ウオール街のニューヨーク証券取引所を、月曜日と火曜日の二日間にわたって緊急休日にしてしまったハリケーン、サンディ(Sandy)が東海岸を襲ってますが、今、思わず笑っちゃうイメージがインターネットを回ってます。
誰かがいたずらで作ったんだと思いますけど。
典型的なアメリカのガソリンスタンドのサイン。エクソンですね。値段表の下ですが、「ありがとう、サンディ、お陰で当店では、コンドームとローリングペーパーとビールが全部売り切れです。」 lol
ローリングペーパーとは、マリファナを巻いてたばこのようにする、タバコ用巻き紙。アメリカのガソリンスタンドなら、どこでも売ってます。
ちなみに「lol」は「laugh out loud」の略語で、「げらげら笑う」という意味。インターネット上で使うスラング。
2012年10月29日月曜日
SFで最高のヨガのクラス
ヨガを始めたのには二つの動機が...
その1)母親が高齢者用のヨガを始めてから急に元気になったこと。2〜3ヶ月もしないうちに、電話で話す声につやが。新しい友達できてよかったね、と思ってました。電話の声がさらに元気になってきたので、「お母さん、ヨガで一体、何してるの?」と、ついに根掘り葉掘り。
「なにしてるって...」と、電話での私の追求にたじたじとしながら、一生懸命、説明。「テニスボールを椅子の背と背中ではさんで、ころがしたりするわよ」というのは分かりましたが、あとはさっぱり要領を得ません。
大学にいたとき、ヨガを体操のクラスでとり、「木のポーズ」や「死んだ魚のポーズ」とかやりました。当時タバコを吸ってたんですが、タバコを吸ったあとヨガをやると、いつも決まってものすごーく気持ち悪くなるのに気づき、ヨガってすごいなと思いました。でもタバコはやめられませーんと、ヨガのクラスをドロップしたんです。(注:なお、タバコはその後やめました。)
その2)一年半ぐらい前、友達にヨガに誘われて参加、ルーティーンらしきものをやったら、たいした事なさそうなのに息が切れてヒーヒー、体力が激しく落ちてるのを自覚。
日本からサンフランシスコへ帰ってきた翌日。ヨガが時差ぼけに効果があるかどうか興味をもち、再び参加。結果は、驚きの「効くー!」 いつもは最低三日は苦しむんですけど、ヨガをやった翌日から時差ぼけほとんど解消! こうして週一の「ヨガ」の信者になりました。
私の参加しているヨガのすごーい点は、まず、その会場。荘厳なゴチック教会で高い天井の会場に入ると、自然に現世が遠のき、目がぐるりにめぐらされたステンドグラスへ。心が広がります。午後7時に時刻をつげる鐘の音がお腹の底に響きわたるとき、除夜の鐘ではないけれど、思わず両手を合わせて合掌。
すごい点、その2は音楽の伴奏。ネパールの2メートルくらいある大笛や、シンギングボール(singing bowl)等を奏でるミュージシャンが毎週、交替でやってきてヨガをやってる最中、音楽をかなでてくれます。 写真:シンギングボール。
以前の好みはネパール大笛(下の写真ですけど、この楽器、なんという名前か知ってる人がいたら教えてね)だったんですが、最近の好みはハープのような楽器とバイオリンの二重奏(下の2枚目の写真)。思わず聞き惚れます。ハープをやってる人は美しい声の持ち主で歌も唄います。ホスピスでボランティアもしてるそうです(アメリカのボランティアは日本と違い、本当のボランティアで無償。)
このヨガのクラスは、毎週、火曜日にサンフランシスコ市内のあちこちで行われてる、「寄付金ベース」のヨガのクラスの一つ。参加者が参加する毎に寄付金を出します。普通のクラスだと一回平均10ドル前後なので、そのぐらいがメド。もちろんもっと出す人もいます。寄付金は、ヨガの先生と、ミュージシャンと、場所を提供してる教会で分配。寄付金ベースは、行かない、もしくは行けない日は払わなくてもいいので参加者には便利。
このヨガのクラス、最近はさまざまな新聞で取り上げられたりしてて有名になり、大盛況。参加者は、私が初めて参加したころに比べると、2倍半にはなってるし、現在も増加中。
私にとっては、鐘の音とともに、生涯忘れる事の出来ないヨガのクラスとなりました。これからも健闘を祈ります。
