2008年11月9日日曜日

遅ればせながら、会社のハロウィーン

サンフランシスコ近辺では、ハロウィーンを行う会社がいっぱい。

私の会社はシリコンバレーにあるんですけど、会社のマネージメントや従業員の意識は、近辺の会社より10年遅れてるので、寂しいというか、悲しいというか...

でもハロウィーンは別。会社のトップがハロウィーン好きなので、これだけは他社と足踏みをそろえてます。

でも今年のハロウィーンは寂しかった。毎年、全員がハロウィーンの衣装を着て出社するわけではないんですが、今年は激減で、ハロウィーン「正装」してきた人たちが、去年の四分の一以下。

まずハロウィーンを立派に迎えた会社の人たち(一部)の記念写真。


今年は株式市場が大荒れで、同僚でも、退職金のかなりの部分を失った人が結構います。ハロウィーン以前から、ハローウィンのような毎日が、2ヶ月も続いたので、みんなクタビレきってしまったのです。私も、今年はあまり乗らなかったのですが、同僚をエンターテインするのも社員の役目とおもい、ボランティアの精神で、今年は「クレージー・ドクター」になりました。

このアイデアが受けて、他にも「気違い外科医」になった人が何人かいます。

今年は写真右の人がハロウィーンコスチューム一等賞をとりました。

受付のおばさんは、クレージー看護婦。血液の入ったバッグを持ってます。


ペイロールの彼女は魔女。魔女と看護婦は、ハロウィーンの定番です。


私のボスのコスチューム。孫の男の子が考えてくれたそうです。結構怖くて、よかったです。

2008年10月10日金曜日

税金7兆ドルを使ってウオールストリート救済する?

この2週間、アメリカは毎日が出来事ロジーで、驚いたり、笑ったり、怒ったり、先を読もうとしたりで、ジェットコースターに乗ってるようで、疲れました。

事の始まりは、税金から7兆ドルを無条件で出してもらい、ウオールストリートを救済するという、米財務大臣の、ポールソンのウオールストリート救済案。その使い道について、誰も責任取る必要の無いとはっきり書かれたこの案、米中流階級が、猛反対し、下院では見事に否決されました。

(写真はポールソン。政府の現役役職者は株を持つのは禁止されているので、大臣になったとき、所有株を全部売却。そのかわり、売却分には税金はかからないので、5億ドルまるまる懐に。庶民と、金銭感覚が同じとは思われません。)

「"Privatization of profit" and "Socialization of loss" 利益は私有化しながら、損害は社会で負担とはどういうことか!と、怒りが怒濤のようにわき起こったのです。

ちょっとバックグラウンドを説明すると、日本でもバブル崩壊のとき、国民の税金を使って銀行を救済したようですが、同じ金融機関救済と言っても、日本と、ウオールストリートの経営陣の報酬の額と、金銭感覚は、雲泥の差!

ウオールストリートの法外な報酬とどぎもを抜くパーティの話を知らない人は、アメリカには、まずいないでしょう。

財務大臣のポールソンは、ゴールドマンサックスの前社長。去年のボーナスだけでも38ミリオン$、日本円でいうと、38億円!。それも、今問題になっている不動産ローンから作られたデリベィティブを売買して得た巨大なもうけから支払われたボーナス。

金融関係のトップであれば、いずれバブルは爆発するのは、よく承知していたはず。わたしだって、こんなねずみ講的もうけが、つづくわけはないと思っていた一人です。ウオールストリートは、政府が救済に入るのを計算に入れて複雑なデリベィティブの金融商品を作り、取引きしていたのに間違いありません。

私が一番不快だったのは、ポールソンの「7兆ドルを無条件で、すぐさま出さないと、大変なことが起こる」という説明の仕方。何がどう大変でという説明がないばかりか、恐怖感をおあり、急いて可決させようとした経過が、イラク戦争に突入したときとそっくり。それが第一のむかつき。

第二は、ウオールストリートがやってたのは、エンロンと同じねずみ講、そのねずみ講の穴を埋めるために、米納税者に泣きつくとはなんということ! まさに、利益の私有化、損害の社会化です。。
 
というわけで9月の最後の週は、私も下院議員や上院議員に抗議の電子メールを送信。正直いってつかれました。

とにかく、ポールソン法案を通すための、通常人を馬鹿にするようなロジックでまたもやアメリカ人が騙されたら、アメリカ人にはさじを投げるわと思っていたところ、9月29日(月)に下院で、ポールソン案が否決。びっくりしました。

翌日、慌てたブッシュ大統領が、ホワイトハウスで緊急スピーチ。本当に恥ずかしいスピーチでした

「一回目の『火事だ、助けて!』は本気にされても、二回目は相手にされなくなったという典型的なケースです。

またこのスピーチと、イラク戦争へ突入する直前にブッシュ大統領が行ったスピーチとを比較するコメディが、風刺テレビ番組の人気物、「Daily Show」で放送されました。

「スピーチした場所も同じなら、言い回しも、そーっくり!、『イラク』のところを『ウオールストリート』を」と言い換えただけ」、もう傑作で、笑い転げてしまいました。

アップロードしたかったんですが、残念ながら、サイトを見失ってしまいました。

そのかわりに、アメリカの、当時のセンチメントを伝える議員の怒りのスピーチ(3分くらい)があるので、英語のヒヤリングの勉強をしたい人は、みてください

(写真:議会で意見を述べる下院議員のマーシー・カプター)

なお、ページばかりのポールソンの原案は、その後上院へ廻されて手直しされた後、上院を木曜日に通過、金曜日に下院へ戻されて、150ページだか、450ページの法案となり、下院を通過したことを、付け加えておきます。

