エドワード・スノーデンさんがNSAのスパイ活動を告発したのが今年の6月中旬。その直後、この事件がアメリカのコンピュータ産業に対する国際的信用を傷つけ、米国製品(特にクラウド技術)離れを引き起こすなどの「米ハイテク産業に悪い影響を及ぼす」という趣旨の記事(Edward Harrison)を見たんですが、サンフランシスコの企業家/起業家/作家のウォルフ・リッチャー(Wolf Richter)氏の10月17日発表の記事によると、その予言の一部は当たりつつあるよう。
まず10月14日に、ビッグデータを扱うためのソフトウェアを販売しているアメリカのテラデータ社(Teradeta)が、四半期の事業結果を発表。それによると、これから売り上げがさらに伸びると期待されていたアジアでの販売が21パーセント、中東とアフリカでは19パーセント、それぞれ減少。
10月16日発表のIBM事業報告では、中国での販売が大下降。IBMのさまざまなビジネス部門のうち、バードウェア部門のシステム・技術部の収益が17パーセント減少、特にユニックス・リナックス・パワー・システム・サーバーの売り上げが38パーセント激減。
IBMのローリッジ最高財務責任者(CFO)は、「去年はハードウェアの販売が牽引力になり、全体で売り上げが19パーセント上昇したのに、今年40〜50パーセント激減したのは、中国の経済改善計画がまだはっきりしてないため」と説明。
しかし8月中旬の「上海有価債券ニュース(Shanghai Securities News)」の報道によると、エドワード・スノーデン氏が暴露したNSAスパイ事件で、「中国公安部(Ministry of Public Security)と中国閣僚レベルのリサーチセンターがアメリカのIBM,オラクル、EMC社をマーク」したと報道。IBMの苦戦はこの影響というほうが筋が通る。(*こちらの記事を見てくれれば理由の一つはわかるはず。「裏口=バックドア」に注目してください。)
IBMの株価の動き。2013年1月から11月5日まで。
NSAスパイ事件についてはあっち、こっちで触れてきましたが、現在までにさらに深刻な情報が、英国紙やニューヨークタイムズで、いろいろ暴露されてます。日本人は人事と思ってるのか、日本の新聞社が「特定秘密保護法案」を通したい政府の顔色を伺っててわざと知らんぷりしてるのか、それとも日本の産業に与える影響が大きすぎるのを恐れてなのかわかりませんが、ほとんど一般紙で報道されていません。不思議です。
なぜアメリカのコンピュータやコミュニケーション産業が打撃をうけるかのはかなり深刻な事情があり、普通の日本人も知っておいた方がいいと思うので、その2)でわかる限り説明するつもりです。
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