2008年5月30日金曜日

サンフランシスコのお墓めぐり

先週の日曜日はメモリアルデイ。戦没者を中心に死者を思い出す日でした。

んで私も恒例のお墓参りハイキングに参加、約9キロ歩いて九つの墓場を踏破するという、健康的な一日を過ごしました。


お墓に覆いかぶさり、嘆き悲しんでいる天使。天使像にもいろいろなジャンルがありますが、これは「Weeping Angel」というジャンルに入る、天使像です。

悲しい感情を表すには、彫像という表現形態は、まさにぴったり。埋葬者のことは何も知りませんが、無言の嗚咽が波動となって、しんしんと伝わってきます。

この天使は、広く美しい墓地で、死者のために、身内やかけがえのない友を失った人たちのために、永遠に涙を流し続けます。


天使ミカエルです。グレーブス家のお墓です。6人の名前が刻んであります。右上を見ると、ウォーカー コールマン グレーブスさんは1848年に生まれ、1920年に亡くなったのがわかります。



このお墓の後ろに赤い屋根の建物が見えますが、それもお墓です。一族が埋葬されます。

ハースト家の墓や、シービスケットという馬の持ち主で有名だったハワード氏のお墓もあります。

2008年5月23日金曜日

近所のミューロー: 「BETHANY映画館」



写真は、何年か前に最優秀賞をとったミューロー(壁画)。映画館に見せかけた絵だが、実は養老院。

ミューローは、もともと南米で発達した、歴史的事実を記録する手段。だから描かれている人物は、ほとんどの場合、実在の人物だ。

このミューローも例外ではなく、養老院の住人がモデル。

右下の、扇子を持って踊っているおばあさんはもう亡くなってしまったが、このミューローのモデルになって以来有名になり、以後、レストランで請求書を貰った事がなかったそうだ。

以前、教会があった敷地に立てられたこの養老院。その事を記念して、ミューローの真ん中の「BETHANY」と書かれたところをよく見ると、教会の塔が、濃い目の青い影を落としているのがわかる。

ミッション通りとサウスバンネス通りにはさまれた、21番通りにある。ただし、夜は見に行かない方が安全でしょう。

2008年5月18日日曜日

近所のミューロー: サンフランシスコの強風と絡まる家

私が住んでいるのは、サンフランシスコでも「ミッション ディストリクト(地区)」と呼ばれているところ。

ミッションの特徴の一つは、ミューロー(壁画)でしょう。お店、駐車場、教会、公共建築、アパート、個人の家、ガレージやお店のシャッターなど、絵が描けそうなスペースならどこでも「キャンバス」になります。

すぐに塗り替えられてしまうミューローもあれば、歴史的なミューロー、またミッションを代表するミューローの傑作もあります。ミューローで有名な通りや、ミューローのツァーなどもあります。

ミューロを描きたい人は、お目当ての壁や塀やビルの持ち主の許可をもらいます。別に画家である必要はありません。誰が描いてもよいのです。持ち主がゴーサインを出すと、カラースプレーやはしごを自分たちで調達します。

だいたい複数の人で描くので、当日は路上パーティーのようににぎやか。友達や見学人も集まってきます。

ビルの持ち主が依頼する事もあります。その場合は、持ち主側がペンキ、クレーン車代等、謝礼も含めて払います。


これはかなり古いミューローの右半分。
タイトルをつけるとしたら、「サンフランシスコの強風と、絡まり合う家。」

アイデアも構成もすばらしいミューローです。
なぜかジャックと豆の木の話を思いださせます。

バレンシアとグエレロにはさまれた18番通りにあります。

2008年5月12日月曜日

近所のお店: PAXTON GATE

「826 Valencia」の右隣には、パクストンゲートというお店があります。

風に吹かれてそよいでいるように見える花飾りが、お店の前面、一面に描かれてある、バレンシア通りでも、一、二を競う、美しいお店です。

何を売っているお店かというと...