私の電子メールに、バーバラ・ボクサー上院議員(民主党)から、「なぜ支持したか」を説明する、一応、内容のある返信メール(もちろん、彼女が書いたのではないでしょうが)が、共和党のシルビー議員、ダイアナ・フェインシュタイン(民主党上院議員)と民主党のオバマ議員からも返信メールが来ました。 

2008年9月28日日曜日

サンフランシスコ オペラ: 死の都 Die Tote Stadt

サンフランシスコオペラ、2008年、秋のシーズンが始まりました。「シモン ボッカネグラ」と新オペラ、「骨接師の娘(これもよかったです。 リベレットはエイミー・タン)」をやってるんですが、今週始まった、「ディ・トーテ・シュッタト」が、結構、面白くって喜んでます。

ドイツ語は知りませんが、タイトルが「死の都」という意味らしいのを今知ってちょっとびっくりしてます。

散らかって殺伐とした、主人公のポールの部屋が舞台。汚い舞台ものは、歌力+舞台上での生きたパッションの交換がないと、二重(自分の住処を見に来たんじゃないよ)につまらなくなりますが、両方とも有りで、今シーズンのベスト。



写真 ビショップが横に抱えてるのが、ガラスのケースに入っている亡妻マリーの金髪。真ん中のシルエットがポール。手前がマリアッタ。坊主頭に注目。:(http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2008/09/25/DDBM1349II.DTL)

不気味な場面: 亡妻の金髪

ポールが亡妻マリーの形見の長い金髪をなでていると、マリーの(声だけの)亡霊が出てきます。彼女とよく似たマリアッタがポールを訪問して帰ったその夜の出来事です。

「あなたは私を裏切ったりしてないでしょう。」
「そんなことがあるわけないだろう。本当に愛しているのは君だけだ。」...

「そうね... 私が残していったその髪がこの家の見張りを続けるわ。」

異様な会話なんですが、マリーの声が美しく、優しく、ゆっくりとしてるので、なるほどと思いながら聞いてしまいますが、不気味でオカルトチック。

マリーとマリアッタの両役を演じているのがエミリー・マギー(Emily Magee)。ヨーロッパで活躍しているアメリカンソプラノですが、舞台上で他のアクターとエモーショナルに連らなれるし、いい声の持ち主です。

出演者全員、なかなかよく歌ってます。


不思議なアリア: けだるいような、透明のような、不透明のような、でも不思議な魅力が...

マリアもポールもピエロも、違った場面で、このアリアを歌います。
でも、歌詞は異なってます。
深く埋もれて忘れ去られてしまった記憶に、呼びかけるようなメロディー。



(写真上:マリアッタ。写真下: ピエロ:http://sfopera.com/o/266.asp)

最後まで見てると、このオペラの大半が、夢の中で起こった出来事を描いているというのがわかります。だからこういうメロディーなんだなと、このアリアがハタと理解できます。眠っている人の頭脳内のメモリーに、直接呼びかけるようなメロディー、こんな曲を創れる作曲者ってすごいねっと思いました。

「ホフマン物語」の中でミューズが歌う、あの歌に、雰囲気がよく似てます。



オペラの筋はこちらでどうぞ

ビデオクリップを見つけたので追加します。

2008年9月11日木曜日

お勧め!  チヒューリの展覧会

ゴールデンゲートパークのデ・ヤング・ミュージアムで行われている、チヒューリ(Dale Chihuly)のガラスの展覧会は、もう Highlyお勧めです!

もともと手製のガラスのお皿とかグラスや花瓶なんか好きなんですが、チヒュリーの作品は、食器とか花瓶などの工芸の世界から、造形と幻想の世界に、ある日に踏み入り、以来そこにとどまっているという感じです。

チヒュリーの幻想の世界へは、縮小に開発の主眼がおかれているテクノロジーの世界とは逆方向というか。

チヒュリーの幻想の世界に入ってゆくと、まわりの物がだんだん大きくなり、私たちのサイズが小さくなってゆくような錯覚にとらわれます。気がつくと、いつのまにか、深海の底を散歩していて、ジェリーフィッシュ(くらげ)が頭の上を泳いでいくのを見上げるような感覚になったり、海底のいろいろな生物を、私たちが、安全な距離圏から見ているような気がしてきます。また、「今、ハイキングしているのは、スーパーマンの生まれ故郷の惑星だったんだな」って思うような作品もあります。



この陽気な作品を、私は「宝船」と呼んでます。これだけで8畳間がいっぱいになる大きさです。(www.chihuly.com)

チヒューリの作品の一部は、プレシデオの隣のリンカーバークにある、リージョン・オブ・オナーにも展示されてます。(下)左に背中が見えるのは、世界に三つあるオリジナルの一つである、ロダンの「考える人」です。




デ・ヤングに展示されている作品の一部は、ここで見られます

9月28日までです。

2008年9月7日日曜日

ワインでしめくくりたい、アンジェラ ゲオルギューのリサイタル


ワインがないので、ビールを飲んでるが、アンジェラ ゲオルギュー (Angela Gheorghiu) を聞いたあとは、冷えたワインで、しめくくりたかった...

バークレーのゼラバックホールでのリサイタルから戻ってきたところ。今夜はサンフランシスコにしては湿度が高めで、蒸し暑い...

