スノーデンさん告発の予想外の発展で書いたように、現在、フロリダ州で殺人罪で訴えられている被告はアリバイを立証するため、NSAが秘密裏に保持している「被告に起する2つの番号からかけられた電話に関係するメタデータ」を法に基づいて提出するよう、連邦検察に要求しました。
この意味、ぜんぜんわかんなかったんですけど、これを解明してくれてるブログ記事があったんです。電子コミュニケーション盗聴で「NSAがどんなデータを収集してるのか、皆、知っておいたほうがいい」と言うマーシー・ウィーラー(Marcy Wheeler)さんのインタビュー記事で、アメリカでは有名なブロガーの一人だそうです。
マーシーによると、NSAとその他の政府機関(多分CIAのことだと思うんですけど)は二つのプラットフォームを使って三つのデータを収集してるそうです。
一つ目は「シグナル」。電子メールを送信するとき、メールは小さな「パケット(packet)』という単位に分解され、光ファイバー等を通って相手先に着きます。パケットに分解されるときに付加されたデータを基にして元の順番に組み立てられ、皆さんのコンピュータや携帯で見られるようになります。ただし、NSAが収集してるのはパケットなので、コンピュータにしか理解できない純粋なシグナル。
二つ目は「メタデータ」。電話の世界のメタデータは、相手先の電話番号、電話をかけている場所、電話をかけてる時間の長さ等で、アメリカでは電話会社から毎月、電話契約者に明細書が送られてきますが、その明細に載っているすべての情報プラス電話会社が電話を送る道順情報を加えたのがメタデータ。日本では毎月電話会社の送ってくるのは合計金額だけみたいですね。アメリカのは「メタデータ」が印刷されているので、誰に何時電話したかわかるようになってます。
インターネットのメタデータは電話のとはちょっと違ってます。皆さん既にご存知のように、各コンピュータにはIPアドレスというのがありますが、それが電話で言えば電話番号のようなもの。だからメールを送信した相手のIPアドレスと、メールはどのような道順を通って相手先に届いたかがメタデータに含まれます。
三つ目は「コンテント」もしくは「内容」。皆が送信・受信してる電子メールや、チャットルームでチャットしてる中身。このブログで言えば、ここに書かれてる内容。
アメリカ政府が、例えばアメリカで密かに開かれた秘密会議に出席したXX国のyy代表は、いつ、どこで、誰と、何分話したかを知りたければ、メタデータを見れるわけです。そして内容に興味を持った場合、データマイニングでコンテントを見る事ができます。だから私は米のこの盗聴事件、米国内だけではすまなくなると思います。
アメリカは世界レベルですべてのデジタル・コミュニケーション・データを秘密収集してるわけです。これってすごいじゃないですか。
例えば日本ですごいテクノロジー開発間近だとします。アメリカとしては今までの開発費を考えれば,日本で先にパテントを取られたら困るとします。そういう場合、PRISMシステムを使って特別にこの技術関係者や、関係者の自宅や、関係施設のコンピュータをマークし、日本の科学者がやろうとしてることをアメリカの科学者に監視させ、一足先にパテント出願するということが可能です。
PRISMは世界でどんな研究がされてるか情報収集ができますし、これはと思った技術だったら、どんな発想でテクノロジーを開発しようとしてるのか釣ってくることもできます。全部釣る必要はありません。専門家に見せれば、何をどうしようとしてるのか推察できますから。これって起こる可能性あるし、すでに起こってるのかもしれません。
もしスノーデン氏が告発をしなかったら、こういう可能性があるのを理解するのが遅れたに間違いありません。こう考えてくると、なぜアメリカ政府が必スノーデン氏を国際的に孤立化させ、ひどい「おしおき」をしようとしてるかわかります。米政府側からしてみれば、あともうちょっとですごいスパイ網を確立できたはずの矢先に、計画がぶちこわされたからです。
日本の新聞やテレビ(政府機関ではすでに問題視されてると思いますが)はまだ問題にしてないようですが、PRISMの持ってる意味は深刻、各専門分野できびしくチェックされるべきです。こう考える国々がそのうち出てくると思われます。そしてスノーデン氏に亡命先を提供するのもそんな遠い事ではないかも。
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