この2週間、アメリカは毎日が出来事ロジーで、驚いたり、笑ったり、怒ったり、先を読もうとしたりで、ジェットコースターに乗ってるようで、疲れました。
事の始まりは、税金から7兆ドルを無条件で出してもらい、ウオールストリートを救済するという、米財務大臣の、ポールソンのウオールストリート救済案。その使い道について、誰も責任取る必要の無いとはっきり書かれたこの案、米中流階級が、猛反対し、下院では見事に否決されました。
(写真はポールソン。政府の現役役職者は株を持つのは禁止されているので、大臣になったとき、所有株を全部売却。そのかわり、売却分には税金はかからないので、5億ドルまるまる懐に。庶民と、金銭感覚が同じとは思われません。)
「"Privatization of profit" and "Socialization of loss" 利益は私有化しながら、損害は社会で負担とはどういうことか!と、怒りが怒濤のようにわき起こったのです。
ちょっとバックグラウンドを説明すると、日本でもバブル崩壊のとき、国民の税金を使って銀行を救済したようですが、同じ金融機関救済と言っても、日本と、ウオールストリートの経営陣の報酬の額と、金銭感覚は、雲泥の差!
ウオールストリートの法外な報酬とどぎもを抜くパーティの話を知らない人は、アメリカには、まずいないでしょう。
財務大臣のポールソンは、ゴールドマンサックスの前社長。去年のボーナスだけでも38ミリオン$、日本円でいうと、38億円!。それも、今問題になっている不動産ローンから作られたデリベィティブを売買して得た巨大なもうけから支払われたボーナス。
金融関係のトップであれば、いずれバブルは爆発するのは、よく承知していたはず。わたしだって、こんなねずみ講的もうけが、つづくわけはないと思っていた一人です。ウオールストリートは、政府が救済に入るのを計算に入れて複雑なデリベィティブの金融商品を作り、取引きしていたのに間違いありません。
私が一番不快だったのは、ポールソンの「7兆ドルを無条件で、すぐさま出さないと、大変なことが起こる」という説明の仕方。何がどう大変でという説明がないばかりか、恐怖感をおあり、急いて可決させようとした経過が、イラク戦争に突入したときとそっくり。それが第一のむかつき。
第二は、ウオールストリートがやってたのは、エンロンと同じねずみ講、そのねずみ講の穴を埋めるために、米納税者に泣きつくとはなんということ! まさに、利益の私有化、損害の社会化です。。
というわけで9月の最後の週は、私も下院議員や上院議員に抗議の電子メールを送信。正直いってつかれました。
とにかく、ポールソン法案を通すための、通常人を馬鹿にするようなロジックでまたもやアメリカ人が騙されたら、アメリカ人にはさじを投げるわと思っていたところ、9月29日(月)に下院で、ポールソン案が否決。びっくりしました。
翌日、慌てたブッシュ大統領が、ホワイトハウスで緊急スピーチ。本当に恥ずかしいスピーチでした
「一回目の『火事だ、助けて!』は本気にされても、二回目は相手にされなくなったという典型的なケースです。
またこのスピーチと、イラク戦争へ突入する直前にブッシュ大統領が行ったスピーチとを比較するコメディが、風刺テレビ番組の人気物、「Daily Show」で放送されました。
「スピーチした場所も同じなら、言い回しも、そーっくり!、『イラク』のところを『ウオールストリート』を」と言い換えただけ」、もう傑作で、笑い転げてしまいました。
アップロードしたかったんですが、残念ながら、サイトを見失ってしまいました。
そのかわりに、アメリカの、当時のセンチメントを伝える議員の怒りのスピーチ(3分くらい)があるので、英語のヒヤリングの勉強をしたい人は、みてください。
(写真:議会で意見を述べる下院議員のマーシー・カプター)
なお、ページばかりのポールソンの原案は、その後上院へ廻されて手直しされた後、上院を木曜日に通過、金曜日に下院へ戻されて、150ページだか、450ページの法案となり、下院を通過したことを、付け加えておきます。
私の電子メールに、バーバラ・ボクサー上院議員(民主党)から、「なぜ支持したか」を説明する、一応、内容のある返信メール(もちろん、彼女が書いたのではないでしょうが)が、共和党のシルビー議員、ダイアナ・フェインシュタイン(民主党上院議員)と民主党のオバマ議員からも返信メールが来ました。