最初の曲は、「ラ・ロンディーナ」で、主役のマグダが最初に歌うアリア。去年、このアリアの最初の一声で、彼女は、サンフランシスコのオペラファン(下の写真 www.angelagheorghiu.com)を魅了、私も彼女に征服されてしまった一人です。

声量もすごいけど、そのコントロールもすごい。息をそっと吹くように始まった歌声が、あれよあれよという間にしだいに大きくなり、いつのまにか、オペラハウスの巨大なドーム(空間)を満杯にしてしまったのです。



葡萄がスローモーション風に発酵して、樽の栓をふっとばし、部屋中を香りで満たしてしまうという感じ。私は、その晩、完全に酔っぱらいました。

そういうわけで、彼女の今回のリサイタルを心待ちにしていたのです。

ロンディーナの後は、プッチーニの「ある晴れた日に」とバルディの曲を前半に歌った。ガラス玉(まさかダイヤじゃないでしょう)が数珠つなぎになった、左右、二本づつのストラップが途中で絡まり、バストの割れ目を隠すような隠さないような。短めのボディスから、たっぷりの薄めの真っ白なドレスが、ふわり、ふわりと広がる。こんなデザインだと、以外と胸がめだたないので、「純白無垢」っぽいイメージ。

休憩後は、トップの写真(www.angelagheorghiu.com)とちょっと似ているが、袖つきの真っ黒なタイトなドレスで、小曲を2つ。このあたりから、リラックスしてきて、彼女のパーソナリティがでてきた。これがリサイタルの面白いところでしょう。

3度目に舞台に出てきたとき、観客の「一部」から、「ああっ(Gasp)」というどよめきが起こった。彼女が、真っ赤なドレスで出てきたのだ。3回も着替えをするなんて予想外でした。

このギャスプが気に入ったのか、すっかりリラックスして、踊りながら歌ったり、観客がルーマニア語で(多分)リクエストしたりで、アンコールには「ゴンドラの歌」を含めて3曲も歌った。彼女は赤い色がよく似合うんですね。

ファッション雑誌、ボーグも、彼女をモデルにした特集を組んだ事があるアンジェラ ゲオルギューは、プロとして、今が油ののり時と言えるのではないでしょうか。

私の前に坐っていた年寄り夫婦は、いい度胸。でっかいカメラで公演中、こそこそと撮影してたので、youtubeに行けば、既にビデオクリップがアップロードされてるかも。

このサイトへ行くと、彼女の写真(Gallery)やサウンドクリップが聞けます。

ところで、「ラ・ロンディーナ」はフランス語で「つばめ」。平塚雷鳥が年下の恋人のことを「若いつばめ」と呼んだことから有名になった表現ですけど、多分、ロンディーナの話から生まれたのだと思います。

追記(2012年9月)サンフランシスコ・オペラで上演したアンジェラ・ゲオルギュの「ツバメ(ラ・ロンディーナ)」がyoutubeにアップロードされてるので、リンクしておきます

2008年8月17日日曜日

フィッシャマンズ・ワーフへ蟹を食べに

フィッシュマンズワーフへは、Muniを使って行くのがベスト。

バート(BART)のエンバカデーロ駅で降りる。地上に出ると、傘の形をしたテント群がみえてくる。週末に開かれる、ファーマーズマーケットと、それを囲む、街頭ショップの群れだ。土曜日の方が盛況。

水彩画やジュエリー、Tシャツなど、いろいろな手作り品を売っているのが、街頭ショップ。

フェリービルディグの周りがファーマーズマーケット。いろいろな有機農法野菜や果物のお店が並ぶ。花屋のまわりはよい匂いが一杯だ。



フェリービルディングを回って裏に出ると、さらにサラダ野菜やキノコ、木の実や、お日様のもとで育った鶏や、ヤギなどの肉を売ってるお店が、サンフランシスコ湾まで、びっしり並ぶ。ピーチやネクタリンのサンプルをつまみながら、各テント店をぐるりとまわると結構時間がたつ。

普通だったら、ノースビーチの有名店、「ピストーラ」の出店や、フェリービルディングのお店で、サンフランシスコ湾を見ながらの昼食だが、今日は、フィッシャマンズ・ワーフでゆで蟹を食べる予定なので、我慢して、フェリービルディグを後にする。

フェリービルディングの中央(時計台の下)の横断歩道の左手に、市内電車の屋根付き駅が見える。フィッシャマンズ・ワーフへ行くためにあるような電車で、路線名は「F」。

蟹を食べるのが目的なので、ピア39(Pier 39)ではなくて、その次の駅で降りる。そのまま進行方向へ5分くらい歩くてゆくと、「Fisherman's Wharf」の看板が左手に見える(下)。道路をはさんで左側にゆで蟹を売っているお店が歩道に並んでいる。

フィッシャマンズ・ワーフではこれがまじで一番、美味しい。




蟹を食べる前に、手は是非、洗いたい。

「Fisherman's Wharf」の看板のすぐ横は駐車場。看板から5メートルくらいの駐車場の敷地内に公共トイレがあるので、そこで手を洗う。

ゆで蟹は三人で二匹ぐらいの目安で買うとよいと思います。一匹、だいたい15ドルくらい。クレジットカードでもオッケー。丸パンは大きいので1ドル50セントくらいなので、欲しかったら買うが、どちらでもよい。

ゆでカニ家さんが「持って帰るのか、ここで食べるのか」と聞いてくるから、「Here」というと、蟹をたたいて割って紙のお皿に乗っけてくれる。レモンとケッチャップ色のソース付きだ。

どこで食べてもいいのだけども、私はヨットハーバーのベンチで食べる。「ALLIOTO 8」のお店の横に「TO BOAT」とか書かれた木のドアがあるから、そこからハーバーに出る。右の方に歩いてゆくとベンチがある。天気がいいときは最高だ。ベンチ数は激少してるが、この場所を知ってる人は少ないので、トライする価値あり。