その1)母親が高齢者用のヨガを始めてから急に元気になったこと。2〜3ヶ月もしないうちに、電話で話す声につやが。新しい友達できてよかったね、と思ってました。電話の声がさらに元気になってきたので、「お母さん、ヨガで一体、何してるの?」と、ついに根掘り葉掘り。
「なにしてるって...」と、電話での私の追求にたじたじとしながら、一生懸命、説明。「テニスボールを椅子の背と背中ではさんで、ころがしたりするわよ」というのは分かりましたが、あとはさっぱり要領を得ません。
大学にいたとき、ヨガを体操のクラスでとり、「木のポーズ」や「死んだ魚のポーズ」とかやりました。当時タバコを吸ってたんですが、タバコを吸ったあとヨガをやると、いつも決まってものすごーく気持ち悪くなるのに気づき、ヨガってすごいなと思いました。でもタバコはやめられませーんと、ヨガのクラスをドロップしたんです。(注:なお、タバコはその後やめました。)
その2)一年半ぐらい前、友達にヨガに誘われて参加、ルーティーンらしきものをやったら、たいした事なさそうなのに息が切れてヒーヒー、体力が激しく落ちてるのを自覚。
日本からサンフランシスコへ帰ってきた翌日。ヨガが時差ぼけに効果があるかどうか興味をもち、再び参加。結果は、驚きの「効くー!」 いつもは最低三日は苦しむんですけど、ヨガをやった翌日から時差ぼけほとんど解消! こうして週一の「ヨガ」の信者になりました。
私の参加しているヨガのすごーい点は、まず、その会場。荘厳なゴチック教会で高い天井の会場に入ると、自然に現世が遠のき、目がぐるりにめぐらされたステンドグラスへ。心が広がります。午後7時に時刻をつげる鐘の音がお腹の底に響きわたるとき、除夜の鐘ではないけれど、思わず両手を合わせて合掌。
すごい点、その2は音楽の伴奏。ネパールの2メートルくらいある大笛や、シンギングボール(singing bowl)等を奏でるミュージシャンが毎週、交替でやってきてヨガをやってる最中、音楽をかなでてくれます。 写真:シンギングボール。
以前の好みはネパール大笛(下の写真ですけど、この楽器、なんという名前か知ってる人がいたら教えてね)だったんですが、最近の好みはハープのような楽器とバイオリンの二重奏(下の2枚目の写真)。思わず聞き惚れます。ハープをやってる人は美しい声の持ち主で歌も唄います。ホスピスでボランティアもしてるそうです(アメリカのボランティアは日本と違い、本当のボランティアで無償。)
このヨガのクラスは、毎週、火曜日にサンフランシスコ市内のあちこちで行われてる、「寄付金ベース」のヨガのクラスの一つ。参加者が参加する毎に寄付金を出します。普通のクラスだと一回平均10ドル前後なので、そのぐらいがメド。もちろんもっと出す人もいます。寄付金は、ヨガの先生と、ミュージシャンと、場所を提供してる教会で分配。寄付金ベースは、行かない、もしくは行けない日は払わなくてもいいので参加者には便利。
このヨガのクラス、最近はさまざまな新聞で取り上げられたりしてて有名になり、大盛況。参加者は、私が初めて参加したころに比べると、2倍半にはなってるし、現在も増加中。
私にとっては、鐘の音とともに、生涯忘れる事の出来ないヨガのクラスとなりました。これからも健闘を祈ります。
2012年10月25日木曜日
「Everything must go!」ガレージセール!
10月6日(土)と7日(日)、そして10月13日(土)に、ミッションで初めてで最後の、私主催の「EVERYTHINK MUST GO!」ガレージセールを開催。いよいよ日本帰国を前に、残ってるものすべて売りつくし!
ガレージセール経験者のスチュワートのアドバイスで、近くのお店でコーヒーを買って、20ドル札をくずしておき、一ドル札と5ドル札とクォーター(25セント)のおつりをたっぷりジーンズのポケットに用意。表面にマジックインキで字のかけるテープも必需品。値段を書いて、売り物へペタッ!
写真:6日と7日は忙しくて写真を取るのを忘れてしまって残念。13日の正午すぎ。潜在客は食事中らしく閑古鳥が泣く。そうだ、写真を撮らなくっちゃ!
