2013年7月26日金曜日

やっぱりアメリカ、スマホの位置を明かさないアクセサリーが登場!

米盗聴事件でスマホが昼であろうが夜であろうが位置情報を発信してることが広く知られるようになりましたが、やっぱりアメリカ、その位置情報を盗聴させない新製品、「オフポケット(Off Pocket)」が7月中に発売開始になる見込み。



スマホをオフポケットに入れておくと、位置情報が袋の外部に漏れないだけでなく、外から入ってくる無線信号も遮断。

スマホはアンテナから携帯電話の基地局やGPSシステムに常時2.4ギガハルツの無線を発信してるんですけど、合金製布袋がこの波長の無線をブロックするしかけ。「ファラデーケージ(Farady box)」という有名な原理を利用してるそうです。

スマホの電源を切れば位置情報を発信しなくなるんですけど、一度切ると立ち上げるのに結構時間がかかるので、ほとんどの人は電源を切りません。そのため、位置情報は一日中発信されてるわけです。

デザイナーのジョアンナ・ブルームフィールド(Johanna Bloomfield)さんとアダム・ハービー(Adam Harvey)の製作。この袋そのものは実用的って感じですけど、アダム・ハービーさんのやってるいろいろなプロジェクトをまとめたサイトはなかなかアーツィー。

オリジナルの記事はこちら

2013年7月12日金曜日

人気急上昇の「ダックダックゴー」: NSAがデータ要請しない理由

「DuckDuckGo (いけいけ、あひる)」っていう検索エンジンの名前を聞いたのは、無料オンライン講座の「ユーダーシティ」で、「検索エンジンの作り方」というクラスをとってた時

「コンピュータのクラスをとった事もないあなたにも作れます」っていうキャッチフレーズをみて、本当?やってみるかと始めたんですが、三回目ぐらいのオンライン講義で「初めての人にもこんな検索エンジンが作れる」と紹介されたのがDuckDuckGo



DuckDuckGoの作者のガブリエル・ウェインバーグ(Gabriel Weinberg)さんも紹介されて、「ぼくも初めてサーチエンジン作ったんです。」検索速度がズ抜いて速いとグーグルが紹介するほど(っていうのはユーダーシティはグーグルが人的にぴっしり後についてるから)。

私もダックダックゴーへ行って使ってみましたが、グーグルがメニューバーのトップに位置してるんで、いつのまにかグーグルへ戻ってしまいました。

ところがスノーデン氏の米国NSA盗聴事件告発があり、PRISMの存在が明らかになった6月6日以来、グーンと使用者が急増。理由はグーグル等の他の検索エンジンと違い、ダックダックゴーでは過去の検索記録を保存しないため。



ダックダックゴーを立ち上げたときから、クッキーの不使用、ユーザーのIPアドレスの無保存を選択。さらに暗号化接続をディフォールトにしました。このためNSAからデータを要求されても、提出するものがありません。

ウェインバーグさんの選択は政治的なもんじゃなかったそうです。ただ「検索エンジンの検索記録は、検索した人がどんな人なのかをあまりにも如実に示してしまう、あまりの個人的データ」というのが気になったのが最初、そのうち政府機関がデータを要求してくる日がいずれは来る、増加すると推測、確信するようになったそうです。実際、NSA盗聴事件が告発されたとき、ぜんぜん驚かなかったそうです。

グーグルでは検索に宣伝を載せることで収益を得ていますが、それ以外(以前は)収入ゼロ。その収入を上げるために考案されたのがユーザー記録の蓄積。ですから政府からの要請があったとき、政府が大口客なのでその要請をはねのけられないそうです。

元になったオリジナルのガーディアン紙の記事はここ

7/16日追記: ダックダックゴーがグーグルより速い理由は、次のような問題を「解決」したため。アルゴリズム分野のエキスパートが、グーグルのアルゴリズムにいろいろ手を加えて検索結果にどうでもよいようなサイトをリストアップするように仕組んだため。こういう問題を迂回するため、ダックダックゴーの検索エンジンがクロールする場所を変えたそうです。最近ツールバーに入れて使ってますが、検索結果がいいんでベリーグー。

検索エンジンについてユーダーシティで学びましたが、どのサイトを検索するかが検索スピードの決め手(もしくは決め手の一つ)になるとは知りませんでした。ダックダックゴーの場合はyelpやWikipediaをクロールさせるようですが、上記引用のガーディアンの記事によると、検索するサイトにお金を払ってるようです。これも知りませんでした。Wikipediaが多少でも収入源があるのはよかった。

2013年7月4日木曜日

スノーデン氏告発の意外な展開 2:NSAが盗聴で集めている秘密データとは? ー 重要!

スノーデンさん告発の予想外の発展で書いたように、現在、フロリダ州で殺人罪で訴えられている被告はアリバイを立証するため、NSAが秘密裏に保持している「被告に起する2つの番号からかけられた電話に関係するメタデータ」を法に基づいて提出するよう、連邦検察に要求しました。

この意味、ぜんぜんわかんなかったんですけど、これを解明してくれてるブログ記事があったんです。電子コミュニケーション盗聴で「NSAがどんなデータを収集してるのか、皆、知っておいたほうがいい」と言うマーシー・ウィーラー(Marcy Wheeler)さんのインタビュー記事で、アメリカでは有名なブロガーの一人だそうです。

マーシーによると、NSAとその他の政府機関(多分CIAのことだと思うんですけど)は二つのプラットフォームを使って三つのデータを収集してるそうです。

一つ目は「シグナル」。電子メールを送信するとき、メールは小さな「パケット(packet)』という単位に分解され、光ファイバー等を通って相手先に着きます。パケットに分解されるときに付加されたデータを基にして元の順番に組み立てられ、皆さんのコンピュータや携帯で見られるようになります。ただし、NSAが収集してるのはパケットなので、コンピュータにしか理解できない純粋なシグナル。