はっきり言って、レストランで食べるお料理より、シンプルなまるごとゆでガニが、味の点でも、満足感でも断突と、私を訪問中の親戚も、言ってました。

2008年7月11日金曜日

ミッション ディストリクト の ミューロー


イーストベイに住んでいたとき、車の窓から、黒と白と灰色で描かれたこのミューローが見えると、「ああ、ミッションに来たな」と思ったもんでした。

心は傷だらけ、殴られたためか腫れてるまぶた、変形した顔、表向きはニヒルで頑丈そうな孤独な独り者...ミッション ディストリクトというエリアをこれ以上的確に表現している絵(壁画ですが)はないんじゃないでしょうか。ミューローの傑作だと思います。

17番通りと18番通りの間にクラリオン(Clarion)という路地がありますが、そのクラリオンとミッション通りが交差するところにあります。




クラリオンをミッションからバレンシアに向かって歩いてゆくと、両側にミューローがびっしりと描かれてます。

「怒り青オヤジ」と「ホームレス老人とハト」は、二年くらい前に出現しました。


















ガレージのドアに描かれた、空へ昇ってゆくエスカレーターは、一番上の「ミッションの孤独男」と同じぐらい、古いミューローです。15年くらいはたってると思います。






2週間くらいで描き換えられてしまうこともあるミューローのことを考えると、こんなに長く姿を残しているのは奇跡的です。

17番通りから18番通りにかけてのミッションは、暗くなってから行く事はお勧めしません。日本人は一般的に質のよい服を着ているので、目立ちます。ドレスダウンをおすすめします。バレンシア通りは安全です。

2008年6月29日日曜日

サンフランシスコ オペラ: ヘンデルのアリオダンテ

 サンフランシスコは、今、夏のオペラシーズン。

今シーズンの三つ目のオペラは、アリオダンテ。

ヘンデルのオペラで、長い事、上演されたことがなかったのを、今回、初めて、サンフランシスコオペラで上演するそうです。

メゾソプラノのスーザン グラハムが、タイトル役のアリオダンテ(上の写真の左側)、ソプラノのルース アン スワンソンが、ジェネルバ役(右側)。

このオペラの見所は、アメリカでは第一級のオペラ歌手である二人が、一緒に歌うアリアでしょう。二人とも大変美しい声をしています。

二人とも丁寧に歌うので、これは「オペラ」という形式の話を聞くというより、歌い手の声を、純粋に楽しむオペラです。

ソプラノにも、メゾソプラノにも、いろいろ種類がありますが、ルース アン スワンソンは、私の特に好きな声の持ち主です。曇りや影のなく、ちょっと丸みのヒントのある声。またスーザン グラハムの声も、曇りのない結晶のよう。その二人で、「玉を転がす」かのように、合唱や二重唱するのです。

3時間近いオペラなので、じっくり、楽しめます。



ビデオクリップ
を見つけたのでリンクしておきます。

2008年6月25日水曜日

サンフランシスコ オペラ: ランメルモールのルチア



ドニゼッティのオペラ、ランメルモールのルチアを見てきました。

ナタリー デッセイ(Natalie Dessay)がルチア役... 



ナタリー デッセイは、世界の大ステージで歌うために生まれてきた、天性のソプラノとしか、いいようがありません。広いステージを、まるで自分の家の庭のように、飛び歩きながら、歌うのです。

通常、幕がおりるかおりないかに、車の混雑をさけるため、劇場をそそくさと出て行く人がいるのですが、今回はそういう人もなく、拍手の嵐でした。


足首ぐらいの高さの薄紫色の花が、ところどころ岩のあるなだらかな斜面に一面に生えている舞台装置も美しかったです。



ルシアの相思相愛の人、エドガルドを演じたのは Giuseppe Filianoti、ジセッペ フィリアノーティ。2カ所くらい、声がちらっとぐらつきましたが、迫真の演技。

「これに署名したのか?」と、結婚契約書をルシアにつきつけて「レスポンデ!」と絶叫。 そうか、イタリア語では、「答えろ!」は、「レスポンデ」なんだなー。
さらに「ボクの屍を超えなくては、結婚式の祭壇へは近づけないよ!」と絶叫のさまは、やっぱりイタリア人!と思いました!



ベンジャミン フランクリンが発明したグラス・ハーモニカがオリジナルのミュージックスコアで使われていたそうですが、今回のサンフランシスコ オペラで、復活しました。それも聞きものです。


ナタリー デッセイの演技をみながら、彼女の歌をじっくり聞ける幸せ、ああ、サンフランシスコにいてよかったあ!

ビデオクリップを見つけたので
リンクしておきます。

2008年6月19日木曜日

サンフランシスコのレストラン: メルズ ドライブイン


メルズ ドライブインは「ダイナー」。

ダイナーってのは、日本で言うと食堂にあたりますが、雰囲気から言うと、ファミリーレストランと言ったほうがぴったし。子供連れにフレンドリーです。

メルズ ドライブインがサンフランシスコにあるのは知ってましたが、先週、友達に誘われるまで、行こうと思ったことさえありませんでした。が、お店に入ったとたん、すっごく気に入りました。

内装が徹底的にアメリカ1950年代なんです。ジュークボックスなんかもあって、映画でいうと、「アメリカン グラフィッティ」。ジムにそう言ったら、「アメリカン グラフィッティは、サウス バンネス通りにあるメルズ ドライブインで撮影されたんだよ。」知らなかった! なお、アメリカン グラフィッティは、ジョージ・ルーカスの最初の大ヒット映画。

メニューも、食べ物の出し方も50年代ぽい!