スチュワートの二つ目のアドバイスは、朝8時半に開店(「えぇ〜。そんなに朝早くから?」)ところがこのアドバイス、すごい有効でした。お客さん、結構早起き。
三つ目のアドバイスは、「クレイグス・リスト(Craig's List)」という、サンフランシスコ生まれ、今は全米(そしてインターナショナル)に広がったサイトへ、ガレージセールの案内を木曜日から掲載。効ありで、ダウンのスリーピングバッグをお目当てに、カップルが朝8時半に一番のり。この他、日本人の群がるサイトへも出したのですが、効果はなかったようです。当日は、近くの四つ角の電柱に、ガレージセールの場所と時間を書いた紙をペタッ。
間違って無使用の「iPod」を5ドルで売っちゃったり、誰かが私のヨガ用の厚目のNIKEのパンツを、1ドルで売っちゃったり。ジーザス!でも大成功でした。
ガレージセールの良いところは、今まで見た事も、話した事もない近所の人と知り合いになれること。都会には、忙しくて孤独な独身がいっぱい。それがガレージセールで「あいつなら友達になってもいいかな」と思うと、アメリカ人は自己紹介するために、積極的に挨拶してきます。そんな一人に、30年くらい前に制作されたオーストラリア製の世界地図を2ドルで「あげ」ました。南極が上になってるので、世界が逆さま(写真にとっとけばよかった!)に描かれているのが面白い地図。さらに「ソビエト連邦」とか、今はなくなった国がしっかり書き込まれてるので、「これはアンティークだから大事にしてよ。」
こんなに面白そうな人たちに会えるなら、もっとはやくガレージセールをやればよかったな...
ガレージセール経験者のスチュワートのアドバイスで、近くのお店でコーヒーを買って、20ドル札をくずしておき、一ドル札と5ドル札とクォーター(25セント)のおつりをたっぷりジーンズのポケットに用意。表面にマジックインキで字のかけるテープも必需品。値段を書いて、売り物へペタッ!
写真:6日と7日は忙しくて写真を取るのを忘れてしまって残念。13日の正午すぎ。潜在客は食事中らしく閑古鳥が泣く。そうだ、写真を撮らなくっちゃ!
スチュワートの二つ目のアドバイスは、朝8時半に開店(「えぇ〜。そんなに朝早くから?」)ところがこのアドバイス、すごい有効でした。お客さん、結構早起き。
三つ目のアドバイスは、「クレイグス・リスト(Craig's List)」という、サンフランシスコ生まれ、今は全米(そしてインターナショナル)に広がったサイトへ、ガレージセールの案内を木曜日から掲載。効ありで、ダウンのスリーピングバッグをお目当てに、カップルが朝8時半に一番のり。この他、日本人の群がるサイトへも出したのですが、効果はなかったようです。当日は、近くの四つ角の電柱に、ガレージセールの場所と時間を書いた紙をペタッ。
間違って無使用の「iPod」を5ドルで売っちゃったり、誰かが私のヨガ用の厚目のNIKEのパンツを、1ドルで売っちゃったり。ジーザス!でも大成功でした。
ガレージセールの良いところは、今まで見た事も、話した事もない近所の人と知り合いになれること。都会には、忙しくて孤独な独身がいっぱい。それがガレージセールで「あいつなら友達になってもいいかな」と思うと、アメリカ人は自己紹介するために、積極的に挨拶してきます。そんな一人に、30年くらい前に制作されたオーストラリア製の世界地図を2ドルで「あげ」ました。南極が上になってるので、世界が逆さま(写真にとっとけばよかった!)に描かれているのが面白い地図。さらに「ソビエト連邦」とか、今はなくなった国がしっかり書き込まれてるので、「これはアンティークだから大事にしてよ。」
こんなに面白そうな人たちに会えるなら、もっとはやくガレージセールをやればよかったな...
