2012年9月25日火曜日

2012年秋のサンフランシスコ・オペラの「リゴレット」

ヴェルディの「リゴレット」は好きなオペラの一つ。四重唱中、涙をはらはらと流すさまを曲にしたようなジルダの悲しみの歌、ジルダと、ジルダの部屋に忍び込んだガルティエ・マルデ(実は伯爵の偽装)が、別れを惜しんで歌う熱い「さよなら、さよなら」の二重唱、ガルティエ・マルデが去った後に、「ああ、なんて素敵な名前なの」と、「ロメオ、ロメオ、なんであなたはロメオなの」的な恋の歌が、宝石のように散りばめられた王冠のようなオペラです。

今回は二組のキャストが交替にジルダ、リゴレットとマントヴァ伯爵をやったんですが、ジルダは、セカンド・キャストで歌ったロシア人のアルビーナ・シャギムラトーバ(Albina Shagimuratova)の方がぴったりと思いました。透き通るソプラノ、高音が美しく、まだ「娘」の段階の女の子を感じさせる声。

Youtubeにアルビーナの歌う「ああ、なんて素敵な名前なの」がアップロードされてるのでリンクしておきます。サンフランシスコの方が、透き通った感じの声でした。アルビーナは6月のサンフランシスコ・オペラで「夜の女王様」をやった人。
マントヴァ伯爵は、オープニング・キャストのフランシスコ・デミューロ(Francesco Demuro)の方が全然よかったです。いつも一定の、はりのある声。Youtubeのビデオをリンクしておきます。デミューロさんが、またサンフランシスコへ帰ってくるのを楽しみにしてます。

今回の制作は、舞台にあがるのがこれで三度目ですが、舞台デザインとして優れてると思います。青や赤のライトを効果的に使ってストーリーにめりはり。また貴族の男達が舞踏会できている衣装に、面白いのが多々ありました。
第2幕では、上の舞台の真ん中に運河が出現。今回初めて気づいたんですが、運河は、舞台の表面に、黒とネズミ色のツートンカラーのプラスチックシートがはってあるだけ。遠くから見ると、暗闇で鈍く光る運河のように見えるんです。

リゴレットはヴェルディの傑作中の傑作(次が「イル・トロバトーレ」と「運命の力」じゃないでしょうか)。サンフランシスコ・オペラのビデオクリップをリンクしておきます。 リビューと写真はこちら

レビュー中にデミューロががっかりのパフォーマンスと書いてありますが、私が見たときはすっかり回復、素晴らしかったです。

追記:リゴレットは今まで4回見たんですが、一番最初に聞いたギルダは誰だったのかずぅーと思い出せませんでした。今回、インターネット検索で、あの時のギルダはデザレ・ランカトーレ(Desiree Rancatore)で、彼女の国際デビュー舞台。まだ学生のように若く、細くて長いカーリーヘアの金髪を小刻みにふるわせながらハラハラと泣く(四重唱)のを見て、彼女の悲しみに共感、あまり美しいギルダに感動したのでした。