例えばここでミルクセーキを頼むと、ミルクセーキを作った時に残る、余分のミルクセーキを、ステンレスのシェーカーに入れたまま、ミルクセーキと一緒に持ってきてくれます(写真下)。昔は、どこでも、余分のミルクセーキをお客さんに出してたそうですが、今は、メルズだけ。


私はアメリカの昔ながらの家庭料理、ミートローフを注文。(下の写真)
付け合わせのズキーニが新鮮でブラックペッパーが効いていておいしく、関心しました。



メルズの食べ物は、思ってたより、ぜんぜんおいしい。美味しいんだかまずいんだか、よくわからないような、観光客用食べ物しかないフィッシャマンズ・ワーフなんかより、ずーっとましで、安心して食べられます。

私が行ったのは、ロンバート通りにあるメルズ ドライブインですが、サンフランシスコのダウンタウンにもあります。メトリオンのあるミッション通りと4番街の交差点のそばで、バーガーキングの向かいにあります。

ドライブインていうのは名前だけ。でもロンバート通りと、ゲーリー通り沿いのメルズには、駐車場があります。

2008年6月15日日曜日

サンフランシスコ オペラ: ラインの黄金



ワーグナーのラインの黄金を見てきました。

河の妖精が守っている金から、禁欲を神かけて誓った人が指輪を作ると、世界を制覇できるという秘密を聞いた男、アルベリッチが、その金を盗んで指輪を作るというのが第一場の話。

主人公のボタン(上の写真右、左が妻)が、妻の妹のフリーアを代償として、巨人兄弟に大きなお城を建てさせるのだが、完成した暁に、約束を実行するのが嫌になる。すると巨人兄弟は、その指輪を代償として支払うなら、フリーアを自由にしてやると約束するのが第二場。

ボタンと、その手下で賢いレゴ(上の写真右側)が、アルベリッチ(左側)をまんまと騙して、指輪を手にする。怒ったアルベリッチが、「指輪が手元に戻るまで、指輪を見た人は羨望で狂い、持ち主は死ぬ」という呪いを指輪にかける。ボタンが巨人兄弟に代償として指輪を渡したとたん、指輪をめぐって兄弟喧嘩がおこり、兄が殺される。呪いが即座に成就したのを見たボタンは恐ろしくなるとともに、指輪を手放した幸運を喜びながら一族を連れて、そそくさと新居のお城に平和を求めて向かうのが、最後の場面。

レゴを演じたステファン・マーギタと、フリーアを演じたタマラ・ワピンスキー、また巨人を演じたバスのアンドレア・シルベストレリが、声量が大きくて、光ってました。

オペラとしては複雑で意味深な話なので、2時間があっと言う間にすぎてしまいます。

床下からの照明と、スリットの入った鉄製床材をうまく使った舞台装置がモダン、主人公が、ハリウッドで神様のようにあがめられてる映画監督という現代風のオペラの設定も、面白かったです。

でもオペラで、出演者全員が力を出し切って歌い抜くというのは以外にまれ。例えば、今回はアルベリッチの声が、オーケストラにかき消されて、聞こえなくなってしまう場面があり、悲しかったです。また一部ではマイクロフォンを使ってました。私の体験では、こんなこと、初めて。

サンフランシスコのオペラハウスは、ニューヨークのメトロポリタンより奥行きが深いので、かなりの声量のある歌手でないと、劇場一杯に声が響きません。そのため、サンフランシスコを避けるオペラ歌手さえいるのです。今回は河の妖精を演じた3人が、声量を調節できるほど成熟してないのか、もともと声量がないのか、あまりよく聞こえませんでした。こういうのが一番がっかりします。

オペラはその時の運です。

サンフランシスコで人気者、ドナルド・ラニクル指揮のオーケストラはよかったです。

2008年6月12日木曜日

セックス・アンド・ザ・シティ


先週、初公開二日目に「SEX AND THE CITY」を見に行きました。
で、結論から言うと、2時間映画なんですが、結構、飽きさせずに、見せてしまうし、笑えるのでおすすめです。

筋は言いませんが、一番「すごい!」のは、キャリーが着てみせるウェディングドレス(英語ではウェデングガウン)!
そういうたぐいのものには興味ゼロの私なんですが、ファッション雑誌、「ボーグ」とタイアップしてみせる、デラロンテ、ディオール、シャネル等の有名どころのウェディングガウンは、さりげなく豪華で、デザインも超良く、ディテールを目から吸収しようと、画面に釘付けになってしまいました。これだけでも、見に行く価値あり!

サマンサのジョークは、テレビよりも冴えてる感じ。彼女の着る洋服は、私の好みじゃないけども、彼女にはぴったり!
お隣さんちは「ブラウン」ボティのダビデ君。彼の午後の定期「活動」にサマンサのマリブの午後は、「邪魔」されてしまうんですが...

この手の映画としては、大胆なセックスシーンがあります。一回目は「あらららっ?」、2度目は「あらら」、3度目になると、お話の方が気になって、むしろ「ハハーン、あの女の人、シリコン入りだな」など、余計なことに注意が行きます。シリコン入りのバストは、形がパーフェクトなので、返って不自然な感じなので。

日本では8月末に公開だそうですが、思うに、このセックスシーンを変えちゃうんじゃないかなー。そうだとしたら、とっても残念です。

なお、映画のトレイラーを見たい方はここに行って、「View Trailer」をクリック。映画のシーンも「Clip」をクリックすると見られます。

2008年6月11日水曜日

近所のお店: レインボー グローシャリー



レインボーグローシャリーは、ミッション地区の東端、ハイウェー下の13番街とフォルサム通りの交差点に位置してる。

レインボーグローシャリーのすごい所は、食品からシャンプーやローションまで、なんでも目方買いできる事だ。

上の写真の正面は、薬用ハーブの棚。アルファベット順にずらりと、謎のハーブが並んでいる。

向かって右前面は食用ハーブの棚。バジルとか、カイエンペパー(超激辛、激辛、普通に辛いの三種)とか、ナツメグなどがズラリだ。後方はハーブ茶で、「アルプスの花茶」から「記憶をよくする茶」から「愛を高揚する茶」まである。私は、「肝臓に良い茶」が好みで、これが美味しいのです。

