2012年7月2日月曜日

サンフランシスコ・オペラの英語版「魔笛」

2012年、夏のサンフランシスコ・オペラの第三弾は、英語版「魔笛」。

英語版なんて大丈夫かなと思ったんですけど、聞きやすーい! せりふの全部が全部、わかるわけじゃないんですが、字幕を見なくていいのって楽。イタリア人やドイツ人は、こんな感じで聞いてるのか!

聞きやすい一方、モーツアルトっていうか、あの頃の貴族って女性蔑視というか、そうしたい欲望で満ちあふれてるというか、「女はこれこれこうだから、まともに聞いちゃいけない」風の歌詞が、あちこちに散りばめられてるのに気づかぜるを得ず、ちょっと不快。コンテクストが違うのでまともに今風に受け止めるべきではありませんが、子供が多かったんで影響悪いという感じ。お客さんもざわざわしたり、困った風、あきれ風の笑ったりでした。

ハイディ・ストーバ(Heidi Stober)がパミーナ、彼女、一息の声のボリュームをどんどん上げてゆくのが特に上手(アンジェラ・ゲオルギューにはかないませんけど)、テクニシャンなんですね。今までの彼女のパフォーマンスの中では一番上手にやってました。

夜の女王をやったのはアルビナ・シャギムラトーバ(Albina Shaginuratova)という人だったんですけど、数年前の夜の女王様よりはよかったです。

鳥猟師、パパジーナをやったのはいつもどおりネイサン・ガン(Nathan Gunn)。彼、英語で歌う方が上手。せりふには今風のジョークも入ってて、卵の世話もする「持続狩猟」師だなんて自己紹介し、お客さんの笑いを誘ってました。
鳥猟師のパパジーナ。

三人の侍女が良かったです。英語のせいなので言ってる事が分かりやすいせいなのかも。また「アッティラ」の時も思ったんですけど、舞台の前面は余裕があるんですが、絶対に歌い手が出てこない場所があります。下はオーケストラ・ピットがあって、もし舞台から落ちたら危険だからでしょうが、アッティラの時もニクソン・イン・チャイナでも、今シーズンは、出演者が今まで足を踏み入れなかった前面まで出てきて歌ってる事。ディレクターの指示に間違いありません。聞きやすい事は確かですが、ちょっと疑問印。

サラステロは私の好きなクリスティン・シグモンドソン(Kristinn Sigmundsson)。彼はスイス人なんですが、英語でも上手に歌ってました。

真ん中のカラフルな、歌舞伎役者のような衣装を来ているのがサラステロ。不思議な国のアリス風のブルーのドレスがパミーナ。一幕と三幕でこの衣装を着用。

パミーナの二幕目の衣装。一幕目ではロイヤルブルーに黒白横縞だったんですが、二幕目では黒白渦巻き縞。三段の段々スカートで、前の部分だけ、開いた扇形に渦巻きがついてます。
ドレスの全部が見られなくて残念! ハイディのパミーナとアレック・シャレイダー(Alek Shrader)のタミーノ。

真っ赤な夜の女王様の衣装、特に帽子はエレクトニクス時代にぴったり! すごく気に入りました。

今回の魔笛は子供の観客が多く、子供の笑い声があちこちで。動物が受けてて、特にパパジーノとパパゲーナが歌ってるときに出てくる鳥の子供が、みんなの喝采を浴びてました。
  7月10日追記:今回の魔笛のビデオクリップがあるのでリンクしておきます。 新聞のレビューと写真はこちら。写真は16枚もあります。  

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