スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)が今日の午後に亡くなりました。
もうわかっていたことでしたが、あと一年くらいはとゆっくりと生きるのだろうと思ってました。
アップルのサンタ・クララ・バレー・キャンパスはクーパティーノにあります。(クーパティーノの皆さんは、今頃、光が一つ消えた悲しみに、何となく気持ちが沈んでと思います。私も同じです。)キャンパスが広域に渡っているので、どのビルだか思い出せないんですが、一階の壁に、スティーブのと思われる言葉が、壁一杯に書かれてるビルがありました。それを何気なく読んで、度肝を抜かれた事があります。
「自分のアイディアが正しいと思ったら、上司が無視しようとしたり、つぶそうとしたら、戦おう」、「僕たちがしたいのは革命だ」みたいな、マニュフェストが、上から下まで、どうどう書かれてるんですよ。
当時、アップルがそんなスティーブのスピリットを会社の信条にしてるとは思いませんでしたが、こういうこと、壁に提示してる会社、日本にはあり得ないなーと舌を巻き、こんなとこなら(もうすでに大会社だったんで)働いてもいいなとか思ったと思います。どちらかというと、驚きを顔に出さないよう、苦労した次第です。
最近っていても数年前ですが、スティーブのスタンフォード大学の卒業式でのスピーチを聞き、あの壁に書かれていた事が触れられてるのに気づきました。よいスピーチなので、一度くらいは無理して聞いて欲しいと思うので、ここにリンクしておきます。
前に私が働いていた会社の道路を挟んで向かい側のサンフランシスコ湾沿いに、なかなか素敵な、ガラス窓の多い、2階建てのビルの建設が始まりました。そのビルの前のグラウンドで若い子がサッカーしたりするのが見えて初めて、新しい会社が入ったのに気づきました。ある日、普段はわざわざ歩いて行く事も無いその敷地の前を通る機会があったので、ついでに門をひょいと見ると、小さくネックスト・コンピュータって書いてあったので、「ああ、これが」なんて思ったものです。
黒いポルシェがスティーブの車なのは、言われずとも気がつきました。車の前に飛び込んで、「ハロー」って言って自己紹介したらどうかしら、なんて冗談を言ったもんです。会社に隣接しているサンドイッチ屋さんにスティーブが時々来ていて、合った人が「なんていやな奴なんだ」とか言ってました。私は、あんな有名人が、サンドイッチ屋で合う人ごとに、親切にしてられる訳も時間もあるはずないじゃんと思ってました。
私の会社の受付から、ネックスト・コンピュータの門を過ぎてもっと向こうのビルのガラス越しに受付が小さく見え、その受付の子とスティーブがつき合っているといううわさがありました。
私は会社ではPCを使いますが、私が初めて使ったコンピュータも、自分用に購入するコンピュータも全部、アップル。馬鹿チョンカメラ級に簡単: ソフトも自分で入れられるし、メインテナンスもほとんど必要ないので、私のようなコンピュータ音痴(無知)でも、簡単に使えるからです。
幸運なことに、日本だって、他のアメリカの会社にだって考えられないような人たちが働いているアップルに少しの間、働く事ができました。そしてそのマネージメントの考え方とその実践にふれたことは、たいへん意義のある経験でした。今でもきちっと記憶に残っています。今だにアップル以上の会社に出会った事がないのは、残念なことです。
アップルのヘッドクオーターに行った事のある人なら気がつくかもしれませんが、インフィニット・ループ1のビルを取り巻くデザインそのものが、スティーブの考え方を反映してると思います。ビルを見て、スティーブはサイクル理論を信じてるなとピーンと来ました。
アップルが、スティーブの革命的言葉が壁にどうどうと書かれているあのビルを、スティーブの記念として、ずっと残して欲しいと願うばかりです。アップルのカフェテリアには、ちょっと危険を犯して行ったものです。距離的には近いんですが、大きな道路をJ−ウォークしなければなりません。J−ウォークというのは、横断歩道でないところで道路を横切ることで、一応、道路交通法違反。虫の居所の悪いお巡りさんに見られると、チケットを切られたりすることがあります。でも車で行くと大回りなので、このJウォークが入っている「獣道」を伝ってカフェテリアへ行きます。カフェテリアの真ん中には、赤いリンゴが入っている大きなバスケットが置いてあり、誰でもピックアップできるようになってます。気の利いた習慣なんで、今まで通り、続けていくんだろう思います。ごく普通のリンゴなんですが、自分のオフィスに持って帰って、おなかのすいたときに、かじったものでした。
うさぎの糞的な、ポツポツ文章になりましたが、アップルのサイトをリンクしておきます。スティーブのイメージをクリックすると、お悔やみとか、自分の気持ちを書けるようになってます。
私達の生活や、コミュニケーションや、仕事の仕方を変えたスティーブ。パッションを持って毎日生き、新しいものを作り、生きる事に一生懸命だった彼が地球を去ってしまうのは悲しいですが、これからは果てしなく美しい銀河系宇宙を、彗星のように、ずーっと、ずーっと飛んで行くんだなーと考えるのがいいかなと、いつになくしんみりと思ってます。
家族に囲まれて、ピースフルに、眠るように逝ったということです。
追記:10月7日 CBSニュースをリンクしておきます。
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