2011年2月14日月曜日

アノ・ヌエボのゾウアザラシ

アノ・ヌエボ州立自然保護公園(Ano Nuevo State Reserve)は、ゾウアザラシが人間による捕獲のため、絶滅の危機にさらされたとき、州が保護に乗り出して作られた保護地。ハイウェイ1沿いの、ちょうど、サンフランシスコとサンタクルツの中間ぐらいの、本当に何も無いところに位置してます。

普通の州立公園と同じなんですが、12月中旬から3月末頃までのゾウアザラシが出産・繁殖期に入る期間、入園が予約制になり、グループごとにガイドがつきます。

私達が予約した日は、2月とは思えないほど暖かく、穏やか日となり、人間にとっては最高のハイキング日より。半袖Tシャツで十分の気候でしたが、海岸に近づくと、さすがに風が冷たく、ウィンドブレーカーを着用。

海岸からかなり離れた”内陸”で、最初に出会ったオスのゾウアザラシ。長い鼻で、オスだとわかります。アルファ・ブル級のブルに、ハーレムの近づかないようにと、追い払われたのかも。手びれをふってるのは、私達を歓迎するためではなくて、熱いので風とおしをよくして、体温を下げるためです。ゾウアザラシは人間と反対で、雨がボショボショ降って寒い日が、一番、元気よく活躍できる日なんだそうです。



ずーっと静かにしていたブルが突然、ものすごい勢いで15メートルくらい、右に”走り”だし、メスに近づくとピタっと止まりました。写真真ん中の二匹です。そしてこの写真の直後、メーティングを開始。その模様はYoutubeにアップロードしといたので、興味があったら、そちらで見てください。



海岸で静かに寝そべってる、まだ若いブル。カメラの方をちゃんと見てます。



このブルは多分年寄り。鼻が大きいわりには、くしゃとしているからです。500トンくらいあるかも。ゾウアザラシは、一回のジャンプで3メートルくらいは軽々移動できます。下敷きになったら、大けがするのは必須なので、近づくのは禁物。



ビデオカメラが海岸に設置されていてインターネットにつながっているので、ここに行くとゾウアザラシの様子が観察できます。

帰りはレッドウッド・シティのロブスター・シャックで、見事なロブスターとロブスター・ビスクを食べて帰りました。

2011年2月6日日曜日

ユーリの新作バレエ、「RAkU」とヤン・ヤン・タン

ボリショイのスターだったユーリ・ポゾホフ(Yuri Possokhov)は、サンフランシスコ・バレエのプリンシパル・ダンサーを経て、振付家。ダンサーを引退する前後頃から、振付けを発表しだしたんですが、才能あり!

今まで10作くらい発表してますが、斬新な作品が多いです。強い印象を受けたのが、3作くらいあり、できればまた見たいものです。一作ごとにフォームや動きに独特さがあるんです。いろいろなアプローチを試してるのかも。だから面白いんでしょうか。

そのユーリの最新作が「RAkU」。大きな冒険をした作品。ロシアのダンスには「スパルタクス」などの、男性のボディと力を中心に展開するダンスがありますが、アメリカでは珍しい、マスキュリン・ダンス。日本の剣道の動きを取り入れた部分もあります。ビジョアル的仕掛けもあり、お客さんの受けは大! 

武者の衣装が、秦の始皇帝のお墓から出てきた戦士の人形に似てて、はじめは中国の話かとおもったんですが、僧侶と、燃え上がった火が寺院が焼け跡にしてしまう背景を見て、「あ、これは金閣寺の話!」と、思い当たりました。

三島由紀夫の小説、「金閣寺」は読んだ事ないんですけど、「RAkU」によると、武者の妻に恋した僧侶が、夫が戦争にいったすきに、女をさらい、多分、強姦してしまいます。その直後、女は、夫が戦士した知らせを受け取ります。金閣寺は僧侶の放火で灰と化し、女は灰と化した夫の亡がらと剣を受け取って悲しみます。

武者の妻を演じたのはヤン・ヤン・タン、その夫はダニエル・スミス(Damian Smith)、気の狂った僧侶を演じたのは、パスカル・モレー(Pascal Molat)。


California Literary Reviewの写真から。このリンクをたどると、プロブラム2の、その他の写真とビデオクリップが見られます。

ヤン・ヤン・タンは、昨シーズンにマーメイドを演じて絶賛を受けたのですが、今回の「女」の演技は迫真に迫り、内的苦悩を伝えるのが、本当に、本当に上手になりました。彼女は、ついに、演じる人を舞台上で生きる、真の「アーティスト」なったんだなーと思いました。

パスカル・モレーは、気が狂った僧侶などの、ちょっとふつうじゃない役をこなすのが上手。彼ならではの僧侶でした。

RAkUの写真がもう一枚見られるリンクをつけておきます

なおヤン・ヤン・タンの「ジゼル」は、あまりよくありませんでした。「愛」とか「好き」とかの表現が彼女の大きな弱み。好きになるという自然の感情の自由な表現を奨励しない、中国文化の中で育ったというのが、彼女の表現を大きく制限してるんだと思います。日本のダンサーも同じと思います。

2012年3月6日:RAkUのビデオが見つかったんで、リンクします。

2012年4月1日:RAkUのDVDが、ジョージ・ルーカスのスカイ・ランチで制作されました。SFフォペラハウスのギフトショップで売ってます。ヤン・ヤン・タン紹介のビデオにもRAkUが入ってます。

サンフランシスコ・バレエの「ジゼル」

私が見たのでは、ロレナ・フェイホー(Lorena Feijoo)がジゼル、ビトール・ルイズ(Vitor Luiz)がアルブレヒト伯爵を演じてました。

ロレナはジゼルの役をやるのが上手。彼女は気が強そうなキューバ人なんですが、ジゼルをやる時は、線が細く、ちょっとしたことで、体も心も傷つけてしまう田舎娘をうまく演じます。

ロレナがサンフランシスコ・バレエでジゼルを踊っているビデオをyoutubeで見つけたので、リンクしておきます。気が狂って死んでしまう前の、踊るのが大好きなジゼルです。

2月7日追加: 初日は、ヤン・ヤン・タンと、昨年冬の「くるみ割り人形」で初めて登場した、アルテム・ヤチメニコフ(Artem Yachmennikov)のコンビでした。

新聞のレビューはたいへん良かったし、2人の写真が3枚見れるので、レビューにリンクしておきます。

私も、レビュー者と同意見、アルテム・ヤチメニコフ(Artem Yachmennikov)のサンフランシスコ・バレエ入団は大歓迎。昨年冬、彼がくるみ割り人形の王子様を演じたのを見たのですが、すごくよかったです。表現たっぷりの彼の手に、強い印象を受けました。

でも2〜3日前に怪我でもしたらしく、2月12日にヤン・ヤン・タンと、ジゼルをもう一回やることになってたのですが、キャンセルされてました。残念!

彼女の新しいお相手は、今年から入団した、イタリア人の新人、ビトー・マゼオ(Vito Mazzeo)。どんなアルブレヒトを演じるのか、楽しみです。