2012年10月13日土曜日
マリンスキーバレエの「白鳥の湖」at バークレー
マリンスキーバレエ(Mariinsky Ballet & Orchestra of the Mariinsky Theatre。元キロフ・バレエ Kirov Ballet)が3年ぶりにバークレー(Berkeley)を訪問、スワン・レーク(Swan Lake ハッピーエンド版)を日曜日まで上演中。
初日(10/10)は、エカテリーナ・コンダローバ(Ekaterina Kondaurova)のオデッタ/オディールと、ダニラ・コルスンツェフ(Danila Korsuntsev)のジークフリード。一緒にいった人が安い券を買ったのでゼラバック・ホールの天井に近いくらいでしたが、まあ仕方ない。よくフォーメーションが見えました。
エカテリーナとダニラのは、キロフの伝統的な「白鳥の湖」。ライトの色、光の当て方、コスチューム等は、バリュエーションがあるとはいえ、youtubeで見ているとおり。エカテリーナは決めるところはピシッと様式美を決め、エネルギーを出すときはバネのように前へ出て体が弓のようにしなります。ダニラはどちらかというと、温厚なプリンス。
翌日、まさかということもあると思って、ゼラバック(Zellerbach Hall)に電話したら、売れ残り券を安売りするというお知らせが! こういうの「ラッシュ券」って言うんですけど、ただちにバート(BART)に飛び乗ってバークレーへ。140ドルのオーケストラ席を20ドルで入手。会場は満杯でした。
その日は、ウラジミール・シクリャローフ(? Yladimir Schklyarov)の王子と、本当の新人のオクサナ・スコーリク(? Oksana Skoryk)。初めはアリーナ・ソーモワが予定されてたんですが、何かあったらしく、オクサナに変更。ウラジミールは、3年前のバークレー公演では代理出演、今はめでたくマリンスキーのプリンシパル・ダンサーに昇格してました。前回のウラジミールはイケメン中のイケメン、それから3年後、どうなってるかなーて見たんですが、きらきらと目のひかる天真爛漫なハンサムではなくなってました。失恋でもしたのかも。
オクサナは、まだまだ若ーく、舞台経験をつまなくちゃという段階。エカテリーナのようにはポーズがぴしっと決まらないうちに次のステップへいったりでしたが、マリンスキーが将来を託してる一人なんでしょう。まじめな普通の女の子という感じ。
面白い事、その1: 第一幕の最後に、王子が湖へ向かう前にソロで踊るところがあるんですが、ダニラとウラジミールの解釈に違いがあるよう。ダニラの場合は、お母さんの女王様から誕生日プレゼントで送られた弓をはやく使ってみたいという感じで湖へ急ぎますが、ウラジミールの場合は、パーティが終わって一人になると、愛する人がいない寂しさをそこはかとなく感じ、気を紛らわすために、弓を持って湖へ行くというストーリー。「自然愛護」が歌われて久しい現在、また男性も寂しいと感じるのは今は受け入れられてる事実なので、ウラジミールの解釈のほうがなじみやすいです。
面白い事、その2: ロクサナの黒鳥。昨今の伝統的なキロフの黒鳥は、頭に長い黒鳥の羽を二本つけて、鳥っぽくなります。エカテリーナも、下の写真のアリーナ・ソーモワの黒鳥も、頭に長い羽が二本の鳥人間。ところがオクサナは、コールドバレエの黒鳥がつけてる普通のジェットブラックの頭飾りに、小さなティアラをかぶっただけの無長羽登場。
もしかして、オクサナはまだプリマにはほど遠いということで(注:マリンスキーではという意味)羽無しなのかも。羽無しジェットブラックの黒鳥はバークレーの街角をかっぽしてる現代若者風。たった今テレグラフ通りから走ってきて舞台へかけこんだ風の登場なんで学生街の観客に親近感をもたせるのか、ものすごーい受け。カーテンコールはエカテリーナをしのぐ3回。オクサナは「エッー」て感じで、ちょっとオズオズ、カーテンから出たり引っこんだりでした。
個々の解釈の違いを許し、たとえプリマでも個々に長所や短所があるわけですから、異なったコスチュームや頭飾りをダンサーの個性や熟練度に応じて用意し、一人一人の個性を大事にするマリンスキーはさすが様々なダンサーを手がけ、さまざまな時代を生き抜いてきたバレエ団だなと思いました。
今回、かなり感動したのがコールドバレエ。動きの無い場面では、美しい造形を保ちながら、ピクとも動きません。ダンサー達の体や腕や足の重なり方、すきまの出来かたなどパーフェクトと言ってもいいすぎでなく、よく体に足や膝の位置を徹底的に覚えこませるものと感心。コールドバレエの作る造形は、オーケストラ席とそのあたりの目線で最高に見えるようにできてるっていうのがよくわかりました。
