アメリカには、ジョージ・ソロとか、故テンプルトン氏のような伝説的な投資家がいますが、スイスでは、フェリックス・ズラウ(Felix Zulau)さんがそれにあたります。
2月13日に出版されたズラウさんの予想によると、現在の市場反騰は3月末まで続くけど、第二半期には、世界が景気後退圧力に負けてしまうとのこと。他にもいろいろ面白いことを言ってるので、要約しておきます。
なおオリジナルの記事はこちら。
ギリシャについて:
皆、ギリシャがもうだめなことはわかってるけども、欧米の「政治家」が現実を隠したいんだよ。ユーロゾーンに留まる限り、ギリシャには夢もチボーも無い。いずれはユーロ脱退を決断し、自国通貨を復帰させるだろうが、その価値、少なくともユーロの半分。一年後あたりに、スペインやイタリアやポルトガルの通貨の半分の価値になって初めて経済が回復し、4年後には資本市場に復帰する可能性もある。7〜10年後にはある程度の健全さを回復し、ユーロ圏に再加入可能。ギリシャの次はポルトガルだね。
ヨーロッパについて:
ドイツは、皆に増税や支出削減を含めた耐乏政策を押し付けようとしてるが、景気の更なる悪化を招くだけ...
2012年の世界経済の見通しについて:
5千億ポンドを長期に渡って銀行へ貸すというヨーロッパ中央銀行の動きはシステミック・リスクが起こる可能性を遅らせるが、それだけのこと。今月末にヨーロッパ中央銀行(ECB)は一兆ポンド出す準備があるようだが、ECBのバランスシートが爆発的に膨らむ。こういうやり方で経済需要を引き上げたいと考えてるようだが、資金の循環機構が崩壊してるので、需要は高まらない。ECBは、システミック・リスク発生の可能性を縮小しようとしてるだけ、そうすれば株式などの危険資産の価値が回復するからだ。去年の10月から市場反騰がおこってるのはこのため。
今の反騰は3月の末か、その少し後まで続くだろが、第二半期から問題が表面化し、2013年秋にピークを迎えるだろう。西欧市場は2015年頃まで低迷を続け、(バブル崩壊後の)日本とよく似た事が起こるよ。
写真:ピデモントのダウンタウンにある教会の花。
アメリカ経済について:
QE3は不可能。やる理由がない。現在、アメリカの生産指数はよい数字だが、在庫が上昇しつつある。最終需要が増加しなければ生産は縮小せざるを得ないので、在庫の状況を、今後、注意深く観察する必要がある。QE3の名で紙幣印刷(printing paper)をすると、ガソリン価格の上昇を招き、株式などを所有しない、普通の人の生活を圧迫する。経済指数を良く見せるため、米連邦銀行は紙幣印刷をするだろうがが、この政策は、トップ20パーセントの人を潤すのみ、階級の亀裂を大きくするだけ。
一次産品について:
中国の台頭が過去10年間の一次産品価格上昇の原因。今まで世界のバーゲン工場だったが、先進国の個人収入の低迷・減少により、これまでの輸出先導型から、内需先導型経済に構造改革してゆかねばならない。このため、中国の経済成長率は9〜10パーセントから6〜7パーセントへ減少するだろう。一次産品の需要は倒壊しないが減少、一次産品株価は他の株価に比べて伸び悩みするだろう。例外は原油と金。原油は地政学的見地から、金は、貨幣価値が下がれば下がるほど、価値が上昇するからだ。
米国の財政赤字:
もし米国が、国内総生産(GDP)の10パーセントにあたる赤字を一晩でゼロにしたとすると、最終需要も10パーセント、一晩で消えてしまう。私が計算したところ、もし米国が過去10年間、財政赤字がなかったとしたら、米国のGDPは現在より、25パーセント低くなっている。つまり現経済は、財政赤字によって成り立っている。いずれは市場が最終的な調停者となり、米国で、今、ヨーロッパで起こってるのと同様な問題が起こるだろう。債権利回りが急激上昇し、経済システムを破壊するということだ。
それを避けるには、中央銀行が資金供給の役割を担わざるを得ない。実際、これはもう始まっている。例えば米国では連邦銀行が長期国債を買っているし、イギリスではイングランド銀行が国際の最大の所有者だ。しかし中央銀行が政府支出の30パーセントを超える資金供給をすると、その後インフレが4〜5年続くのが、歴史的に観察されている。
財政赤字はデフレ傾向をつくり、経済成長を抑え、庶民が貧しくなる。放っておくと恐慌になりかねず、システムが破壊するだろう。
デフレに対処するため、政府と中央銀行は、金融リフレと財政リフレを行う。デフレかインフレの、いずれの力が大きくなると、それに応じて、危険資産が下降したり上昇したりする。最終的には、システミック崩壊か、ハイパーインフレーションを経由したシステミック崩壊を招くだろう。
新興経済国:
赤字が少なく、人口構成もよいので、構造的に健全。欧米の景気の横波をくらうが、長期的投資には一番良い場所だ。オーストラリア? 神の恵みを受けている。中国の景気後退は第二半期に起こると思う。するとオーストラリアも影響を受け、景気が後退するだろう。
注意: 急いで要約したので間違いがあるかも。気になる方はオリジナルを見てください。
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