「生」と「死」が、「自然」世界を支えている二つの大柱というふうに、ちょっと考えてみてください。「生」は、毎日、体験してるので、多少は知ってるわけですが、「死」は体験不可能なので、知りません。その未知の部分を、いろいろな角度から眺めて吟味できるよう、風変わりながらもアトラクティブなパッケージにして、店に迷い込んできたお客さんに提供するお店というのが、一番近い表現かも知れません...





なにがおいてあるかというと...

トカゲとか、ネコのような動物の骸骨。

チョウチョや、カブトムシ、カミキリムシなどがピンで整然と留められてならでいる標本箱。「死」がこんなに秩序のあるものなんて...

化石。

食虫植物。

以前は、ネズミの剥製がたくさんありました。白ネズミであるのが奇抜で不気味でした。
それが、さまざまな形のビンに入っていたり、飾り棚に陳列されてたのです。最近、オーナーの関心がもっと大きな動物、それも、特に角のある動物に移ったらしく、アンティークの動物の首が、お店のあちこちの壁に、天井にとどくまで、飾られてます。

白ネズミの剥製は、クリスマスシーズンになると復活します。ルイ18世時代の、貴族の衣装をつけた白ネズミの剥製を、クリスマスツリーに飾って、楽しむわけです。深紅のビロードのガウンを身につけた白ネズミは、どうかすると、酔っぱらって大笑いしているように見える時もあります。

大きてやさしいガラスのまなざしを、通行人に向けていた、アンティークのキリンの首の剥製は、売れてしまったようで、最近、ショーウィンドウから姿を消しました。

オーナーは生け花にも素養があるらしく、お花で使うはさみとか、剣山も売ってます。

手作りの鍵もあります。

サンフランシスコに来る事があったらぜひ寄ってみてください。

2008年5月6日火曜日

近所のお店: CITY ART


先月書いた、「826 Valencia」の隣に、CITY ART という、サンフランシスコのアーティストのCo-op画廊がある。

いつも5〜6人の作品を展示していて、けっこう面白いのが多い。

材料が面白かったり、面白い題材を扱ってたりする。

例えば、全部、残り毛糸で編んだ作品。キャンバスの枠の上からかぶせてある。しっぽのついたのもある。

2番目に大きい作品が特に気に入った。6号ぐらいのキャンバスで、色の組み合わせが目がさめるよう。編み方の違いが表面に変化を与えていて楽しい。

壁に掛けておいて、ほこりがたまったら洗濯できるのも、大きなプラスじゃないでしょうか。

2008年5月1日木曜日

東京のバター不足、サンフランシスコのお米購入制限?

ケーキを生まれて初めて焼こうとした都内の女性が、スーパーでバターが買えずに呆れ困ったそうで...

というだけならそれほどびっくりじゃないんでが、このニュース、実は、オーストラリアの新聞に4月21日付けで出た東京発のニュースで、メルボルンの読者が、北米のサイトにポーストしたのを見た、 在 サンフランシスコ の私がピックアップして、「まさか、今はもうこんな状態じゃないでしょ?」と、思ってるんですが... 

4月の中旬、東京のイトーヨーカ堂スーパーでは、バターの在庫がゼロだったそうです。

今年の1月、私は日本にいたのですが、そのとき、オーストラリアからの輸入チーズの値段が上がりすぎて採算が合わなくなり、「チーズファクトリー」が倒産したのを思い出しました。

デパートのケーキ売り場が目に浮かびます。ケーキは一つ580円ぐらいでしたが、もし今も潜在的にバター・チーズ不足なら、もう値上げされてますね。

東京がバターなら、サンフランシスコでは、お米。COSTCOで、初めて、お米購入制限が出て一週間たちました。

COSTCO (私達、カスコって読んでます)は東京の幕張にもあるらしいですが、消費者や飲食店向けの卸売り店。冷蔵庫からトイレットペーパー、生花からパンツまで買えるお店です。

そのCOSTCOのお米の棚に、「一人一袋」との注意書きが出現したときは、ニュースでも、大きく報道されました。

今回はインド人の好む、バスマティ米が対象ですが、ちょうどお米が切れたので、私も日本米の大きいのを一つ買ってきました。

この「サービス産業」の時代、継子扱いされていた農作物というか、「物」というか、その復讐が、じわじわっと始まったのでしょうか。