この写真では見えないが、ハーブ茶の続きには、各種紅茶、その続きにはコーヒーがある。昨日行ったら、4月にブログに書いた「リチュアルコーヒー」のロースト豆が、新たに加わって、棚に並んでた。

お米も、お豆もスパゲッティも、アーモンドもなんでも目方で売ってるが、傑作なのは、ローカル産の「納豆ミソ」と「八丁ミソ」! さずがに八丁ミソは試したことはないけども、納豆ミソは、ドレッシング代わりに使って、こった事もあります。

チーズは、いわば牛乳を腐らせたもの、フレッシュなんてあるかと思っていたが、ここでローカル製のチーズを買って、目からうろこが落ちました。フレッシュなチーズって美味、美味!

レインボーグローシャリー、まさに、「ああ、サンフランシスコ」です。 

2008年5月30日金曜日

サンフランシスコのお墓めぐり

先週の日曜日はメモリアルデイ。戦没者を中心に死者を思い出す日でした。

んで私も恒例のお墓参りハイキングに参加、約9キロ歩いて九つの墓場を踏破するという、健康的な一日を過ごしました。


お墓に覆いかぶさり、嘆き悲しんでいる天使。天使像にもいろいろなジャンルがありますが、これは「Weeping Angel」というジャンルに入る、天使像です。

悲しい感情を表すには、彫像という表現形態は、まさにぴったり。埋葬者のことは何も知りませんが、無言の嗚咽が波動となって、しんしんと伝わってきます。

この天使は、広く美しい墓地で、死者のために、身内やかけがえのない友を失った人たちのために、永遠に涙を流し続けます。


天使ミカエルです。グレーブス家のお墓です。6人の名前が刻んであります。右上を見ると、ウォーカー コールマン グレーブスさんは1848年に生まれ、1920年に亡くなったのがわかります。



このお墓の後ろに赤い屋根の建物が見えますが、それもお墓です。一族が埋葬されます。

ハースト家の墓や、シービスケットという馬の持ち主で有名だったハワード氏のお墓もあります。

2008年5月23日金曜日

近所のミューロー: 「BETHANY映画館」



写真は、何年か前に最優秀賞をとったミューロー(壁画)。映画館に見せかけた絵だが、実は養老院。

ミューローは、もともと南米で発達した、歴史的事実を記録する手段。だから描かれている人物は、ほとんどの場合、実在の人物だ。

このミューローも例外ではなく、養老院の住人がモデル。

右下の、扇子を持って踊っているおばあさんはもう亡くなってしまったが、このミューローのモデルになって以来有名になり、以後、レストランで請求書を貰った事がなかったそうだ。

以前、教会があった敷地に立てられたこの養老院。その事を記念して、ミューローの真ん中の「BETHANY」と書かれたところをよく見ると、教会の塔が、濃い目の青い影を落としているのがわかる。

ミッション通りとサウスバンネス通りにはさまれた、21番通りにある。ただし、夜は見に行かない方が安全でしょう。

2008年5月18日日曜日

近所のミューロー: サンフランシスコの強風と絡まる家

私が住んでいるのは、サンフランシスコでも「ミッション ディストリクト(地区)」と呼ばれているところ。

ミッションの特徴の一つは、ミューロー(壁画)でしょう。お店、駐車場、教会、公共建築、アパート、個人の家、ガレージやお店のシャッターなど、絵が描けそうなスペースならどこでも「キャンバス」になります。

すぐに塗り替えられてしまうミューローもあれば、歴史的なミューロー、またミッションを代表するミューローの傑作もあります。ミューローで有名な通りや、ミューローのツァーなどもあります。

ミューロを描きたい人は、お目当ての壁や塀やビルの持ち主の許可をもらいます。別に画家である必要はありません。誰が描いてもよいのです。持ち主がゴーサインを出すと、カラースプレーやはしごを自分たちで調達します。

だいたい複数の人で描くので、当日は路上パーティーのようににぎやか。友達や見学人も集まってきます。

ビルの持ち主が依頼する事もあります。その場合は、持ち主側がペンキ、クレーン車代等、謝礼も含めて払います。


これはかなり古いミューローの右半分。
タイトルをつけるとしたら、「サンフランシスコの強風と、絡まり合う家。」

アイデアも構成もすばらしいミューローです。
なぜかジャックと豆の木の話を思いださせます。

バレンシアとグエレロにはさまれた18番通りにあります。

2008年5月12日月曜日

近所のお店: PAXTON GATE

「826 Valencia」の右隣には、パクストンゲートというお店があります。

風に吹かれてそよいでいるように見える花飾りが、お店の前面、一面に描かれてある、バレンシア通りでも、一、二を競う、美しいお店です。

何を売っているお店かというと...

「生」と「死」が、「自然」世界を支えている二つの大柱というふうに、ちょっと考えてみてください。「生」は、毎日、体験してるので、多少は知ってるわけですが、「死」は体験不可能なので、知りません。その未知の部分を、いろいろな角度から眺めて吟味できるよう、風変わりながらもアトラクティブなパッケージにして、店に迷い込んできたお客さんに提供するお店というのが、一番近い表現かも知れません...