あまりに静かなので気になり、後の観客席を振り返ると、舞台の青っぽい光を反射した顔がすべて舞台へ向かって捧げられてるよう。舞台上で展開される物語に、魂が吸い込まれちゃってるんですね。
ゼラバックは、舞台の大きさはオペラハウス並みなのに、客席数は圧倒的に少ないので、出演者が近く、よく見られるていう利点あり。舞台上から、多分客席も、見えるのかも。サンフランシスコのオペラハウスでは、舞台からは客席は真っ暗で見えないと思います。
写真とレビューはこちら。
こちらへ行くとウラジミールが見られます。2枚目の写真。コールドバレエの写真はここで。
バークレーに来る前にロサンジェルスで公演した模様。ロサンジェルス・タイムズに写真とレビュー。ウラジミールとオクサナの写真をトップに全部で7枚ぐらい見られます。
マリンスキーバレエはロシアの宝です。 写真はオクサナ。ロサンジェルス・タイムズから。はっきりとしたことは言えませんけど、記事から見ると、アリーナが妊娠したみたい。残念! でもオクサナが見られたからいいかな... オクサナは、アメリカ初日公演のパドトゥのくるくるまわるとこで転倒したみたい。
やはりダイアナ・ビショネバとか、スベトラーナとか、アリーナ・ソーモワのようになるには大変なんだなと思いました。
10月14日: 土曜日の夜はオクサナとアレクサンダー・セルゲイエフ(Alexander Sergeyev)。アレクサンダーの王子が一番ぴったりの感じ。まだソロリストなのでダリアやウラジミールほどの余裕で演じてるんではなく、全身で打ち込んでるところが若い王子らしくてグー。
オクサナは数日まえよりはリラックス。黒鳥のパドトゥの最後で、トランペットの音色に乗って、王子へ近づいてゆく場面があります。王子の心を虜にしたのを確信、王子にくるくると回りながら得意満面で近づいて行くところなんですが、左足のトウが高く天を指すようひざをまげて、彼女なりの嬉々とした勝利の表現、よかったです。
2015年1月8日:オクサナとティモール・アスケロフ(Timur Askerov)のスワンレークが見つかったのでお薦めリンクしておきます。これは2013年5月にアップロードされてる事と、オクサナの動きから推察すると、私がバークレーで見たより後のパフォーマンス。オクサナの動きがぐんと優雅でバランスもよく、ポーズもバチッと決まるようになってます。特に手首の動きが美しくなり、そのおかげで長い腕の優雅さが香るような感じ。回転がちょっと遅いかなというとこはありますけど、上で私が「得意げ」って書いた足の動きは段々角度が大きくなっていて、ドラマチック。こういうのってパフォーマンスを重ねないと体得できないのかもね。お相手役のアスケロフは私生活上ではオクサナのボーイフレンドですが、彼の動きはぐらぐらするところもありますけど気品ありで、セルゲイエフより良いと思います。ジャンプがシャープでスピード感あり。特に両足が前後に伸びて後ろ足が高く上がる私の好きなジャンプは美しくて清々しく、将来、素晴らしく成長することを祈ります。
初日(10/10)は、エカテリーナ・コンダローバ(Ekaterina Kondaurova)のオデッタ/オディールと、ダニラ・コルスンツェフ(Danila Korsuntsev)のジークフリード。一緒にいった人が安い券を買ったのでゼラバック・ホールの天井に近いくらいでしたが、まあ仕方ない。よくフォーメーションが見えました。
エカテリーナとダニラのは、キロフの伝統的な「白鳥の湖」。ライトの色、光の当て方、コスチューム等は、バリュエーションがあるとはいえ、youtubeで見ているとおり。エカテリーナは決めるところはピシッと様式美を決め、エネルギーを出すときはバネのように前へ出て体が弓のようにしなります。ダニラはどちらかというと、温厚なプリンス。
翌日、まさかということもあると思って、ゼラバック(Zellerbach Hall)に電話したら、売れ残り券を安売りするというお知らせが! こういうの「ラッシュ券」って言うんですけど、ただちにバート(BART)に飛び乗ってバークレーへ。140ドルのオーケストラ席を20ドルで入手。会場は満杯でした。
その日は、ウラジミール・シクリャローフ(? Yladimir Schklyarov)の王子と、本当の新人のオクサナ・スコーリク(? Oksana Skoryk)。初めはアリーナ・ソーモワが予定されてたんですが、何かあったらしく、オクサナに変更。ウラジミールは、3年前のバークレー公演では代理出演、今はめでたくマリンスキーのプリンシパル・ダンサーに昇格してました。前回のウラジミールはイケメン中のイケメン、それから3年後、どうなってるかなーて見たんですが、きらきらと目のひかる天真爛漫なハンサムではなくなってました。失恋でもしたのかも。
