2012年1月22日日曜日

福島原発事故、ドイツとアメリカへの影響

福島原発事故以後の日本と、ドイツとアメリカでの事故の影響を伝える50分もののテレビ番組が、サンフランシスコ・ベイ・エリアで、放送されました。「フロントライン(Frontline)」という番組で、タイトルは「福島原発事故の余波(Nuclear Aftershocks)」。

ドイツには全部で17の原発が稼働、23パーセントの電力を供給してますが、議会で満場一致で、10年後には、全部の原発を閉鎖する、原発離れを決定。このようなコンセンサスが国民を含めて得られたのはなぜ?、というところがわかりやすかったです。

福島原発事故が、技術先進国である日本で起こったという事実にショックが大きかったのもありますが、もっと直接的な契機となったようなのは「チェルノブイリの事故の思い出」。

チェルノブイリ原発事故のさい、放射能を含んだダストがドイツの上空を通過、子供が外で遊べなくなるという異常事態が発生。福島原発事故は、言わば「二度目の経験」なので、「原発離れ」のコンセンサスを採りやすかったんでしょう。
写真は全部、番組のスナップショットから。

ドイツは、過去20年、太陽発電や風力発電に多大な投資して、「新エネルギー源」を求める旅へすでに出立、現在までの成果から、成功の可能性を実感できるんだと思います。

アメリカの部は、残念ながら「原子力発電」の危険性と価値を問い直すことはせず、「原発をなくすのは非現実的」という前提から出発、水害、地震、ハリケーン、竜巻などに対応できない可能性有りというのがわかっている27の原発や古い施設の安全性をすぐに見直すべきというのが、福島原発事故に対する番組の反応。

「原子力発電をやめるのは非現実的。でもそう言う私は偏見あり。だって私は原子力発電のエンジニアですから」、と言わせてるのは、番組制作側の「良心」でしょう。

「原子力発電は最後の章に入った」という認識は、ドイツと同様、あるようです。

アメリカに全部で104ある原発のうち、タイムズスクェアから35マイルの距離にあるインディアン・ポイント(Indian Point)、去年、ミズーリ川氾濫で浸水にあったネブラスカ州のフォート・キャルフーン原発(Fort Calhoun)、マグニチュード5.8の地震にあったバージニア州のノース・アナ原発が番組に登場。

インディアン・ポイント原発は40年前に運転開始、現在、会社は、今後20年間の継続運転更新を申請中。
福島の2倍の規模、古い施設、多々発生する安全性関連問題、近くに発見された地震帯、また人口密度の高い地域に隣接してるため、福島原発事故以後、いざというときの緊急対策・避難プラン要求を含んだ、原発反対運動がさらに活発化。

アメリカにはこのように古い原発が大半。また福島と同じデザインのも多々ある様子。

ミズーリ川氾濫の被害にあったキャルフーン。

ノース・アナの設備はマグニチュード5.8の地震に耐えるようには建てられてませんでしたが、90年代に発表された地震の可能性の報告に、会社が自主的に耐震建築にアップグレード。そのため被害がなかったもようですが、法律的には、会社にはアップグレードする義務はなし。

英語の番組ですが、興味のある人のために、ここに番組をリンクしておきます。

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