なにがおいてあるかというと...

トカゲとか、ネコのような動物の骸骨。

チョウチョや、カブトムシ、カミキリムシなどがピンで整然と留められてならでいる標本箱。「死」がこんなに秩序のあるものなんて...

化石。

食虫植物。

以前は、ネズミの剥製がたくさんありました。白ネズミであるのが奇抜で不気味でした。
それが、さまざまな形のビンに入っていたり、飾り棚に陳列されてたのです。最近、オーナーの関心がもっと大きな動物、それも、特に角のある動物に移ったらしく、アンティークの動物の首が、お店のあちこちの壁に、天井にとどくまで、飾られてます。

白ネズミの剥製は、クリスマスシーズンになると復活します。ルイ18世時代の、貴族の衣装をつけた白ネズミの剥製を、クリスマスツリーに飾って、楽しむわけです。深紅のビロードのガウンを身につけた白ネズミは、どうかすると、酔っぱらって大笑いしているように見える時もあります。

大きてやさしいガラスのまなざしを、通行人に向けていた、アンティークのキリンの首の剥製は、売れてしまったようで、最近、ショーウィンドウから姿を消しました。

オーナーは生け花にも素養があるらしく、お花で使うはさみとか、剣山も売ってます。

手作りの鍵もあります。

サンフランシスコに来る事があったらぜひ寄ってみてください。

2008年5月6日火曜日

近所のお店: CITY ART


先月書いた、「826 Valencia」の隣に、CITY ART という、サンフランシスコのアーティストのCo-op画廊がある。

いつも5〜6人の作品を展示していて、けっこう面白いのが多い。

材料が面白かったり、面白い題材を扱ってたりする。

例えば、全部、残り毛糸で編んだ作品。キャンバスの枠の上からかぶせてある。しっぽのついたのもある。

2番目に大きい作品が特に気に入った。6号ぐらいのキャンバスで、色の組み合わせが目がさめるよう。編み方の違いが表面に変化を与えていて楽しい。

壁に掛けておいて、ほこりがたまったら洗濯できるのも、大きなプラスじゃないでしょうか。

2008年5月1日木曜日

東京のバター不足、サンフランシスコのお米購入制限?

ケーキを生まれて初めて焼こうとした都内の女性が、スーパーでバターが買えずに呆れ困ったそうで...

というだけならそれほどびっくりじゃないんでが、このニュース、実は、オーストラリアの新聞に4月21日付けで出た東京発のニュースで、メルボルンの読者が、北米のサイトにポーストしたのを見た、 在 サンフランシスコ の私がピックアップして、「まさか、今はもうこんな状態じゃないでしょ?」と、思ってるんですが... 

4月の中旬、東京のイトーヨーカ堂スーパーでは、バターの在庫がゼロだったそうです。

今年の1月、私は日本にいたのですが、そのとき、オーストラリアからの輸入チーズの値段が上がりすぎて採算が合わなくなり、「チーズファクトリー」が倒産したのを思い出しました。

デパートのケーキ売り場が目に浮かびます。ケーキは一つ580円ぐらいでしたが、もし今も潜在的にバター・チーズ不足なら、もう値上げされてますね。

東京がバターなら、サンフランシスコでは、お米。COSTCOで、初めて、お米購入制限が出て一週間たちました。

COSTCO (私達、カスコって読んでます)は東京の幕張にもあるらしいですが、消費者や飲食店向けの卸売り店。冷蔵庫からトイレットペーパー、生花からパンツまで買えるお店です。

そのCOSTCOのお米の棚に、「一人一袋」との注意書きが出現したときは、ニュースでも、大きく報道されました。

今回はインド人の好む、バスマティ米が対象ですが、ちょうどお米が切れたので、私も日本米の大きいのを一つ買ってきました。

この「サービス産業」の時代、継子扱いされていた農作物というか、「物」というか、その復讐が、じわじわっと始まったのでしょうか。

2008年4月26日土曜日

近所のお店:アリババの洞窟



「アリババの洞窟」という、 ミドルイースタン料理(中東料理)のお店。バレンシア通りと19番街のコーナーにある。

ここの「Shawerma (シャワーマ) サンドイッチ」というのが美味しい。

Shawerma って、中東のファーストフード。長方形の大きなシートのようなパンに、いろいろな物をのせて、風呂敷風にたたんでから、外側がパリッとするまで、コンロであぶる。

焼いた後、写真のように紙に包んでくれるので、紙をむきむきしながら食べる。下からジュースがしみ出してくるからご注意。

で、オーダーするときは、まず、チキンか、ラムかを決める。

「全部のせる?」と聞いてくるから、イエスという。すると、タヒーニというベージュ色のソースと、赤茶のソースを、大きく広げたパンのシートに塗る。その上に、バジルと思われる、刻んだグリーンの葉っぱを散らし、ラムと焼いたなすとオニオン、フレンチフライ等々をのせて、たたんでから火にあぶる。

持ち帰りでもいいし、お店で食べてもよい。

オーナーは、自分の好きな中東音楽を店内に流してるようす。気がむくと、歌のさわりの部分をテープと共に絶唱。

「中東っていうけど、いったいどのあたりの食べ物なの?」と聞くと、レバノンとパレスティナと、エジプトと言ってた。

2008年4月19日土曜日

近所のお店:「826 Valencia」  その3  由来というか


よく正体がわからないままにある日、友達に、このお店のことを話してみると...

「あれはデイブ エガーズっていうベストセラー作家が作った場所だよ。

「彼が高校生のとき、一週間も間を開かずに、両親が立て続けに死んで、兄弟三人で、ミッドウェストからカリフォルニアに出てきたんだ。

長男だったデーブは、弟たちの面倒をみようといろいろするんだよ。なんとか義務教育を終わらせようとしてさ、しかし、みんな子供なので、学校に行ったり、行かなかったり...

