ドイツ語は知りませんが、タイトルが「死の都」という意味らしいのを今知ってちょっとびっくりしてます。
散らかって殺伐とした、主人公のポールの部屋が舞台。汚い舞台ものは、歌力+舞台上での生きたパッションの交換がないと、二重(自分の住処を見に来たんじゃないよ)につまらなくなりますが、両方とも有りで、今シーズンのベスト。

写真 ビショップが横に抱えてるのが、ガラスのケースに入っている亡妻マリーの金髪。真ん中のシルエットがポール。手前がマリアッタ。坊主頭に注目。:(http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2008/09/25/DDBM1349II.DTL)
不気味な場面: 亡妻の金髪
ポールが亡妻マリーの形見の長い金髪をなでていると、マリーの(声だけの)亡霊が出てきます。彼女とよく似たマリアッタがポールを訪問して帰ったその夜の出来事です。
「あなたは私を裏切ったりしてないでしょう。」
「そんなことがあるわけないだろう。本当に愛しているのは君だけだ。」...
「そうね... 私が残していったその髪がこの家の見張りを続けるわ。」
異様な会話なんですが、マリーの声が美しく、優しく、ゆっくりとしてるので、なるほどと思いながら聞いてしまいますが、不気味でオカルトチック。
マリーとマリアッタの両役を演じているのがエミリー・マギー(Emily Magee)。ヨーロッパで活躍しているアメリカンソプラノですが、舞台上で他のアクターとエモーショナルに連らなれるし、いい声の持ち主です。
出演者全員、なかなかよく歌ってます。
不思議なアリア: けだるいような、透明のような、不透明のような、でも不思議な魅力が...
マリアもポールもピエロも、違った場面で、このアリアを歌います。
でも、歌詞は異なってます。
深く埋もれて忘れ去られてしまった記憶に、呼びかけるようなメロディー。

(写真上:マリアッタ。写真下: ピエロ:http://sfopera.com/o/266.asp)
最後まで見てると、このオペラの大半が、夢の中で起こった出来事を描いているというのがわかります。だからこういうメロディーなんだなと、このアリアがハタと理解できます。眠っている人の頭脳内のメモリーに、直接呼びかけるようなメロディー、こんな曲を創れる作曲者ってすごいねっと思いました。
「ホフマン物語」の中でミューズが歌う、あの歌に、雰囲気がよく似てます。

オペラの筋はこちらでどうぞ。
ビデオクリップを見つけたので追加します。
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