2009年7月19日日曜日
お見事! おつりごまかし術
ミッション通り沿い(ミッション・ディストリクト)の、ある食料品店での話。
その1
買い物の支払いをしたとき、おつりが間違っているのに気がつきました。その場で3回、おつりを確かめた後、レジ台の後ろの店主のおじさんに、軽い気持ちで、「おつりが足りないわよ。もう10セントちょうだい。」
するとおじさん、私を完全無視、つぎの人のレジを始めました。変なの。
その後おもむろに私の方に向き直り、レジ台に散らばっているお客様用レシートから私のレシートを見つけ、それと私がおじさんの掌に返したおつりを見くらべるようなふりをした後、「なに言ってるんだよ、おつりはちゃんとあるじゃない」と、私の手のひらにおつりをのっけました。すると、なかったはずの10セントが、あるんじゃないですか!
このおじさん、おつりを間違ったんじゃなくて、ごまかそうとしたんだなってことに、そこでハタと気づきました。
だいたい始めに、いつもになく、「ハイ」とレジ越しに声をかけてきて、じっと私の目を見つめたときに、ちょっと変とは思いました。
不快でしたが、手品のようにあざやかな技には感心。ばれたとわかった途端、次のお客のレジをしてレジ台を開け、10セント玉を余計にとった後、お客様用レシートを身を屈めて探すふりをしながら、小銭をうまく、私の返したおつりの25セント玉と5セント玉の間に混ぜて、「ほら、間違ってないじゃない」と、私の前に手を差し出した「事後処理」。これは相当年期のはいった技、しょっちゅう「練習」してなければできない技です。
その2
その後、そのお店はさけてましたが、どうしても必要なものがあったので、仕方なく行きました。
その日お店は忙しく、レジの前にお客の行列。すると週末訪問しているような雰囲気の若夫婦のお父さんぽい人が、ささっーとレジ台に入ってきて、私のレジをしました。これが驚きな事に、同じ手つきで、10セントごまかしのおつりをくれたのです! そのときは何も言わず、帰ってきました。
しかしなんと言っても、「親子2代の技」には、いろんな意味でうなってしまいました。ミッションはメキシコ系アメリカ人の町。サンフランシスコでは一人当たりの収入が一番か二番目に低いところです。
10セント玉(ダイム)は小銭の中では一番サイズが小さく、確かにごまかすには最適のコイン。
この食料品店もメキシコ系。生き延びる技としてか、「生活の知恵」としてか、父親がまだ子供だった息子に、手品のような技と、人を見る技術(この人はだましやすい)を伝授したんでしょう。「10セントくらいごまかしたっていいんだよ、どうせ他のところで無駄使いするんだから」なんて言いながら... ちなみに、私は通常、小銭のおつりはチェックしません。
この事件以来、わたしは雇われ人のレジがいるお店へ、買い物に行くようになりました。
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