その生活を本に書いたところ、それが全米で大ヒットしたんだ。

「あの場所は18才までの、文章を書きたい子供に、文章の書き方を無料で教える、ノンプロフィットのグループなんだよ。」 

確かに、子供たちが店内をうろちょろ走っていた。

都市区画法により、あの場所は店舗を開かなくてはいけない場所、始めは仕方なく、前面に店の体裁を構えたそうです。そして「ピレートショップ(Pirate Shop=海賊ショップ!)と名づけたところ、これがエラくうけた。

この店ではない店内を横切ってカーテンの裏にまわると、大きな机があって、それを囲んで坐っている子供たちが、足をぶらぶらさせながら、何かを書いているのが見えます。 

注: 写真では引き出しのついた壁が白くなってますが、これはフラッシュのため。本当は引き出しと同じ、暗い焦茶です。

注2: 今じゃ、826 Valencia はニューヨークにもボストンにもあるそうです。

近所のお店:「826 Valencia」 その2 店内

店内はちょっと暗い。

最初に目に入ったのが、直径80センチくらいもある、ステンレスの容器。

底に白い変なものが固まってる。ラードみたいだけど、何でこんなものがあるの? 

しばらくすると、壁には、大小の引き出しみたいのがついているのに気づく。ただの飾りかなあ。でいったい、このお店、何を売ってるんだろう? 

試しに、引き出しの取っ手を引っ張ってみると、スルスルと開くじゃないですか。空の小ビンが、ビロード敷きの底に10個くらいころがっている。値段は付いてない。フーン。 次の引き出しにはガラス玉がジャラジャラ... これは買う人がいるかも。

次々と引き出しを開けてゆく。10センチぐらいに切った紐のたばとか、おもちゃの安竹笛とか、本物かどうかはわからない、切り落とした長いひげの束、使い道の分からない物、とても売り物とは思えない、珍奇なものばかり。

店の奥にはカゴとか、棚とかに、ビンとか海図などが置いてあって、「海賊のいない海賊船のような」雰囲気。

小さな本棚が三つぐらい、いっそう暗い物陰に置いてある。学校で作った文集のような本がちょろちょろとならんでる。古い活字を使ってる。そうか、そうか、ここは本屋かと、やっと独り合点という安心をして、店をでる。

やっぱり腑に落ちないので、お店の正体と、引き出しの中身をチェックするため、以降、ときどき立ち寄る。

2008年4月18日金曜日

近所のお店:「826 Valencia」 その1 お店?

「826 VALENCEIA」というのは住所兼名前の、「お店」というか、なんというか... 両隣りも含めて、バレンシア通りをキャラクタライズしてる面白い「場所」です。

外装: 店名の上の白壁に、部屋の見取り図か、厩舎の案内図のようなナゾの絵が描いてあって、通り過ぎるときは、必ず見あげてしまいます。

店名の下はウィンドウになってて、2ヶ月おきくらいに、展示物が変わります。上手というわけではないのが多いんですが、全体で物語を語るような、物語風の展示なので、必ずチェックしてゆく、気になる、サンフランシスコはバレンシアの店頭展示です。 ー 続き ー




2008年4月13日日曜日

近所のコーヒーショップ

リチュアル コーヒー (Ritual Coffee) という名の、サンフランシスコで、一番美味のコーヒー屋です。

3年くらい前にできたんですが、あれよあれよというまに、有名になりました。

行く度に、トイレ掃除のお兄さんと、トイレですれ違うので、使用直前に清潔になってるトイレに感謝しようと思い、「サンキュー」と言ったんですが、ある日、そのお兄さんが、コーヒー豆のローストをしながら出来具合をチョックしているのを見て初めて、「このお兄さんがオーナーなんだな」ってことに気づきました。

オーナーが、皆が一番嫌がる仕事をしてるのも気に入りましたが、ここのスペシャルブレンド(豆)は、買って飲む価値あり。壁はモダーンアートが飾ってあって、月一で変わります。多分、地元のアーティストの作品だと思います。

ラテをオーダーすると、以前はコーヒーの表面に、クリームで葉っぱの絵を描いてくれましたが、今はそんな暇はないんじゃないかな。「エクスプレッソ競技会があるので本日休業」なんて看板がかかっていた頃が懐かしいです。

ロースト・ウィークエンド・ビデオ(Lost Weekend Video)という貸ビデオ屋さんの隣。このビデオ屋の名前も、サンフランシスコらしくて、気に入ってます。

場所は、On Valencia Street で、 21st Street と Hill Street の間に位置してます。  

2008年4月12日土曜日

今年一番の暑さという予想!

春が始まったばかりなのに、外は暑い!
サンフランシスコの第三のチャイナタウンと私が呼んでる場所で、朝のお買い物をしたんですが、太陽がギラ、ギラ。

本日の予想最高気温は、夏でも珍しい華氏81° ということは、27°。ややっ、サンフランシスコスタンダードでも、これはかなり暑いです。といっても、私は平日は市外にお勤めなので、サンフランには夕方以降と週末しかいないんですが、この調子では、午後はギラギラギラギララララララララでしょう。

No wonder、 ガソリン高($3.99/gal)にもかかわらず、久しぶりに、19th Avenueは車が溢れてました。ゴールデンゲートパークへ、暑さから非難する人たちの群れじゃないかと思われます。

私も今日の予定を変えて、午後は冷房の効いている映画館か美術館へ涼みにいこうかな。