、才能あり!

今まで10作くらい発表してますが、斬新な作品が多いです。強い印象を受けたのが、3作くらいあり、できればまた見たいものです。一作ごとにフォームや動きに独特さがあるんです。いろいろなアプローチを試してるのかも。だから面白いんでしょうか。

そのユーリの最新作が「RAkU」。大きな冒険をした作品。ロシアのダンスには「スパルタクス」などの、男性のボディと力を中心に展開するダンスがありますが、アメリカでは珍しい、マスキュリン・ダンス。日本の剣道の動きを取り入れた部分もあります。ビジョアル的仕掛けもあり、お客さんの受けは大! 

武者の衣装が、秦の始皇帝のお墓から出てきた戦士の人形に似てて、はじめは中国の話かとおもったんですが、僧侶と、燃え上がった火が寺院が焼け跡にしてしまう背景を見て、「あ、これは金閣寺の話!」と、思い当たりました。

三島由紀夫の小説、「金閣寺」は読んだ事ないんですけど、「RAkU」によると、武者の妻に恋した僧侶が、夫が戦争にいったすきに、女をさらい、多分、強姦してしまいます。その直後、女は、夫が戦士した知らせを受け取ります。金閣寺は僧侶の放火で灰と化し、女は灰と化した夫の亡がらと剣を受け取って悲しみます。

武者の妻を演じたのはヤン・ヤン・タン、その夫はダニエル・スミス(Damian Smith)、気の狂った僧侶を演じたのは、パスカル・モレー(Pascal Molat)。


California Literary Reviewの写真から。このリンクをたどると、プロブラム2の、その他の写真とビデオクリップが見られます。

ヤン・ヤン・タンは、昨シーズンにマーメイドを演じて絶賛を受けたのですが、今回の「女」の演技は迫真に迫り、内的苦悩を伝えるのが、本当に、本当に上手になりました。彼女は、ついに、演じる人を舞台上で生きる、真の「アーティスト」なったんだなーと思いました。

パスカル・モレーは、気が狂った僧侶などの、ちょっとふつうじゃない役をこなすのが上手。彼ならではの僧侶でした。

RAkUの写真がもう一枚見られるリンクをつけておきます

なおヤン・ヤン・タンの「ジゼル」は、あまりよくありませんでした。「愛」とか「好き」とかの表現が彼女の大きな弱み。好きになるという自然の感情の自由な表現を奨励しない、中国文化の中で育ったというのが、彼女の表現を大きく制限してるんだと思います。日本のダンサーも同じと思います。

2012年3月6日:RAkUのビデオが見つかったんで、リンクします。

2012年4月1日:RAkUのDVDが、ジョージ・ルーカスのスカイ・ランチで制作されました。SFフォペラハウスのギフトショップで売ってます。ヤン・ヤン・タン紹介のビデオにもRAkUが入ってます。

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