オクサナは、まだまだ若ーく、舞台経験をつまなくちゃという段階。エカテリーナのようにはポーズがぴしっと決まらないうちに次のステップへいったりでしたが、マリンスキーが将来を託してる一人なんでしょう。まじめな普通の女の子という感じ。
面白い事、その1: 第一幕の最後に、王子が湖へ向かう前にソロで踊るところがあるんですが、ダニラとウラジミールの解釈に違いがあるよう。ダニラの場合は、お母さんの女王様から誕生日プレゼントで送られた弓をはやく使ってみたいという感じで湖へ急ぎますが、ウラジミールの場合は、パーティが終わって一人になると、愛する人がいない寂しさをそこはかとなく感じ、気を紛らわすために、弓を持って湖へ行くというストーリー。「自然愛護」が歌われて久しい現在、また男性も寂しいと感じるのは今は受け入れられてる事実なので、ウラジミールの解釈のほうがなじみやすいです。
面白い事、その2: ロクサナの黒鳥。昨今の伝統的なキロフの黒鳥は、頭に長い黒鳥の羽を二本つけて、鳥っぽくなります。エカテリーナも、下の写真のアリーナ・ソーモワの黒鳥も、頭に長い羽が二本の鳥人間。ところがオクサナは、コールドバレエの黒鳥がつけてる普通のジェットブラックの頭飾りに、小さなティアラをかぶっただけの無長羽登場。
もしかして、オクサナはまだプリマにはほど遠いということで(注:マリンスキーではという意味)羽無しなのかも。羽無しジェットブラックの黒鳥はバークレーの街角をかっぽしてる現代若者風。たった今テレグラフ通りから走ってきて舞台へかけこんだ風の登場なんで学生街の観客に親近感をもたせるのか、ものすごーい受け。カーテンコールはエカテリーナをしのぐ3回。オクサナは「エッー」て感じで、ちょっとオズオズ、カーテンから出たり引っこんだりでした。
個々の解釈の違いを許し、たとえプリマでも個々に長所や短所があるわけですから、異なったコスチュームや頭飾りをダンサーの個性や熟練度に応じて用意し、一人一人の個性を大事にするマリンスキーはさすが様々なダンサーを手がけ、さまざまな時代を生き抜いてきたバレエ団だなと思いました。
今回、かなり感動したのがコールドバレエ。動きの無い場面では、美しい造形を保ちながら、ピクとも動きません。ダンサー達の体や腕や足の重なり方、すきまの出来かたなどパーフェクトと言ってもいいすぎでなく、よく体に足や膝の位置を徹底的に覚えこませるものと感心。コールドバレエの作る造形は、オーケストラ席とそのあたりの目線で最高に見えるようにできてるっていうのがよくわかりました。
あまりに静かなので気になり、後の観客席を振り返ると、舞台の青っぽい光を反射した顔がすべて舞台へ向かって捧げられてるよう。舞台上で展開される物語に、魂が吸い込まれちゃってるんですね。
ゼラバックは、舞台の大きさはオペラハウス並みなのに、客席数は圧倒的に少ないので、出演者が近く、よく見られるていう利点あり。舞台上から、多分客席も、見えるのかも。サンフランシスコのオペラハウスでは、舞台からは客席は真っ暗で見えないと思います。
写真とレビューはこちら。
こちらへ行くとウラジミールが見られます。2枚目の写真。コールドバレエの写真はここで。
バークレーに来る前にロサンジェルスで公演した模様。ロサンジェルス・タイムズに写真とレビュー。ウラジミールとオクサナの写真をトップに全部で7枚ぐらい見られます。
マリンスキーバレエはロシアの宝です。 写真はオクサナ。ロサンジェルス・タイムズから。はっきりとしたことは言えませんけど、記事から見ると、アリーナが妊娠したみたい。残念! でもオクサナが見られたからいいかな... オクサナは、アメリカ初日公演のパドトゥのくるくるまわるとこで転倒したみたい。
やはりダイアナ・ビショネバとか、スベトラーナとか、アリーナ・ソーモワのようになるには大変なんだなと思いました。
10月14日: 土曜日の夜はオクサナとアレクサンダー・セルゲイエフ(Alexander Sergeyev)。アレクサンダーの王子が一番ぴったりの感じ。まだソロリストなのでダリアやウラジミールほどの余裕で演じてるんではなく、全身で打ち込んでるところが若い王子らしくてグー。
オクサナは数日まえよりはリラックス。黒鳥のパドトゥの最後で、トランペットの音色に乗って、王子へ近づいてゆく場面があります。王子の心を虜にしたのを確信、王子にくるくると回りながら得意満面で近づいて行くところなんですが、左足のトウが高く天を指すようひざをまげて、彼女なりの嬉々とした勝利の表現、よかったです。