二つ目は「メタデータ」。電話の世界のメタデータは、相手先の電話番号、電話をかけている場所、電話をかけてる時間の長さ等で、アメリカでは電話会社から毎月、電話契約者に明細書が送られてきますが、その明細に載っているすべての情報プラス電話会社が電話を送る道順情報を加えたのがメタデータ。日本では毎月電話会社の送ってくるのは合計金額だけみたいですね。アメリカのは「メタデータ」が印刷されているので、誰に何時電話したかわかるようになってます。

インターネットのメタデータは電話のとはちょっと違ってます。皆さん既にご存知のように、各コンピュータにはIPアドレスというのがありますが、それが電話で言えば電話番号のようなもの。だからメールを送信した相手のIPアドレスと、メールはどのような道順を通って相手先に届いたかがメタデータに含まれます。

三つ目は「コンテント」もしくは「内容」。皆が送信・受信してる電子メールや、チャットルームでチャットしてる中身。このブログで言えば、ここに書かれてる内容。

アメリカ政府が、例えばアメリカで密かに開かれた秘密会議に出席したXX国のyy代表は、いつ、どこで、誰と、何分話したかを知りたければ、メタデータを見れるわけです。そして内容に興味を持った場合、データマイニングでコンテントを見る事ができます。だから私は米のこの盗聴事件、米国内だけではすまなくなると思います。

アメリカは世界レベルですべてのデジタル・コミュニケーション・データを秘密収集してるわけです。これってすごいじゃないですか。

例えば日本ですごいテクノロジー開発間近だとします。アメリカとしては今までの開発費を考えれば,日本で先にパテントを取られたら困るとします。そういう場合、PRISMシステムを使って特別にこの技術関係者や、関係者の自宅や、関係施設のコンピュータをマークし、日本の科学者がやろうとしてることをアメリカの科学者に監視させ、一足先にパテント出願するということが可能です。

PRISMは世界でどんな研究がされてるか情報収集ができますし、これはと思った技術だったら、どんな発想でテクノロジーを開発しようとしてるのか釣ってくることもできます。全部釣る必要はありません。専門家に見せれば、何をどうしようとしてるのか推察できますから。これって起こる可能性あるし、すでに起こってるのかもしれません。

もしスノーデン氏が告発をしなかったら、こういう可能性があるのを理解するのが遅れたに間違いありません。こう考えてくると、なぜアメリカ政府が必スノーデン氏を国際的に孤立化させ、ひどい「おしおき」をしようとしてるかわかります。米政府側からしてみれば、あともうちょっとですごいスパイ網を確立できたはずの矢先に、計画がぶちこわされたからです。

日本の新聞やテレビ(政府機関ではすでに問題視されてると思いますが)はまだ問題にしてないようですが、PRISMの持ってる意味は深刻、各専門分野できびしくチェックされるべきです。こう考える国々がそのうち出てくると思われます。そしてスノーデン氏に亡命先を提供するのもそんな遠い事ではないかも。

2013年7月1日月曜日

やっぱりアメリカ、スノーデンさん告発事件の予想外な発展

スノーデン氏のNSA電子コミュニケーション盗聴告発事件はフロリダ州で意外な展開に。

2010年の警備自動車運転手殺害事件の容疑者として告訴されてるテランス・ブラウン氏(Terrance Brown)は無実を主張。事件のとき現場にいなかった事を立証するため、携帯電話会社メトロPCS社に自分の携帯電話記録を提供するよう要求。ところが電話会社はすでに電話記録を消去してしまったので提出不能と回答。そんなときに起こったのがスノーデン氏のNSA告発事件。

ガーディアン紙でNSAが数千万という電話記録を所持してるという記事を見たブラウン氏の弁護士のマーシャル・ルイス氏、良い考えが浮かびました。携帯電話会社メトロPCS社が電話の記録を提出できないなら、NSAに記録を提出してもらえばいいじゃないか!

  こうしてロビン・ローゼンバーン(Robin Rosenbaum)地方裁判所判事は、「2013年6月5日のガーディアン紙の報道から、2010年7月に被告に起する2つの番号からかけられた電話に関係するメタデータを政府が事実上所有していると被告は主張している」ので、6月10日までに回答するよう連邦政府に要請。アメリカ証拠法により、容疑者の無罪を証明するのに役立つ記録を持ってる場合、検察側はそれを提出する義務があるからです。

6月10日連邦検察は、ブラウン氏が請求している「携帯サイト位置情報(cell site location information, CSLI)」を所持してないので、要求には応じられないという動議を裁判所に提出。

さらに連邦検察は極秘情報処置法(Classified Information Procedures Act)に基づいて「連邦政府がどのデータを所持してるか、してないかについては、判事に非公開という条件で説明できること(判事以外には秘密という事)、さらに同法に基づいて:1)電話の記録が極秘情報であること、2)政府がそのような情報を持ってるか、持ってないかという情報も同様に極秘情報と主張し、今回の要請に応じないのは合法的としました。

しかし専門家によると、今回はこのような「結末」を迎えたけど、メタデータに限らず、誰も持ってない電話記録を政府が持っているということがわかってしまったので、これから弁護士からの証拠請求が増加するのは必然。今後は刑事だけに留まらず、民事ケース、例えば離婚争いなどにも拡大してゆくにちがいないということです。

個人情報を所有してるがゆえの展開だそうです。

スノードン氏のケースがこういう風に発展してゆくなんて、やっぱりアメリカ。

なお、この情報の出所はこちら