2015年1月8日:オクサナとティモール・アスケロフ(Timur Askerov)のスワンレークが見つかったのでお薦めリンクしておきます。これは2013年5月にアップロードされてる事と、オクサナの動きから推察すると、私がバークレーで見たより後のパフォーマンス。オクサナの動きがぐんと優雅でバランスもよく、ポーズもバチッと決まるようになってます。特に手首の動きが美しくなり、そのおかげで長い腕の優雅さが香るような感じ。回転がちょっと遅いかなというとこはありますけど、上で私が「得意げ」って書いた足の動きは段々角度が大きくなっていて、ドラマチック。こういうのってパフォーマンスを重ねないと体得できないのかもね。お相手役のアスケロフは私生活上ではオクサナのボーイフレンドですが、彼の動きはぐらぐらするところもありますけど気品ありで、セルゲイエフより良いと思います。ジャンプがシャープでスピード感あり。特に両足が前後に伸びて後ろ足が高く上がる私の好きなジャンプは美しくて清々しく、将来、素晴らしく成長することを祈ります。
2012年10月2日火曜日
2012年サンフランシスコ,秋のオペラの「キャプレット家とモンタギュー家」
ベリーニの作品で、初めて見るオペラ。「ロミオとジュリエット」のオペラ版ですが、シェイクスピアの話とは違うところあり。でも全体では、やっぱり悲壮なロミオとジュリエットの話。
ロメオを演じたのは私の大好きなジョイス・ディドナト(Joyce DiDonato)。以前「セビリアの理髪師」でロジーナを、その後「バラの騎士」でオクタビアを演じたんですが(これは見た記憶がないんですけど)、なるべくはやくサンフランシスコに帰ってきて欲しかったんですが、今回まで待たなくてはなりませんでした。
メルロ・オペラという、サンフランシスコ・オペラ歌手養成プログラムの出身。ドロラ・ゼイジックと同様、国際的に有名になってしまったので、今日まで無視されちゃったんだと思いますが、ああ、ずいぶん成長したなーと思いました。暗くて辛く、最後はジュリエットが死んだと誤解して毒薬を飲んでしまうロメオの役を見事に演じきりました。
この演出では、ジュリエットと手をつないで、舞台上の一線を超え人々から離れ、空中のどこかを見つめながら、舞台前方へ歩むところで終わります。生きてるときは葛藤ばかりの2人が、初めて同じ方向に進みながら終わるこの終わり方、「...」という感じが出てて、いいと思いました。
このオペラでは、ロミオとジュリエットの恋は、苦しく辛い恋。それを丁寧に感情をこめて表現するジョイスのロミオ、キャプレット家に平和を申し出る最初の歌、ジュリエットを説得しようと命をかけるロメオの歌に、涙がでました。
ジュリエットを演じたのはニコール・キャベル(Nicole Cabell)。サンフランシスコ初出演。新人と思いますが、才能ある声。とは言え、ジョイスの声の方が私好み。2人でデュエットをする場面がいくつかあるんですが、ジョイスがニコールに合わせてハモる声の美しい事、それを聞くだけで満足のゆくパフォーマンス、しっかとサンフランシスコを征服しました!
パフォーマンス中、ロミオはジュリエットを見つめるときは見つめて歌うのに、ジュリエットはほとんどロミオと目を合わせません。まだ役者じゃないんですね。 サンフランシスコ・オペラのウェブサイトからのスナップショット。ジョイスのロメオとニコールのジュリエット。まだ初日のビデオがアップロードされてないようなので残念!
ベリーニの「ロミオとジュリエット」では、社会の矛盾がジュリエットというボディ、一身に集中。「あなたを愛しているけど、家族は裏切れない、私の心はすでにあなたのもの、でも私達がこの世で結ばれる事はありえないの」と、愛を成就するには死しかないことを示唆、全体のプロットが、「死」に向かって進んで行きます。オペラ全体を通じて、ロミオの意に添えずに苦しみ、家族の強いる結婚式におののくジュリエットは、当然ですけど、病気っぽく演出されてます。例えば、トイレの手洗い台の上に飛び乗って歌ったり、下着での登場がほとんど等。でもこんな苦しみに遭遇したら、誰だって精神的に影響をうけるじゃないですか。
舞台のデザインはいかにも前衛好みのドイツ。例えば、馬のサドルをまるで剥製の動物の群のように天井からつるさげ、戦場の騎馬群を連想させます。ジュリエットとロミオが再会する場面では、空中に45度の角度で飛び上がるように吊るされていて、つるんでいるんだけど抱き合ってるわけではない真っ白い男女の像が、2人のこの世での関係と、あの世への旅立ちを示唆してるよう。
そんな中でカラフルなのは、ジュリエットの結婚式の場面。結婚式そのものは描かれませんが、着飾った女性たちのドレスで示唆、このドレス群が、2012年「VOUGUE」XX月号特集っていう感じの華やかさ。全女性が大きな花を口に加えて、顔の半分を隠してしまうところが妖しくグーでした。ロミオも女装で招待客として潜入、ベージュ調ドレスがよく似合ってて素敵でした(写真左中央あたり)。ジュリエットのウェディングドレスも今はやりの「ボーグ」的。下は結婚式を示唆する舞台の写真。
10/2/12:ビデオがパブリッシュされたのでリンクしておきます。
新聞のレビューと写真はこちらです。
10/5/12:アナ・ネトレブコのジュリエットとジョイスのロメオ。
ジョイスのロジーナがyoutubeにあったのでリンクしておきます。
ロメオを演じたのは私の大好きなジョイス・ディドナト(Joyce DiDonato)。以前「セビリアの理髪師」でロジーナを、その後「バラの騎士」でオクタビアを演じたんですが(これは見た記憶がないんですけど)、なるべくはやくサンフランシスコに帰ってきて欲しかったんですが、今回まで待たなくてはなりませんでした。
メルロ・オペラという、サンフランシスコ・オペラ歌手養成プログラムの出身。ドロラ・ゼイジックと同様、国際的に有名になってしまったので、今日まで無視されちゃったんだと思いますが、ああ、ずいぶん成長したなーと思いました。暗くて辛く、最後はジュリエットが死んだと誤解して毒薬を飲んでしまうロメオの役を見事に演じきりました。
この演出では、ジュリエットと手をつないで、舞台上の一線を超え人々から離れ、空中のどこかを見つめながら、舞台前方へ歩むところで終わります。生きてるときは葛藤ばかりの2人が、初めて同じ方向に進みながら終わるこの終わり方、「...」という感じが出てて、いいと思いました。
このオペラでは、ロミオとジュリエットの恋は、苦しく辛い恋。それを丁寧に感情をこめて表現するジョイスのロミオ、キャプレット家に平和を申し出る最初の歌、ジュリエットを説得しようと命をかけるロメオの歌に、涙がでました。
ジュリエットを演じたのはニコール・キャベル(Nicole Cabell)。サンフランシスコ初出演。新人と思いますが、才能ある声。とは言え、ジョイスの声の方が私好み。2人でデュエットをする場面がいくつかあるんですが、ジョイスがニコールに合わせてハモる声の美しい事、それを聞くだけで満足のゆくパフォーマンス、しっかとサンフランシスコを征服しました!
パフォーマンス中、ロミオはジュリエットを見つめるときは見つめて歌うのに、ジュリエットはほとんどロミオと目を合わせません。まだ役者じゃないんですね。 サンフランシスコ・オペラのウェブサイトからのスナップショット。ジョイスのロメオとニコールのジュリエット。まだ初日のビデオがアップロードされてないようなので残念!
ベリーニの「ロミオとジュリエット」では、社会の矛盾がジュリエットというボディ、一身に集中。「あなたを愛しているけど、家族は裏切れない、私の心はすでにあなたのもの、でも私達がこの世で結ばれる事はありえないの」と、愛を成就するには死しかないことを示唆、全体のプロットが、「死」に向かって進んで行きます。オペラ全体を通じて、ロミオの意に添えずに苦しみ、家族の強いる結婚式におののくジュリエットは、当然ですけど、病気っぽく演出されてます。例えば、トイレの手洗い台の上に飛び乗って歌ったり、下着での登場がほとんど等。でもこんな苦しみに遭遇したら、誰だって精神的に影響をうけるじゃないですか。
舞台のデザインはいかにも前衛好みのドイツ。例えば、馬のサドルをまるで剥製の動物の群のように天井からつるさげ、戦場の騎馬群を連想させます。ジュリエットとロミオが再会する場面では、空中に45度の角度で飛び上がるように吊るされていて、つるんでいるんだけど抱き合ってるわけではない真っ白い男女の像が、2人のこの世での関係と、あの世への旅立ちを示唆してるよう。
そんな中でカラフルなのは、ジュリエットの結婚式の場面。結婚式そのものは描かれませんが、着飾った女性たちのドレスで示唆、このドレス群が、2012年「VOUGUE」XX月号特集っていう感じの華やかさ。全女性が大きな花を口に加えて、顔の半分を隠してしまうところが妖しくグーでした。ロミオも女装で招待客として潜入、ベージュ調ドレスがよく似合ってて素敵でした(写真左中央あたり)。ジュリエットのウェディングドレスも今はやりの「ボーグ」的。下は結婚式を示唆する舞台の写真。
10/2/12:ビデオがパブリッシュされたのでリンクしておきます。
新聞のレビューと写真はこちらです。
10/5/12:アナ・ネトレブコのジュリエットとジョイスのロメオ。
ジョイスのロジーナがyoutubeにあったのでリンクしておきます。
登録:
投稿 (Atom)